土木学会誌
土木学会誌7月号モニター回答


表紙
古臭く,評判の悪い土木業界に身を置き始めた駆け出し2年目の私にとって,ややもすると,自分たちのやっている仕事に自信を持てなくなる時がある。そんな時,過去の偉大な技術者の功績と言うより,精神を垣間見ると,勇気が湧いてくる思いがする。この記事だけでも,十分価値がある。是非,続けてもらいたい!
(水産庁 浜崎宏正)

今回,モニターになって,久しぶりにほぼ全ても記事を興味深く読みました。その中でも,表紙に目が止まりました。普段はあまり気に止めない表紙です。デザイン性の斬新さも感じましたが,記事の内容が興味深い。今の日本を築き上げた諸先輩方の"その時代に挑戦する心意気"に感銘しました。
是非,この特集は継続してください。
(東急建設 高倉 望)

時局を論ずる 土木学会と土木技術者
官・学・産ともにそれぞれの立場があるのでしょう。相互にその思いを理解し合う度量の広さが必要だと思います。お互いに何を求めているのか,何が必要なのか,今後の官学産のボーダーレスの時代に意見交換の場は必要だと思います。その中から折り合いをつけるのが技術であり,技術者の取るべき姿勢ではないかと思います。本文の中の大手ゼネコン所長クラスの「土木を・・・・・ 反省しろ」の言葉の中にコミュニケーションの未成熟さを感じます。これは現代の土木業界全体の危機だと感じられました。
(明代環境地盤研究所 明代達也)

最近の公共事業バッシングの本質についてとても明快に書かれていると感じました。多くの人が不審に思っているのは,公共事業そのものではなく,それをとりまく「土木社会」にあるということです。公共事業擁護論を展開する人達は,その有効性を細かく主張する場合が多いのですが,実は批判している人達もあきらかに無駄と思える事業以外については,とくに反論を持っていないと思います。しかし,擁護論の中に「土木社会」についての問題はほとんど出てきません。
「結論から先に言えば,現在の我が国における政治の仕組みが変わる時を待つしかない」というのは,確かに事実かもしれませんが,やはり土木技術者が自ら「土木社会」を信頼に足るものにしていかなければならないと思います。
(太田ジオリサーチ 太田英将)

消える「土木工学科」,官庁主導型学会,技術者クラブと学会,「土建屋」から「シヴィル・エンジニア」へとそれぞれの題目に対し,言いたいこと書きたいことが山ほどあるのに,無理矢理この2頁内に納めざるを得なかったのではないかと推察します。多くの方が様々な意見をお持ちになるテーマだと思います。ここでは,短か目に3点ほど。(下線部は本誌からの引用部)
(1)若者が嫌ったのは「土木」という仕事ではなく,「土木社会」という特殊社会である。土木を嫌う理由としてこういうこともあるでしょう。が,これを嫌いな理由としてあげられる若者はかなり社会意識レベルが高い人でしょう。一般的な若者には,「土木」の仕事は相変わらず3Kとか4Kのイメージが定着しており,それが彼らに嫌われる最大の理由になっているように思います。本稿が「土木社会」の改革をメインテーマとしているので,切り口としてはこれはこれでいいのでしょうが。 なお,エンジニアとしての社会的地位の高いと言われているイギリスの大学でもCivil Engineeringの人気は決して高くはないと聞いています。各国,それぞれ事情は異なるでしょうが,先進国においては世界的傾向かもしれません。
(2)わが国の土木技術者の社会的地位を向上させるには政治の仕組みを変わる時を待つしかないと結論付けていますが,意図してか紙面の関係か,それまでの論点からいきなり「政治」に行ってしまい,何かが飛んでしまったような気がします。私が考えるに,それは,大学における教育・指導ではないでしょうか。現在の官公庁,学会,政治の要人の多くを輩出してきたのがT大であり,良くも悪くも「土木社会」の中心的役割を果たしてきています。T大及び大学への注文は全く無いのでしょうか。
(3)タックスペイヤーとしての視点を踏まえた技術者を目指す努力が必要と最後に書かれています。なんとなく曖昧な表現で,読者に'どうしたらいいのだろう'と考えさせる終わり方には主張を感じます。
(匿名希望)

土木の何が人々からの風当たりを強くしているのか,どのような流れでなったのかわかった。土木工学科の志望者が減少するのは,土木技術者の社会的地位が低いというのもあると思った。
(東北工業大学 鈴木宏幸)

官側に就職して2年目の駆け出し役人の私にとって,業界の体質改善に関し,若手官僚がゼネコン現場所長等に逆に,つるし上げにあったというエピソードに目が止まった。
他の業界の官民関係と,土木業界のそれとは明らかに違う。就職活動で感じたことだが,大学と官庁,民間はまるで,マフィアのような,血のつながりとでも言えそうな,連帯感がある。その歴史は古く,それによる功績は偉大であったろうが,あまりにも古すぎ,不気味ですらある。
我々は,どんどん新しい時代を切り開いていかねばと感じる。
(水産庁 浜崎宏正)

土木学会創設時の初代古市会長の「本会の会員は… 」の話には,たいへん興味を引かれた。学会誌の表紙の図面も含めて,明治時代に興った土木事業に携わった人の気概や自負,その精神など,忘れられている部分,我々の知らない部分を掘り起こしてくれるという点,「本来,土木事業,土木工事とはこうあるべきものである」という一端が伝わってくるものであり,個人的にはたいへん興味が持てた。
(前田建設工業 赤坂雄司)

「学者」による土木学会のあり方に対する冷静で客観的な視座は興味深いものであった。小林氏は土木学会は官庁主導型の『技術者クラブ』であり,『アカデミー』としての活動は各種委員会が担っていると述べておられるが,この構造は土木学会員以外(会員でも?)には少し理解しがたいものであろう。今後名称としての「土木工学科」が減少し,卒業生にも『技術者クラブ』への帰属意識が薄くなるであろうことを考慮すると,土木学会も体質を変えてより『アカデミー』としての活動を強化し,また社会に向けてアピールする必要があると感じた。
(五洋建設 田島芳満)

大学の学科名から、「土木」の文字が消えてきている。私もそれは感じており、それは若者たちへの土木分野の人気衰退に起因しているのであろうと考えていた。そういうわけで、この記事に対し関心を寄せ、興味深く拝見させて頂いた。


土木の仕事それ自身は,社会貢献の大きさからも,非常に誇るべき仕事であり,少なくとも私はそう信じている。しかし,その土木の分野に行政が関わってくる時,途端にそのイメージは,不透明かつダークで,今多くの人が感じている様な土木のイメージとなってくる(かといって,切り離すのは,到底無理なことではあるが)。
土木技術者の地位向上と大々的に銘打って目標を掲げると,少々いやらしくも感じてしまうが,その目標が達成できて初めて,いや達成できなければ,土木の仕事及び土木技術者に,かつての誇りと輝きを取り戻せないであろう。もちろん,そのために採るべき手段と,その実行は,苦難を極めるものであろうが。 この記事を拝見させて頂いて,土木学会は,「アカデミー」であるべきだ。単純ながら,私はそう感じた次第である。
(東京大学 三浦倫秀)

土木業界において,役所の担当者を悪く書く(土木業界の悪の所元みたいな),記事は多いと思う。事実そういった事例は多く存在し,民間会社に勤める私の身の回りでも身近な話題としてのぼることが多い。でも,逆の立場から見た場合,民間業者の悪さを役所の人たちが述べる記事はあまりみかけない。新聞記事になるような悪行や事故は別として,そういった意見もあってしかるべきだと思う。掲載されないのはなぜでしょうか?民間業者からの反発が大きいからでしょうか?ますます,お互いは,歩み寄る機会を失ってしまっている気がする。
(大豊建設 稲田文展)

著者は,はじめに,インフラの整備を通じて国民の生活を豊かにするという土木技術者の仕事に生き甲斐を見出して土木工学科を志望していた若者が減少し,大学から「土木工学科」が消えていくことの原因が,「土木社会」の特殊性にあると指摘している。全般を通して,土木学会と土木技術者のあり方について,官学民に対し,押さえた書き方の中にも率直で重大な警鐘を鳴らしている。最後は,『「土木社会」という閉鎖社会の一員にとどまることなく,タックスペイヤーの視点を踏まえた技術者を目指す努力が必要である。』で結んでいる。
ところで学会誌表紙の「土木学会誌」の古い字体は,タックスペイヤーの視点からみれば,余りにも独りよがりの時代錯誤ではないか。「土木社会」という閉鎖社会の象徴となっていないだろうか。この古い字体は,どのようないきさつで使われるようになったのか知らないが,1990年の学会誌から使われている。ちなみに,1990年といえば,「土木社会」がバブル経済を突進していたおごりの時である。
なお,著者は,『コンクリートの文明誌』を近く出版予定だそうである。土建屋でなくシビル・エンジニアの志を持った技術者を育成する指針として是非読みたいものである。
(広島工業大学 二神種弘)

