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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2009年7月号モニター回答


■ 裏表紙 地底のハイウエーを探検

いつも世界遺産の写真を見つつ楽しませていただいています。今回は「地底のハイウエー」という言葉に心惹かれました。最近、都市に存在する人工の地下大空間やネットワークにひそかに興味があるのですが、コウモリが出迎えてくれるハイウエーの通り心地はいかがなものか、ぜひ味わってみたいです。
(所属:京都大学大学院  氏名:木村優介)

■ 巻頭言 インフラの老朽化に備えて業務遂行のあり方にも英知を 星野 満

インフラの老朽化対策は、車の車検精度や鉄道の車両点検、新幹線のイエロウドクターによる軌道点検の様に正確に出来るものではない。変位計の設置等によりある程度数値管理が出来るものもあろうが、大半は目視点検、ハンマー音による感触などに頼るしか方法は無いと思われる。特に地中構造物となると完全にお手上げである。建造年月日を頼りに再構築しか方法は無いのではなかろうか。新設から再構築へ、次世代に引き継ぐ大きな課題だと思う。
(所属:(株)明和プラテック  氏名:鉤 真幸)

社会資本である個々の資産を幾つも見ていく場合にライフサイクルコストの観点から一つひとつの資産の修繕の時期を許容範囲内で調整して時期や費用の出方を平準化したり、予算の範囲内に収めることや更新投資の時期を検討をすること等は誰しも思いつきますが、ご提言の、新設の応用ではない、異なる観点からの取組み方が必要というお考えは重要な意義を持つと思いました。先人の築いた効用の高い資産は将来へ承継していかねばなりません。インフラというからには歴史的価値だけでなく、効用も現存しているべきです。新設の応用ではない適切な維持管理が歴史と文明の厚みを感じさせてくれるでしょう。
(所属:   氏名:秀島 雄二朗)

■ PHOTO REPORT 山梨市の琴川ダム 青木 明雄

ダムの景観は、有効な観光資源となります。さらに、写真に掲載されているような遊歩道は、ここを歩く人々に安らぎを与えることでしょう。私が暮らしている近所には、ダムがあります。そこを周回する歩道は、健康のために散歩する人、犬と散歩を楽しむ人、ジョギングをする人など、さまざまな人々が利用しています。このようなダムの景観を楽しめるスペースがあることは、非常に幸せなことであると実感しております。
(所属:   氏名:平田 貴久美)

■  ロサンゼルス・ゴールドライン・イーストサイド延伸建設工事 中村 直人

今我が国でもライトレールの見直しが言われている。鉄道の輸送エネルギー効率は、自動車、航空機、船舶、に比べ格段に優れている。高齢化に向けても格好の輸送手段だと思う。昔の市電の残る所等で自動車とのすみ分けを決めて今後整備して行くべきインフラの主要な一部門ではないだろうか。
(所属:(株)明和プラテック  氏名:鉤 真幸)

■ この人に聞く 第56回 岡野工業(株)代表社員 岡野雅行さんに伺いました [聞き手]安原 達

各分野に職人と呼ばれる方がおられます。その中で、岡野さんは、世間をアッと言わせる発想を持たれております。きっと、土木分野においても、世に知られていないすごい職人がおられるはずです。もっと、土木分野を世間に知ってもらえるようなアピールの方法について、今まで以上に積極的に議論してはどうでしょうか?
(所属:   氏名:平田 貴久美)

“試験なら問題があって答えがあるけど、これはまだ答えがないんだ。今の技術屋はみんな大学の先生なんかにおそわっているんだよ。そこから脱皮できないからダメ。答えの決まっている勉強ばかりやっているから。” には 人間の生き方の根源をずばり言っておられるように感じた。人生を生きるのに大学に入ることも必要だとは思うが、それだけでは決して十分条件ではない。単なるちょっとした必要条件でしかないのではないかと思う。これと同じようなことを作家の辻井喬氏も言っておられたのを思い出す。
(所属:(株)明和プラテック  氏名:鉤 真幸)

