公益社団法人土木学会


平成22年度認定
留萌港南防波堤
留萌市大町 竣工年:1929(昭和4)年
激浪による稀有の難工事と堤体の移動や改修の歴史を示しながら、港湾と都市を守り続ける初期の重力式ケーソン構造の外洋防波堤である。

 留萌港南防波堤は、1910(明治43)年に始まった留萌港の築港工事の中で最初に着手した我が国最初期のケーソン構造の外洋防波堤です。
 ケーソン製作にあたり、小樽港と同時期に滑台式のケーソン製作ヤードを設けましたが、災害や冬期の作業休止で工事は困難を極めました。そこで、小樽港でケーソンを製作し、100km先の留萌まで海上輸送する前代未聞の計画を立て、1922(大正11)と翌年に17函をそれぞれ30時間近くをかけて曳航しました。
 廣井勇は「防波堤の築造は希有の難工事」と特筆しました。防波堤の竣工は1929(昭和4)年。留萌市街地整備と雨竜炭田開発による石炭積出港の地位を確立した時期と重なります。約半世紀に及ぶ築港の計画から実施には、廣井勇及び門下生の伊藤長右衛門や林千秋が所長として難題に立ち向かいました。港内や高台からは、彼らを悩ませた1920(大正9)年に激浪で港内側に押し出されたケーソンを遠望することができます。南防波堤は現在も第一線の防波堤として、初期の防波堤を礎としつつ嵩上げや消波工による改良が施され、新旧の構造が渾然一体となって、港や街を守り続けています。


南防波堤全景

港内に押し出されたケーソン
(南防波堤への立入はできません)

望洋公園に移設された赤灯台
(林千秋の扁額あり)

※画像をクリックすることで拡大してご覧いただけます。

北海道選奨土木遺産カード : No.26 留萌港南防波堤

関連文献リスト
1)「日本築港史」、廣井勇、1927年
2)「留萌港史」、北海道開発局留萌開発建設部、1976年

その他
・防波堤は許可なく立ち入ることはできません。
・港内に押し出されたケーソンは、国土地理院の空中写真閲覧サービスから確認することが
 可能です。 http://mapps.gsi.go.jp/

選奨土木遺産マップ