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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2011年4月号モニター回答


■ 大規模太陽光発電所「メガソーラーいいだ」営業運転開始 長谷川 考志

これだけ多くの太陽光パネルが並んでいる写真を見て、圧倒されました。安定した電力供給のため、同時に為されるべき環境負荷低減のためにも、再生可能エネルギーが今後ますます重要になると思っています。日本という限られた国土の中で、スペース・空間をうまく利活用して、今後全国規模に拡大していってもらいたいと思います。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

原発の安全性が問われている今,太陽光などの再生可能なエネルギーを利用した発電は今後もさらに注目されていくと考えられる。しかしながら,初期投資のコストが高く,環境条件の影響が大きい,などの課題がある。実質,再生エネルギーによる発電量は電力会社の全発電量の数%程度に留まっている。今後,さらなる普及のためにコスト面や発電効率の問題が解決されることを期待したい。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)

■ 第77 回(独)国立美術館 国立西洋美術館 館長 東京大学 名誉教授 青柳 正規さんに伺いました

「文明は繁栄の理由が重石になり衰退する」とは、非常に示唆に富んだ言葉であると思う。ある時期に正しいとされた概念が、明確ではないある時を境に不利な条件に変わっていく。この記事にある、「個人の幸せ度をどれだけ高めていけるか」を追求することは、現代社会においては当たり前のような概念であるが、これにしても、国家との関係性・バランス、さらには国家間のエゴイズムなども冷静に捉えていくことで、安定社会の実現を目指すことができる。理想を保持しつつ、現実に向き合うことはなかなか難しいことであるが、常に気持ちの中に持っておかなくてはならないことだと思う。
(所属:西松建設 氏名:蔭山武志)

ローマ文化を通して、文明の隆昌と衰退を分かりやすく解説いただき、非常に勉強になりました。ローマ帝国のような無秩序な拡大は自壊の原因になる。我々はまだまだ国内の質的な向上の可能性に目を向け、豊かな国を目指していくべきであり、そのために土木人の為せることを考えていきたいと思います。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)

青柳正規さんの文明の繁栄から滅亡に至るメカニズムについて、非常に興味深く読ませていただいた。 文明の繁栄に至った「武器」が逆に衰退期には「足かせ」になるということ、メンタルな捉え方によって衰退の加減速、維持や更なる向上も期待できるという話は我々にも大いに当てはまる。土木分野についても維持更新業務が大きなウエイトを占める等、以前に対し取り巻く環境が大きく変化している。このような中、メンタルな捉え方を通じて積極的に様々な改善を図り、変化に的確に対応することにより、 更なる発展を目指していくことが重要である。
(所属:JR東日本 氏名:山田 拓也)

■ 第81回 明治橋 コンクリート技術の模索と挑戦 真田 純子

現在ある基準や仕様書がない状態であり、かつ現在では当たり前のように使用される材料もない状況で、「明治橋」が完成し今現在でもすばらしい姿を披露しているのには、設計・施工に携った技術者の完工させるんだという強い執念のがあったのではないかと思い、感銘を受けた。また、「明治橋」が完成してからまだ100年も経っていない間に、現在の基準・仕様書・材料・新技術が確立されてきたと考えると土木技術の発展は目覚しいものがあると感じた。今後の更なる技術発展に期待している。
(所属:首都高速道路 氏名:浅野 靖)

■ 第3回 治水の達人に迫る! 石村 陽介、松尾 幸二郎

伝統技術や発想には学ぶべきことが多くあると書かれていますが, 全くそのとおりだと感じています.最近の構造物でも東京スカイツリーで用いられた心柱による制震技術は,千年以上も前に建造された五重塔で使われた技術ということはよく知られています.海外の太古の文明の遺跡においても高度な土木技術が用いられていることがわかっていますが,未解明な点も多いと聞いています.長い年月を耐えている構造物を調べることにより必ず多くの知見が得られます.先進的な技術の視点から,伝統的な構造物を見ることはとても重要と思います.
(所属:五洋建設株式会社 氏名:原 基久)

■ 企画趣旨 辻井 正人

土木構造物のリニューアルが話題になっているこの時期に「3R」を取り上げたのは時機を得ていると思う。「3R」の特集として「リユース」については色々な事例が掲載されており興味深く読ませて頂いた。しかし「リデュース」についてはほとんど記事がなく物足りなかった。又「リサイクル」と「リユース」との違いが明確ではなく、読者としては非常に戸惑った。「3R」を取り上げるのであれば最初の記事「この10年の循環社会形成に向けた歩み」等で「リサイクル」と「リユース」との違いを明確に述べると良かったと思う。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション 氏名:比奈地 信雄)

