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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2008年8月号モニター回答


■ PHOTO REPORT (2)東京メトロ副都心線(和光市駅―渋谷駅間)開業!池袋―新宿―渋谷を結ぶ東京メトロ最後の新線

なにかと話題のメトロ副都心線、私も乗車の経験があります。駅のひとつひとつにコンセプトがあるようで、各駅がその地域の個性を表現されており、誌面から伝わるとおりの開放感がありました。とくに建築家の安藤忠雄氏が設計された渋谷駅は、写真からもわかるように地下とは思えない神秘的な空間がつくられており、これまでの地下鉄独特の息苦しさを感じられないところが空間デザインの素晴らしさでしょう。反面、「人にやさしい駅づくり」を目指したわりには、他線との乗り継ぎやホームから地上に出るまでが非常に遠いなど不便さを感じた点もありますが、様々な趣向を凝らしたデザインを知るために、積極的に「乗り鉄」したいと思います。
(所属:日本シビックコンサルタント株式会社 氏名:田島久美)

■ この人に聞く作家・土木史研究家 高崎 哲郎さんに伺いました [聞き手]溝渕 利明

私は恥ずかしながら青山士という土木技術者がいたということを知りませんでした。この機会に青山士の本を読んでみたいと思いますが、一般の人にこうした土木技術者を知ってもらう機会をつくっていくことが重要です。私が小学校の社会科で郷土の歴史を学んだときに、木曽三川の治水工事で活躍した平田靭負やデ・レーケについて熱心に教えてもらったことがとても印象に残っています。このようなきっかけで小学生にでも土木に関心をもってもらえるようになると思います。ただし、偉業を伝える伝記がなければ伝えようがありません。高崎さんがおっしゃるように新たに土木技術者の伝記が出てくることを期待します。
(所属:大林組 氏名:佐々木一成)

大河津分水にある記念碑に刻まれる青山の哲学,今も変わらず土木技術者が目指す最終目的なのだと思う.土木技術者の生きざまや精神が国民には見えないことは,アピールの手法にも工夫が必要なのかもしれない.しかし,土木技術者一人ひとりが心底,青山の哲学を心に留め,国民に対する説明責任を果たすことを怠らなければ,土木界はいつの時代でも万人に求められる存在なのだと思う.
(所属:益村測量設計(株) 氏名:益村公人)

■ 1.鉄道が支える日本の大都市形成 ―都市化、郊外住宅地、ターミナル― 矢島 隆

以前から東京と大阪の山手線/環状線と私鉄の位置関係が異なっていることを不思議に思っていたため、非常に興味深く読んだ。当時の市街地の状況と国鉄の都心アクセス機能、そして私鉄の整備状況からの説明は非常に明快で納得できるものだった。今後もこのような良い記事を期待したい。
(所属:(株)三菱総合研究所 氏名:内田 敦)

■ 2. 国際的都市間競争のなかでの首都東京の課題―新たな都市機能に対応した都市構造― 市川 宏雄

都市の魅力の一つとして、文化の成熟が取り上げられており、共感できる。文化の一つの要素として歴史の蓄積があるとすれば、長くそこに住む人々の意見を活かしていくことが、魅力ある街を築いていくための一つの方向を示すと感じた。
(所属:国立環境研究所 氏名:櫻井 健郎)

■ 3.インタビューまちの賑わいをつくるために―都市鉄道への期待―[語り手]森中 剛

都市鉄道が、単なる人の移動だけではなく、人・もの・金の移動、さらには拠点地区の活性化につながるということで、百貨店の広報室の方が、戦略的に店舗の改装、イベントの企画、鉄道会社や地域とのコラボレーションを図っていることに期待の大きさを感じました。ただ同時に感じたのは、こうした都市鉄道の開通によって、地域の雰囲気(街並みや年齢層)も変化するため、拠点だけでなく、広域がどのように変化していくのかも計画段階で調査することが大事なのだと改めて感じました。
(所属:大成建設(株) 氏名:野勢 辰也)

