公益社団法人土木学会


平成21年度認定
小樽港斜路式ケーソン製作ヤード
小樽市 竣工年:1912(明治45)年
滑り台方式でケーソンを進水させた世界初の施設であり、ケーソン技術の適応範囲を広げ、わが国近代港湾の発展に貢献した

 1908(明治41)年に起工した小樽築港第2期工事では、独立した安定を確保可能なコンクリートケーソンによる島堤を構築することとなり、そのケーソン製作のために新たに設けられたのが、本ケーソン製作ヤードです。斜路式のケーソンの進水方式は、軍艦の進水方式を参考にして小樽築港事務所長の伊藤長右衛門が考案した、他に例を見ない進水方式で、その後、各港でもケーソン進水に本斜路式が採用されました。
 1923(大正12)年の小樽港第2期工事竣工までに、総計百個近いケーソンが製作されました。これは、我が国最初のケーソンによる外洋防波堤工事です。また、留萌港や岩内港の築港では、ここで製作したケーソンを海上輸送しました。このように小樽港斜路式ケーソン製作ヤードは、我が国の近代港湾の発展に貢献しました。


ケーソン進水状況
(「小樽築港工事報文」大正13年)

現在の斜路式ケーソン製作ヤード(H15〜16年頃)

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用語解説
進水(しんすい)
本施設の場合、ヤードで製作したケーソンを海中に滑り落とすこと。

北海道選奨土木遺産カード : No.23 小樽港斜路式ケーソン製作ヤード

選奨土木遺産マップ