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九州の近代土木遺産

山田堰(やまだぜき)

福岡県朝倉市山田161
山田堰
所在

福岡県朝倉市山田161

文化財等

選奨土木遺産

ランク  
管理者

福岡県朝倉郡山田堰土地改良区事務所

九州の筑後川中流域にある山田堰は、その流域において昔から旱魃(かんばつ)と洪水に苦しめられてきた中で、旧来の堀川用水の取水量を増やし安定して農業生産ができるように、黒田藩の命を受けた古賀百工(こがひゃっこう)が寛政2年(1790年)に造ったものである。

 筑後川は「坂東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)、四国三郎(吉野川)」と言われるように、我が国でも有名な三大暴れ川のひとつである。山田堰はいわゆる農業土木学でいう「頭首工」という水利構造物であるが、傾斜堰床式石張堰と呼ばれ日本唯一の方式である。

 その構造的特徴は、堰前壁を水筋(みおすじ)に対し約20度の角度をもって斜めに配置し、水流が激しい筑後川の水圧を緩和する治水構造としていること、突き当たりの取水口へ水流が勢いよく行かないように、河川水を導流するために高低差のある構造物をうまく配置していること、舟通しと魚道、土砂吐きからの水流を堰の末端部で合流させて減勢させる構造を作り出している点である。

 利水構造としては、220年以前に地の利をよく生かして設計したことは巧みであり、この水を単純に河川から得る方法・仕組みが中村哲氏(ペシャワール会代表)らによる農地開発事業における取水構造物とそれに続く水路の建設モデルになり、外国からの見学者(JICA等)も多いなど、国際貢献も果たしている堰といえる。


アクセス

  • JR久大本線 筑後吉井駅より車で約7分
  • 大分自動車道 朝倉ICより車で約7分

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