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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2010年11月号モニター回答


■ いま国際戦略の確立が望まれている 古田 均

土木学会全体としての国際戦略を確立しようという動きは当然の流れだと思います。戦略の具体的な中身についてここでは触れられていませんが、個人的には、土木学会全体 の国際社会でのプレゼンスを高めることも必要ですが、日本人エンジニア一人ひとりが国際社会で活躍できるような基盤を作っていただきたいと思います。国際会議や委員会に多数の日本人が参加して日本のプレゼンスを高めるやり方ではなく、日本人エンジニアが一人しか参加しなくても、その人の存在や発言が国際社会で認められるような質の高い国際的なエンジニアの育成が重要なのではないかと思います。
(所属:前田建設工業 氏名:奥田文)

■ ボス・ジョーの引退 阪田 憲次

望ましいリーダーとは?力強い人,ぶれない人,しっかり主張できる人などがすぐに思い浮かぶ.しかし,それらを裏側からみれば,強引で頑固で自己中心的な人ということになる.果たしてそのような人物をリーダーと呼べるか否か.その点,チンパンジー社会では,腕力,度量,人気によってリーダーが自然に決まるようであり,わかりやすく,ある種の清々しささえ感じさせる.しかし,一度複雑になった世界を単純だった頃に戻すことはできない.我々一人ひとりが主人公となってこれからの社会のあり方について懸命に考える.そこから,これまでとは違った指標に基づく新しいリーダー像が浮かび上がるように思う.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■ 土木学会指定 近代土木遺産「余部橋りょう」架替えが完了 金子 雅

幼少の頃、毎年夏休みに田舎に行く際に余部鉄橋を渡って行ったことを思い出しました。当時は、車窓から眼下に広がる街の様子を眺め、その景色の素晴らしさを覚えております。写真では、旧橋と新橋が一緒に写っておりますが、まさに、約100年という時間における土木技術の発展を表現している新橋と、100年の間その役割を果たした構造物のバトンタッチの瞬間だと思いました。また同じ光景が見られるのは何年後になるか分かりませんが、いつかは必ず訪れる瞬間だと改めて感じました。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

日本を代表する鉄道橋と言っても過言ではない鉄橋が姿を消すと聞き、従前の橋梁が供用されていた時に現地を訪れていた。餘部駅の脇や橋梁下、香住海岸から見方を変えて飽きずに見た景色は未だに忘れることができない。旧橋梁の一部が現地に保存されるのも、地域のシンボルとして長く親しまれたからこそであろう。塩害・強風等厳しい環境の中で、長年に渡り供用された技術を提供されたその技術者に敬意を表したい。新橋梁についても地域交通の重要な要として様々な技術が用いられ築造されたこともあり、注目していきたいと考えている。
(所属:戸田市 氏名:諸井 敬嘉)

■ 第72回  東日本旅客鉄道(株) 執行役員 建設工事部 担当部長 構造技術センター 所長石橋 忠良さんに伺いました[聞き手]武居 秀訓

コンピュータに任せきりでは設計はできない.以前読んだE.S.ファーガソンの「技術屋の心眼」を思い出した.本書では「計算結果に立ち向かえる技術者を養成することの大切さ」が訴えられている.計算屋ではなく技術屋を育てるためには,細分化された業務を再び統合する努力が払われなければならない.現行の教育現場はもちろん,役所や企業内の組織の見直しも必要となろう.解決には多大な時間と労力が必要と思われるが,前提条件として,そもそも技術者の地位向上を図りたい.不可能を可能にするのはいつの時代でも技術革新である.これを支える技術者に尊敬と羨望の眼差しが注がれる社会は,極めて健全であると考える.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

技術やエンジニアが評価される時代に、という内容に共鳴しました。技術者は、ややもすれば、単なるスペシャリストにとどまってしまい、企業の利益追求に対しては十分に寄与出来ないという考え方が、一部にあると思います。筆者の言われるように、技術で利益を上げる仕組みを構築していくことが、技術やエンジニアが評価され、併せて土木学会や技術士会などの各種学会の活性化のためにも、必要不可欠だと思います。
(所属:清田軌道工業株式会社 氏名:原 繁男)

