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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2009年2月号モニター回答


■ 情報の蓄積と公開の意義 北浦 勝

土木の仕事は、それぞれの現場状況が違っていて、様々な技術の組み合わせでオリジナルの成果に仕上がっています。オーダーメイドで検討していく上で、各分野の研究成果や過去の事例が大変参考になり、それを簡単に閲覧・利用できれば成果の品質向上や、工期の短縮、コスト縮減に大きく貢献すると思います。実際には、情報を利用 しやすいよう蓄積するため成果品のCALS対応等、データ加工も大変ですが、全体のシステムがうまく動き出せば凄いものになるのだろうと思っています。今後、本誌でも具体的な事例を交えながら、既存情報の活用方法を紹介するような特集をお願いします。情報の蓄積と公開に加えて、活用がうまくいく事が重要だと思います。
(日本水工設計 佐々木隆)

■ PHOTO REPORT  台湾・高雄地下鉄全線開業 石塚 一郎

高雄のような大都市であっても中規模以上の市内交通がなく、バスやタクシーに頼っていたことを考えると、今回の地下鉄の開通は非常に喜ばしいことだと思います。
日常的に鉄道にあまり慣れていない高雄市民のために、部分開業前に試乗会を無料で行い、大盛況となったというニュースも思い出しました。
美麗島駅の大規模な工事の写真が目を引きますが、都心部でこれほどの大工事を無事にできるというのは、やはり市民の理解があってこそ。事業者サイドの戦略勝ちといった所でしょうか。
市民や観光客、すべての人に愛される地下鉄に育っていってほしいものです。
(西日本高速道路 西川悟史)

■ PHOTO REPORT  伝統的石垣構築技法の解明と継承 山中 稔

宮大工など、建築物の伝統技法の継承については、メディアで多く取り上げられているが、このような視点の記事は大変興味深い。土木に関する伝統技法の継承についてもっと知りたいものである。
(岡山県 難波明代)

一般に伝統的技法と言われると、うわものの建築技法が真っ先に頭に思い浮かびますが、基礎である石垣にも現代では眠ってしまっている伝統的技法があることに気付かされました。時代とスケールは異なりますが、たとえば海外ではエジプトのピラミッドが連想されます。500年以上も前に建てられた建造物を解体し、現代の技術を駆使して調査・解明するということに、大いなるロマンを感じました。
(大林組 村上真也)

このレポートを読んで、日本文化の中で「お城」は、世界的にも誇れる最も貴重な伝統と技術であると再認識しました。420年も前に建造されたものがいまだ存在する理由は、きっと様々な先人の知恵が隠されてあり、ただただ驚くばかりです。その技術の伝承は、日本文化にとって大きな課題であると同時に大きな財産だと感じました。
(大林組 中村泰)

■ この人に聞く 第51回 笹島建設(株) 会長 笹島 信義さんに伺いました [聞き手] 溝渕 利明

映画「黒部の太陽」主人公モデルのインタビュー記事であったので興味深く読んだ。「好きになって、ものごとに取り組め」という言葉が身にしみた。
(西武建設 三村卓)

黒四の工事から50周年、私が土木(調査・コンサル)の分野に身を置くのは当たり前、記事を読んで40数年前のあの日に思いをはせました。
夏休みの1日“黒四”の偉業に感動した建築士だった叔父が、福島の普通高校生だった私を、車で川崎〜黒四間を徹夜行・・・なんとも・・・言葉無く・・・感激の黒四体験でした。
もちろん、映画も見ました。こういう仕事もあるんだと、青年の心に大きくインプットされたことを思い出します。その後、青函トンネルの調査などにも参加する機会に恵まれた幸せ者になりました。
文章は平易で分かりやすく、学会誌の硬い文章の多い中で一服の清涼材なのでしょう・・・良いです。
若い人に土木の仕事を好きになってもらいたい。若い人への土木の苦労人からのメッセ−ジはストレ−トで、心地よく読めました。
 最後に、活字の大きさは良いと思うのだが、全体バランス、活字の大小、行間に工夫の余地があると思いました。
(てすとぴあ 坂本和雄)