特集 火山噴火に備えて 富士噴火はいつ
特集の内容自体は1)富士山,2)有珠山,3)三宅島,4)岩手山,5)雲仙普賢岳,6)防災ソフト,と図表や画像も豊富で大変読みやすい興味のあるものでした。
ただ,紙面構成としては,富士山から始まる特集部分がハザードマップ等色鮮やかに比べて導入部がもう少しNEWTON風に派手であったほうが良いと感じました。
例としてインターファイスとして3D日本地図に各火山の噴火年次を記載して,各記事にばらばらに登場する噴火記録を整理する。また,土木ミュージアムに記載されている伊豆大島三原山噴火や論説にある桜島噴火,さらに駒ケ岳の記録等も整理して記載し,この10年の噴火一覧を添付すれば立派な火山読本となったと思います。
(東洋コンサルタント 小林幸男)

この特集において,富士山の章ではいろいろな地図が掲載されていたが,三宅島の章では地図はない。三宅島は,小さな島で,地図が必要ないといえばそれまでだが,三宅島の中でも地図に記載できるスケールの話題はたくさんあっただろうし,「神津島から復旧工事に通った」という記述があれば,神津島からの距離が気になる。是非,こうした特集の際は地図を掲載して欲しい。また,土木学会誌の読者には,等高線を読むと現地の地形が手に取るようにわかるという達人も多いと思うので,地図の質にもこだわって,できるだけ精度の高い地図の掲載をお願いします。
(東京工業大学 浦瀬太郎)

火山噴火というテーマについていろいろな研究者・技術者の方々がそれぞれの立場で解説をするという趣旨はよくわかりますが,一人一人に割り当てられた紙面が2〜3ページと少なく,表面的な解説記事となっているように感じるのが残念です。もうすこし,人数を絞って,今何が問題で,それをどう解決すべきかということを掘り下げた記事となっていれば良いと感じました。
(太田ジオリサーチ 太田英将)

特集の全体構成について
特集「火山噴火に備えて 富士噴火はいつ」の全体構成が分かりにくい印象を受けた。おそらく富士山・有珠山・三宅島・岩手山・雲仙普賢岳と火山毎に記事を横並びにしたために,ハザードマップを何回も見ることになったと思う。むしろ時系列に構成した方が良かったのではないか。例えば,
(1)火山噴火活動の概要
(2)防災対策(ハザードマップ作成など)
(3)被害状況(発災時)及び初期避難活動など
(4)中長期的な復旧活動など
(5)火山噴火災害対策に関する新技術の動向
の構成の方が理解しやすいのではないかと感じた。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)

富士山火山噴火により甚大な被害が起こりうることを,過去の噴火史や現代の数値シミュレーション等を用いてわかりやすく説明されていて,大変勉強になりました。とくに,雲仙普賢岳(1991年),有珠山(2000年),三宅島(2000年〜)などは,テレビを通じてですが,自然災害の恐ろしさを強く感じたことを覚えています。もし規模の大きい富士山噴火が起これば,首都圏が近いこともあり,かなり大きな被害が予想されることは技術者でなくとも誰にでもわかるはずです。国民にもっと危機管理意識をもってもらうためにも,関係機関による積極的な情報提供をさらに行う必要があるとともに,防災・減災を目的とした,ソフト・ハード面の施設整備を重点的に進める必要があることに,あらためて切実に感じました。
(東洋建設 北出圭介)

火山ハザードマップに対する住民の関心の低さが指摘されていますが,これは具体的な発生現象や被害に対する認識が少ないために,なかなか自分の身に差し迫った問題として捉えづらいからではないかと思います。有識者や行政の方々は,住民が火山防災を自分の問題として捉えるための手助けをする必要があり,興味のとっかかりをどのようにもってもらうか,それをどのような手段で行うかが悩みどころではないでしょうか。本文中の有珠山での講習会や子供たちへの教育といった事例は,とても参考になる例だと思いました。
防災に対する意識を高めるために,火山災害を疑似体験することが有用ではないかと思います。火山活動や被災状況は,他の場所での実際の映像を見れば,文章で示されるよりもわかりやすいはずです。可能ならば,実際に被災した住民の方の被災例や火山防災対策例などの話を聞くことができれば,住民の視点からのためより親身になって聞きやすいのではないでしょうか.
まずは興味をもちやすいわかりやすい話から,より詳細な情報提供へ,そして自分の問題として認識されれば自主的な情報収集へといった段階的な流れを作ることが,行政から住民への一方通行の情報提供にならな いために必要かと考えます。
(東電設計 白濱美香)

東京在住で,富士登山も2回経験しているため,最近の低周波地震を含め,富士山には以前から興味を持っており,生い立ちから現在の状況まで,たいへん興味深く読むことができた。
(前田建設工業 赤坂雄司)

富士山の噴火に題材を取った記事は,改めて自然の脅威とそれに対する備えの必要性を感じさせてくれる特集でした。
今後は「ハザードマップ作成史の際だったベンチマーク」となることが期待される富士山ハザードマップ作成後の「的確な避難誘導システムの整備」についての研究を期待しています。またその折りには,是非ともそこに生活基盤を持った人々と行政あるいは研究者の協働によって施策立案が深められて欲しいと感じています。
(日本技術開発 今野 剛)

テーマ自体は多くの人が興味を持っていることであり,最初のページで,「読み物風で臨場感が出る」とあるので期待して読み始めましたが,実際は読み進めるのが辛かったです。記事を読むとき,僕の場合はまず絵を見て,何についての記事なのか見当をつけて,興味が湧いたら読みます。この特集では似たような地図だらけで,各章とも単調でした。雑誌の記事は,読む必要性があって読むものではないので,ぱっと見てつまらないと読みません。13ページの火山灰の等層厚線図ぐらいわかりやすいのが望ましいです。知識として理解できても実感を伴わなかったり,ただ字ばかりという理由で読むのをやめたくなります。
小学生と同じですが,そういう学生会員は結構多いと思います。
(東京大学 佐藤岳文)

大変興味深い内容でした。今後も,このような記事を期待しております。
(大豊建設 稲田文展)

現在進行形で火山噴火の被害が発生し,また,いずれ必ず噴火するといわれ,予測手法を精緻し,ハザードマップも数多く作成・公表されながら,関心・理解は今ひとつ高まらないというギャップは,自身を省みても確かに存在するなと感じました。また,情報として,実際に災害が発生した際に,具体にどのように動くと良いのか等についてイメージしやすい伝達が重要かとも感じました。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)

つい最近新潟,福島そして福井と豪雨による災害が起こりました。想定している以上の記録的な豪雨が原因となったようですが,避難情報についての提供手段の検討,洪水ハザードマップの整備状況などといった,日頃の災害に対する備えが十分であったのかどうか,災害が起こらないと議論されない光景が毎年繰り返されているように思えます。今回,学会誌では火山災害を取り上げましたが,過去の教訓を活かした防災対策を論じることは,非常に有意義であることを,前記災害が教えてくれているようです。避難時の連絡体制や災害後の支援策の充実方法など,水害,地震そして火山による災害と形は異なっていても,過去の例に参考にすべきことは多く,その意味でも雲仙普賢岳噴火の際のレポートなどは,大変良い参考資料となると思われます。ただ,前記災害では,自力で脱出できなかった方々も多数居られたようで,避難においても住民の高齢化が問題となった場面も多く見られました。例えばどこに高齢者が居て,その安否をどう連絡しあうか,それらは地域ぐるみでの体制を考える必要があり,「少子高齢化」というキーワードを取り入れた防災を考えることも,今後課題になるように思えます。また,前記被災地では,ボランティアの方々が地元住民と上手く付き合いながら復旧作業をしていると聞いております。ボランティア活動は今や国内総生産の4%にも達するとも言われ,インターネットや携帯電話などを利用することで,その精神を上手に活かせるような情報体制を作っていく試みなど,今の時代の特徴を考慮した防災体制も今後活発に議論されていくことを願います。
(京都大学 西山 哲)

