調査報告 第二報


1. 郡山市での避難状況と課題

 8月27日の集中豪雨に引き続き、台風4号の影響により雨量が再び増加し、30 日には、上流の須賀川水位観測所で一時氾濫のおそれがある計画高水位の7.91mを越 える8.17mを記録した。そのため郡山市は、一時期11,148世帯に避難を指示した(表 -1には郡山市の発表による避難状況を示す)。しかし、市内の避難所に集まった住 民は、ピーク時の30日午後5時半で約5,200名であり、わずか10%あまりの人数であ った。今回は幸い台風4号は進路を東よりに大きく変え、本流の破堤・越流という最 悪の事態は回避できたが、避難に関しては課題が残った。
 避難勧告・指示は洪水の他にも地震発生後の津波に関しても発令される。過去、津 波の常襲地帯である三陸沿岸においても避難行動の問題点は指摘されている。1989年 の三陸沖地震津波において家族全員で避難したのは約20%、1993年の北海道南西沖地 震津波で7%に留まっている。一般に、自主判断により災害を過小化する傾向があり、 避難行動を迅速に取らない場合が多い。現避難体制の実態や問題点を明らかにし、対 処する必要がある。(98.9.8、今村記)

表-1 郡山市の発表による避難状況
時間帯 避難の内容 世帯数 備考
27日13時30分〜
28日18時00分
勧告 5,044 阿武隈川流域で河川水位上昇のため
28日13時20分〜
28日21時00分
指示上記の一部 1,082 阿武隈川流域で河川水位上昇のため 
29日20時00分〜
30日9時30分
勧告 10,048 阿武隈川流域で河川水位上昇のため 
30日9時30分〜
31日8時30分
指示 10,048 阿武隈川流域で河川水位上昇のため 

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