選奨土木遺産

選奨土木遺産とは

土木学会では、学会自らが過去の作品をはっきりと認識し、身近にある土木構造物についてその遺産的価値を広く社会にアピールし、それぞれの地域の社会的遺産としてまちづくりに活かしてもらおうと、平成12年に「土木学会選奨土木遺産」顕彰制度を創設しました。

顕彰にあたっては、幕末から昭和20年代までに造られた土木施設の中で歴史遺産と呼ぶにふさわしい「近代土木遺産」の中で最も高い評価を受けたAランクの構造物を中心に選出されます。

東北地方の選奨土木遺産

令和3年(2021年)
北上川上流総合開発ダム群
田瀬ダム:岩手県花巻市、湯田ダム:岩手県和賀郡西和賀町、四十四田ダム:岩手県盛岡市、御所ダム:岩手県盛岡市、石淵ダム:岩手県奥州市
只見線鉄道施設群
福島県、新潟県
令和2年(2020年)
馬淵川放水路
青森県八戸市
平成28年(2016年)
磐越西線鉄道施設群
福島県、新潟県
四ツ谷用水
宮城県仙台市青葉区
十三湖水戸口突堤
青森県五所川原市十三
鳴子ダム
宮城県大崎市
平成26年(2014年)
仙山線鉄道施設群
宮城県仙台市、山形県山形市
平成25年(2013年)
三本木原開拓施設群−稲生川穴堰、十和田市市街地
青森県/十和田市
平成24年(2012年)
万世大路
福島県/福島市上町〜山形県/米沢市相生町
平成23年(2011年)
船川港第一船入場・第二船入場防波堤
秋田県男鹿市
疣岩円形分水工
宮城県刈田郡蔵王町
平成22年(2010年)
西根堰
福島県福島市・伊達市・伊達郡桑折町・伊達郡国見町
仙台市煉瓦下水道
宮城県仙台市青葉区
平成21年(2009年)
奥州街道の一里塚群
岩手県盛岡市・岩手郡・一戸町
青森県三戸郡・十和田市・上北郡
山形の石橋群
山形県上山市・南陽市・米沢市・高畠町・村山市
平成20年(2008年)
最上川橋梁:JR左沢線、最上川橋梁(通称「荒砥鉄道橋」):フラワー長井線
山形県寒河江市・中山町(JR 左沢線)、
山形県白鷹町(フラワー長井線)
直江兼続治水利水施設群
山形県米沢市
平成19年(2007年)
土崎港関連施設
秋田県秋田市
品井沼干拓関連施設
宮城県松島町・東松島市
荒川流域治水・砂防事業(PDFファイル 114KB)
福島県福島市
平成18年(2006年)
青岩橋 (PDFファイル 130KB)
岩手県二戸市〜青森県三戸町
明鏡橋(PDFファイル 187KB)
山形県朝日町
尻屋埼灯台(PDFファイル 73KB)
青森県下北郡東通村
平成17年(2005年)
尾去沢鉱山施設群
秋田県鹿角市
平成16年(2004年)
北上川分流施設群(PDFファイル 277KB)
宮城県豊里町、津山町、河北町、北上町
野辺地防雪原林(PDFファイル 93KB)
青森県野辺地町
十綱橋(PDFファイル 566KB)
福島県福島市
平成15年(2003年)
上郷温水路群(PDFファイル 397KB)
秋田県象潟市
最上橋(PDFファイル 104KB)
山形県寒河江市、大江町
平成14年(2002年)
宮守川橋梁・達曽部川橋梁(釜石線)(PDFファイル 77KB)
岩手県宮守村
安積疏水関連施設(PDFファイル 135KB)
福島県郡山市、猪苗代市、河東町
平成13年(2001年)
大湊第一水源池堰堤(PDFファイル 71KB)
青森県むつ市
平成12年(2000年)
野蒜築港関連事業(PDFファイル 167KB)
宮城県鳴瀬町、石巻市、仙台市

選奨土木遺産 価値判断のポイントと選考委員会

選奨土木遺産 価値判断のポイント

  • 技術
    • 年代の早さ
    • 規模の大きさ
    • 技術力の高さ
    • 珍しさ
    • 典型性
  • 意匠
    • 様式との関わり
    • デザイン上特筆すべき事項
    • 周辺景観との調和
    • 設計当初のデザインに対する意識の高さ性
  • 系譜(地域性)
    • 地域性
      • 気象
      • 地形・地勢
      • 材料の供給
      • 運輸状況
      • 地場産業
      • 起業意識
      • 外交・行政
      • 人脈・技術者
    • 土木事業の一環としての位置付け
    • 故事来歴
    • 地元での愛着度
    • 保存状態