■ 4.東京の都市鉄道―成功の要因と限界、そして今後の課題と方向性― 家田 仁

ここでは、成功の要因が的確にまとめられている。確かに、特集1でも触れられているが、山手線上から放射状にのびる私鉄とその鉄道事業者による沿線開発に支えられて東京がここまで発達してきたわけだ。しかし、その結果、いわゆるベッドタウンから都心への通勤は、限界を超えているといってもいいほどの混雑であり、ここで分析されている通りラッシュ時間帯のピーク以外でもそれほど緩和されていないわけである。さらに、私鉄同士の連絡が悪い(山手線から放射状に広がった先の横の連絡が悪い)ことも、東京で生活している人であれば誰でも気づいていることである。そういう意味では、今日の交通の発達は利用者のがまんの上に成り立っている気がした。
(所属:(株)山下設計 氏名:廣瀬 由紀)

東京の鉄道の混雑問題に関連して,27ページの2つの図が,興味深かった。これらの図は,夜間やオフピーク時の混雑は,ピーク時の混雑の要因である線路容量の問題でなく,コスト問題に関わるダイヤ設定上の要因であることを述べている。なるほど夜中に乗ると,列車の間隔があいて待たされる挙句かなり混んでいるという経験は多く,直感的に本数が少ないから仕方ないなどと思ってしまうが,この図はそれを裏付けるだけでなく,サービスの問題として検討されてよいことを示すと思われた。
(所属:東京大学 氏名:尾崎宏和)

この記事を読んで、日本鉄道のハイレベルな運営、また、それへの依存度の高さを確認させられました。ダイヤが乱れると、東京全体のリズムが崩れてしまいます。また、インターネットや携帯電話で電車の時刻を調べ、それに合わせて行動すれば、ほぼ正確に目的地に着くことが出来る。これは他の国ではない、日本の鉄道事業のレベルの高さを証明していると思います。記事で「混雑」が大きな問題で上げられています。その中で、ICカードにより料金制度を利用して、時間差通勤を推進しよう、という意見には大賛成です。首都高に代表される、高速道路の早朝・夜間割引が実施されているのを見ると、効果は大きいと考えます。しかし、この混雑の問題を解消するには、鉄道事業者側に頼るばかりではなく、ユーザーの積極さも必要だと思います。民間企業ではクールビズなど、個人で出来るエコ活動が推進され、実施されるようになってきました。同じように時間差通勤をもっと企業が推進することによって、鉄道の抱える混雑の問題が解消につながり、また、コンスタントに運行されることによる環境への負荷にも大きく貢献が出来ると思います。
(所属:清水建設(株) 氏名:渡辺 晋平)

■ ミニ特集 土木遺産保全の実務的課題と方策

橋や港湾構造物の見学で土木学会選奨土木遺産のプレートが目に付くようになりましたが、定義がはっきりしていないと思っていました。認定制度の設立主旨には記載されているようですが、日本の土木構造物で残っている物は歴史的にも浅い物が多く、曖昧でもよいのかもしれません。このミニ特集に連動しているのかどうか分かりませんが、話題のところの「土木遺産を使い続ける」文末に土木遺産の役割を述べていますが、土木構造物の行く末を現代の少子高齢化と対応させた説明は的を得た指摘であり、勉強になりました。
(所属:東京大学生産技術研究所 氏名:星野富夫)

日常、橋梁の維持管理に携わっており興味深く読ませていただいた。殆どの土木構造物は、時間の経過とともに、少なからずその機能は陳腐化し、劣化する時が来る。つまり、時間の経過とともに、もともと期待されていた「価値」が低下してくる。一方、土木構造物を「遺産」として捉える取組は、時間の経過とともに、もともと期待されていたものとは別の新しい「価値」を生み出すものであり、昨今、話題の「もったいない精神」、ひいては新たなる「価値の創造」という観点からも、非常に重要な取組みであると感じた。この特集を読んで、この取組みにおける、経済面・技術面・安全管理面の難しさを理解することができた。しかし、難しさを理由に「土木遺産」を蔑ろにすることはできない。さまざまな制約の中、どう折り合いをつけていくのかが、現在の土木技術者へ求められている課題であると認識することができた。
(所属:札幌市 氏名:須志田 健)

■ 第5章 土木遺産にいかに取り組むか? 五十畑 弘

確かに考えてみると、土木遺産は、建築遺産に比べて、これまで余り顧みられることがなかったようだ。しかし、遺産というからには壊してしまってから後悔しても遅いわけである。手遅れにならないうちに、土木遺産としての価値を洗い出し、どう残していくかどう活かしていくかを考えることは重要である。
(所属:(株)山下設計 氏名:廣瀬 由紀)