建設工事で発生する副産物のリサイクルという所謂、建設業の内での循環サイクル形成にとどまることなく、他産業副産物の利用技術の開発・検討や、建設リサイクル取り組みに関する広報活動の実施等、幅広い活動が行われている事を知り、循環型社会形成における土木の役割の大きさを感じた。特集の結びにあるように、3Rにおいて土木が「産業界同士をつなぐ要を担っている」という認識を持つと共に、土木の現場に携わる者として、新たにリサイクルできるものはないか、廃材の中に有効活用出来るものはないか、ゴミを減らす工夫はないか等考えていきたいと思う。
(所属:(株)大林組 氏名:住永哲史)

■ COLUMN1 土砂バンクの取組み 高橋 丞二

河道掘削や浚渫工事を計画する場合、いつも大きな問題となるのは、掘削残土の処理であり、残土受入先の確保である。コラム1に紹介されている”土砂バンク”は、土工工事の課題である土砂の地産地消に向けた解決策になりうると思います。今後は、事業先が中心となり、より広い地域で行えば、より有効な取組みになると考えます。しかしながら、基本は、地域から出たものは地域で消化するという考え方です。安易に、他地域に押し付けないことが重要です。原発と同じです。
(氏名:金原義夫)

工事に伴う土砂バンク取組みにとても共感を持てた。確かに地下工事等では、相当なお金を出して土砂処分し、構造物構築後に流動処理土等で埋戻しを行っていることがほとんどである。土砂バンクのサイクル・管理が確立できれば、リサイクル面でかなり有効である。以前、私が担当していた工事現場においても、周辺の工事への掘削土の埋戻し転用という考えもあったが、工程等の調整から実現には至らなかった。都心部においては、土砂の仮置き場所の確保等で課題も多い。地方公共団体を中心とし、地域全体で土砂バンクサイクルを活用して無駄のない管理・効率的活用ができるとよいと感じた。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)

建設現場から発生する発生土は、運搬距離の減少等による環境面、コスト面で良い事尽くめであるが、都市部においてはストックヤード不足と残土発生・利用に対する情報の共有が図れてないこともあり、良くて単独自治体内の他担当への融通のみとなっているのが残念である。このような取組みは今後より一層広がっていくことを願いたい。
(所属:中野区役所 氏名:諸井 敬嘉)

■ 記事2 解体の世界 出野 政雄

モノを造ることばかりが注目されてきた土木の世界で、3Rに絡んで「解体」をテーマに取り上げたことをまず評価したい。実際に現場では既設物の解体撤去などで施工時に悩まされることも多く、また都市部では周辺環境への影響も大きいことから、もっと多様な技術の発展が望まれる分野だと思う。
(氏名:宅間 朗)

地球環境保全は個人的にも日々意識し、生活を送っている。循環型社会の形成に向けて、業務上も意識しながら取り組んでいるつもりであるが、系統だった知識というのはそれほど持ち得ていなかった。今回の特集は、そういった意味で個人的に非常に勉強になった。特に『解体の世界』を読み、成り立ちや業界の状況はこれまで知らずに過ごしてきており、今後の良質な社会資本の形成・維持にとって、産・官・学の連携が非常に重要な課題であることを改めて認識させられた。
(所属:阪神高速道路(株) 氏名:時 譲太)

■ 5-1 鉄鋼スラグによる海域環境改善技術 中川 雅夫

廃棄物としての鉄鋼スラグをリサイクルとして、失われつつある海洋環境の改善に利用することは、まさに循環型社会の目指す姿であると思う。建設副産物である浚渫土と産業副産物である転炉系製鋼スラグという、どちらも廃棄物として分類される材料が混ぜ合わさることで、水質の浄化や軟弱な浚渫土の強度増加など新たな材料としてカルシア改質土に生まれ変わるとある。実用化されれば非常に有効な技術となるだろう。 廃棄物を量産する欧米型の経済社会から脱却し、持続可能な循環型社会の建設は地球環境を考える上では急務な課題であると思う。このような技術がいち早く実用化されることを期待しながら記事を読ませていただいた。
(所属:東洋建設株式会社 氏名:山崎 圭)

