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設立趣旨
研究課題・趣旨

近年,公共投資額の減少,高度成長期に集中整備されたインフラの一斉老朽化,少子高齢化社会の到来といった背景より,土木構造物の長寿命化に向けた取り組みが精力的に進められている.このうち,各組織では,土木構造物群を資産 (アセット) とみなし,ライフサイクルにわたる劣化予測とLCC評価により,合理的かつ効率的にその運用を図る,アセットマネジメントの概念が導入されつつある.

これに対し,土木学会の各委員会では,これまでコンクリート構造,鋼構造,複合構造,土構造といった構造種別ごとに,その耐久性が論じられてきた背景がある.また,我が国の土木構造物はそのライフサイクルにおいて,大規模な地震や台風といった作用,厳しい環境作用等を受け性能が低下するが,これまで土木構造物の耐震性,耐風性,耐久性といった問題は個別に行われてきたように思われる.一方で,土木構造物の管理者や,これを利用する市民にとって,構造種別や作用は問題ではなく,丈夫で美しく長持ちする土木構造物の実現のみが求められている.さらに,土木構造物のこの種のマネジメントシステムの運用にあたっては,得られた成果を鵜呑みにすることなく,そこに内在する不確実性をも考慮し,技術者が適切な判断を下す必要があるが,このような技術レベルにある組織は極めて少ないのが現状である.

以上の背景より,今後土木学会においては,土木構造物の長寿命化を目指し,構造種別によらず,ライフサイクルにわたる作用や材料・構造特性を包括した研究課題に取り組む必要があると思われる.そして,この難題に取り組めるのはこれらの分野の専門家を有し,横断的な議論が可能な構造工学委員会だけであると思われる.そこで構造工学委員会では,新たに「土木構造物のライフサイクルマネジメント研究小委員会」を設立し,本研究課題に取り組むこととする.


設置期間

2010年6月〜2012年6月