野蒜築港に関する取り組み

野蒜築港の概要

  • 野蒜築港は明治時代に政府直轄で実施した我が国最初の洋式港湾事業で、単なる港湾事業にとどまらず、港を中心とした東北交通網構想の実現を目指す計画であった。宮城県の中央を流れる鳴瀬川河口に位置する。
  • 事業は明治11年から始まり、明治15年に盛大な開港式が行われるが、2年後の9月台風により河口突堤が被災して頓挫し、翌18年、明治政府は野蒜築港事業を断念する。
  • 野蒜築港建設では、「企業公債」を活用しており、工事や費用変更の報告を詳細に行っており、公共事業の説明責任の立場からも注目される。
写真1:野蒜築港跡と市街地計画図
写真2:東突堤
写真3:レンガ橋台

野蒜築港市街地跡における「悪水吐暗渠」の発見と意義

  • 平成16年3月に『悪水吐暗渠』を発見。横浜、神戸、長崎の外国人居留地以外で、日本人のための近代下水道施設としては極めて初期のものであり、近代下水道史を書き換える程の意義がある。当時の近代下水道施設としては極めて初期のもの。
  • 枝線には近代資材である土管が使用され、土管の接続部やレンガ橋台にセメントを使用していた。
  • 今回の発掘調査の特色は、学芸員だけでなく、土木学会や関連業界の土木技術者らが、近代土木遺産の発掘調査に直接関与し、セメント硬化物の分析、土木材料としての土層分析、施工技術などの解析等を行ったことである。
写真4:悪水吐暗渠
写真5:暗渠に取付けられた近代土管

「野蒜築港120年委員会」の活動等

「野蒜築港120年委員会」の活動では、フォーラム開催などによる地元住民との意見交換や聞き取り調査、「企業公債」に関する新しい文献の発見とその中にみる設計・工事費変更など土木事業の説明責任のあり方、河口港突堤の崩壊シミュレーションなど近代土木技術の検証などが行われてきた。

さらに、レンガ技師「植木留吉」のオリジナル劇などを行った宮城県鳴瀬町立浜市小学校による学習成果発表の場の提供、宮城県石巻工業高等学校での「出張講義」、野蒜築港ファンクラブの設立など、総合的な学習・生涯学習への取り組みに側面からのサポートを行ってきている。

また、「明治三大築港」である三国港(福井県三国町)、三角港(熊本県三角町)、野蒜港(宮城県鳴瀬町)との連携では、多元テレビ電話中継による各地域の小学校の総合学習成果発表および非営利団体の意見交換などを行ってきた。

写真6:地元小学生による悪水吐暗渠の見学会

野蒜築港に対する社団法人土木学会東北支部の取り組み

  • 社団法人土木学会東北支部では、平成10年より「土木の日」のPRの一環として「野蒜築港120年委員会」を設立し、野蒜築港事業の歴史と意義を解き明かし、この貴重な近代土木遺産を後世に伝えるさまざまな活動を行ってきた。
  • 土木学会は平成12年に野蒜築港関連事業を選奨土木遺産として選考した。

(※選奨土木遺産:土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存や活用を図ることを目的として、土木学会が創設した制度)

資料

直江兼続のまちづくり(治水編・利水編)

直江兼続のまちづくり(治水編・利水編)パンフレット

直江兼続のまちづくり(治水編・利水編)パンフレット

東北支部では、このたび、平成20年度土木学会選奨土木遺産認定された「直江兼続治水利水関連施設」に関するパンフレット『直江兼続のまちづくり(治水編・利水編)』を作成いたしました。

このパンフレットは、「土木遺産」の紹介にとどまらず、学習教材・観光歴史資料などとして活用してもらうことを目的に(社)東北経済連合会様の協賛をいただき作成したものです。

直江兼続のまちづくり関連の絵葉書セット

直江兼続のまちづくり関連の絵葉書セット

このパンフレット作成にあわせて、関連の「絵はがき」も作成いたしました。