2025年5月号 事故災害


令和6年能登半島地震 土木学会会長を団長とする会長特別調査団による報告


[団 長]田中 茂義フェロー会員 第111代土木学会 会長長、大成建設(株)代表取締役会長
[副団長]今村 文彦フェロー会員 土木学会 副会長、東北大学災害科学国際研究所 教授

表1 構成メンバー
団 長田中 茂義(公社)土木学会 会長(大成建設(株))
副団長今村 文彦(公社)土木学会 副会長(東北大学)
団 員家田 仁政策研究大学院大学
大原 美保東京大学
北野 利一名古屋工業大学
小林 俊一金沢大学
酒井 久和法政大学
多々納 裕一京都大学
由比 政年金沢大学
三輪 準二(公社)土木学会 専務理事


2024(令和6)年元日午後4時10分に、3年前から連続地震が生じていた能登半島において、M 7・6の大地震が発生し、石川県羽咋郡はくいぐん志賀町しかまちおよび輪島市で最大震度7を記録した。断層周辺では地殻変動、沿岸の平地では液状化、山間部では土砂崩れが生じた。さらに、建物の倒壊に加えて火災、山間部で河道閉塞へいそく、沿岸へは津波が来襲し、電気、水道などのライフライン被害、道路、橋、港などのインフラ被害が生じていた。いわゆる、被害が連鎖していく複合災害であり、建物の耐震化や防火装置の強化など事前の対応も含めて課題を残した。今回の被災地が半島の先端部の平地が少ない地域であるため、中山間地の集落につながる道路やライフラインなどが寸断され、集落の孤立などが多く発生した。さらに、被災地への迅速な支援が円滑に進まない状況になり、地域の根幹をなすインフラ施設の耐震性についての課題点などが浮き彫りになった。

図1
図1 珠洲市および輪島市を中心とした視察の経路(出典:地理院地図(電子国土Web)に視察箇所、経路を追記して作成)

写真1
写真1 珠洲市宝立町(津波浸水箇所、強震、液状化に津波が複合化して被災したエリア)

土木学会では、発災後1月2日より、交通網の厳しい被害状況などに留意しつつ、必要な調査を実施するとともに、地震工学委員会が速報会、海岸工学委員会が調査報告会を開催してきた。このたび、今後の復旧・復興を適切に進めていくために、田中茂義会長を団長とし、地震工学、地盤工学、海岸工学、津波工学、土木計画学、インフラ学・国土学などの広い関係分野の専門家で構成される「会長特別調査団」を現地に派遣し、発災から約1カ月後の2024年2月5日〜6日にかけて、珠洲すず市および輪島市での被災箇所の調査を行った(図1)。具体的には珠洲市宝立町ほうりゅうまち(津波浸水箇所)および同市真浦町まうらまち(国道249号逢坂トンネル付近の大規模崩落箇所)、輪島市熊野町くまのまち河原田川かわらだがわの河道閉塞箇所)、同市河井町(被災市街地、大規模火災およびビル倒壊現場)である。現場への交通状況も困難を極め時間を要したが、移動の車中でも議論を重ねて所見をまとめていった。この現場調査の後、はせ浩 石川県知事を表敬訪問し、その後、石川県庁内で記者会見を開催した。今回の地震災害の特徴、二次被害の抑制および復旧・復興の迅速化、復旧・復興のあり方、最後に今後に向けた所見について報告した。この内容は学会ウェブサイトに即時に掲載した。

写真2
写真2 珠洲市真浦町(国道249号逢坂トンネル付近の大規模崩落箇所)

写真3
写真3 輪島市熊野町(河原田川の河道閉塞箇所。2007年地震での復旧箇所を含む広域で土砂崩壊が発生)

写真4
写真4
写真4 輪島市河井町 被災市街地(上:広域火災の現場、下:ビル倒壊の状況)

写真5
写真5 バス車内での会議

写真6
写真6 馳浩石川県知事への表敬訪問

写真7
写真7 記者会見で発言する田中茂義会長

写真8
写真8 調査団メンバーと支援をいただいた方々

協力者:国土交通省、北陸地方整備局、石川県、珠洲市、輪島市
謝 辞:本調査にあたり、国土交通省、北陸地方整備局、石川県、珠洲市、輪島市および関係する諸機関にご協力をいただいた。ここに感謝の意を表す。
© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会