土木学会誌
土木学会誌2月号モニター回答


表紙
1,2月号の表紙は歴史的構造物の建設当時の設計図書を背景として使われていました。意図される事はなんとなく理解できますが、文字を背景にしたので発行日や目次などが読み辛いと感じました。特に背景文の行方向を意図的(?)に誌名と揃えているので学会誌の説明にも見えて、手に取った時バックナンバーの復刻版かなと違和感を持ち裏表紙の図柄と交換すれば良かったと勝手に思いました。 多分に個人的嗜好に関わる事ですが、御一考頂ければ幸いです。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

特集 大学新時代
学生の私にとって,とても痛い特集だった.大学を良くするために努力なさる先生方に対し,私達生徒側はそれに応えられているだろうか.自分の母校に愛情を持っているだろうか.大学は自由な場所である.「単位さえ取得すれば」授業に参加しなくても平気である.大学は自らが求めることで,大きく成長できる場所でもある.どちらの道を選ぶかは自分自身の選択であるが,残りの学生時代を有意義に過ごしたいものである.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

今回の特集はあえて大学側からの情報発信に限定されているとのことであるが、産業側が求める大学の姿とはどのようなものかも認識しておく必要があるのではないだろうか。おそらく、今回の特集に対し様々な意見が編集部に寄せられるであろう。それらは、必ずしも大学側が考えている内容と合致しているとは思えない。数年後、各大学の改革の成果と、大学を外から見た望ましい姿を特集して頂きたいものである。
(本州四国連絡橋公団 池末泰輔)

本記事は,大学からの1方向の情報に限定したという筆者の言葉通り,大学の様々な取り組みが特集として紹介され,とても参考になりました.世間では常々産官学の連携強化が議論されていますが,個人的には社会と大学との連携が貧弱であると感じていたので,今回の特集は,ある意味「新しい発見」という感想です.特集されていたそれぞれの取り組みが実を結び,土木技術の発展のためにも,各大学間や大学と地域との連携そして国際連携の強化には,特に期待したいと思います.
(東亜建設工業 川島 仁)

2004年4月から始まる国立大学の法人化に伴う各大学の試みを知ることができ,現場に勤務する私にとって,とても有用な情報を得ることができました.特集では,各大学の教育活動と研究活動が共に掲載されていましたので,その両面から法人化後の国立大学の立場を再考することができました.国立大学の法人化は,土木学会の運営・活動に対しても少なからず影響が出てくるものと思います,そこで,本特集を発端として,今後も大学の現状を継続して記事にして頂ければ幸いです.
(京都大学 稲積真哉)

論説 大学の新時代 ―特に国立大学の法人化を控えて―
土木学会誌であるのだから、このような取組は仕方がないのかも知れない。とくに国立大学の独立行政法人化や評価といった時代の変革期にあって、各大学とも独自性と生き残りを模索することは当然であろう。もちろん、大学教育が発展し、より優秀な人材育成をこれまで以上に効果的にリーディングしていただくことに異論はないが、多くのすでに実務にある者にとっては、ビジネスチャンスを別とすれば、あまり関心のない事項である。大学が独自に行う事項について、残念ながら関与しようないのだから、無責任に聞こえるが、どうでもいいことである。
(日本道路公団 谷口 寧)

1-3 評価される大学
私の会社の同期入社組の中に、ある国立大学の教授に転身した人がいて、彼に話を聞くと(その大学だけかも知れませんが)大学の組織には無駄が多いように感じられ、コスト意識がまったく無い、との事でした。 これまでの組織では致し方ないのかもしれませんが今後、法人化してからは今まで日本ではあまり見られなかった『第三者による評価』を受け、教育機関としての質がチェックされる事になると、もはやのほほんとしていられなくなり、否が応でも贅肉が殺ぎ落とされていく事になるのでしょう。木村先生が言われているように『悪貨が駆逐され、良貨だけが生き残れる』方向に進んで行き、この変革が大学の組織の改善につながるのはいい事だと思うのですが、勉強に打ち込んでいる学生さんに悪い影響が出ない様に気を付けていただきたいです。(勉強が嫌いな学生さんは駆逐されていくでしょうが…)
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

