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土木学会誌

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27.公益信託 下水道振興基金
平成26年度東日本大震災復興研究等助成


1.助成の趣旨

公益信託下水道振興基金は、公益社団法人日本下水道協会の30周年記念事業として将来の下水道事業の振興を図るため、みずほ信託銀行を受託者として設定されました。
この基金は、下水道に関する研究を行う研究及び研究団体に対して助成を行い、もって環境保全に資する調査研究や学術交流が促進されることを目的としています。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。
下水道施設についても、東北から関東地方にかけ、広範囲で大きな被害が発生しました。国をあげて、下水道施設の復旧を進めていますが、下水道事業は地域の復興に不可欠な事業であり、今後とも継続的な事業実施と人材育成が必要となります。さらに、今後は下水道施設の老朽化が進行するとともに、大地震が再び発生することも予想されており、地震・津波等に強い下水道施設の整備を進めることが国民から求められています。
このため、公益信託下水道振興基金では、積水化学工業(株)からの寄付を基に、平成25年度から、東日本大震災復興に役立つ調査研究等に関する助成を行っています。

2.助成対象調査研究等

(1)東日本大震災により被災し、未だ復興がなされていない地域の下水道施設についての復興方策の調査研究(但し、原則45歳未満の方に限る)(以下、「復興方策研究」と呼ぶ)
(2)東日本大震災により被災した東北地方を中心とした公共団体の下水道関係部署に所属する若手職員(原則45歳未満)が、地域住民に下水道サービスを継続していくために必要となる下水道技術等についての研修、海外を含めた他地域の下水道事業についての視察等に基づく調査(以下、「研修視察調査」と呼ぶ)
(3)今後の大震災に対応するための助成の趣旨に沿った調査研究(但し、原則45歳未満の方に限る)(以下、「大震災対応研究」と呼ぶ) (詳しくは別添資料「助成対象調査研究テーマの基本的な考え方」をご覧下さい。)

3.応募資格者

復興方策研究および大震災対応研究においては、応募者は個人または研究グループ(公共団体を含む)とし、応募者の所属や資格は問いませんが、本人の所属する機関の承諾が得られている人とします。
研究代表者は、当該研究組織を代表し、その中心となって研究のとりまとめを行い、研究助成金の管理および報告事務等を含めて、研究計画の推進に責任を持ちうる原則45歳未満の人とします(共同研究者からは、申請に先立ち必ず当該研究への参加の承諾を得ておいてください)。
研修視察調査の応募者は、原則45歳未満の下水道関係部局所属職員とし、任命権者である所属の部局長等の了解が得られた証明書等を得られる出張者とします。

4.助成金の金額と期間

(1)復興方策研究および大震災対応研究助成金総額  500万円程度とします。(申請件数、額により総額の内から一部を助成します。)
 (平成25年度は、6件について、50万円から150万円の助成を行いました。)
(2)助成期間は、原則として助成金給付日より1年間とします。
(3)ただし、継続助成を希望される方は、毎年申請書の研究内容欄に前年度までの研究進捗状況も記入のうえ、申請書を提出していただき、そのつど審査の対象とします。
なお、その継続研究に対する助成期間は最長3年を限度とします。
(4) 研修視察調査助成金総額  200万円程度とします。
ただし、助成対象者一人当たり年間10万円(海外視察の場合は原則50万円)を限度とします。

5.助成金の使途

復興方策研究および大震災対応研究については、調査研究に関係した費用であれば、機材費、会場費、消耗品費、旅費、謝礼金等を含め、その内容を問いません。ただし、人件費は認めません。
研修視察調査助成は、研修の参加料、研修視察の旅費、日当、宿泊費とします。

6.助成金の返戻

申請研究が中止または継続不能となった場合は、助成金の全部または残りを返戻していただきます。

7.報告の義務

復興方策研究および大震災対応研究助成金を受けた研究者または研究団体は、助成期間終了後、3ヶ月以内に研究報告書及び研究結果概要並びに会計報告書を提出していただきます。なお、当該研究報告書及び研究結果概要については、下水道協会誌等において公開いたしますので、あらかじめご了承下さい。
また、研修視察調査については調査視察の内容等を、調査視察終了後1ヶ月以内に報告書として提出していただきます。

