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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2011年12月号モニター回答


■ 土木改革に向けて(3)山本 卓朗

山本会長が常に述べられている「市民工学への回帰を」と言う考え方に賛同する一人です。今回の土木改革に向けて(3)は学会の財政について提言されておりますが、小生も長年 学会員として活動に参加し、学会の財政悪化には心配しておりました。学会の財源の基本は会費と考えます。市民工学という観点から市民に役立つ、地域に密着した土木技術を提供することが望まれていると思います。地域の土木技術を支える中心は地域の社会基盤施設を担当する地方自治体の土木技術職員です。学会誌12月号の会員数のデータを見ても地方自治体の会員数が非常に少ないのが目立ちます。地域で実際の現場で活躍している土木技術者の学会入会を促進することも学会の財政改善や活性化の一助になると考えます。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション氏名:比奈地 信雄)

土木学会の財政問題を大変興味深く読んだ。他の学会のことは存じ上げぬが、土木学会の年会費はいかにも高く、会員数の増加は見込めないことから、会費収入に頼らない財政構造への転換は、正しい選択のように思う。また、コストカットについては「貧すれば鈍する」ことにならぬよう取り組むのであろう。土木学会のように伝統のある組織は、ともすると前例踏襲に陥りやすく、それが無駄を生んでいることもあると思う。土木学会誌の今月号を見ても、これは紙面にする必要があるのかと思うページも見受けられる。ゼロベースでの見直しと行う側も元気の出る新しい取組みに期待したい。
(所属:国土交通省 氏名:佃誠太郎)

■ 首都高速道路 大橋ジャンクションの整備 須藤 肇

バウムクーヘン型のジャンクションとして構想当初から注目されていたため,個人的にも現場付近を通る度に進捗を楽しみに拝見している。写真を見ただけでも相当な近接施工で,様々な工夫をされて今日に至っているのであろう。そのあたりについても別の機会に報告いただければと思う。また積極的に緑化も行っているとのことで,環境配慮型の次世代ジャンクションの有り様を描いていると感じる。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■ 第89回  六見橋 出村 嘉史

視覚的に理解しやすいこの記事は,頭や心が重くなる記事が多い学会誌にあって,一時の休息時間を与えてくれる存在だと毎月思う。学会HPを見るとデータベースとして集約されていたので興味深く拝見させていただいたが,もっと観光や地域活性に活用できるのではと感じる。例えばアクセス方法や,地図上でのそれぞれの位置関係などの情報も盛り込まれれば,より価値のあるデータベースに成り得るのではないだろうか。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

■ 第10回 江戸の偉人に挑戦! 水野 雄一、三室 碧人

先端の測量技術が当たり前のように用いられているなかで、あえて江戸時代の測量に挑戦する試みに興味が持てました。江戸時代に比べ、星を見ることが難しくなっているであろう現代においても、測量に果敢に挑戦する試みには共感をもてました。 また、数字がたくさん出ているので、表などにまとめてもらえるとさらにわかりやす いのではと思いました。
(氏名:坂上聡史)

■ 2-1 SATREPSプロジェクト インドネシアにおける地震火山の総合防災策 佐竹 健治

日本と似た地震・火山国であるインドネシアとの共同プロジェクトおよび阪神大震災の教訓を発信する国際協力のあり方に関する内容であった。大規模地震という世界でも実績が少ない事象での国際協力体制は、被災地の現状、防災、結果、教訓等の情報共有およびその体制作りが重要であると思う。今回の東日本大震災においても、各国からの支援の恩返しという位置付けも含め、世界にしっかりした情報発信をすることで貢献し、世界各国の人々が防災意識を強められると良いと思った。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)