1-4 変わる土木系学科名
詳細なレポートは解かり易く、興味を持って読ませていて頂きました。しかし、その実態には少々不満を感じました。 それは「土木」そのものの名称変更ではなくて「土木学」の呼び方をどう言い替えるかの議論が行われているからです。大学に於いて学科の名称を変える必要があるのなら事柄から言って「土木」と言う用語の評価に関する本質の議論から始めるべきでないか。日本語は漢籍に依存している部分が多い。「土木」も周知のように「淮南子」中の「築土構木」が出典だと言われている。大和言葉で造語するなら別だがこれを変えるのには豊富な漢籍の知識と将来のへ洞察力が必要である。私は個人的に変更の必要は全くないと思っています。今を遡ること百三十年、明治初頭の碩学達が知恵を絞って西洋文化を表現した「哲学、天文学、物理学、文明、芸術等」の言葉の中には漢語として十分通用し中国でも使われているものもあると聞く。これは一つの文化となったと言えるのではないか。今行われている漢字、外来語等を合成した一貫性を欠く置換え語が果たして百三十年後までもつ文化と成り得るのか。関係者の奮起を望みたい。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

私が学生のときにも、造園とランドスケープという言葉について、記事にあるような議論があったと思う。
自分としてはどちらでもいい気はするが、新学科名のほうが受験倍率等が上がるのは分かる気がする。
あと、「環境」という言葉がつく学部・学科が非常に多いと思う。たまに何の環境なのかよくわからないと思うことがある。
(柏市 居原田淳司)

私の所属している大学では、2003年4月に土木工学科の名称が変わった。この記事に書いてある通り、最近は多くの大学で「土木工学科」の名称が使われなくなってきているようだ。しかし、私はこの流れに「待て!!」と言いたい。名称変更の目的は入学志願者減少対策が大きいようだ。しかし、その効果が一時的なもので終わってしまうことが多いと書いてある。これは、名称変更後の入学者の「土木じゃないと思って入学したら、なんと中身は土木だった。」という話が広まるためではないだろうか。つまり、土木自体の評判(就職率、世論)が悪いのなら、名称を変えることは根本的な対策にはならないということだ。それと、変更後の名称は大学によってバラバラで、名前からその内容を掴み取ることは難しい。私だけが思うことかも知れないが、「土木工学の内容を分かり易く表現するために名称を変える」といっても、一体、全国の高校生の何割の人が、新しい名称からその中身をイメージできるのだろうか。「土木工学科」でステレオタイプ的に判断できるほうが、「何を学ぶのかわかる」という点では良いと思うのですが・・・。そして、最近の高校生は、大学の情報を得るためにインターネットを使用することが多いと思います。高校生の心を掴むためには、ホームページを改善・更新して、その大学で学べることなどを分かり易く表現することが大事だと思います。何十年も土木に携わっている先生方の視点だけではなく、土木のことを全く知らない高校生の視点を考えて、情報を与えることが重要なのだと思います。高校生は土木に対する知識が少ないからこそ、正しい情報を与えれば、世論から生まれた土木に対する悪い誤解が解け、今より土木に希望を持ってくれる可能性があると思います。ちょっと熱く語ってしまいました。勢いで見当違いのことを言っていたらすいません。
(東北工業大学 引地博之)

大学の土木系学科の名称変更が盛んになってきているのは感じていましたが、近年、こうも激しい変化があったのには驚きました。私自身もいわゆる土木工学科ではなく土木計画系の学際学科の出身であることもあり、土木工学という名にあまり強い執着を持っていないせいか、果たして「土木」という名が体を適切に表しているのか、疑問に思った事があります。また。現在のように、大学土木系学科の名称が多岐にわたっているのは果たして良い傾向であるのかも疑問です。あまりにもイメージが失墜した土木という名から、より適切に実態を表す新たな統一名称に変更するのも一考の余地があるのではないでしょうか。その際は土木学会が名称変更の牽引役となる事を強く望みます。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

