土木学会選奨土木遺産(中部)

土木遺産:  まちの文化競争力を培う手掛かり


私たちが生活する場であるまちは,突然出来上がったものではありません. これまでに多くの人々が関わって,計画して建設して出来てきたものです. 今あるまちがそれまでの歴史の積み重ねの上にあることを理解して,深みと 迫力のある文化を育てることが,これからのまちを支える力になります.

まちにはその中で成り立つあらゆる活動を支える基盤がまず必要で,この 基盤をなすモノがインフラストラクチャー(社会基盤施設),あるいは土木施設 と呼ばれます.これまでの歴史の中で,現在のまちの基盤がどのようにして 出来上がって来たのかを知るには,この土木施設が重要な手掛かりになります.

しかし,多くの場合,ある時代の必要(多くの場合,長期的な)に応じて出来た 土木施設は,長い年月の末に,直接の必要性を失って,そのために「不要」とか 「無駄」の烙印が押され,新たなニーズに対応する施設に取り換えるために 消し去られてしまうことがあります. これを短絡的に繰り返すと過去から受け継ぐ 蓄積を失っていき,ある側面で便利ではあっても文化競争力に欠けるまちに なってしまいます.今,過去の基盤を維持しつつ,新たなニーズに対応する術が 求められています.

土木遺産とは,放っておくと失われてしまう過去の基盤としての良質な施設に, 今後のまちに深みを加える新たな価値を見出して, 与える呼び名です.土木遺産は 質の高いまちを形成していくために,必要な資産です.
土木学会では,貴重な土木遺産の重要性を再認識して後世へ引き継ぐため, 土木学会選奨土木遺産を顕彰しています.
http://www.jsce.or.jp/contents/isan/

平成22年度選奨土木遺産 認定書授与式が開催されました!
(平成22年11月17日  名古屋逓信会館)
 新たに3件の施設が選定されました。

六見橋(むつみばし)
  鉄道(高山線)の開通後の昭和6年に鉄橋として掛け替えられた六見橋は,近代温泉街下呂を実質的かつ象徴的に牽引した.

所在地: 岐阜県下呂市森〜少ヶ野
竣工年: 昭和6年

松重閘門(まつしげこうもん)
  松重閘門は堀川と中川運河を連絡する通船路にあり,近代名古屋の産業発展過程を示す重要なランドマークとなっている.

所在地: 名古屋市中川区
竣工年: 昭和7年

清水灯台(しみずとうだい)
  清水灯台は明治45年に点灯した国内最初の鉄筋コンクリート構造灯台.建設要望は一端却下されたが町長の熱意により建設された.

所在地: 静岡市清水区三保
竣工年: 明治45年



 ○授与式の様子
選定委員長の講評 出村委員長から六見橋代表者様への認定書授与 出村委員長から松重閘門代表者様への認定書授与

◆選奨土木遺産を訪ねてみませんか?
 中部支部管内の選奨土木遺産地図付パンフレット(PDF)
 ルート検索にはこちら(Googleマップ)をご利用下さい(位置がずれている可能性もあります)。

◆選奨土木遺産の公募について
 土木学会では選奨土木遺産の公募を行っています。詳しくは土木学会本部の選奨土木遺産ウェブサイトをご覧ください。
 ○公募のご案内  ○応募用紙のダウンロード

◆中部支部の選奨土木遺産
 中部支部管内からは平成21年度までに21件の土木遺産が選奨されています。

木曽川ケレップ水制群(愛知県立田村、明治44年竣工)デ・レーケの木曽三川改修の要である木曽川付替えを可能にした日本最大の水制群 [平成12年登録]

美濃橋(岐阜県美濃市、大正5年竣工)完成当時に最大級で、現在はわが国に現存する最古の吊橋 [平成13年登録]

小牧ダム(富山県庄川町、昭和5年竣工)完成当時東洋一の高さを誇った、アーチ曲面の美しい重力式ダム [平成13年登録]

中島武設計のRCローゼ桁群(長野県、昭和11〜13年竣工)‐大手橋(木曽福島町、昭和11年)、姫川橋親沢橋(小谷村、昭和12年)、昭和橋(坂城町、昭和12年)、栄橋(佐久町、昭和13年)
中島武技師によって造り出され、戦前戦後を通じて長野県下で量産されたRCローゼ桁の中で現存している戦前の5橋 [平成14年登録]

