実行委員長挨拶
 
土木学会 平成17年度 全国大会を迎えて −都市再創造のための提言−

渡辺 和足
WATANABE Wataru

国土交通省 関東地方整備局長

 平成17年度の土木学会全国大会が、来る9月7日(水)から9日(金)の3日間、早稲田大学西早稲田キャンパスを会場として開催されることになりました。

 土木学会全国大会は、全国の8支部で持ち回り開催をしていますので、関東支部での開催は1997年(平成9年)に中央大学多摩キャンパスで開催されて以来8年ぶりとなります。関東支部としては、現在大会の開催に向け、学産官の総力を結集して準備を進めています。現在の予定では、大会の目玉となります特別講演会及びパネルディスカッションの会場として、早稲田大学のシンボルともいえる大隈講堂を予定しています。大隈講堂は、ご存知の方も多いと思いますが、早稲田大学の創立者である大隈重信公を記念して建設された建造物で、1927年(昭和2年)に完成したものです。1999年(平成11年)には、東京の歴史・文化を象徴する建物を保存する目的で制定された東京都景観条例に基づく東京都歴史的建造物第1号に選定されています。

 今年度の全国大会のテーマは「日本の課題−都市再創造のための提言−」としました。都市への機能の集中、人口の集中は我が国の産業の発展、経済の高度化に大きな役割を果たしてきました。しかしその一方で大都市への過度の集中は、様々な都市特有の課題を引き起こしてきました。慢性的な交通渋滞、廃棄物処理問題、地震や水害等自然災害に対する脆弱性など様々な問題が顕在化し、都市計画や都市政策の分野で大きな課題となっています。また都市部の騒音や大気汚染、土壌汚染や水質汚濁の問題など環境面でも都市は大きな課題を抱えています。これらの都市問題は程度の差こそあれ全国の各都市で発生しています。中でも関東地方は、首都東京を擁し、日本経済・行政の中心として人口や都市機能が集中しているため、これら都市問題が最も顕著に現れている地域であります。このため、全国の都市問題を議論し、都市を再創造するための様々な方策について提言を頂くという今回の全国大会テーマは、時期的にもまた地域的にもうってつけのテーマと考えています。今回、都市で顕在化している各種の課題を、防災、都市計画・都市政策、環境の3分野に分け議論をして頂きたいと考えています。議論の進め方は、文化と自然の再構築としての観点から、都市再創造にとってどのような施策が重要で、緊急であるかをそれぞれ専門の第一線の方々からご提言いただき、あわせてコーディネーターを交えて、パネルディスカッションを行う予定です。

 大会では、特別講演、パネルディスカッション、論文発表のほかに視察見学会及びパネル展示を予定しています。視察見学会は水辺コース、道路コース、鉄道コース、シールドトンネルコースなどの5コースを予定しています。関東地方の特色のある技術などをごらん頂けるよう工夫をしていきたいと考えています。またパネル展示は大会に参加する研究者、技術者だけでなく、市民の方々にも興味を持ってご覧頂けるよう、大会のテーマに沿った幅広い視点から、新技術や特徴のある技術などを内容としたものにしたいと考えています。

 土木学会全国大会は、会員の皆さんの貴重な発表の場であると同時に、土木について日頃あまりなじみのない市民の皆さんに土木をご理解頂く重要な場でもあります。全国各地から多くの会員に参加をいただき、学術・技術の研鑽とともに、交流会を通じて会員相互の交流や親睦を深めていただきたいと念願しています。また併せて土木技術の果たしてきた役割、またこれから果たすべき使命を一人でも多くの市民の皆さんにご理解願えればと思っています。全国大会がこれらの役割を果たし、会員の皆さんの更なる発展につながることをご祈念申し上げ、挨拶といたします。

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