土木学会全国大会
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実行委員長挨拶

土木学会平成25年度全国大会を迎えて

「土木が築いた今日と、切り拓くべき未来」


 平成25年度土木学会全国大会を、9月4日(水)から6日(金)までの3日間、日本大学生産工学部津田沼キャンパスを会場として開催いたします。

 関東での全国大会の開催は、2005(平成17)年に早稲田大学で開催して以来8年ぶりとなりますが、土木学会創立100年を来年に控え、学会最大の行事である全国大会をこの地で開催できますことは、関東の社会資本整備を担う関東地方整備局といたしましても大変喜ばしく思います。

 今大会では、「土木が築いた今日と、切り拓くべき未来」をテーマとし、来年の土木学会100周年を機に、次の百年に向けて土木が社会の発展に果たす役割を考えることとしています。

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災から2年4ヶ月が経ちましたが、被災後に亡くなられた震災関連死も含めると死者・行方不明者が2万人を超え、いまだに多くの皆様が仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされています。また、近年は台風や前線等による豪雨により全国各地で甚大な被害がもたらされています。

 首都直下地震や南海トラフ地震等が想定される中、国民の生命と財産を守り、国民生活の安全・安心を確保するため、防災・減災対策や危機管理体制の強化充実が急務となっております。また、昨年12月の中央道笹子トンネルの天井板落下事故を踏まえ、これまで整備を進めてきた社会基盤の老朽化対策、適切な維持管理・更新が大きな課題となっています。

 震災を教訓に社会基盤が果たしてきた役割と必要性を国民に伝えるとともに、我が国の脆弱な国土に社会基盤を整備するにあたり、土木技術が果たしてきた役割とこれから果たすべき使命について第一線で活躍される方々から提言をいただき、多様な視点からディスカッションされることを期待しています。

 さらに、これまでの土木(Civil Engineering)の歩みを振り返りつつ、その原点とも言える「自然と社会への貢献」に立ち返り、安全・安心で豊かさを実感できる社会づくりに向けて、土木技術者がどのように貢献していくかについても考えていきたいと思います。

 主な大会行事では、基調講演として太田国土交通大臣から社会インフラについて講演いただくことにしております。また、関東の土木遺産を中心としたパネルを展示する「土木コレクション2013」を東京駅にある行幸地下ギャラリーで一ヶ月間開催し、多くの方々にご覧いただく機会を設けます。

 今大会の開催校である日本大学生産工学部は、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」でよく知られる秋山好古将軍率いる習志野騎兵旅団が設置された跡地にあり、平成24年に学部創設60周年を迎え、多くの優れた研究者、技術者を育成するとともに、開かれた大学として公開講座や公開セミナーを積極的に開講し、地域社会への文化的支援と交流も深められています。

 土木学会全国大会は、会員の研究発表の場であると同時に、土木について日頃馴染みのない市民の皆さんに土木を理解していただく貴重な機会でもあります。土木技術者の果たしてきた役割、またこれから果たすべき使命を一人でも多くの方々にご理解いただければと思っています。全国から多くの学会員に参加していただき、学術研究の研鑽を積むとともに、会員相互の交流、情報交換などを通じて、更なる発展向上に寄与することを祈念しまして挨拶といたします。


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