岡野さんのインタビューは、ものづくりに対する斬新な考え方や熱意など、非常に興味深く読ませていただきました。ここに登場する各界で活躍されている方々に共通しているのは、仕事に対してとてもエネルギッシュであり、物づくりや物事に対して決して諦めないこと。この2つが大きいように感じ、大いに参考になります。そして一番印象に残ったのは、「中途での失敗の量は半端じゃない」との言葉の重みです。最後まで絶対に諦めない姿勢こそ学ぶ必要があると痛感いたしました。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

■ 特 集 甦る ─つくったものを見直す、自然再生への一歩─

自然再生事業といえば、釧路湿原での蛇行河川の復元しかイメージがなかったが、この記事を読み、自然再生のための工事をするだけなのではなく、それ以外の多様な取り組みがなされていることを知った。特に、自然再生が持続的に行われるための仕組みをどのようにするのかについて、行政関係者の1人として参考になった。
(所属:富山県 氏名:山中 久生)

われわれ人間が普段自然と思い込んで接しているものはたいてい「人の手が加えられた『人工の自然』である」ということに気づいた。森には遊歩道が整備され、砂浜には海水浴客のために砂の量が維持される。愛知万博で話題になった『里山』も、まさに人の手が作った自然である。あちこちでエコが叫ばれ、開発行為そのものがややもすると批判されがちなご時世ではあるが、人という存在があり、人と自然が付き合っていく以上、自然には手を加える必要があると思っている。ただ、その方法はいくつもあり、かつてのように『破壊』ではなく『共存』ができるようになってきたというのも近年の技術の進歩だろうと思う。自然の持つ力を最大限生かし、人間はそれに少し手を加えるだけでよくなってきた、というのが喜ばしいことであろう。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

■ 自然再生事業は今 山下 功

自然再生事業って 『 何 』 都市再生とは違うの、よく分からない!自然再生=保全・回復・復元・修復・維持管理・創出を指すのだそうだが?回復とか修復の考え方は理解できるが、ほかの概念・考え方には人間の自然に対するおごりを感じられてならない。防災機能と予算ありきの事業計画を重視した、硬直した土木行政は人間と共生していた自然を失ったことは事実である。今回の記事は、住民も参加し専門家のアドバイスが有効に働き始めたことを示すもので、希望の持てる明るい行政の未来像とも見える。ただし、これらの活動に行政のお金が必要なことは云うまでもなく、それがまた過去のように行政(国交省・農水省・環境省・県・市町村)の既得権益とならないことを願うものである。これらの各計画が『ソウルの清溪川再生』のような形ばかりの再生事業とならないことを願う。
(所属:(株)てすとぴあ 氏名:坂本 和雄 )

■ COLUMN1 甦る 小島 昭

普段耐震補強等で使用される炭素繊維が水質浄化効果があるとは思ってもいなかったので正直ビックリしました。世の中、ハイテクに進む一方で、このようなローテクの技術で何とかならないかという発想は今後重要になってくると思います。ハイテクに頼りすぎてからでは遅いのかも知れません。きっとこの事例のように、ローテクで解決する何かを我々はたくさん見落としているのではないかと思いました。
(所属:首都高速道路(株)氏名:石原 陽介)

■ 協働による渓流環境の復元の試み茅野 恒秀

首都圏の最北端に位置すると言う利便性を基に再開発が進む、と言うお決まりのプロジェクト。これを住民の声を基にし、計画を中止し復元を進めていくことは、勇気が必要だったことと思う。そして、渓流環境の復元を重点として、治山ダムの撤去を行うと言う決定もこれまでの治山概念を覆すものとしては画期的なことを行っていると感じた。巨大なコンクリートダムによって自然を制御すると言うことは、我々の生活に必要な電力や水資源を提供していることもまた忘れてはならないが、地元住民の声を重視して、これまでの概念に囚われずに事業が進む姿は土木の本来の目的である地域住民への貢献と言う形の本分として、より注目されるべき事柄であると考える。
(所属:戸田市  氏名:諸井 敬嘉)

