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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

論文・講演などの募集

11.2015年度河川技術に関するシンポジウムおよび「河川技術論文集
第21巻」論文募集


河川部会は、「従来の河川の概念にとどまらず、水・土砂・物質循環系としての広義の河川と、人だけでなく様々な生物との関係をより良いものとしていくための実践的技術の総体」として河川技術をとらえ、産学官を問わない広い裾野から精力的に行われる研究や技術開発が河川や流域の現場に広がることで現状をより良いものへと変えていき、そのことが国民や流域住民から肯定的に認知されることで、河川技術の発展とその現場への適用がさらにいっそう促進されるという好循環の形成に貢献することを目指しています。それを実現するために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川に関わる学術分野との学際領域への展開など、河川技術に求められる様々なインターフェ−スとしての役割を担うことを志向しています。
その一環として、河川部会では2015年度も標記シンポジウムを下記の通り企画いたしました。「河川技術論文集」も今回で21回を重ねることになり、これまで蓄積されてきた技術を活かし、さらに河川技術が実践の場でより機能的に発揮されるよう、研鑽してきたいと考えております。ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。

・開催期日

2015年6月10日(水)・11日(木)

・開催場所

東京大学農学部 弥生講堂(文京区弥生1-1-1)

・参加費

一般(会員)6500円、一般(非会員)8000円、学生(会員・非会員)4000円
※いずれも論文集代を含む

・昨年のシンポジウム報告の案内

2014年度河川技術に関するシンポジウムでのOS、OPSの報告をHPにアップしております。発表された貴重な資料が掲載されていますので是非ご覧ください。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/

・シンポジウム募集課題

本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、後述する投稿ジャンルに示すように、論文、総説、報告があります。河川部会では、その目的に沿って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術と密接な関係を有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見を基に、問題設定がなされ研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。