先日の特別上映会に参加させていただき、映画「黒部の太陽」の興奮も冷めないこの時期に、主人公ご本人のインタビューが聞けて嬉しい限りです。映画を見ている時は、「このモデルとなった"熱い方"はどんな人だろう?」と思いながら鑑賞していました。もちろん映画の主人公という脚色もあったとは思いますが、このインタビューからもその当時の"熱意"や"苦労"が伝わり、映画のイメージ通りの方、いやそれ以上の方だとインタビューから良く分かり感銘を受けました。映画「黒部の太陽」とこのインタビューをもっと多くの一般の方々やこれからの若者の目に触れて欲しいと思います。これからも熱いメッセージを、多くの若手技術者に語り継いで欲しいと切に願います。
(大林組 中村泰)

■ 特 集
トンネル技術の今昔 ─知られざるトンネルの世界─

トンネルの施工にかかわったことのない私は、未知のトンネル施工技術が主体として述べられていることもあって(沈埋トンネルの継手技術についての記述をはじめ)興味深く読ませていただいた。しかし、これからは「新たにつくるよりむしろ、今あるものを大切に使い・活用していく」時代である。日韓トンネルのような夢を語るのも大変いいと思うが、トンネル維持管理の手法等の話題について、紹介があってもよかったのではないかと思う。
(富山県 山中久生)

身近にある「トンネル」を取り上げ、専門家だけではなく、専門家以外の読者にも実に興味が湧き、読みやすい特集であったのではないかと思います。
トンネル技術の歴史に始まり、代表的なトンネル工法の最新技術の紹介、今後のトンネル技術が目指す方向性や夢、またこれらの合間に織り込められたコラムなど構成も素晴しい。
今後も、魅力ある特集、誌面づくりに期待します。
(キャプティ 斉藤実)

閉所恐怖症の私にとってトンネルというと、山に押しつぶされそうな気がして、入るのに勇気がいる存在です。今回の特集で、数々の経験から進化してきた様子を知ることができ、安心感が持てるようになりました。しかし、土木を少しかじった程度なので技術の解説は難解でした。より多くの人が理解できるようにまい進していくことも、夢のトンネル実現に必要ではないでしょうか。
(岐阜新聞 後藤亜由子)

 近年公共事業は強い逆風を受けて事業環境が厳しく、励みたくても事業量が激減し、事業者も技術者も志気が停滞気味である。物事は考えようでこの閑期をまたとない好機到来と前向きにとらえて、更なる業界や技術の進展のために、土木事業や土木技術に関してその歴史と現状を冷静に振り返えり、ゆとりに任せてリフレッシュした感性で新しい時代に相応しい夢を描き、将来に備えることが肝要ではないかと考えます。また、将来を背負うべき若年技術者 には今日に至るまでの技術の歴史的発展過程をも基礎知識として習知していただいて、次世代のより高品質で高度な技術の創成に役立てて貰いたいと思います。そういう意味でも、今回のトンネル技術に関する特集は単にトンネル技術者に限らず、志を同じくする多くの土木技術者のためにもタイムリ−で実に良い企画であったと評価したい。
同様の企画を、例えばダム、河川、道路、防災、土木材料等の技術分野に関しても企画されることを望みます。
(福冨幹男)

■ COLUMN―1 砂浜でのトンネル掘り 木村 亮

「みんな砂浜とか河原で穴掘りをしたり,トンネルを掘ったりしたでしょう。その時に,サラサラで乾いていたらすぐに崩れるけれど,ほんのり湿っていたら上手く掘ることができた記憶があるでしょう?」私が10年前に教壇に立ったときの問いかけである。あんまり反応が良くない。「それなら,水面に石を投げて跳ねさせたり,石と石をぶつけて石の断面を観たりしたことは?」もっと反応がなくなった。それで,次の授業では学校に隣接する香東川へ連れて行き,河原で野外授業をやった。体験と説明というのは,一体でないと身に付いていかない。ため池の堤体にパイピングを引き起こすのは,鯉やザリガニが一因のこともあるそうだ。水と土を知るということは,相当に奥深いことなのでしょう。
(高松工業高等専門学校 向谷光彦)