私が学生だった20年近く前も『土木』の改称問題があった。大学の経営上、学科名を変えなくてはならない理由はわかるが、何かさびしい気がする。建設業、特に『土木』は世間一般からみて、何をやっているのか、何を造っているのか、どういう分野があるのか、非常にわかりずらい面がある。少しでも、『土木』を知らない人々に、『土木』を伝えていくのも、土木技術者の役割のような気がする。
(東急建設 加地正宗)

1-5 アメリカ土木環境工学系大学院の教育・研究戦略 ミシガン大学およびカリフォルニア大学デーヴィス校を例に
アメリカの教育と日本の教育の対比は、しばしば取り上げられるテーマである。必ずしも、アメリカの教育システムが完璧とはいえないが、日本が学ぶべき点が非常に多いように感じる。本稿で特に目を引いたのは、大学院生への財政援助である。日本の場合、一旦就職して社会に出ると、基本的にOJTによる学習が主流であり、大学院等に復帰して学習するケースは稀である。日本の社会人の中にも、大学院等に復学して学びたいと考える者がアメリカと同様に存在する。夜間コースであれば仕事との両立は可能であるが、フルタイムの場合、職場に留学制度が無い限りは休職か離職を選択しなくてはならない。「復学したい意思はあるのだが、休職や離職して経済基盤を失ってまでは…」という社会人がほとんどであろう。「技術立国ニッポン」を支えるには、社会人の復学の重要性が高まると、私は思っている。社会人が容易に復学できるような財政援助の創設を、私は是非お願いしたいと思う。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)

アメリカの大学院での教育内容等大変興味深かった。
(日本デジタル道路地図協会 安居邦夫)

日本では学生の年齢が18歳からせいぜい25、6歳に集中しており、学生と言えばこの年代をさすと言っても過言ではない状況である。しかし学習や研究の動機付けには社会での経験が大きな意味を持つことはいうまでもない。先日、訪問したフィンランドのオウル大学情報処理科学科では、一度大学を卒業した学生の再入学(リオリエンテーションと呼ぶらしい)が入学者数のおよそ4分の1を占めている。また、このような学生を支えるシステムの一つに講義風景のアーカイブ化及びストリーミングなどのしくみも用意されている。加えて、技術系の学科の学生にも、経営学などを学ぶチャンスも用意されている。学生の多様化(それをどうやって実現するかは別途考えなければならない問題であるが)も大学の重要な教育・研究戦略であることを思い知らされた記事であり、「マイノリティ」である立場からも共感を持った。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

現在、働きながら大学に在学している自分としては非常に今回の特集全体が興味の持てるものでしたが、中でもこの記事に関しては酷く関心の持てる事項が多くありました。特に大学院に在籍するそのハードな講義にも関わらずに多い社会人経験者の存在は、引いては大学のシステムがそうする事を容易にしている事であると思います。その一つには大学院生への財政援助は決して外せない項目でしょう。そしてその講義内容も、「自分で考える」ことを主軸に置いたテスト等、リアルなシュチュエーションによって実施されて学ぶ事の効果は、実社会に出たときとても実用的なのではないかと思います。自分はまだまだ学び足りないことばかりなのが実情ですが、それを補うときに大学はとても重要な機関だと思っています。今回の記事と自分の環境とを単純に比較するのは少し直情的かもしれませんが、これらのシステムにはとても魅力を感じました。
(水産庁 宮園千恵)

第2章 変わる大学教育
様々な大学の取り組み状況について、興味深く読ませていただいた。とくに、中国の清華大学で、「土木工学科」の他にダム建設を専門にした「水利水電工学科」があり、中国の治水事業であるダム建設に関する仕事が人気急上昇であることに注目した。今、振り返ってみると、「青函トンネル」や「瀬戸大橋」が開通した時代は、「土木工学科」の人気が高かった記憶がある。大学の将来にとって、「土木工学科」の名称を変更することも重要かもしれない。しかし、夢があり、後世に残せる土木構造物を創造することが、学生に対しては勿論、大学および土木業界の将来にとって必要であると思う。
(鹿島建設 田中俊行)