過去に砂防堰堤の設計に携わっていたこともあり、本掲載記事に非常に関心を持ちました。近年では、渓流環境に配慮された魚道等が設置されているものの、古い堰堤にはそのような施設は設置されていないように思われます。災害を防ぐために社会的必要性の高かった堰堤でしたが、自然環境に対する意識の高まり、また、土木構造物に対する見方の変化がこのような事業の見直しを進める要因になったのではないかと思われます。今後もこのような既設土木構造物に注目が集まり、同様な状況が発生するものと考えられ、将来における公共事業の在り方(方向性)を示しているように感じました。
(所属:戸田市  氏名:宇田将人)

掲載記事に関する質問等になります。ご回答よろしくお願い致します。  ・計画では、第2号堰堤の中央部が撤去されるということですが、写真では左岸基礎部が露出しており、その場所に渓流のみお筋ができているように見えます。私個人の意見ですが、更に上流にある遡上を阻害している堰堤の中央部撤去をした方がいいのではないかと思いますが、どうお考えでしょうか?また、第2号堰堤の場所が流域のどの部分に位置しているか不明なので、堰堤の全体図があると非常に分かりやすいと思いました。
(所属:戸田市  氏名:宇田将人)

■ 学生記事 第5回 クロスボーダー 音と土木 葛西 誠、関根 正之

毎回楽しんで読ませていただいております。音と土木の着目点が素晴らしいと思います。私も、道路事業者として騒音や振動に関して、これらを効率よくエネルギーに変換できれば良いなと毎日思っております。自動車も最近は音が静かになってきており、消費エネルギーの効率化技術もかなり進んできていると思われますが、限られた資源の中でハード面もソフト面もエネルギーの効率化が進むことが究極のエコロジーなんだなと改めて感じさせられました。
(所属:首都高速道路(株)氏名:石原 陽介)

「音と土木」、この簡潔なテーマにはいろいろなことを連想させる魅力があります。私たちは土木の世界で日常生活をしており、毎日様々な音が耳に入ることを既に気付かないでしょう。音を電力にし、無用なものを有用なものにするような技術は、もし生活のあらゆる面で開発すれば、私たちの生活は快適になれるかもしれません。この記事を読んで、音力発電を考え、さらにその技術を開発する方々に感心しました。
(所属:神戸大学大学院   氏名:彭 豊)

東京駅の発電床実験は以前ニュースを見て知っていて、やはり発電効率の課題が残った、という結果を聞いた。この類のエネルギーリサイクルにはかなり興味があって、今私が仕事をしている道路分野にも使えないかどうか考えていたが、照明や情報板といった大きなものは無理でも、確かに料金所の路側表示機ぐらいなら十分まかなえるかもしれない。現在ではせいぜい遮音壁にソーラーパネルを貼り付けることぐらいしかできていないが、今後もさまざまな技術を期待したい。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

題名からすると、振動・騒音のことかと言うくらい土木の中では重要且つ厄介者な存在だがこれを融合する技術が出来ることになると言うのだから、物事の発想には限りがないと思わせてくれた。その利用の一つに、雨が地面に当たるときの振動で降雨量を正確に測定出来るシステムがあるという。先日、短時間豪雨を原因とする下水管作業員の死亡事故が起こった。レーダーを始めとした最新のシステムでも予測・対処しにくい突発的な気象条件は一歩間違うと人の命を簡単に奪ってしまう。自然の怖さと常に隣りあわせで働く土木の分野には常に新しい技術を必要としているのではないかと思う。環境変化で夏場に起こりやすくなった短時間集中豪雨の対策にぜひ役立って欲しいと思う。
(所属:戸田市 氏名:諸井敬嘉)