大井川橋(静岡県島田市・金谷町、昭和3年竣工)橋長1026.4m、17径間のトラス橋で、上下部工ともに当初の優れた姿をよく残し、戦前では同形式として最大級の道路橋 [平成15年登録]

鬼ヶ城歩道トンネル(木本隧道)(三重県熊野市、大正14年竣工)鷲地方の煉瓦トンネル群の一つで、よく整えられたデザインの抗門を備えた、大正期最長の道路用煉瓦トンネル [平成15年登録]

甚之助谷砂防堰堤群(石川県白峰村、昭和6〜14年竣工)近代以降荒廃の著しい白山から下流域を守り続ける、日本で最古級の階段式砂防堰堤群 [平成16年登録]

稲生港石積防波堤(愛知県蒲郡市、大正9年竣工)天端に繋船石が並び、地元産の幡豆石で築造された姿が美しい、大正期の石積み防波堤。 [平成17年登録]

安倍川橋(静岡県静岡市、大正12年竣工)ユニークな球形飾りのある橋門を持つなど、優美な姿を今日に残している大正期における最大級のトラス橋。  [平成17年登録]

木曽川・揖斐川導流堤(三重県桑名市、明治23年・明治42年竣工)明治より現在まで木曽川、揖斐川河口部の河道を維持して、水害から地域を守り続ける導流堤。 [平成17年登録]

白川橋(岐阜県加茂郡白川町、大正15年竣工)鋼補剛トラスによる3径間2ヒンジの吊橋で、主塔も鋼トラスからなる。現存する吊橋としては非常に珍しい鋼吊橋。 [平成18年登録]

五厘堤(富山県滑川市、明治29年竣工)のり面勾配を5厘として築かれ、大洪水により一部で壊れて修復されたが、ほとんど築堤当時の姿を残した明治期の石堤防 [平成18年登録]

西天竜幹線水路円筒分水工群(長野県上伊那郡(辰野町、箕輪町、南箕輪村)・伊那市、大正8年〜昭和14年竣工)水田の面積に応じて決められた穴の数から各水路に正確な比率で水を配分するよう工夫された全国最大規模の円筒分水工群 [平成18年登録] 明治用水旧頭首工(愛知県豊田市、明治42年竣工)近代的農業用堰堤の先駆けで、服部長七考案の人造石による大規模な堰堤の現存する唯一の例と云われている。 [平成19年登録] 岩井橋(愛知県名古屋市、大正12年竣工)現存する鋼アーチ桁橋では、日本で2番目の古さを誇っており、側面にはアングル材を巧みに曲線加工した飾り板が施されている。 [平成19年登録]

曽我浦片隧道(4号、5号)(静岡県熱海市、昭和14年竣工)国道135号に造られた片隧道であり、坑口が古典的なアールデコ様式で装飾された珍しい意匠の洞門である。 [平成20年登録] 百々貯木場(愛知県豊田市、大正7年竣工)開設当初の原形をほぼ遺している点においても希有な事例であり、河川中流域に完全な形で残る貯木場としては全国唯一である。 [平成20年登録] (廃)片平橋(長野県塩尻市、昭和10年竣工)奈良井川を渡河しているRC開腹アーチ(リブ+柱)橋であり、現在は廃道になっているが、橋体が非常に美しいアーチ形状である。 [平成20年登録]

七ヶ用水 大水門および給水口(石川県白山市、明治36年竣工)デ・レーケの指導の下で建設された高い石柱を持つ大水門と煉瓦巻きアーチの給水口であり、加賀平野を潤す七ヶ用水の要衝を担う。 [平成21年登録]

北勢線のねじり橋とめがね橋(三重県いなべ市、大正5年竣工)供用中の数少ないコンクリートブロックアーチ橋であり、美しい曲線美を描き当時の技術水準の高さを示す貴重な構造物である。 [平成21年登録]

柳河原発電所 跡曳水路橋(富山県黒部市、昭和2年竣工)RCアーチとして当時最大スパンの橋梁であり、水路を支える柱頂部の連続シャローアーチは当時の技術水準の高さを感じさせる。水路用の上路RCアーチ橋である。[平成21年登録]

◆関連リンク
 日本の近代土木遺産(改訂版)―現存する重要な土木構造物2800選
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