2-2 地方私大における教育改善の試み
特集の中でも2−2は同じ地方私大ということで関心を持って読ませて頂きました。推薦入学決定後の添削指導や、高校レベルの数学の復習科目である土木数学演習を通年2単位など、「教員の教育負担は明らかに増大」するにもかかわらず取り組まれているとのこと、この苦しい時に何をすれば生き残れるかヒントを頂いた思いがします。また、「これまで補修科目として位置づけられていた科目を大学の正規科目として設定することが必然となるものと考えている」といわれるように、どう位置づけるべきか判断がつきにくかったことについて明確にご発言頂き、スッキリしました。入学者を確保するための魅力的なカリキュラムと、一方でJABEE等への対応との両立を求められる中、どういう態度で臨まなければならないかを示して頂いたように思います。
(崇城大学 上野賢仁)

2-3 高打率か?留年か? 新たなカリキュラムの試み
私は、この記事の「目的意識を持たせる」というところの「オープンラボ」に非常に興味を持った。1・2年生の大半の学生は、自分が進んでいる道、これから進む道という者を漠然と理解していて、自分が具体的に、どのような仕事をするのか、どの研究室でどのような研究をするのかということは分かっていないと思う。研究室には、実際に研究を行っている4年生、大学院生がいるので、「オープンラボ」を実施することによって、先輩からいいろいろと話を聞くことができ、自分の進路を決める際に大いに役立つと思う。なにより、4年生や大学院生は年齢が近いこともあって話がしやすいので、進路に限らず、他のことも気軽に相談することができる。私も2年生、3年の時に何回か大学院生と話をする機会があり、そこで得た知識は、自分の進路を決定する際に大いに役立った。そこで、私が自分の所属する大学に望むことがある。それは「大学院生による学部生(主に1・2年)のための進路相談室」を設置して欲しいということである。大学院生は、週に何回か相談役になり、その時間に応じて大学から報酬を貰うというのはどうだろうか?
この相談室が設置されれば、勉強のことを聞きたい人、様々な研究室の実態を知りたい人、普段の生活で先輩と接する機会が無い人、将来のことが心配な人、というような「進路迷子」は大いに助かるのではないだろうか。
(東北工業大学 引地博之)

2-4 国際社会で活躍できる人材育成を目指して
あまりピンとこない話。東大ならではだと思う。
(柏市 居原田淳司)

2-5 清華大学 優秀な学生を育てるために
学生の選抜方法や産官学の連携について大変興味深かった。教育内容や具体的な産官学の連携についてもう少し詳しい説明がほしかった。日本の大学も独法化するので参考になると思う。
(日本デジタル道路地図協会 安居邦夫)

3-1 地方大学と地元建設関連業界との連携 大企業に負けない研究所を作る
「岐阜社会基盤研究所」についての記事、地元建設業者の私にとっては身近でかつ刺激的題材でした。特に「研究開発部門等がないため、単なる施工管理に終始する生き延び策しか取れない−地元中小建設業者」というくだりは業者にとって目をつぶることの許されない厳しい現実です。同業者が顔を合わせれば「さらにきびしい、これからどうなるのか」という話に終始します。このように業界に不安と失望ムードが漂う中ですが「自分たちの将来、何とかしよう」とばかり若手建設経営者グループが中心になりさまざまな試みが各地で行われています。彼らが本記事のような組織に参画する機会を得ることでさらなる活性化を期するところです。ぜひとも続編をお願いしたいと思います。
(国際建設 佐々木幸一)

