会長からのメッセージ
持続可能でレジリエントな社会の実現に向けて
本号をもちまして、私からの「会長メッセージ」は最後となります。結びにあたり、会長としての活動の中で特に印象深く、今後の学会活動にも資すると考えられる経験について述べます。
会長プロジェクトとして取り組んだ「カーボンニュートラルでレジリエントな社会づくりプロジェクト」では、多くの方々から知見をご提供いただき、それらを踏まえて議論を重ね、提言を取りまとめました。提言では、土木分野におけるカーボンニュートラル(CN)の取組を俯瞰的・体系的に整理するとともに、「長期」「空間」「エネルギー形態」「レジリエンス強化」という四つの視点の重要性を示しました。さらに、各分野におけるCNの取組を進める上での共通の課題や、基準・規制・制度・運用等の障壁を明らかにし、その改善の方向性を提示しました。今後は、これらの課題・障壁の改善状況を継続的に把握・検証しつつ、必要に応じて関係者への働きかけを粘り強く続けていくことが重要であると考えています。
また、昨年9月に熊本で開催された全国大会では、CNを軸として多様な観点から議論が展開されました。とりわけ印象深かったのは、地域において企業活動の一環としてCNに取り組んでおられる方々の発表でした。そこでは、脱炭素への対応にとどまらず、少子高齢化への対応、地域活性化と雇用の確保、防災といった複数の社会課題に、地域の関係者が連携しながら取り組み、相乗的な成果を生み出している様子が示されました。多様な課題を統合的に捉え、地域の現場から解決への道筋を示す実践の重要性を、改めて強く認識しました。
![]() 写真1 全国大会におけるCNの取組に関する筆者の基調講演(熊本:2025年9月)
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![]() 写真2 ASCEとの協力協定更新文書の署名式 (米国・シアトル:2025年10月)
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![]() 写真3 第10回アジア土木技術国際会議CECAR10)における済州宣言の署名式 (韓国・済州島:2025年10月)
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![]() 写真4 CECAR10における筆者のプレナリー講演(韓国・済州島:2025年10月)
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昨年10月に米国シアトルで開催されたASCE年次大会では、協力協定の更新文書に署名するとともに、ASCE会長らと交流する機会を得ました。シアトルは大手IT企業が集積する都市であり、大学と企業の密接な連携のもと、AIを活用した都市・社会インフラ分野における技術革新とその成果の社会実装が進展していることを実感しました。我が国としても、こうした潮流を的確に捉え、AIを活用した技術開発と社会実装を一層加速していくことが喫緊の課題であると考えています。
昨年10月、韓国・済州島で開催された第10回アジア土木技術国際会議では、アジア土木学協会連合協議会の済州宣言に署名するとともに、プレナリー講演を行い、日本における気候変動に適応した治水対策について、アジアの仲間に向けて発信しました。講演後には多くの質問が寄せられ、日本の政策と取組に対する関心の高さを実感するとともに、日本における知見や実践が海外にはなお十分に伝わっていないことを痛感しました。我が国としても、海外に向けた情報発信をより戦略的かつ積極的に進めていくことが不可欠であると改めて認識しました。
この一年を振り返り、土木学会は、地域に根ざした多様な活動を礎としつつ、社会課題に真正面から向き合う組織として、果たすべき役割がますます大きくなっていると考えています。私自身も、持続可能でレジリエントな社会の実現に向けて、引き続き微力ながら尽力してまいる所存です。
一年間にわたり、誠にありがとうございました。