■ 博物館で土木を学ぶ 第7回 雲仙岳災害記念館 橋本 紳一郎

私は雲仙岳災害記念館には3回訪れた事があるが、火山災害の模様や災害地復興の内容等が種々の工夫を凝らして展示されており、専門家にも素人にもそれなりの思惑で災害に対する認識を改めさせてくれ、生きた研修の場にもなると期待していた。館内を一巡しているうちに自然災害から身を守るために何ができるか、為すべきか、公的な防災対策はいかにあるべきか等々種々考えさせられた事をこの記事は思い出させてくれた。その体験から今回のような土木にまつわる記念館や展示場を紹介するという企画は実に有意義だと思う。最近では諸目的で建造された 多くの箱物が無駄遣いの産物みたいな眼で見られるケースが多いが、少なくともかかる記念館や展示場等はいかに活かし、役立てるかという努力を惜しまない事がその解決策につながり、また積極的活用策が土木はじめ理工離れ対策上も利する事ができるのではと考える。それを指向し実践するのが理工系技術者の使命であり社会貢献だと思う。特に小・中学生対象の理工・防災・環境等の教育の場として呼び寄せたいものだ。旅行好きの一般の中高年者へは効果的なPR活動を。
(福冨幹男)

自然災害によって被災した地域・地区に対しては復旧工事が行われるのが普通で、復旧後の状態からは、もはや被災の様子を知ることはほとんどできないと言えます。そのため、このような博物館は被災の様子を体験できる場所として非常に重要でしょう。ただし、来訪者に対して当時の災害の状況を的確に伝え、かつ自分の身になって災害を感じてもらうためには、展示に相当な工夫が必要だと思います。単に自然現象を詳しく紹介するのではなく、かといって空間から切り離された統計的な被災状況だけを伝えるわけでもなく、どのような場所でどのような人々がどのような影響を受けたかという、実際の土地に刻まれた災害をいかに伝えるかが求められると思います。
(所属:京都大学大学院  氏名:木村優介)

■ 見どころ土木遺産 第60回 荒川流域の歴史的治水砂防事業 横山 公一

この写真を見て感じたこと。ありふれた砂防堰堤の表面だが、石積みの粗石コンクリート造りと書かれてあり、改めて写真を見直した。建設当時、堰堤の築造に当たり、単なる機能本位の発想だけでなく、景観環境にも配慮されていたのかと思う。東京山手線や神戸三宮、元町付近の旧国鉄の古い高架橋を見ると、梁のハンチが曲線になっているものを見る。これも同じ発想だろう。また水防林内に残る石積みの霞堤の写真を見て、これと同じものを岐阜県長良川上流で見た。温故知新、これからの構造物の構築にあたり学ぶところ大きいのではないだろうか。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

■ 土木に見る数字 第12回(最終回) 35516 安原 達

35516には一般的な感覚でない定義の「河川」も含まれていることや、河川の数の公式な統計がないことに疑問を感じました。果たして、日本の河川はこの数字より多くなるのか、諸外国よりどれほど多いのか気になるところです。正確な数は経済活動には関係ないのかもしれませんが暮らしの中であってもいい数字に思えます。タイトルの数字を見て中身を想像してから読むのですがさっぱり見当もつかないことがしばしばでした。数字を語ることで歴史の重みを十分に感じられました。折しも村上春樹の新作「1Q84」が刊行され、「あらすじ極秘」の手法をとり話題となりましたが、この連載は流行を先取り?したものとなったと思いました。未来の土木技術者は天体を股にかけ活動していくのでしょうか?そして新たな数字の歴史を生み出すのかもしれません。
(所属:岐阜新聞   氏名:土屋亜由子)

