平成30年度土木学会全国大会

特別講演会

8月30日 (木)14:50~15:40 かでる2・7(北海道立道民活動センター) かでるホール
 入場無料(一般参加可能)

自治会長の写真

横内 龍三 YOKOUCHI Ryuzo
北洋銀行 顧問

1944年長野県生まれ。1967年京都大学法学部卒業後、日本銀行入行。1977~79年フランクフルト事務所駐在。その後、大分支店長、電算情報局長、人事局長などを経て1998年日本銀行退職。2000年弁護士登録、田辺総合法律事務所入所。2004年北洋銀行に執行役員副頭取として入行。取締役副頭取を経て2006年~12年取締役頭取、その後今年3月まで取締役会長を務め、現在、顧問。また、2012年~今年4月まで北海道経済同友会代表幹事も務め、現在、同顧問。民族共生象徴空間交流促進官民応援ネットワーク代表。

講演題目:北海道における人口減少下の 「地方創生」

世界同時好況が続くなかで、我が国経済は、低成長や格差拡大などの問題に加え、人口減少という困難な構造問題に直面している。懸案の東京一極集中にブレーキがかからない状況の下で、地方、就中北海道は、全国と比較しても人口減少のスピードが最も速い。

北海道は、全国と比べて、製造業(第2次産業)のウェイトが低く、農林水産業(第1次産業)およびサービス業(第3次産業)のウェイトが高い。これまで製造業を中心とする企業誘致策(弱みの克服)を推進してきたが、生産拠点の海外移転(国内空洞化)の下で捗々しい成果を得るに至っていない。最近では、不採算化する鉄道事業や空港民営化問題など交通インフラの再構築、さらには全国一高い電気料金に象徴されるエネルギー問題の克服など、新たな構造問題が浮上してきている。

こうした状況の下で、北海道は「地方創生」の主軸として、「食」と「観光」を掲げる。近年、「食」と「観光」における北海道ブランドの評価は高く、道民の期待は高まっているが、この分野でも低生産性の克服が課題である。

課題山積の北海道における「地方創生」であるが、今後、社会基盤施設(インフラ)の維持管理・更新の問題も大きくのしかかってくる(土木学会の役割も高まる)ことが予想される。

地方あるいは北海道における「地方創生」は、どうしても課題解決型になりがちであるが、また一方では課題解決への着実かつ継続的な取り組みなくして豊かな地方の構築は難しいのも事実である。本講演では、北海道が「地方創生」で直面する課題とそれに対する地域の取り組みの現状を探ってみたい。