「沿岸環境関連学会連絡協議会」が発足


沿岸域に対するさまざまな時代要請や国民意識の変化を背景に,国連海洋法のわが国における発効や海岸法の改正など,沿岸域に関わる法体系が大きく変わりつつあり,それらと併行して,今後の沿岸域の環境保全・修復,水産資源管理,沿岸防災等々のあり方・将来像をより多面的・包括的な観点から追求していくことの必要性が強く認識されつつあります.このような状況を受けて, "「これからの沿岸環境」―「沿岸生態系」の持続的利用,その維持と修復に「学」は何をなすべきか―"というテーマのもとに,土木学会海岸工学委員会/日本海洋学会海洋環境問題委員会/日本水産工学会/日本水産学会環境保全委員会が主催する形で昨年7月4日に開催されましたジョイントシンポジウムは,茨城大の三村先生を中心とした多くの方々のご尽力により,約200名の参加者を得て活発な議論が行われ,成功裏に終了することができました.

シンポジウム後も,これを単発の試みとして終わらせることなく,関連学会間の様々な連携の可能性を今後も恒常的に探っていく場を設ける必要がある,とのご意見が多くの方々から寄せられ,それが契機となって,「沿岸環境関連学会連絡協議会」発足にむけての準備会が上記4学会からのメンバーにより組織されました.準備会合は昨年8月以来5回開催されましたが,その間,この発足準備会での議論に基づく企画として,第2回ジョイント・シンポジウム「沿岸環境の総合的評価と管理」―沿岸環境研究の多角化と総合化に向けて―を本年3月14日に開催しております.さらに,5月26日には,第3回ジョイント・シンポジウム「有明海の環境・漁業を考える」を開催する予定です.

「沿岸環境関連学会連絡協議会」は,本年4月までに上記4学会すべてにおいて了承されたことを受けて,無事発足させることができました.その具体的な目的と当面の活動方針につきましては「沿岸環境関連学会連絡協議会」設立趣旨をご覧下さい.当面の参加学会・委員会は,土木学会海岸工学委員会,日本海洋学会海洋環境問題委員会,日本水産学会,日本水産工学会物質循環研究会ですが,設立趣旨文にも記しておりますように,今後は,沿岸環境のより広範な学会連携をはかると同時に,陸水学など陸域環境システムに関わる関連学問分野や水文気象学・水資源学などとの連携も目指していく予定ですし,さらに,学会間連携だけでなく,行政や民間,住民(市民,NGO)との連携も視野に置く必要があると考えております.

なお,「沿岸環境関連学会連絡協議会」に対する土木学会海岸工学委員会内の窓口組織は対外連携小委員会が担当することになっております.

(本記事に関する問い合わせ先: 東京工業大学 灘岡和夫 nadaoka@mei.titech.ac.jp