■ 連載を終えて 北野 利一、山中 稔

 「土木に見る数字」は、毎回とにかく面白かった。学会誌を読む楽しみの一つであった。毎回とも数字の持つ意味に加えて、背景、歴史等に及んで幅広く解説してくれたので、まさに新発見をした気持になった。ところで、学会誌では連載や特集で種々のテ−マが採り上げ、いずれもそれなりに役立つ有意義な企画でした。更に今後の好企画に期待致します。そこで、参考までに、今後の連載のテ−マについて私見をひとこと。今や多分野で「ものづくり」の技術が見直されている。これまでも土木遺産や名だたる構造物を対象とした特集や連載は絶えず採り上げられているが、更に温故知新・以旧換新の視点から一歩踏み込んで先人達の技術を見直して見てはどうかと考える。そのテ−マとしては、(1)発電用導水路隧道の掘削工法と保守技術等(全国的に天文的長さの導水路隧道が存在)、(2)ため池に見る築堤技術(堤高15m以下のため池の築堤・止水工法等)、(3)古墳の築造技術(考古学分野との連携)、(4)森林地帯における道路・軌道・水路等の搬送技術(日本の森林を守り、国産材木活用等を見直すために、森林土木・農 業土木技術の現況と将来を考える)。
(福冨幹男)

■ トピックス 開発途上国における道路整備工法 ─Labour-Based Technology─

このような方法で道路が作られていることを始めて知った。しかしこの記事の中にはわが国として反省すべき点が多々含まれているように思う。国情に合わせ、高性能、高能率のマシンで道路を有効に築造し、活用することは当然であるが、トピックス1で記されている様に、我が国の場合オーバースペック、過剰な設備投資が多いように感じる。アメリカの高速道路を走った時、標識類、案内板、等の簡素なのを見てそれを痛感した。以前和歌山県で地域道路を地元の人達の手で整備されていると言う記事を読んだ。日本版LBTの先駆だった訳だ。時代の変遷に合わせ道路全般のスペックを見直す時期に来ているのではないだろうか。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

LBTの紹介を拝読して、これは是非シリーズ化していただきたい内容だと感じた。我が国の土木技術は世界で最高水準であるが、戦後何もない時代から今日まで地道に技術を積み上げた結果である。ということは簡易な設備での工法から、高度な建設機械を用いた工法まで様々なバリエーションの施工技術を保有している。開発途上国では最新の建設機械や工法より、かつて我が国でも採用されていた人力・低動力主体の工法が、最適工法となる場合も少なくないと思われる。最新の設計指針や便覧には掲載されなくなった工法・技術の連載をお願いしたい。
(所属:日本水工設計   氏名:佐々木 隆)

恥ずかしながら、この記事で初めて「LBT」を知った。アジアやアフリカを中心とする発展途上国において、約40年も前から普及していたとは・・。記事にもあるように、確かに先進国においてはLBTの技術は不要だが、しくみそのものは、インフラ整備等の目的と合致するものであり、基本に立ち返って学ぶ点が多いと思う。わが国は、資金や技術支援など、どの程度このプロジェクトに関わっているのか、もう少し詳しく知りたいと思った。
(所属:岡山県 氏名:難波明代)

■ 1 LBTとは何か、その概要と今後の課題 徳永 達己

「LBTとは、いったいどんな工法なのかな?」。なんだこういった工法(?)だったのかと率直に感じたのと同時に、人力による施工が開発途上国にとっては様々な効用をもたらす工法なんだなと思いました。わが国の建設工事おいては、LBTは確かに現実的ではないかもしれませんが、本当に必要なものを、住民参加によりインフラを整備し、維持するという公共工事の原点のようなものを感じ取ることができました。今後も、ハイテク分野だけではなく、このようなプロジェクトの紹介も興味がもてるトピックスだなとつくづくと思った次第です。
(所属:(株)キャプティ   氏名:斉藤 実 )

■ 4 ウガンダの地方道路とLBT 荒川 勉

本校にも東南アジアやアフリカからの留学生を受け入れている。最近でも,ウガンダからの留学生を送り出したところである。留学生からインフラ整備については,あらゆる分野で技術が求められていることは伺っていたが,LBTという道路整備工法がILO主導で一般化され,成果が出てきていることは,素晴らしいことである。現在の日本の建設工事では,人が動くと高くつくので,機械化,効率化を進めるのが大前提である。しかし,これから30年で国土インフラの基本整備を行う段階の国では,人力を最大限に活かしながら,その国モデルの設計基準を整備し,近代化を進めなければならない。LBTの次の一手は,どのような処方箋が示されるのかが楽しみである。
(所属:高松工業高等専門学校   氏名:向谷光彦)