深い経験に裏づけされたご意見を興味深く拝読させていただきました。「技術開発は結果を求めなければならない」、「設計で大事なのは構造形式の決定とディテールへの配慮である」、「研究と実務の分業が進みすぎている」、「同じ技術開発を後追いでやるのは無駄」といった明快なご意見に共感するとともに、自身の業務遂行にあたり常に心がけねばならないことだなと思いました。エンジニア、エンジニアがもつ技術というものが十分な評価を受けにくい社会であるように私も感じるときがあります。我々業界の人間一人一人が、技術への敬意をもつことが重要であると感じています。
(所属:日本工営株式会社 氏名:野末 康博)

我が国の建設業界は、技術力があると言われてきた。しかし、特定の企業が他社を差別化できるような特徴ある技術を持っているというわけではなく、いわゆる「ゼネラル」コントラクターとしての実績によるものが大きい。国内においては依然として厳しい価格競争が続く中、これからは差別化できる技術がなければ生き残りは難しいと思われる。海外展開においても、コスト面で割高の日本企業は、技術を売りにしなければならない。ただ、技術力は結局は人に帰着する。石橋さんは分業化の進展による問題を指摘されていたが、最近は施工を知らないで設計するケース、またその逆のケースも多く見受けられる。本当の技術力は、人をどう育てどう評価するかではないだろうか。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

■ 特集1−1 地震動予測の現状 澤田 純男、後藤 浩之

ハザードマップは、見方に注意が必要で、シナリオを理解せずマップから想定被害を判断してはいけないことが良くわかった。既存の結果から、ある地域の地震被害を想定するには、様々な主体・機関で出された予測結果をできるだけ多く収集し、それぞれのシナリオを確認した上で、一番合致したものを採用するようにしていきたい。
(所属:運輸政策研究所 氏名:梶谷俊夫)

地震に関しては,ここ数年,東南海・南海・東海・関東と何時大地震が発生してもおかしくない状況とのマスコミ報道が続いています。最近では,大地震発生時のシュミレーションをした番組までもドキュメンタリー形式で放映されている状況です。そういった中,本報告に掲載された最新の震度分布データを見る限り,日本国は,如何に地震が多い国である事がはっきりわかります。『備えあれば憂いなし』と申しますが,一刻も早く,対策・対応を一人一人が考えて実行すべき時期に来ていると改めて感じました。また,今回の特集については,非常に興味深い内容が詳しく掲載されていて,じっくりと拝読させていただきました。有り難うございます。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中 一幸)

■ 特集1−2 気象庁の地震予知と緊急地震速報 内藤 宏人

地震動の予測メカニズムをよく理解することができた。「マグニチュード8クラスの巨大地震である東海地震は、いつ発生してもおかしくない段階だが、予知はできるとは限らない」とのことだ。この東海地震で東海道の高速道路及び鉄道が壊滅し、東京・名古屋・大阪の間が寸断されるだろう。そうなれば、日本全体の経済・社会への打撃は甚大である。道路及び鉄道の破壊度と復旧に要するコスト・期間を予測することが、まず必要だと思う。
(所属:東日本高速道路   氏名:伊勢田敏)

つい先日,小職の携帯が緊急地震速報を感知しました。と申しましても,平日の就業時間中で偶々デスクに居合わせたところ,小職以外の携帯も一斉に鳴り出した状況です。その光景を見て情報提供能力の進歩を目の当たりにしました。今や携帯電話は,一人1台,いや2台持っている人もいますね。そういった中でも,予知・予測の大切さを身にしみて感じました。本報告やJRの対策等,出来うる対応は実施し,後は,各人が自覚を持った行動を取ることが大切であると思っています。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中 一幸)

