■編集委員会から■


土木学会誌編集方針(2026-2027年度編集委員長,入江 政安)

このたび2026-2027年度の編集委員長を拝命いたしました。堀田前委員長をはじめ、これまで学会誌を支えてこられた皆様の思いを受け継ぎつつ、継続の委員、新たに加わった委員とともに、より魅力ある誌面づくりに取り組んでまいります。

近年、私たちを取り巻く情報環境は大きく変化しています。かつてはあふれる情報から選び取る必要がある「情報過多」の時代でしたが、いまや、求めればAIがおおよそ高い精度で必要な情報を返してくれる一方、自ら尋ねなければ新たな知見に触れる機会が減ってしまう、いわば「取捨選択過多」の時代へと移りつつあります。おそらく、この2年の任期が終わる頃にはAIはさらに凄みを増し、より最適化された情報を容易に提供できるようになっているでしょう。2年後にAIが学会誌を編集していることはないにせよ、AIが土木学会誌と同じボリュームの内容を、会員個人にカスタマイズした状態で毎月情報提供することは造作もないことでしょう。

そのような時代だからこそ、人間がつくる学会誌には、「完全にあなた向けではないが、土木に携わる者が共通して知っておくべき情報を届ける」という役割が一層重要になります。これは学会誌が伝統的に大切にしてきた役割です。社会基盤は常に災害や気候変動といった外力にさらされ、また社会の価値観も絶えず変化します。私たち土木技術者・研究者は、その変化を読み取り、新しい知識を吸収し続ける責務があります。しかし、日々の業務に追われる中で、必要な研鑽を後回しにしたくなることもあるでしょう。そのようなときに、お手元の土木学会誌が、良い意味で手軽に、仕事を見つめ直す機会となり、視野を広げるきっかけとなることを願っています。そして、そのような技術者・研究者が増え、共通理解が深まることで、その塊が築く社会基盤はよりしなやかで強靭なものになるはずです。学会誌は、できるかぎり、そのために「知っていただきたいこと」「考えていただきたいこと」を選び取り、発信していきたいと考えています。

この方針のもと、2026年からの2年間は「土木と時代を伝え、明日へと紡ぎます」をテーマに編集を進めます。インフラの老朽化や自然災害の激甚化により、土木の仕事はこれまで以上に注目され、その重要性への理解も広がっています。この流れを確かなものにするためには、私たち自身が土木の価値を伝えられる技術者・研究者である必要があります。そのため、学会誌では、最新の情報や技術の振り返りと深掘り、新たな視点の提示を行い、そこに前向きな雰囲気を添えて、明日の仕事や未来の社会基盤へとつながる「紡ぐ」誌面づくりを目指します。

学会誌編集委員は本業と並行して活動しています。上記の編集方針にご理解をいただき、現場取材や寄稿をお願いする際には、ぜひご協力を賜れれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会