大学では、多くの研究者たちが日夜研究を続けており、その時間的な蓄積を考えれば、大学は莫大な量の知識を持っているといえる。一方、企業は現実の社会と深く関わっており、市場の動向を察することに長けているだろう。私は学生なので、社会のことを深く理解しているわけではないが、この2つの主体が連携すれば地元の建設業界に活気がでることは容易に想像できる。そしてこのことは、長い目で見れば、建設産業活性化による雇用の創出、入学者の増加、地元に貢献することによる土木のイメージアップ、学生の勉強に対する意欲の向上などに結びつくのではないだろうか。大学は、新しい知識を創り出すことだけを目的に研究を行うのではなく、記事の大学・高専のように積極的に地元と関わるべきだ。なぜなら、大学が社会から得るものもたくさんあるだろうから。
(東北工業大学 引地博之)

3-4 TLO−大学で開発した技術の移転
大学側から見たTLOの役割についての説明はわかりやすい。土木学会の特殊性として、会員が研究者に限らないことがあり、それらの会員はTLOの顕在化した/潜在的な顧客である。企業や官公庁がTLOをどう利用すべきか、利用できるか、利用して欲しいかについても言及がほしい。また、地域の企業や自治体は大学との連携を望んでいる。TLOは地域にどのような貢献ができるのか、TLOの認識も聞いてみたい。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

プロジェクトリポート 鋼アーチを利用した架設するコンクリート長大アーチ橋 町道日生頭島線・頭島大橋(仮称)
海上での仮設方法及び施工方法について、施工条件を良く勘案した施工法であると実感しました。また、工事費についても、最も安価な方法であることが実感できました。
(復建エンジニヤリング 青木喜一郎)

プロジェクトリポート 日本海から瀬戸内海そして四国への道路ネットワーク 中国横断自動車道尾道−松江線 御調川橋(鋼管・コンクリート複合構造橋脚)
記事にするプロジェクトを選定するのはご苦労があると思いますが、この記事で取り上げられている鋼管・コンクリート複合構造は今や新規性に富む工法とは言えないと思います。構造、工法の説明ではなく、別の視点からのご紹介のされ方だと良かったなと感じました。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

プロジェクトリポート 百年ダムの再生 維持管理の標と成す−神戸・布引ダム(五本松堰堤)
神戸に住んでいる事もあり、布引貯水池についてはそれなりの知識を持っていたつもりでしたが、最近の「建設業界」での連載や今回の記事を読むまで、ダム本体については、なんの知識も持っていない事に気づかされました。このような市民生活に直結し、かつ百年以上の歳月に耐えうる建設物を計画、建設された先人の偉業、またその後の維持管理に携わった方々の努力に敬意と感謝の念をいだきます。記事の内容を念頭に置いて、見に行ってみたいと思います。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

この記事の「百年コンクリート・・・今のそれと引けを取らない密実かつ堅固で美しいものであった。」という部分に多いに感銘を受けた。昨今では、品質管理の重要性が認識されているが、管理の煩雑さに憂鬱さを覚えてしまいがちであり、揶揄もすると「構造物の機能を永年に渡って保持する。」という品質管理の最大の目的を忘れてしまう。私も、今までいくつもの構造物を造ってきたし、品質管理もそれなりに行ってきたつもりである。しかし、百年後のことを考えてまで管理してきたかと問われれば、答えは否である。管理の一部は規定されている書類を作成するためだけに、ただ事務的に処理を行っていたと思う。また、多くの技術者が私と同様の記憶があるのではなかろうか。計画・設計から施工まですべての技術者が「百年後の世代に感銘を受ける様な構造物を造ろう。」という志で従事すれば、百年後の土木学会誌に、この記事と同じ一文が記載されるはずである。
(三井住友建設 金重順一)

日本初の重力式ダムの再生工事の内容が,とても分かりやすく紹介してあった.当初,西洋式の排泥管が設置してあったようだが,どういった理由で,使用が不可能になったのかが知りたかった.また,100年前のコンクリートが健全な状態で発見されたのは,非常に興味深い.
(西松建設 南部亮太)

布引ダムは、学生時代に水理・水質観測でよく足を運んだことを思い出した。日本初のコンクリ−トダムであり、阪神大震災にも耐え、100年という年月を維持し、美しい姿を現したことに感動をした。堆積土砂を撤去することに苦労した様子が良く分かった。今後も、有形文化財である「百年構造物」の補強が繰り返されることが考えられるが、後世に「土木遺産」として保持するよう受け継がれていくことを強く望む。
(鹿島建設 田中俊行)