8.選考方法及び通知

学識経験者からなる運営委員会において厳正に審査・選定いたします。
また、その結果は、文書でご通知いたします。

9.選考に当たっての勘案事項

(1)本基金が助成するにふさわしい調査研究
東日本大震災による下水道の復興のための調査研究であること。
(2)研究遂行能力
調査研究目的に照らして調査研究の計画・体制がしっかりしていて、かつ調査研究者の意欲・能力も高く、高水準の研究成果が期待できること。
(3)経費の合理性
研究目的並びに研究計画に照らして、経費の見積が合理的かつ適正であること。

10.応募方法

(1)所定の申請書に必要事項を記入し、捺印の上、事務局宛て書留でお送り下さい。
なお、提出された申請書は、返却いたしません。申請書は、下水道協会HPをご覧下さい。
(2)申請書提出にあたっての留意事項
申請書は、助成対象の選定に当たっての審査資料となりますので、研究計画の作成にあたっては、変更の生じることのないよう十分検討の上、作成願います。

11.応募締切日

2.助成対象調査研究等のうち、
(1)復興方策研究、および(3)大震災対応研究
平成26年6月20日
(2)研修視察調査
研修視察等の時期により、平成26年6月20日または平成26年12月末日のいずれか

12.助成金交付

2.助成対象調査研究等のうち、
(1)復興方策研究、および(3)大震災対応研究
平成26年7月〜8月を目途
(2)研修視察調査
視察等の時期により、平成26年7月〜8月または平成27年2月末を目途

13.申請書の送付先

〒103-8670 東京都中央区八重洲1−2−1
みずほ信託銀行 信託総合営業第五部
電話:03-3274-9177
FAX :03-3274-9302

14.問 合 先

・調査研究等課題ならびに助成使途に関すること
〒101-0047 東京都千代田区内神田2−10−12 内神田すいすいビル
公益社団法人 日本下水道協会 総務課
電話:03-6206-0251
FAX :03-6206-0265
・申請一般・報告に関すること
〒103-8670 東京都中央区八重洲1−2−1
みずほ信託銀行 信託総合営業第五部
電話:03-3274-9177
FAX :03-3274-9302

別添資料
助成対象研究テーマの基本的な考え方

下水道事業における地震・津波対策に関する研究

平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、東北地方から関東地方にかけ、広範囲で被害が発生し、特に、東北地方太平洋沿岸部に立地する下水処理場が津波により甚大な被害を受けるともに、東京湾沿岸部の埋立地域等で地盤の液状化により管渠が大きな被害を受けた。被災地においては、復旧・復興に向けた取り組みがなされているところであるが、現在、地震に伴い地盤沈下が生じた臨海地域、福島県内の警戒区域等においては、未だ本格的な復旧・復興が行われているとは言い難い状況である。
わが国は環太平洋地震帯に位置し、地殻変動が激しく地震活動が活発であり、東北地方のみならず、全国的に、首都直下、東海、東南海・南海地震等の地震の発生が予想されているが、災害時においても、トイレ機能の喪失、都市内の汚水の滞留・浸水被害の発生、公共用水域の水質汚濁、更には下水管の損傷に起因する交通機能の阻害の防止等を行うために、下水道として、地震・津波対策を実施することが求められている。具体的には、下水道施設の耐震化を図る「防災」、被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組み合わせた総合的かつ効率的な対策が必要である。
このような観点から、東日本大震災の被災地における下水道施設の復旧・復興、さらには、今後発生が想定される大震災時における下水道機能の確保に資する、下記のような研究に対して助成を行う。

○効率的な管路(性能)の点検・調査手法及び診断手法
○被災時における迅速な下水処理場の簡易処理方法(水準アップを含む)
○放射能物質を含んだ下水汚泥の適切な処理・処分方法
○復興まちづくりにおける効率的・効果的な下水道整備(復旧を含む)手法
○既設マンホール及び管路の効率的な液状化対策(浮上防止等)
○地震・津波対策を踏まえた下水道BCP(事業継続計画)の効果的な構築手法、及び効率的なBCM手法
© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会