土木学会 平成29年度全国大会 -Japan Society of Civil Engineers 2017Annual Meeting-

土木学会平成29年度全国大会を迎えて

「土木の将来と国際化 〜世界的課題への挑戦、世界に通じるDOBOKUへ〜 」

増田 博行 MASUDA Hiroyuki
平成29年度土木学会全国大会実行委員長
国土交通省九州地方整備局長

土木学会平成29年度全国大会は、9月11日(月)から13日(水)の3日間、福岡市にある九州大学伊都キャンパスを会場として開催いたします。
九州での全国大会の開催は、平成21年(2009年)に福岡大学で開催して以来8年ぶりとなります。
大会会場となる九州大学伊都キャンパスは、福岡市の西 部に位置し、福岡市中心部から地下鉄とバスで50分という距離にあり、脊振山麓北側、糸島半島の緑と水に囲まれた豊かな自然環境の中にあります。
また、九州大学は、明治12年(1879年)年に県立福岡医学校として開設され、明治44(1911)年には、東京、京都、東北に次ぐ第4番目の帝国大学として創設されました。今年で創立106年を迎える九州大学は、現在、11学部と18学府を擁し、学生数も1万8千人を超えるなど、国内有数の総合大学として発展を続けています。

昨年を振り返ると、九州では非常に災害が多い年でした。特に、4月14日、16日の2度にわたり震度7を記録した熊本地震は未曾有の大災害となりました。九州地方整備局として、また、関係者の方々の力をお借りして、全力で復旧・復興に取り組んでいるところです。かつて、数年前、コンクリートから人へという流れがあり、東日本大震災が起こり、未曾有の大災害が発生して初めてコンクリートが大事 だということが再認識されています。災害があって初めて土木が見直されるということは非常に悲しいことですが、それが現実となっています。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震が風化しないよう、やはり、広く産学官の関係者で声を上げていく必要があると思います。
土木の範囲は河川・道路・港湾・空港・上下水道・鉄道・電力など幅広く、人々の安全・安心と豊かな暮らしは、これらの社会資本の上に成り立っています。
今、我が国は急激な高齢化、人口減少、財政状況の悪化 など、多くの課題に取り組んでいます。我が国の未来が安全・安心で活力あるものでありつづけるためには、未だに不十分な交通、防災、エネルギーといった生活を支える社会基盤の整備や維持管理を、多くの課題を克服しつつ進めてゆかねばなりません。

国際社会においては、地球規模での気候変動による大災害への対応、中国、ロシア、インド、ブラジル、ベトナム等の新興国のめざましい発展の中での急速かつ大規模な社会資本整備の進展など、土木が関わるウエイトは益々大きくなっています。
このような状況において、日本の若者が世界のフィールドで活躍し、各国の技術者との有意義な技術的、学術的交流を持って、日本の土木技術の更なる向上に寄与することを大いに期待しています。

本大会が開催される福岡都市圏は、古来から大陸への玄関口として栄え、中でも博多は平安時代から室町時代にかけて商都として栄えました。日本における国際都市の先駆けであり、今回の大会テーマである「土木の将来と国際化」にまさに合致する地域と言えます。
主な大会行事としては、学術講演会、研究討論会、基調講演会、特別講演会、全体討論会、パネル展示、国際関連行事を予定しています。パネル展示では、大会に参加する研究者、技術者だけでなく、市民の方々にも興味を持ってご覧いただけるよう、大会テーマに沿った幅広い視点から、土木のことを理解してもらえるような内容にしたいと考えております。
本大会は、土木学会の7つの研究部門が一堂に会する唯一の機会として、学会の最大かつ最重要行事でもあります。全国から一人でも多くの学会員に参加していただき、皆様の学術・技術の研鑚を積むとともに会員相互の交流、情報交換などを通じて、実り多い大会になりますことを祈念しまして、挨拶といたします。