1-3 首都圏での降灰被害とその対応
タイトルで「首都圏での」と言いながら,記述が雲仙普賢岳やセントヘレンズ火山噴火のことに及ぶなど,理解に時間がかかる内容であると思う。富士山にある程度特定した構成の方が良かったのではないだろうか。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)

第3章 2000年三宅島噴火の教訓
技術者の立場から語られる過酷な復旧作業の様子と,行政の側から語られる過酷な避難生活と望郷の念が,いずれも冷静でありながら熱のこもった視点で記されており,心を揺さぶらずにはいられませんでした。
これまでにも避難が生じた場合に被災者の心のケアが必要であることは指摘されていますが,未だに有効な手段が社会的に確立されていないことが,問題の深刻さを表しているのでしょう。一人の技術者,会社や組織では対応が難しい問題であり,こうした問題への対応こそ土木学会の出番ではないかと思います。
(日本技術開発 中野雅規)

3-2 過去に前例のない特殊環境での三宅島復旧工事
記事を拝見すると,復旧工事関係者の労苦が非常に伝わってきました。往復3時間の船による通いや火山ガス,泥流といった特殊環境下での労働は肉体のみならず精神にも負担を与え,通常生活を送る我々には想像できません。次第に労働環境の改善が図られ,特殊環境下での課題が緩和されてきたということで,喜ばしいことだと思います。また最近の報道によれば,三宅島村は来年2月に非難解除を行うとのことですが,現在も火山ガスが減少しない状況で,十分な安全の確保のもと、早期の問題解決を願うばかりです。
最後に今回の記事のように,作業に携わった関係者が,復旧に向け奮闘してきた姿を様々な媒体を通じ,国民に広く知ってもらいたいと思いました。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)

6-2 活火山の分類(ランク分け)と火山情報への火山活動度レベルの導入
活火山のランク分けと火山活動レベルの意味の違いと活用方法の違いが簡潔に説明されていて興味深い内容であった。このような特集において,このような基礎的な定義を示す記事は重要である。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)

日本は環太平洋火山帯の一部であり,数々の活火山を有しているにも関わらず,火山に対する世間の関心が薄い。今回の特集は,火山に対する取組みについて,過去の被災対応や火山防災技術の最前線等,身近な例を取り上げて紹介しており,関心を集める一つのきっかけになったと思う。
また日本の活火山がランク付けされていて,身近な山がランク付けされていることに驚きを感じた。この活火山のランク付けの定義,ランク毎の行政の対応や一般市民のとるべき行動についての記事があれば,尚良かったと感じた。
(JR東海 高橋和也)

技術リポート 「投稿」トンネル内に拡がる神秘の世界 トンネル工事における鍾乳洞の保存
気になる点として事前調査で鍾乳洞等の存在を把握していたのか,ということです。把握していたならば,精度を上げた事前調査結果に基づき,ルートの変更,縦断勾配の変更あるいは今回のような対策がとられていたと思われます。一方で鍾乳洞を把握していなかったとしたら,たまたま今回は鍾乳洞の上部に支障したため,その存在を確認し対策を実施しましたが,もし支障せず存在を確認されなかった場合,そのまま対策をしないまま完成となり,開通となったのでしょうか。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)

近年,地球規模での環境保全・自然保護が注目されてきている中,建設事業における自然(鍾乳洞)保護のあり方を問う記事が土木学会誌上に記載されることは非常に意義のあることである。
今回のリポートでは,トンネル掘削中に発見した鍾乳洞を保護するため,トンネル内の構造変更や交通振動による鍾乳洞への影響予測等を臨機応変に行った事例が紹介されており,今後同様の事象が発生した時の参考になると思う。しかし,排ガス(二酸化炭素など)が鍾乳洞に与える影響については「今後の課題」との記載にとどまっており,残念に感じた。自然環境は一度破壊されると,それを元の姿に戻すことは非常に困難である。是非,自動車が走行する前に,排ガスが鍾乳洞へ及ぼす影響についてシミュレートまたは実験をし,その安全性を確認してほしい。
(JR東海 高橋和也)

自然の造形等には以前から興味を持っていましたが,土木事業というものは少なからずそれらを破壊する(影響を与える)ものであるという認識が強く,日常業務において折に触れ葛藤がありました。この,トンネル工事中に偶然発見した鍾乳洞を無傷で保護しようという試みは,以下の2点で土木事業に対するイメージを変えさせられるものでした。
ひとつは,発見した鍾乳洞について住民も巻き込んだ委員会により積極的な保護策を立案し,かつ,一般公開も視野に入れた対策を施したことです。『臭いものには蓋』といった,とかく閉鎖的な土木事業のイメージを払拭する対策であったと思います。
もうひとつは,鍾乳洞の保護を優先するあまりに,トンネル計画自体をとりやめたり線形を大幅に変更したりといった安直な対策ではなく,技術の粋を尽くして対策を検討されたことです。『触らぬ神にたたり無し』ではなく,積極的な対策をなされたことに敬服いたします。
(中央復建コンサルタンツ 澤田幸治)

このような予想外な事件はトンネル工事には付き物だと思うが,トンネル内に橋梁を架けるという発想には感銘を受けた。自然と戦うのも土木だがこのように自然を守るのも土木なのだということを再認識し,自然と人間の架け橋であるこの分野にますます興味を持ちました。
(京都大学 三津田祐基)

忙中ペンあり 第七回 120年前,アメリカ人青年土木技師は日本に何を見たか
内容的には「きっと興味ある内容」が書かれているのでしょうが,紹介をしたいのなら訳文を載せるべき,そこから原文全文を見ることへの興味等を広げるということが必要なのではないかと感じました。
(JH 高橋俊長)

和訳を載せないのは筆者の考えではあるが,読者全体に語学力を求めるのはいかがなものか。言語には,その言葉の持つ内容・イメージなどが必ずしも別な言語に置き換えられるものではないため,原文を原文のまま理解できることが大切だと,私的には感じている。しかし,優れた文章は優れた翻訳家により多くの共感が得られている事例があることからも,作家である筆者の和訳から筆者の感じるホィーラー技師の思いをきいてみたかった。
(東京都 石川幸裕)

英語・・・読めません。英会話勉強中ですが。
本来たいへん興味のある記事なのですが,"この程度の英文"をスラスラと読解できないため,辞書片手での長時間の読書となってしまい,記事のおもしろさに触れることができませんでした。土木学会誌の読者のうち,どれほどの者が理解できたでしょうか?著者の主張や紙幅の問題もあるでしょうが,この記事で言いたいことを読者に伝えるためには,英文と和訳の両方を掲載するべきだと思います。そうしていただければ英語の勉強にもなると思います。そういった周囲への配慮,優しさを"感じ取る精神も土木技術者に不可欠であろう。"と思います。
(匿名希望)

海外ほっとライン メコン河委員会と将来の人材像
6年ほど前にヴィエトナムでスーパーバイザーとしてダム建設に従事したことがある。当時の私は初めての海外勤務であり,多くの失敗を含む経験をつんだ。その後,再び海外での仕事を求めているが,今のところ,その機会に恵まれていない。再び,アジアで働くことは私の夢です。海外では多くの日本人技術者による人的支援を今でも求めているのではないでしょうか。それに答えることも日本人技術者の役割の一つであると思っています。
(明代環境地盤研究所 明代達也)

海外プロジェクトに携わるものとして,興味深くこの稿を読ませて頂いている。メコン川委員会は,政治体制・経済状態が異なるメコン川流域を対象に,時には利益相反する国々の調整を行い,合理的な提案を行うという非常に難しい役割を担っていると感じた。筆者が述べられた海外に通用する人材像については,通常の海外プロジェクトで要求される人材像と重なる部分も多い。日頃からコミュニケーション能力を磨き,当該国や相手国担当者の理解を深め,当該国発展への情熱を持ち続けることも重要であると考える。それらの積み重ねにより,相手先との信頼関係が構築され,事業をスムーズに進めることが出来るのではないだろうか。
(日揮 飯塚浩晃)

海外に通用する人材として,専門性や調整運営管理能力だけではなく,"損や向こう傷を覚悟しつつ,誇りを持ち続け,人望を集めるトータルな人間力"を加えている点について大きく共感できる。20代の時,海外で活動する機会をいただいた。期待に胸を膨らませ,いざ活動を始めてみれば,語学や専門・調整能力等の未熟さだけではなく,人間としての器に小ささから期待した活動結果は得られなかった。語学の不十分さは通訳をつけるなどで活動の中でカバー出来るが,人間性については長年の経験から培ったものもあり,正直若い世代には難しい。自分も社会の中で人間を磨き,いずれ海外でリベンジならぬ再活動を望んでいる。
(東京都 石川幸裕)