■ 5-2 廃タイヤによる耐震補強 ハザリカ ヘマンタ

廃棄物を代替品として使用するのではなく、新たな価値を持つものとして有効に活用して、新しい構造物とするアイディアに大変興味深く記事を読みました。今後も廃棄物を利用した斬新な技術の登場に期待したいと思います。ただ、タイヤがゴムでできているため、経年劣化によって徐々に性能が低下するのではないかという疑問を持ちました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:玉本 学也)

■ 記事6 建設リサイクル取組みの市民への広報活動 新妻 弘章

社会におけるリサイクルへの関心や分別ルールが厳しくなってきた昨今、TVCMでもリサイクルに関して取り上げられるようになった。建設廃棄物で課題となっている不法投棄の量や件数を減らすために、建設廃棄物の適正処理について一般家庭でも身近に感じられるような啓発活動を実施し、さらには一般家庭で解体業者への証明を取ることでエコポイントが得られるよう、会社(受注・発注双方)においても社会環境への貢献アピールに繋がるような両面の仕組みを作っていくことも必要ではないかと思う。さらに、日本での取組実績を海外へ目を向け、問題意識が地球レベルで考えられるようになれば理想である。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)

■  第3回 新幹線の輸送量と位置づけ 大内 雅博

新幹線計画の目的は当初、輸送力増強であったとのことで、新幹線と言えば、まずそのスピードが頭に浮かぶだけに意外でしたが、たしかにあれだけの運行本数・頻度を維持していることを考えていると新幹線の輸送量のすごさに思い当たりました。ただ、2009年度の東海道新幹線の輸送密度が20万人/日を超えている一方で、九州新幹線は8千人弱であり、一口に新幹線と言っても、新幹線によって利用のされ方には相当の違いがあるようです。新幹線、これまでの投資成果、その必要性や果たしている役割を否定する人はほとんどいないと思いますが、今後は、公共交通としての国土の発展にどこまで貢献するか、また、リニアモーターカー計画や他の交通機関との役割をどう分担していくかなど投資計画の考え方がますます大事になってくる時代になってくるのかなと思います。
(所属:首都高速道路 氏名:飯島雄一)

子供の頃は新幹線を見るだけでワクワクしていましたが、改めて今回のようにデータで見る新幹線もとても面白いです。輸送密度では東海道がダントツであるものの、定期利用の比重は東北や上越も高かったり、絶妙なバランスで列車本数や混雑度がコントロールされていたり、データにより改めて各新幹線の位置づけが浮き彫りになってくるのだと分かりました。東京から所要時間4時間までが航空機よりシェアが高くなるというデータが示されている新幹線に、昨今の東北新幹線の新青森までの延伸や九州新幹線の開業などの効果がどこまで輸送密度などのデータに更新されるのかといった視点でも、新幹線の整備の在り方や位置づけを追求していくことが必要なんだと認識しました。
(所属:株式会社福山コンサルタント 氏名:金子俊之)

新幹線の建設を行っている身でありながら、各新幹線の輸送量などについて比較をしてみたことは無かったため、大変参考になりました。輸送量の差は容易に想像ができましたが、通勤客では意外と差が無かったり、九州新幹線は需要に対して多めの本数(車両数)を設定していたりすることなどは興味深いと思いました。昨年度は東北、九州(鹿児島ルート)の各新幹線が全線開業したので、今後の輸送量の増加、航空とのシェアの推移に注目をしていきたいと思います。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:玉本 学也)

■ 電気自動車(EV)普及が拡げる道路インフラの可能性への期待 西川 和廣

EVに対しては航続距離が短く馬力も小さいため、まだまだ実用性が低く将来の話である認識がありました。しかし本論説より、新技術として走行しながらにして充電ができる「非接触給電」は高効率化されている方式もあり、道路インフラ整備を行うことで、安定した給電が可能であることには驚かされました。高速道路であれば既に土地はあるため実現可能であることが言えます。環境や低燃費が重視され、道路に出ると必ずと言ってハイブリット車を見かけるようになった現状を考えると、インフラ整備によってEVが急速に普及することが容易に想定できます。環境を中心に考ええた今後の交通施策を考えますと、土木技術者として非常に注目する内容であると思います。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)

