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●交通需要管理

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 交通需要管理とは,適切な方法で交通施設を利用する人数(需要)を調整し,交通施設をより望ましく使う考え方です.そもそも,渋滞や混雑は交通施設を利用したいという需要に対して,交通施設の容量(供給)が不足するときに発生します.このとき,交通需要管理では,需要の側を調整することで問題を解決します.この方法は,たとえば,次のようなときに有効です.「道路は渋滞しているけれども並行している鉄道は全く混雑していない.道路を利用する人の何人かが鉄道を利用してくれれば,既にある交通施設で充分に需要をまかなうことができる.」

 交通需要管理には,交通手段の変更以外にも,混雑していない経路への変更,混雑していない時間帯への変更,相乗りなどによる道路空間の効率的な利用なども含まれます.このような変更を促すための施策は多岐にわたります.たとえば,都心部を走行する自動車に課金するロードプライシングという施策は自動車を利用するときの費用を高くして,別の交通手段を利用してもらうという考えに基づくものです.また,自宅から勤務先までのように頻繁に利用する経路について,その人専用の時刻表を提供するような施策は,コミュニケーションによって自発的に行動変化を促すことを意図しています.交通需要管理は新たな交通施設を建設することに比べて費用が安いため,財政面からもその効果が期待されています.

(三古 展弘:神戸大学)

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