土木紀行 由良要塞 友ヶ島砲台群
当時の面影を良く残しており,単に戦争遺跡としてだけではなく,当時の土木技術を知る上で大変貴重なものだと感じました。ただ,土木的な紹介はほとんど無く,他は軍事的な話で終始してしまったのが残念です。本文中に「当時の土木技術を理解するのに役立つ」と記載してありますが,土木構造物の特色については煉瓦積みの話しかなく,土木面からより突っ込んだ記載が皆無と思われます。明治時代から現存している構造物として,煉瓦積み以外にも当時の土木技術の考え方箇所や優れている構造・機能の紹介をしていただければ,例えば現代の土木構造物と比較することで,参考になるところもあったのではないでしょうか。恐らく軍事施設であれば,当時の最新技術が相当組み込まれていると推測されますので,土木技術について言及していただければより興味を持って読むことができたと思います。軍事的設備のマニアックな紹介で終わってしまった感じがします。
(鉄道・運輸機構 石橋英介)

砲台跡といえば,東京では今や観光地となっている「お台場」が有名ですが,紀淡海峡の小島の友ケ島にあのような砲台群が建設され,太平洋戦争もくぐり抜け,これほどよく原型をとどめて残されているのは初めて知りました。小島にあって普段に目につかず,戦後60年間平和が続いて現在では完全に役割を終えた遺跡ですが,貴重な明治期の土木遺産として保存され続ける事を願います。土木紀行では,このような珍しい構造物も取り上げていってほしいと思います。
(清水建設 新宮康之)

土木遺産を保存しようという願いに同感しました。土木構造物の本来の役割は,生活環境や産業活動の円滑化であるが,長い年月を得て文化的価値,歴史的価値が生まれ,市民の心を豊かにするという新たな役割が生じてくると思います。この過去の遺産の積み重ねが将来の豊かさにつながっていくことに土木技術者としてのやりがいがあると思います。
(東洋建設 北出圭介)

友ヶ島では今も砲台群が原型を残しているということを知り,史跡めぐりの好きな私としては一度訪れてみたいという欲望に駆られました。ただ一言注文をつけるとすれば,「土木学会誌」に載せるのだから,当時の土木技術についてもっと具体的に分かりやすく説明してほしかったです。
(京都大学 三津田祐基)

真夜中の技術者たち 第3回 高速道路の夜間工事
この記事を読ませていただき,いつの間にか私もその現場に従事する一員となり,通行止めの手順,資機材搬入計画等私の頭の中で創造が膨らんでしまいました。
特に,現場に従事されている方々の苦労などが,この報告からひしひし伝わってきました。文章上では,表現できない苦労もきっとあることと思います。当日の天候などは,工事に対する影響が大きく,ある意味"運"。現場の方々も,当日の天気には,本当に気を遣われたことと想像いたします。そして"ものを造る喜び"が土木技術者の源であることも,この報告から感じられました。
(大林組 中村 泰)

高速道路の夜間工事として既設跨道橋の撤去工事が取り上げられている。時間経過に伴う作業内容が写真で紹介されていてわかりやすく,工事関係者の通行止め解除までの作業の緊張感が伝わってくる。周辺住民の方に夜間工事に対する理解を得られるよう,夜間工事でも現場見学場所を設けた結果,騒音に対する苦情が少なくなったというのは面白い。発注者・施工者の技術者が共に,学生へのメッセージとして以下の言葉を挙げている。「理論ももちろん大切だが,それだけでは現場で通用しない。社会に出て学び,多くの現場で経験を積んで欲しい。」夜間工事の時間制約等の困難な条件を克服し,無事工事を終えた達成感を知っている技術者の言葉に共感を覚える。土木離れ,現場離れが進んでいるようだが,学生には是非この達成感を味わいに来て欲しい。
(清水建設 宮本健太郎)

夜間に行われた跨道橋の撤去工事に関してのレポートであったが,現場経験がほとんど無い若いエンジニアや学生には興味深い記事であったと思う。インタビューも新鮮であり,的確な質問がされていたと感じた。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)

紙面が工夫されており,時間経過と工事の進捗が簡潔にまとめられていて理解しやすいものでした。
記事の中では,深夜にも関わらず工事への住民の関心が高いことに驚かされました。PIや住民合意形成などが以前から研究・検討されていますが,「隠す」ではなく「見せる」ことが,まずは公共事業への理解を深めてもらうことの重要な一歩であることが,掲載された写真が如実に物語っていると感じます。
(日本技術開発 中野雅規)

面白い企画で,学生編集委員がどのような観点から工事を観ているのかが興味深かったです。
(JR東日本 外狩麻子)

世間では,高速道路は安全に走行できて当然と思われているが,安全性を守るための夜間工事については,まだまだ知られていない点が多い。今回の記事は,そうした高速道路の夜間工事にスポットをあて,時間の経過とともに紹介するという形で,非常にわかりやすいものであった。
またインタビューでは,限られた時間で所定の工事を終わらせるため,技術者が日頃どのような苦労をしているのかといった記載もあったが,私個人としてはこの短い時間内に事故無く,労災無く,無事所定の工事を終えたことの方が興味深く,また重要な事柄なのではないかと感じた。安全は普段の取組み1つ1つの積み重ねから生まれるものである。この安全に対する取組みに関する記事があれば,尚良かったと感じた。
(JR東海 高橋和也)

前半のレポート,後半のインタビューを通して,夜間工事の緊張感を感じることができた。特に,周辺住民の方のために見学スペースを設けるということ,またそれに多くの見学者が訪れるということが興味深かった。工事工程全体を把握できるような図等があれば,より良かったと思う。
(中央大学 田中聖三)

他の記事に比べて簡易な言葉でわかりやすく,写真付のチャートっぽい体裁も読みやすかったです。時系列の記事で臨場感があり,住民が見学している場面やインタビューの内容も現場ならではでした。タイトルが「真夜中の技術者たち」なので,工事の展開よりも作業している「人」そのものにもっと焦点を当ててもいいのではないでしょうか。気合→真剣→眠い→緊張→安堵のような,現場の雰囲気がつかめると面白いと思います。プロジェクトXみたいに,というと行き過ぎですが。
(東京大学 佐藤岳文)

私も仕事で夜間規制に立ち会うことがありますが,交通量の多い道路において大がかりな工事などは,どうしても夜間規制という限られた時間内で作業を行わなければなりません。その時は,事故は勿論,機械の不具合等の失敗は許されず,数日前から緊張が絶えません。この様な作業を行う場合,今までの経験から事前の関係者との調整,タイムスケジュールの管理が最も重要であると共に,なにか不具合が起こった場合,どのように対処するかということまで関係者に周知させておくことが必要であることを感じました。また,地元住民への配慮を決して忘れてはいけないと思います。自分もそうでしたが,特に学生の時は理想論でしか考えることができません。このような現場の生の声を聞き,学生のうちから現場に足を運ぶ機会が増えることは,良い経験になると思います。ぜひ,このような現場の声を学会誌等で多く取り上げて欲しいと思います。
(オリエンタルコンサルタンツ 植田知孝)

当該記事は,以前私の所属していた管内における工事の記事だったので,すぐ目に止まりました。また,私は同工事における「苦情処理班」として夜間通して管理事務所で対応しました。しかし,苦情処理班という立場は当然のことですが,現場に足を運ぶことができないため,私にとっては現場における風景を見ることができる同記事はためになるものでした。このような現場の光景というのは,従事している方+α程度しか実質見ることが出来ないもので,また,近年工事現場の数が減少している中にあって,このような記事を連載することは非常に重要なことだと感じました。引続きの連載を期待しております。


日頃,知ることは無かったので,夜間工事の実情はおもしろかった。特に3年前からプロジェクトが始まっていること,周辺住民に夜間工事の見学の場を解放していることが,興味深かった。
一つのプロジェクトを成功させるためには,作業工程を詰めていくだけでなく,様々な角度から周辺住民にも理解を求めていくことも大切な要素だとこの記事により改めて感じた。