■ 特集2 ミクロな地震動の予測とその活用 堀 宗朗

門外漢であるので非常に僭越ではあるが、率直な感想を述べさせていただきたい。原子力発電の例を挙げミクロな地震動の予測を整理すると書かれているが、 一体どういう設計で、どういった効果を得たのか具体的な記述が見当たらない。世界で耐震設計の優秀さが認識されたと書かれているが、主題はそうではないはずだ。他にも、技術は高いレベルとか、評価記述が目につく。しかし、どういった理由で評価が得られたのか、全般的により具体的な内容を示す部分が少なく、これでは、ミクロな地震動の予測がどういった評価を得ているかの報告的記事であるとの印象を拭い去れない。
(氏名:横田 美行)

■ 特集3 JR東日本における地震対策の取組み 下山 貴史

地震の巣窟とも言われる日本において、土木構造物とその地震対策とは切っても切り離せない重要なものである。特に鉄道構造物においてはその重要性、公共性および一度、構造物にダメージが生じた際の被害の大きさから耐震性能あるいは対策を重点的に行ってきている。
また、そうしたハード対策だけでなく、P波検知により早期に地震を検知して列車を停止させるシステムの導入などソフト面の対策も積極的に行っている。
しかし、これらの地震対策は膨大な量になるとともに、時間、費用も要することから、どの対策が有効であるかを検討し何を優先して行うかを判断することが、いつ来るともしれない地震に備える上で、土木技術者にとっての重要な役割である。
(所属:東日本旅客鉄道(株) 氏名:伊東寛)

■ 特集4 地震に備えるために 目黒 公郎

災害時のイメージを持つという事は防災対策としてある程度は有効だと思う。災害は忘れた頃にやってくるとよく言われるが、災害が発生する可能性を忘れずに普段から備えておけば、ある程度の被害は抑えられるものだと思う。これは、個人的な対策から、国レベルが行う大きな対策にも当然あてはまるだろう。阪神淡路大震災において、自宅が全壊となり、私自身が他人に助けてもらうまで身動きがとれなかった。このような場合、やるべき事は殆ど決まっている。とりあえず、瓦礫から脱出して家族を捜して、一緒に避難所に行く。新たな住居が得られるまでそこで生活をすることになる。筆者の述べるような、かなり具体的な災害イメージを持ち、事後の行動パターンを決めておくという方法は被災のレベルが低い場合には有効だと考えられるが、阪神大震災レベルの被災にあたってはその効果にはやや疑問が残る。
(所属:東洋建設(株) 氏名:澤田豊)

地震による災害防止に関する対策は色々提案されている。しかし市民の視点から見ると具体的にどのような対策が効果的かいまひとつ判らないのが実情であった。小生も地域の防災活動に参加し、住民の対処すべき事項を模索していた。基本的には個々の住民がどの様に対処するか自覚する事が大切であると考えていた。この目黒先生の災害への対処方法は我が意を得たりという提案であった。「一般市民が災害状況を適切にイメージできる能力の欠如が最適な対策を阻んでいる」という下りはまったく同感である。ただ「目黒メソッド」にしても「目黒巻」にしても一般市民には少し難しいかなというのが率直な感想である。普及方法を検討して利用したいと考えている。
(所属:NPO法人ITステーション「市民と建設」 氏名:比奈地 信雄)

地震への備えに目黒メソッドや目黒巻というものがあるというのを初めて知った。地震の予知は非現実的で研究に当らないとする国もあると聞いたことがある。日本のような地震国ではそのような立場は取れないと思うがやはり予知は難しい。そうなると、地震が来たときの対応を考えておくことが重要だ。目黒メソッドを適用して日ごろから防災意識の向上を図ることが必要だと感じた。
(氏名:高橋麻理)