■ 5 人びとの自信とやる気を引き出すインフラ整備 福林 良典、相川 次郎

インフラを住民自ら整備するというのは、土木の原点だと思う。自分たちの暮らしを支え豊かになると思い、また自分たちで出来るとわかれば、人々が自然と動き出す。自らの手で造ったものであれば、愛着もあるだろうし、これからも大事に使っていくのだろう。状況が大きく異なるが、日本でも住民が河川環境の改善などに直接的に係わる事業から、計画の段階で合意形成を図るような間接的に係わる住民参加型の事業が進められている。まさに、これからの社会資本整備のあり方をアフリカの農村部での活動が示していると感じました。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

■ 論説委員会の頁 第24回論説(2009年5月版)土木学会から契約約款の発刊を 小澤 一雅

発注機関,建設産業界,学識経験者が等しく受入可能で,実効的な約款の発刊を期待します.OJTにより体得した手法を途中で変更することには,多大な労力が必要です.そのため,文中に指摘される通り,これまでの歴史の中で培われた運用を,すぐに軌道修正するのは難しいと感じます.土木学会が中心となり,産官学がお互いに知恵を出し合うことは非常に意義深いものと思います.新しい約款に沿った運用法を考えるだけでなく,スムーズに乗り換えるためのプロセスについても議論し尽くされることを期待しています.
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

■ 総合医療としての新たな社会資本整備の姿 布村 明彦

日本としてどのような国土にしていくべきなのかというビジョンや具体的戦略が欠落し、対処療法が多いとのご意見には同じような感想を持っています。金融危機以降、21世紀型の産業の育成が重要になっているにもかかわらず、20世紀の大量生産消費産業の象徴である自動車産業を延命する高速道路の休日の均一料金などはまさに末期的、刹那的な現象と考えています。21世紀の日本をどのような国にしていくことが国民の幸せや、競争力を維持していくために、必要なのか土木に携わる技術者が真摯に議論すべき時期にさしかかっていると思います。
(所属:大日コンサルタント   氏名:船場俊秀)

主要国の中で、何故か日本だけが社会資本の整備を軽視している感じというくだりはとても残念な思いがします。しかし、国家戦略レベル以前の問題として次に述べられている最近の風潮からの脱却こそが急務の課題と思います。財政が厳しい折に、市場ではできなくても政府や自治体ならできることが「モノ」か「カネ」か、ハードかソフトか、財かサービスかといった二者択一的な発想の政治的な議論に惑わされること無く、どの分野にも意味のある施策が展開されることを期待します。モノにこだわらないのは豊かな社会の証しかもしれませんが、社会インフラも立派に人々の豊かさのひとつの源泉と思います。
(所属:   氏名: 秀島 雄二朗)

社会資本整備と同様に今後のあり方が問題になっている総合医療で、新たな社会資本整備を考えると、今後のあり方がわかりやすく見えてきました。これからは、外科的な社会資本整備より、自然治癒力を高める環境創造型の整備、高齢化に備えた予防医学として維持管理、防災減災など、多くの共通点があります。高齢化に伴う人口減少の状況でも、それに応じた社会資本整備が必要であり、医療と同様に、求められる技術も高度化していくものと思いました。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

■ 夕日を評価する 吉田 薫

日々何気なく見過ごしまう夕日の評価。面白い試みだと思いました。検証方法が確立されれば、天気予報などで明日の夕日の美しさも伝えられるのかもしれません。また、「技術者が選ぶ夕日ランキング」のように紹介してみるのも、信頼されるデータとして一般の人に支持されるのではないかと思いました。カラー写真で読みたかったです。
(所属:岐阜新聞   氏名:土屋亜由子)

一見、土木とは関係のなさそうなテーマだが、広い意味で景観問題とつながっているようで意外性があった。滝等の落水表情に関する研究みたいなものか。土木のカバーする範囲が広いことをあらためて認識した。考えようによっては、「クロスボーダー」で取り上げてみてもおもしろいテーマなのかもしれないとも感じた。
(所属:富山県 氏名:山中 久生)