話の広場 "水の都・大阪"の川からの再生を目指して
関東で生まれ育った私にとって,大阪のイメージと聞かれたら,間違いなく道頓堀川へ若者が飛び込むシーンを思い浮かべてしまいます。2002ワールドカップサッカー,そして昨年の阪神優勝と。
それを報道するニュースでは,「川に飛び込むのも危険です,さらに水質汚染の問題もありますから・・・」 というアナウンサーのコメントが・・・。
「道頓堀川・水泳大会」は、とても斬新なアイデアで大阪特有の発想だなぁと感心させられました。近い将来,是非とも「綺麗な道頓堀川」を実現させ,「水質は全く問題ないのですが,川に飛び込むと危険ですので・・・」というアナウンサーのコメントを聞きたいものです。
そして,平成16年8月8日16時を楽しみにしています。
(大林組 中村 泰)

現在,全国の河川環境が汚染されている中で,誰もが河川環境の改善を求めている。私が住んでいる仙台の梅田川も河川が汚染されていたが地域住民による浄化活動により改善された経緯がある。また,大阪では道頓堀川を改善させるために市民参加型の取り組みを進め一人一人環境に対する意識を自覚させるためにイベントを催している。私は,これを機会により多くの市民が道頓堀川を大切にしようと自覚し河川の必要性と利便性にきづいてくれることを望みます。
(東北工業大学 柏木雄貴)

水泳大会,道頓堀川真珠の入植のようなイベントを一過性で終わらせず,これを機に河川の浄化状況を逐一情報発信するなど,市民意識を維持させることが重要ではないでしょうか。ホームページによる水質試験の結果報告だけではなく,写真-2のような市民が広く目に出来るような場所に,現在の水質状況を公開するなどしてはどうか。ある自治体では地下水位等を掲示板で逐一情報発信を行い,広く市民に地下水への意識向上を図っていると聞いております。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)

大阪の道頓堀川に飛び込めば,体に染み付いた悪臭が一週間は消えないと聞いたことがあります。私も夏場に,この川に架かる橋を渡るだけで,悪臭が漂ってきたのを覚えています。この川の水質汚濁を改善し,遊歩道がある親水空間を整備しようとしていることについて,その浄化方法について大変興味を持ちました。ここでは数行しか紹介してませんが,もっと浄化のメカニズムを図やイラスト等で詳しく説明してほしかったです。
(東洋建設 北出圭介)

本稿を通して街づくりへの市民参加について,あらためて考えさせられた。行政に"なんとかしてくれへんかなー?"で終わらせるのではなく,"こうすればいいのでは!"と感じたことを,インターネットなどを通して,市民レベルで問題提起が可能であると実感した。同時に,日頃ランニングがてら自宅近くの河川を見るにつけ"もう少しきれいになればナー"と思っていたが,川を含めた身近な生活環境の改善に興味が湧いてきた。また,このようなボトムアップ型のプロジェクトでは,実施ステップで我々土木屋の総合的な知見を生かす機会も多いと思われ,市民として「おもろい」取り組みができるのではないかと感じた。
(日揮 飯塚浩晃)

道頓堀川で水泳大会をというキャッチフレーズは市民の心を否が応でも釘付けにすると思います。またこの記事に関連して,テレビや雑誌でも耳にする機会があり,今年の水泳大会には大阪市民ばかりか日本中が注目しているのだと感じます。昨年の阪神タイガース優勝の際には多くの人が川に飛び込んだせいもあって,川の汚さは周知の事でありますが,それでもやはり愛され続ける川というのは素晴らしいものだと思います。私は小さい頃に父の田舎にある川で遊んだ思い出があります。都会の川と比べてコンクリートで護岸が整備されておらず,立ち入りを禁止するフェンスもありません。それこそ,皆に愛され生活に密着した存在でした。大阪市民の活動が起爆剤となって日本中にこのような活動の輪が広がっていくことを期待します。
(東京都立大学 藤原多聞)

河川環境にとどまらず自然環境の健全さを取り戻すにあたっては,市民参加型の取組みを進めることが必要となってきている。残念ながら,自然環境の修復や保護を目的とした整備について様々な関係部署との協議や調整に時間がとられる行政には,迅速な行動が期待できない。NPOやNGOなどの法人の自由な発想から,市民や行政にアイデアを提供していただき,様々な企画・イベントを通じて地域全体の問題提起や解決を図っていくことが大切であると感じている。
(東京都 石川幸裕)

道頓堀川で水泳大会を行うというアイデアに驚いた.文中にもあるように,かなりのインパクトであったと思われる.このようなイベントが,継続的に行われることを願っている.
(中央大学 田中聖三)

地元大阪の記事でもあり,興味深く拝読させていただきました。はずかしながら,地元でありながら『道頓堀川水泳大会』や『道頓堀川真珠』について全く知りませんでした。また,これらの活動をされているNPOについても存じ上げていませんでした。
道頓堀川は,昨年の阪神タイガース優勝時の"飛び込み"で全国的な話題となった川です。水質が悪いだけではなく,ヘドロ,粗大ゴミ等も堆積しており,非常に危険であるといった報道がなされていたことを記憶されている方も多いと思います。この,下水とも言える川で水泳?!非常にユニークな明るい試みで,その実現を楽しみにしていたのですが,残念ながら7月17日時点で少なくとも6年間の延期をせざるを得ないということになったようです。理由は遊歩道建設工事のため通航禁止になるといったことや,参加者の安全確保の問題等のようです。また,事前にNPOが行った市民アンケートの結果では開催に否定的な意見が多かったといった情報もありました。しかしながら,都市河川の水質浄化については市民主体で啓発運動を盛り上げていくことが必要であると思いますので,今後も市民のために更なる活躍を期待しています。
(中央復建コンサルタンツ 澤田幸治)

大阪出身の私にはとても興味深い記事でした。昨年の阪神タイガース優勝時にも問題になった「汚い大阪」の象徴のような道頓堀川を,このように「水の都再生のシンボル」にしようという「おもろい」発送に興味を覚えました。残念ながら今年の道頓堀川水泳大会は中止となってしまったようですが,これからもこのような地道な努力によって大阪がきれいになっていくことを願うとともに,大阪を愛する一府民として自分もその活動に加わっていきたいと思います。
(京都大学 三津田祐基)

都市再生が課題となる中で,「ではどこから手をつけたらよいのか」は多くの都市で共通の悩みの種であろう。この大阪の事例では,歴史的な都市の成り立ち(水の都)に着目しただけでなく,一般市民が興味を持つきっかけとなる「おもろいこと」を通じて取り組んでいることに大変興味を覚えた。多くの人々の共感を得られる活動を積み重ねることによって都市のあり方を変えていくというのが本当の意味での都市再生ではないかと,今後の発展が楽しみになった。
(五洋建設 田島芳満)

まず,"道頓堀川大水泳大会"という字面で引きつけられました。大阪人のノリのよさが端的に表れているように思います。真剣に水の浄化に努めていらっしゃる方々には失礼かもしれませんが,どこまでが冗談でどこから真剣なのかわからず,それがまた面白い。汚いながらも市民に愛される川があり,「おもろいこと」に真剣に取り組む大阪をうらやましく感じます。
(東京大学 佐藤岳文)

大阪市街地を流れる道頓堀を市民レベルでさまざまなアイデアを出し合い浄化していく。このような活動をすすめるために"如何に多くの人の注目をひきつけるのか"といった発想のもと,奇抜なアイデアを駆使しながらで進められている点に関心を持ちました。自然を守るといったボランティア的な活動は,実際に活動している人たちとそうでない人たちの温度差が大きいと考えます。そこで,"注目をひきつけるようなアイデア"が,その温度差を縮め,本来の市民活動に近づいていくような期待感を持たせてくれました。
(東急建設 高倉 望)

都市再生プロジェクトの一つにもなっている,水の都再生にむけた取組みの紹介記事として興味深く読ませて頂きました。紹介にあったイベントの一つであった水泳大会は延期になった模様ですが,種々の取組みの実現化に向けた課題や苦労している点などについても提示頂いた方がよかったと思います。都市河川とまちづくりをどのように連携させていくかは,いろいろなところで参考となると思います。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)

住民主体による水環境保全の動きを大変興味深く拝読させて頂きました。環境問題への個々の取組み姿勢の改善は,先ず居住地域に親しみを感じ,個々に地域環境を保全しようという気持ちが芽生えるかということにかかっていると思います。そのような意味でも,どれだけ多くの人々が親しみや愛着を感じられるまちづくりをなし得るかという問題こそが最重要であり,このような取組みを通じ住民一丸となって進められたらと思います。
(九州大学 浜田康治)