■ COLUMN2 清水寺とその周辺地区における歴史的文化遺産の防災対策 酒匂 一成

歴史的文化遺産を、いかに今後の震災から守っていくかは土木技術者として重要な責務だと思った。補強等によって既存の景観を壊したくない気持ちもあるが、近年の様々な環境変化によって、これまで経験のない気象状況や地震が発生する可能性も予想される中、状況を予測し維持を図っていく技術力に期待したい。同時に元々の構造等を熟知している技術者や職人からの技術伝承をしっかりしていくことも保全においては必要不可欠になると思う。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)

過去から現在に至るまで、様々な歴史的建造物等が自然・人的災害や戦災等で損傷・消失してきている。 これら古くからの貴重な「遺産」は、一度ダメージを受けると完全な形での復元が不可能に近いことから、 ダメージを極力減らすための対策の検討が急務であると考える。 このような中、立命館大学で進めている取り組みについて非常に興味深く読ませていただいた。 地震等の災害が地勢上非常に多い日本、また、貴重な文化遺産が数多くある京都ならではの取り組みであり、日本のみならず全世界に存在する様々な文化遺産を保護する観点からも、日本で技術を育て、海外に積極的に発信、展開していくべきである。
(所属:JR東日本 氏名:山田 拓也)

■ 記事3 三度の国難を体験してこれからの土木に望むこと 仁杉 巖

筆者自身が体験された過去の国難における、体験時の状況、それを経験したことにより今後どのようなことをしていくべきだと考えているのかが、ご自身の感想を踏まえて書かれており、文章に重みが感じられ非常に考えさせられる記事であった。文章中には、筆者の考える今後の土木屋に望むものとして、「地学の取得」や「マネジメントの能力を高める」といったことが記述されており、確かに必要なことだと共感するとともに、自分で学ぶべきことを考えていかなくてはならないと感じた。
(所属:首都高速道路 氏名:浅野 靖)

関東大震災、太平洋戦争、そして今回の東日本大震災の国難について、その経験とその中で考えられた内容についての記事で、非常に貴重なお話であるとともに勉強になる内容でした。特に印象に残る内容は、太平洋戦争からの復興について、当時の日本人はがむしゃらに働き、柔軟な適応力と強靭な生命力を持って復興が実現をしたとの記載で、皆が何をすべきなのかということを考え、一致団結して汗水流し築いた土台の上に、今の日本の繁栄があるということを再認識したとともに、では現代にいる自分は何を考え行動すべきなのかということを考えさせられました。今回の震災から、今後土木屋として何を行うべきなのかという提言がありましたが、参考にさせていただきたいと思います。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)

■ 世界一高い自立式電波塔 ─東京スカイツリー®に世界を支える技術をみた?─
企画趣旨 澁谷 容子

学生の皆様が建設技術に目を向けることができた点で、東京スカイツリーは、よかったと思います。いままで、その時代のエッポック的には、黒四ダム、青函トンネル等、国家的なプロジェクトで土木の技術に目を向けることが多かったと思います。昨今、大きなプロジェクトは減少し、土木に環境の考え方が入ってきていますが、所詮は、技術的には脇役です。時代はまた、大道を見据え、何が今の時代に必要かを、求めて来ると伴に、今後、何十年の先を見据えて、何が必要かを、考える時代になっています。土木技術の本質を見失しないようにお願いします。
(氏名:金原義夫)

■ Part1 東京スカイツリー®基礎部分 澤村 康生

東京スカイツリーを初めて見たときに,自立式電波塔としての世界一の高さに驚くとともに,その構造のスリムさに目を惹かれたことを覚えている。東京タワーとの塔状比の比較でもその違いは明らかだ。高層建築物で特に気になるのが風荷重への対策であるが,今回の記事でその基礎部分の構造がよくわかった。厳しい制約条件の中で,本構造を東京スカイツリーの基礎へ適用させた努力および苦労は並大抵のものではないと思うが,その意義は大きいと思う。今後も,チャレンジングな課題にも積極的に取組み,日本の土木技術をさらに高めていってほしいと感じた。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)