■ 2.ここまで進んだトンネルの技術

平野が少ないわが国特有の事情もありますが、様々な交通の利用者からみて、トンネルは利便性を特に感じる施設の一つではないでしょうか。また、移動距離の短縮につながり、経済や環境に良い効果を与えていると思います。工事においても、綿密な事前調査を行うものの、不均質な自然地盤を掘り進んでいくことは、記事にもあるように職人的技術が強い分野であるため、難工事がクローズアップされることが多く、社会的価値を得ている土木施設の一つだと感じています。これからは、リニア中央新幹線など大きなプロジェクトが実現すれば、これまで以上に高い技術が求められ、また、膨大な既設トンネルの維持管理もますます重要になります。記事の中で危惧されていましたように、後継者の育成が早急に必要だと思いました。
(中電技術コンサルタント 北出圭介)

■ (1)都市の地下空間を拓く 土橋 浩

都市の住民として日頃地下の高密度な利用の恩恵に浴していますが、基幹技術で技術的にコスト低減に取り組む一方、新たな工法の導入で社会的要請に応えられている状況が理解できました。限られた紙数のなかでのシールド拡幅工法の説明に図1はたいへん有効ですが、できることならもっと図解があるといいなと感じました。
(ブリヂストン 秀島雄二朗)

シールド工法は同じ断面でずっと進んでいくものと思い込んでいましたが、この記事を読んで拡幅工法の存在をはじめて知りました。
インフラというものは、画一的なものにならない一方で、すべてが特注になるためコストがかかるという問題点も抱えているので、1つの在来工法にさまざまな応用を利かせて新しい工法を生み出していく技術力はやはりすごいと思いました。
 机上での解析だけでなく、最終的にはアナログ的な判断と融合させると書かれていますが、私にとってなかなか耳の痛い話でもあります。
(西日本高速道路 西川悟史)

都市の地下空間を開発すれば、いろいろな都市問題が解決でき、さらに上手に利用すれば、人間の動きがスムーズになり、生活も快適になれるでしょう。現在、土木およびそれに関連する技術の発展とともに、都市の地下空間を利用するのは難しくないことになりましたが、快適な空間を造るのには様々な課題が残っています。特に、地下空間のほとんどは閉ざされた空間であるため、一般の構造よりそれの安全対策は、設計の一環とし、さらに重要と感じます。
(神戸大学大学院 彭 豊)

■ 3. 夢のトンネル朝倉 俊弘

朝倉俊弘教授の「実現したい夢のトンネル」の一つに挙げられた日韓トンネルの実現云々の記事については、私自身も1983年に「国際ハイウエイプロジェクト 日韓トンネル研究会」の設立当時から会員となってその着実な研究成果に注目して来ていただけに、まさにこの夢みたいな構想が当学会誌上で堂々と取り上げられるようになるとはと感無量の思いをしております。長年唐津から壱岐・対馬を経て釜山に至るルートをあれやこれやと仮想しての海底の地形・地質の調査研究(唐津側約500m区間の試掘を含む)、トンネル計画等が行われて来てはいましたが、まさに夢のトンネルでした。
(福冨幹男)

■ 学生記事  第1回 クロスボーダー 土木と動物園 名古屋市東山動植物園 杉江 裕実、関根 正之

「土木と動物園」、一瞬無縁と思われる関係ですが、そうではないところが実に面白いところです。「東山動植物園再生計画」の取り組みが、以前テレビで特集されており、いつか行ってみたいと思っていました。その時は土木とのつながりを感じることはありませんでした。人間も動物の一種と考えた場合、人間がストレスを感じさせない心癒される社会資本整備とは、一体どのようなものなでしょうか?未来の土木には、このような視点も必要ではないかと思います。
(平田貴久美)