プロジェクトリポート 既存ストックを活用とした大規模コンテナターミナルの再生 東京港太井コンテナ埠頭再整備事業
老朽化した構造物や施設が増えている今、補修・補強技術の進歩が重要であることは言うまでもない。 しかし、今回の大規模コンテナターミナルのような、構造物としての機能を止めることなく、補修・補強工事をマネジメントする技術も重要なのだと強く感じた。また、目先の補修・補強ではなく、計画的な予防保全型の維持管理を考えることにより、構造物のライフサイクル全体でコストを下げていくことは、これからの大改修時代を迎えるに当り、解決しなければならないハードルだと思う。
(清水建設 太田博啓)

技術リポート 「投稿」軟弱地盤における大断面開削工事について 既設地下鉄駅直下に鉄道を建設
我が国の地盤調査ではほとんどが簡易な試験法である標準貫入試験を実施している。各機関もこの標準貫入試験により得られたN値により土性値である粘着力(c)、内部摩擦角(Φ)を設定することを認めており、設計者もこれに準じているケースが多く見受けられる。この記事の中で、N値のみで土性値を設定するのは、不十分であると報告しているが、私自信も筆者と同意である。確かに乱さない土を採取するのが困難であり、高価であるため三軸圧縮試験などにより適正な土性値を得ることは少ないが、標準貫入試験はあくまで地層構成、硬さを把握するのみであると私は考える(こう思っている方は多いと思うが)。平成14年3月制定版の「道路橋示方書」(社)日本道路協会では、土性値の設定において、N値からの推定式を明記していない。これはN値からの推定式は保証しないということであろうか?私はそう受け取ったのだが。
(三井住友建 小野和芳)

貝殻層を含む,高い粘着力を有する軟弱粘性土の場合,高圧噴射攪拌の有効径が得られなかった事例として,とても参考になった.本レポートの逆解析結果の図(図−6)から読み取る限りでは,先行地中梁の出来形が不足したため,改良効果を完全に無視したようである.斜梁+グラウンドアンカーという方法でも,変形は抑制できたということであろうか.先行地中梁はもともと必要でなかったのだろうか?この点が疑問に残った.
(西松建設 南部亮太)

海外リポート 「投稿」中国大陸の緑化とわが国の環境問題について
過去にプロジェクトXにて中国の砂漠の緑化に関するボランティアの特集を思い出す記事でした。長い月日がかかる大変な作業であると感じた。またわが国では、森林の管理もままならない状態であり、環境問題と土木技術者の倫理の融合が深く関わっていると感じました。
(復建エンジニヤリング 青木喜一郎)

沙漠の緑化に関して最大の問題は植林を形成・維持していけるだけの大量の水をどこから供給できるかにあると思う。地下水を利用することで充分まかなえるならよいが、塩類の問題など技術的なものや金銭的なものなど、いずれにしても記事にあるとおり、世界規模での運動・協力が必要であると思う。
(柏市 居原田淳司)

日本は森林の面積が多く,砂漠化問題は対岸の火事といった感がある.針葉樹の土壌形成能力が広葉樹のそれの1/10以下という事実を初めて知った.著者の提唱するように,針葉樹と広葉樹をバランス良く植林していくことが重要である.そのような認識の浸透が望まれる.
(西松建設 南部亮太)

これからの土木技術者は何をしなければならないのか? これからの土木の魅力って何だろうか? なかなか答えは見つからない。例えば、これまでは大きな橋を架けることは土木の大きな魅力だったと思うが、環境が注目される現在は違ったものがあるように思う。リポートは、今注目の"中国"と、"緑化"という2つのキーワードが書かれており、目にとまった。中には緑化ボランティア活動が紹介されている。また、砂漠に強い植林(松、ニセアカシア、楡、ポプラ)のこと、蒙古ナラなど実をつける紅葉樹林帯を農場と組み合わせて創り上げていくこと、自然配置技術のことなど。これからの土木(技術者)に求められていることではないかと思う。紙面の都合もあると思うが、リポートは簡単な紹介の段階に留まっており、単発のリポートであるならばちょっと不満の残るところである。できれば引き続き、詳しいことを紹介して頂きたい。これからの土木の魅力を模索する上でも参考になると思う。
(崇城大学 上野賢仁)

