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土木学会関東支部では例年,土木の日(11月18日)記念行事として親子見学会を開催しております。
 今年は11月18日(土)に開催し,12家族(大人17名,子供14名),計31名の方々にお越しいただき,神奈川県相模原市にある「中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事」と,東京都中野区にある「環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事」を見学しました。

■中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事の概要

リニア中央新幹線は,全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画が決定されている路線であり,東京都を起点として,山梨リニア実験線,甲府市附近,赤石山脈(南アルプス)中南部,名古屋市附近及び奈良市附近を経て,大阪市を終点とする延長約438kmの新幹線です。この路線に時速500kmで走行する超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)を導入し,東京・大阪間を約1時間で結びます。今回の見学では,橋本駅近くの中央新幹線神奈川県駅(仮称)の新設工事を見学しました。

中央新幹線神奈川県駅(仮称)は,3層構造で,延長約650m,深さ約30m,最大幅約50mという広大な空間の地下3階部分に2面4線のホームが設けられます。新駅を工事する場所は,神奈川県の協力により,県立相原高校の跡地を工事する場所として広く使うことができ,また関東ローム層という地盤条件が良い場所であり土を掘っても簡単には崩れない土である為,主に開削工法で実施されています。

画像:中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事の概要
画像:地図

■中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事の見学

はじめに、工事現場の会議室にて,リニア新幹線の説明と神奈川新駅(仮称)の工事の説明を受けました。それからヘルメットをかぶって会議室から工事現場へ出発です。まず,仮設桟橋を含む全体を見渡せる高台(リニア広場)で見学が開始しました。ここは一般開放しており,快晴の空の下一般の人たちと混ざりながら工事現場全体を見て回りました。リニア広場には工事を説明するパネルがあり,工事現場の方の説明と資料を見ながら子供たちは工事の全体像を掴んでいました。

そして次はいよいよ仮設桟橋へ進みます。仮設桟橋は地表から約30m掘削した場所に架設されており,今回の見学はその仮設桟橋の上部からも新駅全体の工事風景を見ました。仮設桟橋上部から掘削底面までは約30mある為,桟橋から下を除くと目がくらみます。下を見ると重機による掘削作業が行われていました。普段見ている大きな重機がとても小さく見えることに子供たちはビックリしている様子でした。

会議室に戻ってからJR東海公式ユーチューブを視聴した後,質問タイムがありました。子供たちの質問の中には将来が楽しみに感じられる質問もありました。

画像:工事の概要説明 画像:歩いて工事現場へ
画像:高台からの工事現場① 画像:高台からの工事現場②
画像:仮設桟橋からの見学① 画像:仮設桟橋からの見学②
画像:仮設桟橋からの工事現場① 画像:仮設桟橋からの工事現場②
画像:仮設桟橋からの工事現場③ 画像:質問タイム
画像:全体記念写真
画像:全体記念写真

■環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事の概要

「環状七号線地下広域調節池」のうち,石神井川区間の本工事は,白子川地下調節池と神田川・環状七号線地下調節池を連結する,トンネル式の地下調節池を整備する工事です。中野区野方5丁目にある発進立坑(妙正寺川取水施設)から,環七通りや目白通りの地下を通り,練馬区高松3丁目にある到達立坑(石神井川取水施設)まで,総延長5.4kmのトンネル式地下調節池をシールド工法により構築します。さらに,できあがったトンネルを維持・管理するための中間立坑を,練馬区豊玉中3丁目にニューマチックケーソン工法により構築し,中間立坑とトンネルを連結する連絡管を開放型シールド工法により造ります。

画像:環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事の概要
画像:シールドマシン、合成セグメント

■環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事の見学

始めに工事現場の会議室にて,発注者である東京都の職員の方から台風や集中豪雨による水害から都民を守るために実施している治水対策の一環としての地下調節池の役割や工事の概要・シールド工法の説明を受けた後,ヘルメットをかぶって施工中の工事現場に出発しました。

まず,立坑の脇にある階段を使って地下50mの深さまで下りていきます。目も眩む高さを自分の足で下りていくので,子供たちの中には下りるのが怖いと言う声もチラホラ聞こえましたが,みんな頑張って下りて行きました。

立坑の底に下りた次は約700mのトンネル内を進み先端部を目指します。歩く途中,セグメントやセグメントを運搬する軌道設備や大規模な各設備など,普段なかなか見慣れないものに見学者の大人子供共々目を輝かせていました。 途中から工事用台車の階段を上り下りして、しばらく歩くとトンネルの先端部に到着しました。ここでは実際のシールドマシンで使用されている設備を目の前に,説明を受けながら時間をかけて見学しました。

帰り際,立坑の底で全体写真を撮りエレベーターで地上へ帰ります。最後に会議室での質問タイム。往復で約1.4㎞歩いてヘトヘトかと思いきや,とても多くの質問が大人からも子供からも飛び交っていました。その質問に対して一つ一つ丁寧に答えて頂き,大人も子供たちも大満足だったと思います。また,会議室にあった動くシールドマシン模型を動かして、子供たちは目を輝かしていました。最後に子供達にはお土産を頂き,現場を案内してくれた発注者の方々と現場の方々に御礼をして帰路に着きました。

画像:工事の概要説明 画像:入坑前の現場状況説明
画像:立坑の階段を下りていく 画像:トンネル内に出発
画像:シールドマシンへと延びる軌道 画像:セグメントを発見!
画像:トンネルの先端での説明状 画像:帰路はエレベーターで!
画像:質問タイム 画像:動くシールドマシンの模型
画像:記念撮影

■おわりに

今年も去年に引き続きの開催となり,関係者の皆様方のご協力により無事開催することができました。今回の親子見学会は,新幹線の新駅と地下調節池の新設工事という二つの現場を見学させて頂きました。新幹線の新駅は子供たちも想像を膨らませていたかもしれませんが,実際の規模の大きさに圧倒されていたようですし,地下調節池のほうも普段聞きなれない分どんなものかチンプンカンプンだったと思います。ですが,どちらの現場でも非常に丁寧な説明や案内をしていただいた為,この工事が何のために実施されているか,また完成したらどんなものが出来上がるのかを理解できたようでした。参加された子供たちに,少しでも建設業の魅力を伝えることができていれば幸いです。

どちらの現場も,工事中の場所に行き,直にその場所の空気に触れることはなかなかできない体験で,子供や大人も凄く貴重な体験だったのではないかと思います。一通り見学した後の質問タイムでは,子供たちが競って質問しているのを見て嬉しく思いました。

土木学会関東支部広報部会では,土木という仕事に親しみと興味を持っていただけるよう,今後も楽しい見学会を企画いたしますので,ぜひご参加ください。「こんなものが見たい・知りたい」という意見などありましたら,下記連絡先までお寄せください。

土木学会関東支部への連絡先:kanto@jsce.or.jp

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