税金の無駄遣いなどと悪者扱いされることの多い昨今の“土木”をアピールするのに、非常に興味深い記事でした。ただし表題「土木と動物園」のインパクトに対して、その関連性はサラッと述べられているだけで、「動物園の役割」に話の中心(執筆者の興味)がある印象が強く、「土木と動物園の関わり」に興味を持って読み進めた読者としては、少し残念な感じがしました。
(東洋建設 小竹康夫)

土木と動物園のお話、楽しく読ませていただきました。土木のお仕事にもこんな仕事があるのだなと関心しましたが、生息地体感型展示について、昨今、環境については土木のみならず他業界でも騒がれている問題ですが、人間も1動物と考えると、全ての動物がその動物本来の動きや生活をしやすい環境を整えることが、これからの土木には必要なのではないかと思いました。そう考えると、世の中全てが生息地体感型の動植物園になる時代が来るかもしれません。こんな時代が来ると、もっと土木も楽しくなると思います。
(首都高速道路 石原陽介)

学生の方々の斬新な着眼に驚きでした。土木と動物園との係わり合うイメージが想像できませんでしたので、楽しく拝見させてもらいました。次号以降も、どのように驚かせてくれるのか?非常に楽しみにしています。
(大林組 中村泰)

この記事を読んで、初めて土木の方が動物園で働いていることを知りました。動物園は、子供の頃、よく行っていましたが、普段見れない珍しい動物を見るためでした。しかし、動物園には様々な目的があるということを知り、またそのような場で土木の方が活躍していることを知って、大変うれしく思います。確かに、昔よく行っていた頃の動物園は、ただ動物を見るだけの形態展示でした。見学する私達にとっては、見やすくて良いかもしれませんが、動物達にとってはどうだったのでしょうか。それに比べて行動展示は、動物 にやさしく、見学する私達にとっては、その動物がどのような環境で生活しているのかも分かるので一石二鳥です。この行動展示がより自然環境に近いものになり、将来、動物園で育った動物達が自然に戻れるシステムができれば、より良いのではないかと思いました。そして、土木の世界には、自然との調和という大事な役割があるということを知りました。
(所属:住友大阪セメント 氏名:松井彩)

■ 博物館で土木を学ぶ  第2回 福島町青函トンネル記念館 橋本 紳一郎

記事を読みながら、この博物館に限らず、一般の人が事業の大きさをどれほど理解してくれるだろうか、理解できないまでも興味を持ってくれるだろうかと考えた。展示物の特化された博物館(記念館)への来訪者は、そもそも興味を持っている。一般の博物館でも土木に関連する展示コーナーは、それなりに賑わっている。そこで興味を持った人が、専門の博物館にも足を運んでくれるような工夫(コーディネート)をするのも、学会の役割なのかもしれない。このような観点から、この連載で今後どの様な博物館が紹介されるのか、期待している。
(東洋建設 小竹康夫)

■ モリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場  小塚山トンネル(千葉県市川市)

現在私が仕事で携わっている区間にも小塚山トンネルによく似た状況で住宅街の中を突き抜けるトンネルがあるので、現場の苦労がよく伝わってきました。
住宅街でこれほど大規模な工事となると、振動や騒音に非常にシビアにならざるをえません。その中で、どうやって地域住民を説得して工事を続けていくかが課題となります。
私の担当する現場では『地域に入り込む』という方法をとりました。地元の夏祭りに参加したり、住民対象の見学会を開催したりしています。もちろん騒音・振動対策もしており、基準値を超えるとJV職員の携帯メールに自動的に警報が送信され、原因を突き止めるまで工事をストップするなどの姿勢を見せた結果、最終的に24時間施工が可能なまでになりました。(このくだりは2月号P44〜47に詳しいです)
この現場では、環境対策に力を入れるあまり逆に外からは何をしているか見えず、不審がられていないかどうか心配です。市井に開かれた工事現場作りというのも今後の住宅地における大規模工事の一つの手法かもしれません。
(西日本高速道路 西川悟史)