中国ホルチン砂漠は,日本の年間降水量に比べ降水量はわずかで,雨水は土にしみ込まず,ほとんどが蒸発してしまう環境にあると考えられます。砂漠化の問題は、地球規模で考えていく必要があります。日本の植林や農耕技術を現地に持ち込んだ活動内容が記載されておりますが,この記事のように,ただ支援するのではなく地元住民を巻き込んだ持続可能な取り組みが重要であり,主役たる現地の人達が中心に活動できる仕組みを構築することが重要だと感じました。また、記事に地下水の有効利用とありましたが,雨水を如何に効率的に使うか,雨水の貯留や浸透を積極的に進めていくことが緑化を進めるためには必要と考えます。日本においても,貯留や浸透は、生態系を含め環境を考えていくキーワードになると考えます。
(東京都 渡辺 聡)

本記事は,地球規模の問題である砂漠化に対する具体的な緑化ボランティア活動の紹介とともにその視点からわが国の環境問題についても述べられており,興味深く拝見させていただきました.これまでわが国を含めた地球的な環境問題に関しては,一般論で理解していたつもりだったものの,あらためて土木技術者として何ができるかを考えさせられました.現時点では,地球温暖化や砂漠化は,緑化の効果より進展の度合いが大きいかもしれませんが,我々土木技術者が環境問題に真剣に取り組み,そして土木分野のみならず様々な分野の連携とともに産官学さらに国際的な連携が問題解決の活路を見いだすことができると考えます.
(東亜建設工業 川島 仁)

とかく土木業界の中にいると視野が狭くなってしまいがちである。とくに行政との調整に追われ、現場も十分に見に行けないようなポジションにつくと、仕事が進むことだけに注視してしまいがちだ。土木を志したころの「土木技術によって人々の豊かな暮らしを支えていきたい」と高尚な思いは今も変わらないが、豊かな暮らしのレンジは拡大し、土木技術が経済発展指向から環境共生へとシフトしたことで、より広範な視野と深い見識が我々に求められている。その一つに環境問題がある。この海外レポートは、普段見落としがちな環境について、土木技術者として何をすべきか、そのヒントを与えてくれている。環境経済学の重要性、環境への取組が早急に必要なこと、そして何よりも技術一辺倒にならないということ。
(日本道路公団 谷口 寧)

日本の植林や農耕の技術を砂漠化化が進行する地域に持ち込み、緑化活動が行われていることは以前から多少は知っていたが、砂漠化化進行の極端に現在の日本の森林があることを改めて実感させられた。確かに、私の住む関東の森林を見ると、緑は多いが自然は貧弱であり、森林というよりは杉畑といった印象を受ける。著者が最後にまとめているように、生態学や土壌学といった環境の本質に関わる部分の重要性を我々土木技術者は考慮しなければいけないと感じた。
(土木研究所 中田典秀)

忙中ペンあり 第二回 なぜ,傑出した土木技術者の人生を教えないのか
揚足を取るような話で恐縮です。本稿中段L18〜21の文中に、「〜尊敬したり目標としたい「偉人」がいなく、〜」という記述があります。「いなく」という表現は、正しい日本語の言葉遣いではないと思います。若者の日本語が乱れる傾向にある昨今、貴誌を含むマスメディアには正しい日本語表現に留意していただきたく思います。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)