■ 工学としての途上国開発 大島 義信、福林 良典

途上国の規格・基準について、大いに考えさせられました。旧宗主国の規格が残っていたり、先進国が援助とうたいながら、経済活動を有利に運ぶために自国の基準を押し付けていたりという現実に。規格・基準は、それぞれの国や地域の資源、文化、風土、環境などと密接に関係して成り立ってきていると思いますし、インフラは途上国それぞれのみなさんが自力で維持管理を行っていかなければならないのですから、ローテクでもいいし、地域に根ざしたものであっていいと思いました。皆さんのご活躍をお祈り申し上げます。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)

途上国の発展に資するという土木の原点に帰る内容の話で、大変興味深く読むことができた。特に、末尾にある「(この)活動が、土木工学の進むべき一つの方向性を示す」という言葉に強く共感を覚えた。
(氏名:宅間 朗)

途上国において土木工学の新たな展開を目指すということは、非常に有意義な活動であると思う。理由としては、途上国の人々にとっても、研究のために途上国にて新たな展開を目指すわが国の人々にとっても得るものが十分にあると思われるからである。特に、自国の規格・基準を途上国に導入して制定するという点については、非常に戦略的であり、重要なことである。このような活動をより積極的に行い、日本が国際社会でイニシアチブを取るようになることで今後の日本へと繋がっていくと考えられる。また、それは強いては途上国のさらなる開発にも繋がり、双方にとって、非常に意味のある活動となる。
(所属:日本水工設計(株) 氏名:森脇隆一)

途上国の事例では、現地の技術水準に合わせたものを提供することが重要だと感じました。また、先進国では国が定めた様々な指針や規格があり、それに基づいて設計がされますが、途上国では未だに宗主国の影響が残っているなど新たな問題に気付かされました。
(氏名:坂上聡史)

■ 再び注目を集める「超薄型ジャッキ(フラットジャッキ)工法」 今井 義明、中村 雅之

フラットジャッキについては、これまでもカタログなどで見たことはありましたが、こんなにも長い歴史があり多くの適用事例があることは、今回の記事を通して初めて知りました。そして何より、あのフレシネー博士が発明したとの話には、「この技術もそうなのか」と感嘆させられました。優れたハード技術を保有することで、長く社会に貢献し、ビジネスも成立させる。技術者、及び建設会社の一つの理想形がそこにあるように感じました。
(所属:鹿島建設 氏名:嵩 直人)

■ 土木は言葉の力から 大内 雅博

土木学会誌の役割は、1つは、土木の今後の”進むべき道”を示すこと、もう1つは、学会員への”情報の伝達”と考えています。
土木の今後の”進むべき道”には、過去の実績との繋がりの今日・明日という尺度、今後のトレンドの2〜3年後という尺度、進むべき方針の10〜20年後という尺度、最後には、夢という尺度があり、各々の段階において、人々の価値観、土木の考え方、事業の進め方、技術開発や設計・施工技術の方向性等について”道”を示す必要があると思います。このように段階的に考えれば、”進むべき道”も見えてきますし、未来への繋がりも確実に認識できるようになり、”想定外”のことなど起こるはずがなく、危機管理への備えも十分になります。
もう1つの学会員への”情報の伝達”は、今はメール等でもできますが、ある期間にある情報をとりまとめて示すことは、意義があると思います。厳しい財政の中、より充実した学会誌をお願いいたします。
(氏名:金原義夫)

土木学会誌の予算が減っているとのことである。その内訳は会員一人当たり毎月270円、うち送本代90円ということであるが、学会誌の電子メールによる配布もしくはホームページへのアップロードを検討してみてはどうだろうか。昨今は預金通帳やクレジットカードの明細でもメールでの通知、ホームページでの確認のみという事例も見られ、電子化に対する会員の抵抗感も下がっているのではないか。学会誌のモニターを始めて4か月目に入るが、作業が多い割に学会誌の送付を受けてから文章の提出までの期間が短いこともあり、印刷原稿が固まった段階で送付してもらえると時間的余裕を以て対応することができる。
(所属:国土交通省 氏名:佃誠太郎)

土木学会誌も以前に比べると紙面も大変読みやすく、また「新幹線を知る」等、個人的に興味深い記事もあって楽しく拝読させて頂いている(モニターであるため隅々まで目を通す必要があることはさておいて・・・)。一方で編集委員の方々も本来業務を抱えた中で編集作業に従事されているため、大変なご苦労があろうと思う。予算等の都合でページの制約もあるが、学会のホームページも充実している今、たとえば行事案内等はWEB配信のみとし、「紙」で伝えるものを厳選して掲載することも一考かと思うが、いかがであろうか?
(所属:阪神高速道路(株) 氏名:志村 敦)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会