(1) 特定課題1:「河川技術の今後のあり方」 〜これから100年の川づくりのために〜
土木学会は今年、100周年を迎えます。災害大国である我が国における社会の繁栄は、多くの河川技術者による川づくりの尽力がその礎となっております。その歴史を踏まえ、今回の特定課題1では、これから100年の川づくりのために、私たち河川技術者が何を考え、何をしていくべきかをテーマとしました。
現代社会は本格的な人口減少に突入し、少子高齢化、国家財政の諸課題、グローバリズムと地域主権へのうねりなど、日本をとりまく社会情勢は前世紀に比して急激な変化が生じてきており、今後さらに複雑な変貌を遂げていくものと考えられます。
さらに、東日本大震災の経験、近年多発している激甚な豪雨災害、さらに気候変動を踏まえて、想定を越える様々な巨大自然災害の猛威に対するソフト・ハードの両面からの備えが求められております。
こうした大きな変革期を迎えて、河川技術が次なる時代のステージに足を踏み入れていくためには、河川技術のさらなる進展はもとより、これまで以上に都市防災学、都市・地域計画学、社会心理学など関連する諸分野との連携が必要となるでしょう。また、1997年の河川法改正以来、20年近くにわたり取り組んできた河川環境保全についても、防災、環境の両面における技術理解が深まってきていますが、より高いレベルの両立を目指していくためには、どのようなかたちで一体的に解決していくかを再考する必要があるでしょう。
このように、これからの河川技術を考えると、従来までの取り組みを振り返り、さらに深化させる方向について河川全体を俯瞰した議論を進めるとともに、関連する他分野との学際的な研究・技術開発に取り組み、河川技術がカバーする領域のすそ野を広げていくことが、今まさに求められているものと思われます。
本特定課題「河川技術の今後のあり方〜これから100年の川づくりのために〜」では、今後100年を見据えた川のあるべき姿や技術開発の方向性を議論していくために有用な論文を広く募集します。課題の性質上、具体の研究成果、技術開発事例が少ないかもしれませんが、まだ十分な成果でなくても、個々の研究・技術開発に関する論文・報告において、100年とは言わずともこの先を見据えてどのように役立つのか、その実現の道筋について改めて考察を加えて投稿いただけることを期待します。もちろん、河川技術全般に関する総論、さらに計画学、防災学、生態学、気象学など関連する他分野から見た河川技術への期待、提案なども、総説や理念に関する論文として投稿いただけることを強く期待します。
(2)特定課題2:「河川維持管理を見据えた新たな技術について」
昨今、記録的な豪雨が多発し、河道流下断面の確保や河川堤防等の構造物の安全確保の重要性はますます増大しています。高度経済成長時期に整備された護岸や堰などの多くの河川管理施設は、整備後40年程度経過してきており、補修や更新の必要性に迫られつつあります。そのため、現在では、施設の長寿命化や計画的な更新時期の平準化など施設機能の維持・管理のコスト低減への対応が喫緊の課題となっています。また、戦後の時期に多くの河川に存在していた礫河原は減少し、特にこの20年あまりの間には全国の多くの河川の砂州や高水敷上が樹林に覆われるまでに様相が変化しました。このような河道の変化は、洪水の疎通に関わる河道流下能力のほか、洪水の偏流の発生や局所洗掘等の河床地形変化といった治水上の課題ばかりでなく、外来種の侵入等による本来の河川環境の変質といった問題へも影響し、現在では河道管理の重要性が一層高くなっています。
平成23年5月には「河川砂防技術基準維持管理編」が策定され、維持管理における計画、目標、状態把握から分析・評価、管理対策に関する事項がとりまとめられ、大河川においては河川維持管理計画を作成して維持管理が進められているところです。しかしながら、長大な河道や膨大な施設を的確かつ効率的に管理していくためには様々な課題を解決していくことが求められています。河道や堤防では、護岸整備や河床掘削などの人為的インパクトのほか、洪水等の外力による変化や植生消長などの自然的な変化等により常に変動しており、維持管理面での複雑性があげられます。一方で、我が国には多くの機関で維持管理に関する貴重なデータがストックされており、これら過去の変遷事象を分析することで新たな視点が見えてくるものがあるのではないかと考えております。このような課題に対し、持続的な維持管理方策を体系化していくことが重要と考えております。 特定課題「河川維持管理を見据えた新たな技術について」では、実河川における管理事例、河道や施設の状態把握から分析・評価の方法等に関わる技術、研究成果を踏まえ、維持管理という面から新たに求められる技術や研究の方向性を議論するうえで有用な情報を提供する論文を広く募集します。これまで蓄積された知見や研究成果等のレビューと今後求められる方向性に関する総説や、メンテナンスを含めたトータルのコスト縮減や効率化を目指した技術、研究、試行事例に関する論文・報告など、維持管理面を意識した設計、調査、モニタリング方法の高度化等に関わる幅広い投稿を期待します。
(3) 一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。

・論文集投稿ジャンル

論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。

・発表形式

特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。

・投稿資格

河川の技術に求められるさまざまなインターフェ−ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。

・投稿料

参加費とは別に投稿料を取ることはいたしません。ただし、カラーページを含む原稿については別途カラーページ負担金をいただきます。

・要旨による応募方法

応募方法は、2014(平成26)年12月上旬までに河川部会ホームページに掲載しますのでご覧ください。同ホームページに掲載された形式で下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。また、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください(ただし,参考文献の記載は制限字数から除きます)。第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題1・特定課題2、or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先:(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)
・応募締切り
2015年1月29日(木)17:00

・スケジュール

要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月下旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2015年4月3日(金)17:00を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後5月中旬以降にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。

・問合せ先

河川部会長 松田 寛志
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-2
日本工営株式会社 コンサルタント国内事業本部 流域・都市事業部
TEL: 03-3238-8350 FAX: 03-3238-8080
e-mail:MATSUDA-HR“at” n-koei.jp、 kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。
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