■ 土木界隈 四季の鳥  第2回 コミミズク  [文・写真]中田 一真

毎号、鳥の表情を撮るには"一瞬"でしかない様子が写真から伝わります。その一瞬を逃さないように身をかがめ静寂を守ろうとしている撮影者・中田さんの緊張感も毎回伝わってきます。私達が利用する公園などでは多くの鳥を見かけますが、その公園は土木工事として造成・造園してできているものだと再認識しました。鳥達にとって、コンクリートやアスファルトに囲まれた都市部では、公園はとても心地よい居場所なのだろうと想像してしまいます。これからも、土木と鳥の係わりがある写真を期待したいと思います。
(大林組 中村泰)

■ 土木事業の行くえ 中村 英夫

土木事業を5つに類型化して図に示したシェアの推移状況は納得のいくものであり、将来の方向性を考える上でとても参考になりました。これからの土木事業を考えるとき、短期的には2008年の傾向がそのまま続くと思いますが、長期的にどのように推移するかを考えることが必要です。例えば、「高質化型」や「更新型」がシェアがどの程度まで伸び変換点を迎えるのか、「必需型」や「戦略型」のシェアは低いままなのか、伸びる方策あるいは外部環境はどうなのか、ということを考える必要があると思います。そのためには、現在までのシェアの推移変化について、土木分野だけでなく幅広い視野で調査検討を行うことが、これからの「土木事業の行くえ」を考えることが大切であると思いました。
(中電技術コンサルタント 北出圭介)

土木事業が内容によって5つに分類され、その事業の内容や必要とされる時代背景が丁寧に紹介され参考になりました。
また、成熟時を迎えた我が国では”高質化型”と”更新型”の重要性が増し、行政、企業や教育の重点方向を考える上で、マクロな視野を持つことの重要性に関するご意見も大変参考になりました。しかし、国をはじめとした公共事業の方向性がこのような状況に対応したものになっていない感があります。また、地方では土木事業が唯一の産業となり、社会福祉などの側面から必要がある事業の推進ではなく、事業継続が目的化されている現象も見られます。そのため、公共事業に依存する企業も事業の方向を転換することが難しい状況にあるとともに、土木事業に対する国民の不信感、不要論にもつながっていると感じております。このような問題を解消するためにも、行政、企業や教育の現場が土木事業の行方を真摯に考え、時代の要請に答えることが必要であると痛感致しました。
(大日コンサルタント 船場俊秀)

12月号では食料問題の観点から、新興国の成長は「ものづくり」であり、先進国では経済はサービス、ソフト化しているため、エネルギー・資源の需要に直結しないことが紹介されている(特集1)。土木業界だけを見ても状況は同じであり、今後予想される高質化型、更新型社会に適用できる業界のあり方、特に企業に身をおくものとして、頭の中を整理でき、また改めて考えさせられる記事であった。
(東洋建設 小竹康夫)

土木の世界も大転換期を迎えている。事業比率別の構成展開は、非常に分かりやすい説明である。その一方で、昨今の経済状況を改善するために、国策がなすべき施策には、公共事業が含まれていることが多い。最も社会的批判、マスコミの標的となりやすい分野である。経済評論家の中には、積極的な財政金融政策を発動した国は、早く不況を脱するという史実を明らかにしている方もおられるようだ。土木分野も、必需型の橋、ダム、道路ばかりを造ろうとしていては、立つ瀬がないことは明白である。環境、エネルギー、社会保障、農工連携といった本当に役に立つ分野に対して、その処方箋を提言できているだろうか。基幹産業である建設分野の真価が問われているように思う。
(高松工業高等専門学校 向谷光彦)

土木事業が5つの事業類型に分類され、土木事業の位置づけは時代の変化とともに変わってゆくという論に、今後土木事業を行うに当たっては、土木事業を十把一からげに扱うのではなく、それぞれの段階に応じて目的及び必要性を十分に吟味した上で検討を行う必要があるという事を再認識した。そして、今後はそれぞれの類型における事業の評価方法や合意形成手法も必要になってくるだろう。また、今後増加すると考えられる「高質化型」「更新型」の事業での方法論を十分に勉強せねばと考えた。
(大阪大学 伊藤翔太)