■ Part3 東京スカイツリー®に未知の領域をみた人たち 辻本 剛士

高さ634mの東京スカイツリー。3.11の地震の際も「大きな揺れを感じたのでひやりとしましたが、解析結果が頭に入っていたので、「タワーは大丈夫だ!」と確信していました。」というしっかりとした根拠があるからこそ言えるセリフに技術者として大切なことを教えていただいたと思う。また、実際に地震後の傾斜計の値が「0」という結果に素晴らしいし計画、設計、施工力の集結だということを改めて知ることができた。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:飯島雄一)

東京スカイツリーと言う今注目されている構造物について、技術者の視点から見たこの記事は新鮮であった。スカイツリーは、主塔部分に注目が行き、それを造り上げた技術面には目があまり届いていないこともあり、こういった過程の部分に目を向けるべきであると考えていたからだ。本記事では、634mに達した時の達成感、その1週間前に経験した東日本大震災時において大きな揺れにおいても構造物を信頼し、冷静に対応していたこと、まだ主塔の面影もない基礎工事の時からの記録がまとまっており最後には、技術者としてのものつくりの面白さについて語られており、インパクトのある記事と感じた。こういったやりがいや現場の本音が書かれた特集が増え、土木に携わる方以外にも以外の土木って おもしろそう!と感じる記事が増えて欲しいと願っている。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)

■ COLUMN3 東京スカイツリー®のあるまち 山崎 康予

着々と建設が進むスカイツリー。開業がとても待ち遠しいです。でも、展望台はしばらくは混むでしょうから、落ち着いた頃に上りたいと思っています。その代わり、記事で紹介されているような、地上からのスカイツリーの景色を楽しみたいと思っています。建設時、色々なところからの撮影スポットが話題を呼びましたが、時間が経った今、もっと通な撮影スポットがあるはずです。そんなポイントを見つけて楽しむ、もしかしたら一生楽しめるかもしれません。
(所属:日特建設株式会社 氏名:田中 尚)

■ 青頭巾 阪田 憲次

利便性の追求により科学技術は進歩してきた。しかし、その裏にある様々な負の側面を見逃してはいないか。改めて考えさせられた。雨月物語の「青頭巾」を引用した湯川秀 樹氏の「科学の本質と人間の将来へのいやな連想」について、阪田先生があらためて問 題を提起されている。人がこの星とともにあり続ける。その将来のために、我々は本質 を考えなければならない。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)

■ 部門報告 東日本大震災アーカイブサイトを開設 情報資料部門

これからの復興、将来の災害対策に向けた技術開発のための大変貴重な資料の集積場となるサイトである。これに関連して、土木学会のデジタルアーカイブサイトでは、過去の震災における報告書等が広く公開されており、たとえば関東大震災当時の写真も見ることができる。会員外でも見ることが可能なものがほとんどであるので、学会活動と合わせて、もっと一般に広くPRしても良いのではないか。
(所属:(財)阪神高速道路管理技術センター 氏名:志村 敦)

■ 会員の声 「東京土木夕暮サロン」を楽しむ 

学会誌を毎年読んでいて、こういうユニークな企画があることを知りませんでした。何か楽しそうなので、若くはありませんが、今後時間があれば参加したと思います。声の中に書かれていましたが、土木は総合工学で、今までの既設の枠を基本に積み上げていく技術でもあります。何でも吸収する心構えが必要と思います。声の意見に賛同します。
(氏名:金原義夫)

■ その他・意見等

2011年の学会誌モニターとして、一年を通して土木学会誌をほぼ全文を読みました。大変勉強になり、また刺激を受けました。貴重な機会を与えていただき、ありがとうございました。2011年は、東日本大震災、新潟・福島豪雨、台風12号、台風15号など、非常に大きな災害がいくつもありました。社会基盤整備に関わるものの一人として、心を新たにした年となりました。情報を文章や写真などに残すことの大事さを痛感しております。編集委員のみなさま、執筆やインタビュー等多くの情報提供をしてくださったみなさまに、改めて感謝いたします。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)


© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会