■ はたらくどぼくきかい  第1回 サンドドレーン船 田邊 晋、坂上 聡史

7月号のモリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場に迫力ある絵が載っていたが、この記事でその働き・しくみを理解することができた。スケールが大きく迫力がある中にも緻密さを感じさせる姿だ。見かけることがあっても何をしているのかよくわからない土木機械。「土木に見る数字」ともども新企画に期待したい。
(所属:(株)山下設計 氏名:廣瀬 由紀)

興味深く読んだ。機械のスペックが記載されているのも、わかりやすく良かった。もし誌面に余裕があるならば、以下の点を加えていただくとより良いと思う。他に類似の機械としてどのようなものがあるか、ないか。日本にあるいは世界に何台くらいあるか(とくに少数の機械の場合)。
(所属:国立環境研究所 氏名:櫻井 健郎)

■ CE リポート 話題 パナマ運河の大拡張事業 ―青山士の足跡と開通100周年に向けて― 高崎 哲郎

青山士という名前は,聞いたことはありましたがこれほどの業績を残した人だとは知りませんでした. 外国でこのように高く評価された日本人技術者がいたと知ってとても感動しました.
(所属:   氏名: 匿名希望)

■ CE リポート 技術 コスト縮減、耐久性の向上、熟練作業員不足をこうして解決した! ―西湘バイパス 滄浪橋 電気防食工事― 池谷公一、佐藤 正明、石井 浩司、関 博

建設から数十年と時間が経過した土木構造物をどのように効率的に維持管理していくのかという課題は、土木業界にとって最も重要な課題の一つだと考えていましたので、このような鉄筋コンクリートの「塩害対策と電気防食」に関しては、非常に興味深い内容でした。特に露出金属探査の機械化や、溝修復方法の簡略化は、熟練した作業員が不要となり、従来工法に比べても同等以上の品質を確保できるということで、非常に期待できる技術だと思いました。今後もこういった技術革新をして、維持管理の効率化が促進できるようにしなければならないと感じました。
(所属:大成建設(株) 氏名:野勢 辰也)

■ どぼく自由自題 第3回 続けること 須田 久美子

ご本人は、「細く長く」と書いておられるが、どうしてどうして「太く長く」ではないでしょうか。女性の少ない環境で20数年来の念願をあきらめることなく実現された努力は、尊敬に値するものだ。また、文中、「感謝」の言葉が何度も出てくることからも、ご本人の謙虚な人柄がうかがわれる。現場を目指す女子学生に勇気を与えるような文章だと思う。
(所属:(株)山下設計 氏名:廣瀬 由紀)

■ 土木に見る数字 …22、25、29、32、35… 吉田 陽一

通常の業務の中で、一般的に使用している土木の数字をとことん探求しており、非常に興味を覚えた。鉄筋径は、アメリカのインチに由来していることは、およそ知っていたが、1/8インチ間隔で増加していたことや、同じ単位質量をもつ丸鋼の直径に換算して公称直径と称していることについては勉強になった。また、外国の事例紹介も良く、カナダは鉄筋の断面積が100mm2単位というのは非常に面白い発想であり、各国の独自性を伺うことができた。今後も本連載に注目し、土木の世界の数字に着目し異なった角度からの見識を広げていきたい。
(所属:東亜建設工業株式会社 氏名:加 藤 隆 士)

■ 論説委員会の頁 若き人達へ―土木の魅力 青山 俊樹

「土木の仕事を通じて、我々は自然の神秘を知り、それに対する畏敬の念を持つことができる。」、「土木技術者は、自然のみならず人をも知らなければならない。」とのお言葉、共感できました。これほど技術が進歩しても、未だ予測不可能な事態が生じたりすると自然の凄さに怯え、悩まされたりします。ただそれだけに、これを如何に克服するかに土木技術者としての面白味があるのも事実です。また土木という仕事は、多くの人々の理解と協力あってこそ、成立っているのだと常日頃感じています。「人とは愛情と真心を持って接しなければ、言葉は相手に響かない」、土木技術者にとって胸に響くお言葉でした。
(所属:大成建設(株) 氏名:野勢 辰也)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会