■ どぼく自由自題  第9回 女子学生の気持ち 須田 久美子

現場には、「きつい、汚い、危険」の3Kがつきまとい、特に女性には嫌われた存在であると思っていました。しかし、家事・育児などのハンディを抱えながら、仕事との両立をされている方々がおられ、「スゴイ」の一言であります。しかし、もっと働きやすい環境になれば願っています。家族あっての仕事であると頭では解っているのですが、日本人の気質として真面目で勤勉であるが故に、仕事だけに没頭しすぎているのではないでしょうか?「家事・育児の分担」の考え方が、日本の社会で一層浸透し、女性の現場技術者が飛躍的に増加することを期待しております。
(平田貴久美)

女性技術者である著者が土木の世界に踏み込むまでの話を丹念に明かしていて、大変興味を持った。また芯の強さを感じさせられた。
建設業離れが進む中において、女性の活躍が期待されている。建設系企業にあっては、女性にとって働き甲斐があり、持続性のある会社を目指してもらいたいと思う。
(西武建設 三村卓)

私が卒業した大学でも、最近は女子学生が多くなってきたと感じることがあります。研究で使用した実験室も、男ばかりの時代に比べ、女性が増えたことでずいぶん雰囲気も変わってきています。「3K(きつい、汚い、危険)」と言われている土木ですが、女性が働く環境が増えている最近は、汚いイメージが取り除かれてきている感もあります。 私の妻も土木屋ですが、女性が安心して働ける職場が増えてきていると思われます。また、このような環境の増加が、土木の負のイメージを変えてきているのではないかと思います。もっと女性が土木技術者として働く環境を増やすことで、業界のイメージを変えることに繋がれば良いと願っております。
(首都高速道路 石原陽介)

■ 委員会報告 防災タウンウォッチングの実施 三上 卓

防災といえば地域や組織など一定の集団が行政の援助によりサバイバル技術や心得を習得する催しは数多くあると思いますが、専門の研究者・技術者と住民の方が行う勉強会は画期的であり、且つ有意義な催しであると思います。というよりこのような企画に参加できた住民の方々が羨ましい限りです。
(ブリヂストン 秀島雄二朗)

■ その他:[学会誌全般・編集委員会へのご意見など]

学会誌モニター同士の交流機会を持てるようお願いしたいと思います。
(西武建設 三村卓)

・土木界隈・四季の鳥は,非常にダイナミックであり,学会誌の中間的な位置で,一息つくことができる良い構成だなと感じました。
・ODA,JICAやNPO,ボランティア団体も,発展途上国の開発の中でインフラ整備に深く関わっていると聞きます。具体的に,それらの事業の流れや具体的なアジア,アフリカなどの関係国での実情を取り上げるのはいかがでしょうか。
(高松工業高等専門学校 向谷光彦)

今月もモニターとして、どの記事について意見しようと学会誌を読んでいると、昔と比べ、学会誌自体が薄くなったなという印象を受けました。昔の学会誌は、記事が多くて読むのに苦労したものですが、最近の学会誌の薄さに少々淋しさを感じます。
(首都高速道路 石原陽介)

モニターを引き受けてから、過去の「モニターの声」を読みました。そして、この「モニターの声」が直接編集委員会に、しっかりと届いているものだと気づきました。その後の企画などで反映されていることが分かったからです。私も気持ちを引き締めて、少しでも建設的な意見や感想を発していきたいと思います。
(大林組 中村泰)

前号でも感じて意見を述べましたが、やはり、例えば、「土木に見る数字」(p40)等の記事は横書き文章の方がベタ−ではないでしょうか。読者も読みづらいが、執筆者も編集者も文字合わせにご苦労があるのではないかと察します。
(福冨幹男)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会