地震の報道がある度に、何とか被害を最小にする手だてはなかったのかと、いつも考えさせられていた。そこに、今回の記事があり、何が大きな問題になっているのかがよく理解でき、非常に参考になった。勿論、耐震設計や事前に備えておくことは非常に大事ではあるが、現実として、所詮、後追い処理であることを痛切に感じた。それを踏まえた上で、防災対策について論じられている「現状に対する理解力」と「各時点において適切なアクションをとるための判断力と対応力」は、あらゆる災害対策について、否、日常的な場面においても問題が起こった時に対して必要とされる能力ではないか、と思った。図示された災害のメカニズムも、当てはまるように思う。予め提供されている情報を有効活用するための、人々の自覚を促すような施設や教育もまた必要ではないかと思う。
(氏名:横田 美行)

「いつ起こるかわからないから地震は怖い。」は誰しもが思うことである。しかしながら、多くの人は、多忙な日常生活では地震のことなど常に意識して生活はしていないし、所詮地震は「他人事」と思って生活していることが多い。地震大国、日本で生活していく以上は、地震の発生のリスクは避けられない状況である。一人ひとりが地震をどのようにマネジメントできるかが大切であり、著者の言うように、自分の周辺で起こる災害状況を具体的イメージできる人とできない人では大きな違いかもしれない。「そなえよつねに」の意識が大切ではあるが、掛け声だけではダメで実践できてこそ初めて防災対策となることを考えさせられた。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:山崎 功一朗)


■ 第8回 利根運河 山崎 廉予

この記事を読み、学生時代の夏休みの課題で身近にあった利根運河について調べたことを思い出しました。当時は、インターネットも上手く使いこなせず、情報を得るために運河駅の近くの江戸川河川事務所に押しかけ、パンフレット等の資料を貰ったことを覚えております。(当時の職員の方申し訳ございませんでした。)調べていくうちに、オランダ人の土木技術者を呼んで、重機も無い時代にこれだけの構造物をつくれるのかと感動したのを覚えております。今私が土木の仕事に就いているのも、土木には語りきれないロマンがあるからだと思っております。学生の皆さんも、身近なところから土木の歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

利根運河は私が育った街のすぐ隣にあり、子供の頃は魚釣りや花見などによく遊びに行ったところだ。幼い頃は普通の川の一部かと思っていたが、お雇い外国人技師のムルデルが中心になって造った水路であった。東武野田線にその名も「運河」という駅がすぐ近くにあり、この駅名が変わっている、ということもずいぶん後になって友人などに指摘されて気がついたくらい当たり前の存在だった。長い間忘れられた運河だったが、地元の作家が本を書いたり 運河建設を題材にした芝居ができたりと次第に運河にも注目が集まるようになってきた。近年には、土木学会から土木遺産に選定されるなどしてその保存や活用が検討されているようで大変喜ばしく思っている。
(氏名:高橋麻理)

■ 第8回 福井国家石油備蓄基地 [文・写真]大村 拓也

華やかな花火とひっそりと佇む基地の対比が素晴らしい。普段は人目につかず無名の構造物が、実は社会・経済・人々の生活を支える大きな役割を果たしているのは、全ての土木構造物に当てはまることだろう。広く国民に対し、難しい理屈抜きで、写真により土木の役割を語る大村さんの作品に今後ともエールを送りたい。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

■ 発電最前線!

以前から燃料電池やエネファームなどの言葉はよく耳にしますが、その仕組みをきちんと理解していませんでした。(エネファームは単一企業の商品名だと思っていました。)本記 事では、燃料電池の仕組みについてわかりやすく解説してあり、勉強になりました。このコーナーでは毎回、最新技術の紹介が素人にもわかりやすく書かれてあるので、とても読みやすくていつも勉強になっています。
(所属:前田建設工業 氏名:奥田文)

