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●交通騒音

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交通騒音は,古くて新しい課題です.古代ローマでは石畳を走る馬車の騒音についての規則があり,中世のある都市では馬車などの夜間の走行が禁止されていました.現在も我が国を始め世界各国で騒音低減に向けた取り組みがなされています.さて,騒音(Noise)とは何でしょうか.簡単には割り切れないところがあります.人間の聴覚で捉えられる振動,これを音と云います.私たちは,ある種の音を用いて情報を伝達し,また,感情を共有します.つまり,会話を交わし,音楽を楽しみ,危険を察知します.これらの音を信号(Signal)と云います.ある音をすべての人が騒音と感じる場合は,その音を小さくすればよいのですが,一部の人にとっては信号である音が,別の人にとっては騒音になるということが騒音のひとつの課題です.そう,信号交差点の「通りゃんせ」などその一例です.また,「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠まれる蝉の鳴き声や,鈴虫の音などかなり大きな音圧レベルであっても日本人は騒音とは感じませんが,異人さん達は「騒音」と感じるようです.したがって,現在の環境騒音対策は,どんな音にせよ音を小さくすることに焦点を当てているわけです.まちの良い音環境をどのように形作るのか,計画論から個別の対策まで総合的な取り組みが求められているところです.

(並河 良治:財団法人道路環境・道路空間研究所)

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