■ 土木学会の動きからピックアップ 八田與一の墓前祭と馬総統 高橋 裕

去る4月中頃 台湾一周の旅をした。八田與一のことはある程度頭の中にあったが、旅行中添乗員、現地ガイドさんから八田與一のことを聞くことはなかった。何故だろうか。50年に亘るわが国による台湾の植民地政策は、他に類を見ない良政良政であったと聞いたが、今思うと残念でならなし。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

実は不覚にして、「バッテンライ!」を全く知らなかった。改めて本を取り寄せて読むしかないが、このような話が、金沢の地だけで広がっているというのはもったいない。この記事を読んでいて、頭を離れなかったのは、都内23区の北西部の友人を訪ねた時のことである。街路は入ってなく、住居表示はルール外、カーナビがないと到達は難しいという。消防車の到達は遅く、火災の類焼の危険は高い。伊藤滋先生が「2030年の東京」という講演をしているが、どうも楽観的過ぎるように思われる。飛び地や、細街路、消防防災などの基本的な政策の手抜きをするようなときは、チームを作って行政のいわば尻たたきをする役割のチームが必要な気がする。
(斉藤 恒孝)

■ 土木学会の動き 協定学協会協定学協会メコン川流域の環境保全・開発と国際支援に関する国際シンポジウムを開催 岡村 未対

本校にも東南アジアやアフリカからの留学生を受け入れている。最近でも,ラオスからの留学生を送り出したところである。ラオスはメコン川の上流地域であり,ボーキサイトの資源掘削やダム建造による電源開発プロジェクトが目白押しである。最近もラオスの首相が来日して首相会談を行ったと聞く。多くの国を流れるメコン川という対象物をキーワードに,このような国際シンポジウムが開催されることは,日本の果たす役割を明確にする意義深いものである。今後も関係者のご尽力で,継続的に取り組みがなされることに大いに期待する。
(所属:高松工業高等専門学校   氏名:向谷光彦)

■ お知らせ土木学会書籍の在庫処分のお知らせ

土木学会モニターになってはじめてこのような取組みがあったと気付きました。どのような本があるのかと次のページを見たら、どれも興味がある本ばかり。。。 廃棄するのであれば、私も欲しいと思い申込をしました。このような取組みは、是非今後も積極的に行って下さい!
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

■ その他

●新編集委員会の皆様のカラーによる顔出しから、皆様方の熱意が伝わってくる様に感じ良かった。 ●夕日をリポートする は CEリポートの表題にあるように土木に関する広範な話題を対象とし・・・また 技術最前線を統合し・・・ とはすこしずれているように感じるが、如何なものであろうか。それと夕日が対象であるから写真はカラーにして頂ければもっと良かったと思う。
(所属:(株)明和プラテック   氏名:鉤 真幸)

・全国大会案内を別刷りにすると,高く付くのではないでしょうか。 ・四国支部などでは,毎年土木系の工業高校,高専,高専専攻科,大学,大学院生の優秀学生表彰を行っています。また,他の支部にもあると聞きます。全国大会優秀発表賞も,対象は若手研究者が含まれ,多くの学生が表彰を受けています。ところが,これら学会から手厚く表彰を受けた学生らは,就職後もきちんと正会員になっているのでしょうか。または,会員種別変更期にそれなりの追跡調査がなされているのでしょうか。 ・新法人化後は,ほとんどすべてのイベントが,一般市民に解放されると聞きます。実際にやってみないと想定されるトラブル等は分からない面はありますが,本部としてどのような処置をお考えなのでしょうか。
(所属:高松工業高等専門学校   氏名:向谷光彦)

6月号モニターの声を投稿させていただき、その中で「モアイ像の重量は?」との質問をしたところ、迅速かつ丁寧にご対応いただきました。学生編集委員の葛西誠様、杉江裕実様本当にありがとうございました。毎号、学生のみなさんの記事を楽しく拝見させていただいています。今後も楽しい記事を期待しております。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会