かつて"大阪"は"水の都"と呼ばれていました。教科書ではそう学びましたが,私の住んでいた"大阪"が現実そう呼べるものとはいい難いものでした。"大阪"は今でも活気に満ち溢れた街ではありますが、"水の都"と呼ぶには遠い存在です。その"大阪"に,『道頓堀川で泳ごうや〜,道頓堀川水泳大会』を立ち上げたのは画期的な試みであり,この記事は私の目にすぐ止まりました。本当にそんな道頓堀川に再生できるのか。頭には「?」がたくさん浮かびあがりましたが,「もしそんな道頓堀川を私が生きているうちに見ることができるものならば,ぜひ見てみたい」という感情が湧きあがってきます。また,この取組みが土木学会誌に掲載されていたことから,「これも土木なんだ。こんな試みを現実にできたならば,また土木に携わっていることに誇りを感じることができる」と思いました。最後に,この試みが現実になったならば,真っ先に阪神タイガース優勝時の道頓堀ダイブに参加している姿を想像してしまう私ですが・・・。
(日本道路公団 徳田尚器)

市町村の町おこしは,その土地の歴史・文化・自然環境に着目して行われる。また,その主体も市民・民間・行政など多岐に渡る。その中で,生活空間を創造する土木の役割は大きい。今回の道頓堀川の記事は,マスコミでもしばしば取り上げられているものではあるが,やはりおもしろい。 道頓堀川という全国でも有名な川の再生が,どの様に大阪の再生に資するか,また都市再生ということを目的とした運動の中でこれから土木はどの様な役割を果たすのか,地域再生と土木の関係を考える上でも興味深い。


阪神タイガースが優勝すると,多くのファンが道頓堀川などに飛び込むため,その時期になると大阪の川の環境ががぜん注目されます。ただ飛び込みを阻止するために,「汚い川」であることが強調されるのは悲しいことでもあるのですが.本記事のように,市民が川と触れ合う機会を増やすことによって環境を考えていくという,NPO法人の方々の取組みを紹介することは,情報発信源としての学会誌の役割を果たす良い企画だと思います。ただ,著者の方が,よく知られている学校や研究所に所属しておられない場合,その活動をより深く知るために,所属団体の紹介に関しての文章も入れて頂ければ,活動内容についての理解も,もっと深まる気がします。文責という観点からも,今後考えて頂けましたら幸いです。
(京都大学 西山 哲)

話の広場 「投稿」建設会計学の講義を 道路公団民営化への財務諸表問題について
この記事では,道路公団の財務諸表の存在の有無が問題になったことと関連して,土木技術者も事務屋さんと対等にわたりあうためには,法律,経済のみならず,会計学も学んでおくべきであるという主張が展開されている。土木技術者が,国家公務員などになった場合に,文系の素養を持ち,いろいろな事項を決定できる能力を持つことは重要だと思うが,本当に決定することがよいことなのかは,多少,気になるところである。極言すれば,国民の判断が,どんなに間違っていても,それに従うのが官僚の役割であり,民主主義だと考える。この記事をきっかけに,いろいろと,これから輩出すべき土木技術者像を考えさせられた。
(東京工業大学 浦瀬太郎)

道路公団民営化の財務諸表問題についての投稿記事であるが,何らかのバイアスが働いた報道が多いため,問題の本質が曖昧になっているという投稿は,とても興味深い。「技術者が社会的に活躍する場合,事務屋さんと同等以上に活躍するためには,事務的問題にも基礎的知識を持たなくてはならない」というのも,シビルエンジニアとしての本質をついていると思う。バイアスのかかったマスコミ報道を,技術者の立場から冷静に議論するということに対して興味深かった。
(太田ジオリサーチ 太田英将)

財務諸表問題に対する自分の認識を改めて考えさせられる記事で,非常に興味深いものでした。この問題のポイントと,財務諸表に関する基礎知識をわかりやすく記してあるため勉強になりました。同時に自分がこの問題に対して偏った捉え方をしていたことと,客観的に物事を判断するためには,多方面からの情報収集とそれに対応できるだけの知識が必要であると感じました。
ご指摘のとおり会計学や経済学といった学問も,事業の経済効果が今まで以上に重要視される中で,必要とされる分野なのかもしれません。これらの分野に限らず技術的知識以外もバランス良く身に付けることの重要性は日頃感じるところです。
説明責任を果たすためには豊富な知識が必要であるとともに,謙虚な姿勢で対応していくことも重要かと思います。
(東電設計 白濱美香)

興味深いレポートでした。土木技術者でも,業務によって,一般会計学に明るい人とそうでない人がいるはずですから,話題となっている財務諸表を簡単にまとめて述べられていることが,このレポートへの理解度を高める上で良い助けになっていると思いました。私自身,財団法人から民間企業に転職するまで,会計学の常識に触れることなく過ごしてしまった経験があり,技術者とはいえ実務に関わる以上,一般的な知識と諸表等を解釈する力が必要であるとの筆者の意見には,痛切に賛同しました。メインテーマとして,道路公団での財務諸表の作成が検討されているであろう現段階にて,専門家による新しい社会資本会計基準が作成されるべきと述べられていますが,これも全くもって同感です。必要視はされているものの,具体的に社会資本の価値について算定された事例はないと思いますので,手本となりえることを念頭においた検討がされることを期待したいと思います。欲を言えば,このレポートにて,筆者の具体的な考えを論じてほしかったと思います。
(JR東日本 外狩麻子)

誹謗中傷,過度や一方的で感情的な論評が多い中で,非常にわかりやすく,要点をついた内容であり非常に良かった。技術者も技術力ばかりではなく会計法等を理解のうえ,会社の一員としての役割を果たしていく必要があると考える。(民間企業としても)
(JH 高橋俊長)

道路公団の財務諸表の問題をもとに建設会計学の必要性を説いた記事は興味を持てました。私も技術者が社会的に活躍するためには事務的問題にも基礎的知識を持たなければならない点で同感です。最近では,財務諸表について分かりやすい本が書店に並んでいます。これは,"会計学"が技術者とは言わず,われわれが生活する上で必要不可欠な学問になってきているものと感じています。
(東急建設 高倉 望)

土木技術者に会計学や経済学の知識が不足しており,その問題に対して警鐘を鳴らしている点に関しては共感できましたが,一連の道路公団の件に対する意見に関してはあまりにも土木技術者を養護する立場に偏りすぎていて土木工学専門誌である本誌への掲載が適当なのか疑問を感じました。
(九州大学 浜田康治)

話の広場 「投稿」特定都市河川浸水被害対策法制定の意義と,これを踏まえた総合的な治水対策立案への試み
土木開発にも地域住民参加型の合意形成システムが求められていますが,都市水害法を適用した本文の事例からはそれが見えませんでした。行政側と開発者側の責任範囲が明らかになったのは良いと思いますが,個別計画案の段階から総合計画案へと調整を図っていく中で,果たしてどれだけ近隣住民の声が反映されるのか,ややもすると行政と開発者のみの利益やエゴを調整していったものが総合計画案となってしまわないか,という危険もあると思います。実際に水害になったときには,その被害は広範に渡り,住民も被害を受けるわけですから,総合計画案のプロセスに第三者が参画する制度があってもよいのではないでしょうか。
また,本事例では開発者が国立大学,つまり独立行政法人で国に非常に近い立場にいる者でありますが,民間のデベロッパー等,完全に国から離れている民間の者に対しても,このようにスムースな調整が行政となされるだろうか,とも感じました。都市水害法が有効的に運用されるためには,スムースな調整が必要であり,そのためには行政がより民の立場に立つことも必要だと感じました。
(鉄道・運輸機構 石橋英介)

この法案は平成平成12年の東海水害等の浸水被害の多発を受けて平成15年6月公布され,平成16年5月に施行されたもので,この文を作成している今も新潟・福井において多数の死者を伴うが大水害が発生しております。そういう状況や下水道のコンサルタントとして浸水対策等の提案を行う者として参考とさせていただきたく読ませていただきました。
法案公布以来,国交省のHPでの概要と鶴見川の事例等で知るのみであったため本投稿での法案主旨の考察や実際の取り組み事例が記載されており大変参考となりました。実務者としては,紙面の都合もあると思いますが,九州大学移転計画と水崎川の整備計画に対しての検討内容をもっと詳細に知りたいと思いました。
(東洋コンサルタント 小林幸男)

新しい法律の解説ということで興味深く拝見しました。従来の治水対策の問題点が今回の法律公布でどのように改善されたのか,もう一段かみ砕いて説明していただけるとありがたかったです。
総合的な治水対策についても,何がどう改善されたのかが一度読んだだけでは理解が難しい文章でした。従来対策との比較も含めて示していただけると,理解の一助になったのではないかと思います。
(日本技術開発 中野雅規)

