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環境賞

Outstanding Civil Engineering Achievement Award

2006年(平成17年度) Iグループ

地球温暖化・海面上昇の影響評価と対策に関する一連の研究と国際協働

Studies and International Collaboration Concerning for Impact Assessment and Responses to Global Warming and Sea-Level Rise

地球温暖化・海面上昇の影響評価と対策に関する一連の研究と国際協働

  • 三村信男 (茨城大学)
  • Nobuo Mimura, Ibaraki University
概要
地球温暖化による気候変動・海面上昇は、今後数十年から100 年以上にわたって世界の自然生態系や人間社会に影響を及ぼすと懸念されている。そのため、影響予測とそれへの対応策は、人類の生存と人間社会の安全にとって重要な研究課題となっている。候補者は1980 年代末以来この課題に取り組み、大きな成果をあげるとともに、国際的な協働を推進してきた。多岐にわたる温暖化の影響に対して、全球気候モデルやIPCC の予測結果を利用して、気温上昇、降雨変化、海面上昇など今後100 年間の気候シナリオを用いて、影響を定量的に予測・評価する方法を開発した。この手法を用いて多くの共同研究を実施し、日本に対する潜在的な影響をはじめて総合的に明らかにした。また、90 年代半ば以降、日本と平衡して南太平洋の島嶼国や中国の大河川デルタ、東南アジア諸国を対象にして現地調査を実施し、これら途上国の気候変動・海面上昇に対する脆弱性を示した。さらに、気候変動・海面上昇の地域規模の影響を把握するために、地球環境データベースを用いて世界全域に対する影響を予測し、2100 年には水没・氾濫地域の居住人口が約5億人に達すること、アジア・太平洋地域への影響が大きいことを示した。以上のようにボトムアップとトップダウン双方のアプローチによって、世界規模の温暖化影響が極めて重大なことを国際的に示した。よって、土木学会環境賞に値するものとして認められた。
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