■ トピックス2 日本の砂浜海岸環境の来し方行く末を考える 清野 聡子

砂浜の侵食原因は、短期的な自然現象ではなく、沿岸構造物や埋立・掘削による地形改変が根本であり、それを認めなくてはならないと筆者は指摘している。趣味のサーフィンや釣りのため、砂浜を訪れることが多いが、ある程度の長い期間継続して一箇所の海岸を観察していると、今まで砂浜であったところに堤防などの構造物を作ることで、海流が変化していく様子を実感することができる。構造物のために離岸流が発生しやすくなり、海水浴客やサーファーの死亡事故が増加するといった事態も発生している。筆者が述べておられるように、過去の地元説明や議会答弁と整合がとれなかったとしても、現在の状況や科学的見地から考えうる因果関係を整理し、本質的な原因を正しく把 握することが、砂浜の侵食という問題の解決において重要であると思われる。
(所属:東京急行電鉄 氏名:山口洋史)

■ 技術者の責任には、相応の権利が必要だ 島津 翔

土木技術者の「有名化」に賛成する.土木構造物は時間の経過とともに劣化,陳腐化し,いつの日か使命を全うして姿を消す.多大な労力と時間を費やして構築された偉大な構造物であっても,取り壊しとともに人々の記憶から消える.だからこそ,記録に残すべきだ.情報化社会となった今,データの中には事業に従事した技術者の氏名やプロフィールも含めるのが,自然であろう.自らの行った仕事がどのような形であれ,記録として残り,後世の人々に参照される可能性があるということは,土木技術者にとって大きな喜びであるとともに,「少しでもよいものをつくり,皆に喜んでもらいたい」という気持ちを一層強めてくれるはずだ.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

この業界の課題点について、真正面から指摘している島津記者の勇気と気概が感じられた。土木構造物の発注者の大半は国と地方自治体、道路・鉄道等の運営会社であろうが、これらの組織の契約方法や約款は国の方法を踏襲している。では、国の方法を国が検討し変えていけばよいのか?そうではなくて、やはり、それぞれの現場、地域に必要となる契約方法をその現場で考えていく仕組みが必要だろう。これはまさに、PPPの取り組みへと繋がるものであり、より良い構造物を造り・守り・残すため、それぞれの技術者が既存の枠にとらわれずに改革への意識を高めていくことが求められている。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

我が国において明治維新以降、各種の社会資本整備が一定の速度で順調に進められた背景には、優れた規格の存在により、設計・施工条件に関わらず、規格に定められた通りの仕事をすれば、ある程度の品質が保証されていたことが大きい。しかし現在では、少子高齢化社会、ニーズの多様化、公共投資の縮小、維持更新費の増大等、複雑な条件が絡み合う中で、次世代の社会資本を構築していかなければならず、従来の規格だけでは対応できない状況になりつつある。このような背景において、土木構造物に関する受注者の権利の取り扱いは重要さを増すと思われる。一方で、土木構造物は公共のものであることから、公共の福祉を妨げるような権利を認めることについては、慎重に判断しなければならないであろう。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

■ チリの橋梁の新しい耐震基準に日本の耐震技術が採り入れられる 星隈 順一

本誌6月号のチリ地震速報の際にモニター意見として書いたことが現実になった気がした。桁かかり長の規定などは日本の道示の式がそのまま採用されている。阪神淡路大震災後の道示の改訂をもっと早く地震国間で共有することができていたら、チリでの今回の地震被害はもっと小さくできたのではないか。情報時代といわれながら肝心の情報が共有されていないのを感じる。モニター意見として再度同じことを書くが、私たちは自国の災害や自然から学んだ多くのことを世界に発信し、逆に世界のほかの国からも情報を収集して耐震技術の発展に役立てるべきと考える。
(氏名:高橋麻理)

■ 都市感潮河川の水質改善技術について 小櫻 義隆、福沢 浩司

感潮河川の塩水塊の潮汐による移動を利用して効果的に水質改善がなされており、この技術の有効性がよくわかった。コストにもよるが、大規模河川や、貧酸素水塊による被害が甚大な閉鎖性海域への適用は可能であるのか興味がわいた。このような技術で河川の水質改善を図ることも大事ではあるが、水質を悪化させる根源を減らす、なくすために、市民、行政ができること、行っていることも知りたいと思いました。
(所属:五洋建設 氏名:井瀬 肇)

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