話の広場 「投稿」夏だ!川に学ぼう! 川を活用した環境学習の取組みについて
広島で育った子供たちは瀬戸内海に行く機会に恵まれた。その瀬戸内海は,穏やかな潮流に美しく浮かぶ島々に反してとても汚い。私は大工業地帯の排水に汚染されたとされる東京湾に面したところで育ったが,その東京湾よりも汚いのだ。平成16年度の環境白書によればCODの環境基準達成率は東京湾が68%,瀬戸内海が69%,赤潮の発生状況は東京湾が34件,瀬戸内海が89件になっている。ところが,広島花崗岩からなる山体を源として湧き出してくる水を集めて流下する広島の川はいずれもとてもきれいなのだ。市内から車で1時間ほど入り込んだ渓谷には,澄んだコバルトブルーの水が跳水している。この川を初めて見た時には驚きに似た感動と安堵を覚えた。おそらく,瀬戸内海は背後の美しい河川から供給される水によって以前は透明な輝きのある海だったのだろう。その海が蘇らせなくてはならないと思う。今,その中で私はいったい何ができるのだろうかと考えている。
(明代環境地盤研究所 明代達也)

東京都の取組みであるが,川の重要性は森や海への環境保全にもつながる問題であり,大都会東京でも真剣に取り組まれているのを感じ,興味深く読みました。山がない又は海がない等の地域においても,川を通じてより水環境保全への取組みが実践できるよう類似する記事等今後の掲載に期待したい。
(JH 高橋俊長)

7/7が川の日である事を始めて知りました。さらに今年が30周年という記念すべき年であったとは・・・。近頃の周辺環境はビルやマンションが次々に乱立してアリの歩く隙間も見当たらない状態であり,この様な環境の中で子供たちはどうやって自然と接して育っていくのだろうと疑問に思います。確かに土木事業が社会に貢献してきた偉大さは計り知れません。河川事業にしても,洪水による氾濫が続けば都市の発展の妨げになりますから,当然成されるべき事です。高度経済成長期には安く早く大量に,の時代から現在は市民にとって自然と触れ合える居心地の良い環境を提供する場として,河川環境が考えられてきています。そのためにも,将来を背負う子供たちに河川の大切さや楽しさを知ってもらうための活動は素敵だと思いました。
(東京都立大学 藤原多聞)

専門的な内容ではないが,この記事に大変惹かれるものがあった。何よりこの様な活動をされていることをうれしく感じる。
つい先日,新潟県及び福井県で洪水による大被害がもたらされたが,この件で私が一番大きく感じたのは,やはり河川に対する多くの人々の無知である。河川のこの様な一面も含め,多くの事項について流域住民は,知る必要があるし,専門家はそれを教え,行政はその機会を与える責任がある。もちろん,河川の素晴らしい魅力も含めて。
今後,このような活動の学会誌での紹介にとどまることなく,多くの人がこのような活動を知り,利用してゆくことが望まれる。
(東京大学 三浦倫秀)

記事のような取組みをとおして環境学習を推進していくことの意義は高いと考えます。効用は多岐にわたると思いますが,土木事業への市民参加の機運も高まりつつある中で,学習という側面から意識を高めていけること自体には,大きな効果が期待できると思います。少子高齢社会を迎える中で,今後は,より地域に密着した環境形成も重要となってくるのではないかと考えますが,総合学習の時間などを活用しながら,市民・教育・官などでの協働を進めていくことが必要と考えます。実態は,記事中にもあったように,連携できる場自体,まだまだ少ないかなとは思いますが。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)

今年の梅雨は,福島・新潟・福井と,集中豪雨による水害が多く発生した。これは治水というハードな問題であるため,どうしても行政が解決していかなければならない問題である。一方,自然の豊かさや大切さを子供達に学習させることは大変重要な事だと思います。ここに紹介された川とのふれあいについては,巻末で挙げられているように「市民ー行政ー学校」等,連携を図りながら子供達に自然の豊かさと恐ろしさを教えていく必要があります。今後,行政やNPO,または市民団体等を中心により多く機会を設けていくべきだと考えます。
(オリエンタルコンサルタンツ 植田知孝)

子供達への環境学習の大切さは日頃から痛感しておりますし,本記事のように,それに取り組んでおられる関係者の方々からの便りには,同じ分野に携るものとしてお互い頑張りましょうという元気をもらっております。子供は元来,自然の中で遊ぶことによって生活の知恵を身につけてきました。以前のような自然の無い都会では,それを別の形で教えていかなければいけない時代です。その中の大事なものの一つに,"自然の恐さ"が在るような気がします。例えば,気象情報を無視した結果,キャンプ中に河川の中洲に取り残されたりする事故の場面をテレビで見ることも増えたような気がします。実は,これらの事故は,幼い頃から川で遊ぶということを失ってしまった結果とも言えるような気がします。大雨が降ったら川に行かないとか,どこが危なくてどのような処が安全なのか,子供の頃から遊びながら自然に身に付けるという機会を失ってしまった都会が呼ぶ事故とは考えられないでしょうか。幼い頃から,自然の中でいろいろな恐さを体験して成長してこなかった人が集まって,例えば河川の改修や堰の建設などを議論しても,防災を無視した偏った考えしか出でこないでしょう。面白さと同時に危険に対する生活の知恵を得るための"川に学ぶ"が,自然の川でより多くの人が実現できる日が来れば,土木工事に対する認識も変わってくるのではないでしょうか。
(京都大学 西山 哲)

本と私 土木技術者と倫理
コンビナート事故やH2Aロケットの打ち上げ失敗,「過大」公共事業への批判など,昨今の状況を受け時宜を得た記事であるとともに,土木学会が,土木者の倫理に関し倫理規定の制定等大変熱心に取り組んでいる事実を知り,感銘を受けました。国民側の厳しい目と学会側の努力ギャップを埋めるため,技術者が様々なレベルで住民・国民との間で,更にコミュニケーションを充実させることが必要と考えます。
(匿名希望)

この本 都市新基盤整備研究会 森地 茂・篠原 修・編著『都市の未来』
都市基盤整備において,土木的インフラと建築物が協調していないため魅力低な都市空間の創造に失敗しているという事実,また,都市の歴史や文化の蓄積等の理解があって初めて都市の夢や理想を論じ得るとの事実の指摘は,貴重。今後も,歴史や文化に加えて,都市の景観や観光地としての魅力度等の都市のソフト的な内容を重視し,都市の未来について,総合的に議論することが重要と考えます。
(匿名希望)

学会の動き 英国ICEとの協定改訂について
国際的な技術者資格制度や各国の学会の活動については,技術士制度改正やAPECエンジニア認証制度が導入される時に多少紹介されたものの,その後あまり知る機会がありませんでした。
ここでICEとJSCEが協定関係にあること,米国のPEに対してCEをはっきりと区別していること,国会が専門家としての意見を求めていること,また,社会基盤の評価をA〜E(それぞれ±3)と段階評価をして発表していること等,大変興味深く拝読いたしました。また,違う紙面で詳しく知りたいと思いました。
(東洋コンサルタント 小林幸男)

昨年3ヶ月間ほどイギリスに駐在していまいたので,写真-1・-3の見慣れた光景が目にとまり,本記事を一気に読んでしまいました。(ブルネルの像はパディントン駅の少し暗がりにあったので,通り過ごしていました。本誌にて何なのか知りました。)
紹介されているような学会の努力が実を結び,一定の資格を有する土木技術者の地位・責任を重くし,それに見合った高い報酬を約束すれば,巻頭の「時局を論ずる」で論じられているような土木技術者の社会的地位の向上が促進されると思います。また一方で,一般の人に「すごい」と思わせる宣伝も不可欠で,今後更なる宣伝活動も必要と思います。「相互の技術者資格を評価することを開始する」とありますが,ぜひとも,日本だけでなく英国圏内でもこうしたことをICEに宣伝していただき,最終的には,日本の一定の資格所有者は等価なCE資格を書類申請だけで容易に取得でき,英文名刺に書き込めるくらいにしていただきたいものです。
(日揮 宮岡秀一)

