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特別講演会(入場無料)

阪田 憲次

第98代 土木学会 会長
岡山大学 名誉教授
 阪田 憲次 SAKATA Kenji

略歴

昭和42年3月 京都大学工学部土木工学科卒業
昭和44年3月 京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了
昭和52年4月 岡山大学助教授(工学部土木工学科)
昭和63年4月 岡山大学教授(工学部土木工学科)
平成6年10月 岡山大学教授(環境理工学部)
平成8年10月 岡山大学評議員(平成10年9月まで、1期2年)
平成11年4月 環境理工学部長(平成15年3月まで、2期4年)
平成15年4月 大学院自然科学研究科長(平成17年3月まで、1期2年)
平成21年4月 岡山大学名誉教授

土木学会経歴

昭和40年4月 正会員
昭和61年〜平成21年 コンクリート委員会委員
平成11年〜現在 コンクリート標準示方書改訂小委員会委員
平成6年〜8年 コンクリート標準示方書(ダム編)改訂部会主査
平成12年〜14年 コンクリート標準示方書(施工編)改訂部会主査理事
平成18年〜20年 副会長
平成22年4月 コンクリート委員会顧問
平成12年5月 土木学会吉田賞(論文部門)
平成21年5月 土木学会論文賞

その他学会活動

平成20年〜22年 (社)日本コンクリート工学協会会長
平成21年〜22年 日本ダム工学会会長

会員資格等

平成7年4月 フェロー会員
平成17年4月 土木学会認定特別上級技術者(鋼・コンクリート)

コンプライアンス推進としての社会基盤整備

わが国は、現在、急激に少子高齢化が進む中で、100年に一度と言われる未曾有の世界的な経済危機に遭遇している。そのような中、昨年夏の政権交代により、政治的状況も大きく変化した。

また、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の統合報告書には、地球温暖化の進行が確実であることが、科学的根拠に基づいて示されている。わが国においては、異常気象として、今までに経験したことのない集中豪雨など、その影響がすでに顕在化している。このような地球温暖化がもたらす様々なリスクに対する適応策としての社会基盤整備が急務である。

一方、わが国の社会基盤は、主として高度経済成長期に整備され、供用開始以来数十年を経過し、補修・補強を必要とするものが急激に増加しており、その適切な維持管理と長期効用は、国民の安全・安心を担保するため、きわめて重要かつ緊急を要する課題である。それにもかかわらず、わが国の社会基盤への投資は、ここ数年、毎年3%減で推移してきたが、昨年夏の政権交代により、さらに大幅な減額になることが予想される。このような状況が今後も続けば、近い将来、社会基盤の維持管理を公共事業費でまかなうことができず、社会基盤の荒廃を招くことが懸念され、わが国の社会活動、経済活動にも大きな影響を及ぼすばかりでなく、防災上にも深刻な問題を生じる。

わが国が目指す「持続可能な社会」の構築においては、活発な社会活動および経済活動を支える社会基盤整備がその要諦となる。すなわち、それは、社会基盤の長期効用を図るとともに、国民の安全・安心を確保し、豊かでうるおいのある人生を可能にするという社会的要請に応えるものである。社会的要請への対応とは、広義でのコンプライアンス推進であり、そのような観点から見た社会基盤整備について論じる。