報告の中で,「技術者資格制度の相互評価(仮称)」の文字が目に付きました。この「相互評価」という言葉については,文末に小さな注釈がありましたが,報告の記事のみの論旨からは,「相互互換」か?とも取れてしまい,やや誤解を招く内容となっていると思います。また,米国PEと英国CEとの差異についての記述で,「PEはCompetence(能力)がなくてもなれるが・・・」との一節には,強い不快感を感じます。
ICE側からの意見として,そうおっしゃられたのかもしれませんが,論旨からして,"PE"→"技術士"、"CE"→"JSCE技術者資格"と解釈される検討の報告の後の上記一節には,首をかしげる思いです。
協定改定の報告の一部であり,また,JSCE技術者資格の確立にご尽力されていることは理解できますが,技術者資格が多様化してきている状況を鑑みて,少なくとも読者が混乱しないような親切な説明報告をお願いしたいと思います。
(JR東日本 外狩麻子)

学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等

ページ数が多すぎるように思います。
特に,「第59回年次学術講演会プログラム」の頁1-36〜1-91は,「特別セッション」を除き,土木学会のWEBサイトを参照してもらうということでよいのではないでしょうか。
また一方,今後も同様にするなら,全国大会の案内部分については「コンクリート工学」((社)コンクリート工学協会)の全国大会の案内のように,会場に行く人を意識して,この部分だけ学会誌から剥ぎ取って,会場に持って行けるような製本のしかたにするか,最初から持って行き易いように別冊にして編集したらどうでしょう。
(日揮 宮岡秀一)

「連載企画・・・真夜中の夜間工事「第3回 高速道路の夜間工事」のように現場でのレポートを記載していただけることを楽しみにしています。
(大林組 中村 泰)

数年前より土木学会誌が格段に面白くなってきていると感じております。
土木学会は学生時代にも加入しておりましたが,産学官では学の色彩に強いものですがその形にする側の建設関連業は今,公共事業縮減,ダンピング,説明責任増大とまさに三重苦にあえいでおります。私どもの同世代の技術者もこの業界を去る者が多くなりました。ここで,今一度原点に立ち返り,なぜ土木技術者になったのかと考えると,言うまでもなく子供のころ学校で団体鑑賞させられた「黒部の太陽」が原体験としてあったと言う同世代は多いのではないでしょうか。
土木学会誌が,今一度我々に技術者としてプロフエッショナルとしてのアイデンティテーと喜び・元気を月一度与えるくれる「黒部の太陽」であることを願っております。
(東洋コンサルタント 小林幸男)

学会誌の総ページ数に対して,タイトルの数が多すぎるように感じます。この形式の方が読みやすいのかもしれませんが,記事が深く掘り下げられていないため,表面的な記載に留まっているような印象をうけます。全体に記事の数を少なくし,深く掘り下げた内容として,その記事に対する議論がまきおこるようにすることが技術者を主体とする学会誌としてはふさわしいように思います。
(太田ジオリサーチ 太田英将)

正直申しますと,これまで土木学会誌が手元に届いても,特に内容について確認したことはありませんでした。これは他の学会誌等が専門的な内容に特化し,欲しい情報をすぐ確認出来るのに対し,土木学会誌はもっと大きな視野からの立場から書かれていて,すぐに必要となる情報が少ない点が,これまで読まなかった理由の一つかと思います。しかしながら,こうしたモニターという機会を与えられ,改めて記事を読んでみると,実は多くの有為な情報がちりばめられ,自分の視野を広げるのに良いと思いました。モニターを通じ,これから内容について,もっと読んでいきたいと思います。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)

今月から学会誌のモニターとなり,学会誌を精読させて頂きましたが,「こんなにじっくり読んだのは何年ぶりだろう」と考えずにはいられませんでした。先月までは,目次に目を通し,興味のあるタイトルのページを開いて斜め読みする程度で,あとはシンポジウムなどの行事を確認することくらいしかしておりませんでした。今回,久々に学会誌にじっくり目を通して,「こんなにおもしろいのか」と,改めて感じました。
今月の特集の火山も興味深く読みました。技術リポート2編も海外ホットラインもそうです。土木紀行も大阪泉州出身の私には,キャンプに行った地でもあり,新たな知識となりました。また,シリーズの夜間工事もたいへん興味深い企画で,「水の都・大阪」や「建設会計学」も易しく解説して頂いております。
どの記事も,専門的ではなくて読みやすく,その上で,比較的つっこんだところもあって,たいへん良いと思います。ただ,先月までの私と同様に,日頃の忙しさに,ついつい学会誌記事を読むには到らない人が多いのではないでしょうか?読み物としてもおもしろいし,技術的にも知識が蓄えられる,この土木学会誌を少しでも多くの人に,読んでもらいたいと思います。
企画される方も,原稿の依頼や取材など,たいへんな思いをされていることも,想像に難くありません。また,メールニュースも配信されています。これらのことも考え合わせて,土木学会誌を各月発行にするようなことは検討に値しないでしょうか?せっかくのこれらの記事が読まれないのは,たいへん惜しいことです。それとは別に,既に構想・企画が持ち上がっているかと思いますが,今回の新潟・福島・福井の水害についての原因調査,対策の提言をして頂きたいと思います。
(前田建設工業 赤坂雄司)

内容に文句は無いのですが,デザイン面で散漫かつ堅い印象があるように感じます。特に特集記事では,もう少し大胆な雑誌風のレイアウトを採用しても良いのではないかと思います。
(日本技術開発 中野雅規)

はじめて全編に渡り目を通しましたが,全国大会案内をここまで紹介する必要があるのでしょうか?アクセス図等基本情報はインターネット又は問い合わせ方式として誌面を減らすべきと思いました。
(JH 高橋俊長)

今年の春から購読を始めたのですが,普段は軽く目を通して終わりにするのが普通でした。このたび,モニターの仕事を引き受けまして,今回がはじめての投書ですので何かと不備な点が多くあるかと思います。けれど,私としてはこれを機に学会誌への関心が強くもてるようになれば,自分自身の成長に繋がるのではないかと,期待しています。今後は学会誌を通して土木の現状に目を向けていけたらよいと思います。


とかく逆風に晒されている土木会,建設業界の中にあって,前向きで明るい紙面づくりに敬服し,感謝しております。
今後も,暗い話題の方が多いでしょうが,それらを前向きに捉える姿勢で編集されることを望みます。
(中央復建コンサルタンツ 澤田幸治)

我々の身近にあるちょっとした「土木」,一見気づかないような意外な「土木」についての記事をもっと載せていただきたいです。
(京都大学 三津田祐基)

今月号から,モニターを務めさせて頂くということで,初めて真剣に会報を拝見させて頂いた。未熟な私に,この様なモニターが務まるか不安ではあるが,今後読み続けるにつれて,この会報について有益な意見を発言できるようになればと思う。
(東京大学 三浦倫秀)

個人的に,学会誌に使われている紙の材質が嫌いです。つるつるしているのは好みが分かれるでしょうが,薄くて裏側が透けており,しかもかなり重い。写真などの色がすっきりしないのも,紙のせいではないでしょうか。
(東京大学 佐藤岳文)

土木学会誌に限らず,土木関係の雑誌には,意見・持論を展開する記事をよくみかける。個人個人のそれぞれの考え方があり,違った意見でも,直接上司・同僚より押しつけられるものよりも,以外に素直に受け止められるものも多い。しかし,こういった関係誌でそういった意見・持論が掲載されるのは,肩書きを持つようになった50代以上がほとんど。20代・30代・40代の名もなき土木関係者の意見・持論も必要ではないだろうか?と思う。また,そういった世代の各層の意見を集められない土木業界の体質は,発展の妨げになっていると思う。ぜひ,広く意見を集めて頂きたいと思います。非礼な文章で失礼いたしまいた。
(大豊建設 稲田文展)

学会誌表紙の「土木学会誌」の古い字体は,タックスペイヤーの視点からすれば,独りよがりの時代錯誤になっていないだろうか。「土木学会は閉鎖社会」の象徴とも取られかねないのではないか。ちなみに,この古い字体は,1990年の学会誌から使われている。1990年は,「土木社会」がバブル経済を突進していたおごりの時である。学会誌表紙の「土木学会誌」の字体の速やかな改善が望まれる。
(広島工業大学 二神種弘)

(編集委員会からの回答)
編集委員会では,学会誌のデザイン等についても常に検討しております。2005年の4月号から新しいデザインに変わりますのでご期待ください。

7月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

(編集委員会からの回答)
たくさんのご意見をありがとうございます。土木学会誌編集委員会では,会員の皆様に楽しく興味を持って読んでいただくことを目標にしています。ますます楽しい記事,読んでためになる記事を皆様に提供するため,土木学会誌は4月号から装いも新たに生まれ変わります。よりビジュアルに,よりタイムリーな記事,より速報性の高い記事を掲載していきます。どうぞご期待ください。
(編集委員会)

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