現在公共事業は事業決定から設計、建設まで分業化が進み個人では遂行が不可能であり事業のどの段階でも技術者個人の名が出てくることは殆どない。したがって現在は昔と違って傑出したエンジニヤのヒーローが生まれにくい環境にある。そんな中で専攻する学問の歴史とリーダーたる先駆的技術者の業績を学ぶことは技術者にとって重要なことでありたとえ選択科目であるとしても十分教育がなされているものと思っていたが貧弱な現実には驚かされた。筆者の提案には拍手を送りたい。ただ、両親すら尊敬の対象にならない日本の若者達の間で、優れた技術者とはいえ過去の人物の生き方に抵抗なく共感する雰囲気が醸し出されるようになるには、日本人の文化、とりわけ学術に対する意識が変わる必要があると思う。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

傑出した功績を残した土木技術者を「偉人」と呼ぶことに、強い違和感を覚える。ある人の技術者としての功績は「技術者としてした仕事」である。その人の生い立ち、性格などと関連づけて語る必要がどこにあるのだろうか? また、「偉人」と定義してしまうことは、我々の「ロールモデル」を固定化してしまうことにつながる。そして、我々はその「ロールモデル」から乖離することを恐れるようになる。技術者に限らずひとりの人間を「偉人」として称える必要は何一つない。教育機関で教えるべきことは、「偉人列伝」でなく問題解決のためのアプローチや研究、研究発表の体験など他にもあるはずだ。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

大学の正規課目とするほどの事でしょうか。憶測になりますが、記事の冒頭に挙げられた物理学者達についても、大学で人物の人となりまで教えている事はないのではないでしょうか。せいぜい業績と絡めたトピックス程度ではないかと思います。むしろ、これらの学者達の人となりが知られているのは、マスコミでの露出が高い事、小中学生向けのやさしい伝記が充実している事によるのではないかと思います。土木界の先達については、土木学会誌で連載を設けたり、業界として伝記の整備を図ったりして周知する方が先なのではないかと思います。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

「忙中ペンあり」第二回を読みました。「人物教育を正規科目にできないか」。「さっそく有志が集まって大学講義用テキスト作りをはじめてはどうだろうか。・・・是非を論じ合っている時期はとっくに過ぎたと考える。」 学会誌も、できればすぐにでも連載を始めてほしいと思います。
(崇城大学 上野賢仁)

確かに傑出した土木技術者を紹介するような伝記本などを見る事は少ないです。ニュートン、アインシュタインなど、彼らの功績はその時代に、今でも通用するような普遍的な法則を見つけたということがいまだにその名前を良く聞く理由ではないでしょうか。一方、土木技術者に目を転じると確かにその時代にその土木技術を考えた、あるいは見つけ出した事は素晴らしいのですが、その後の急速な土木工学の発展で昔の技術はどんどん古くなり、新技術を習得することに皆が一生懸命になっている、というのが現状ではないでしょうか。そうなると『昔はこうだった』というのが単なる昔話にしか聞こえなくなり、かつての土木会の『偉人』の伝記があまり世に出ないのではないでしょうか。かく言う私も新しい技術、情報を収集するのに精一杯になってしまっています。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

土木紀行 狩勝峠の鉄道遺産 樹海に眠る開拓の大動脈
北海道出身の私としては,この記事に大変興味を持ちました。「狩勝峠」の名称の由来や明治34年から着工されて2つのトンネルで枕木の数ほど犠牲者がいた話など,興味深いものでした。是非,この峠の遺産を後世まで残していただきと思います。一度,北海道に戻ったときにでも見学してみたいです。
(東京都 渡辺 聡)

土木紀行 稚内港北防波堤物語 平尾俊雄・土谷 実の合作
この記事の意匠設計に関するエピソードは、大変興味深く読ませて頂きました。稚内北防波堤は、昨年の7月に仕事で稚内を訪れた際に、はじめて拝見しました。その時は、なぜ、あのような古代ローマ風の構造物なのか、不思議には思いましたが、まさか、設計を一任された土谷氏が当時26才の技手で、彼が大学で習ったギリシャ・ローマ建築の知識と資料が参考になっていたは思いもよりませんでした。上司であった平尾氏の人格・指導力・行動力にも感銘を受けました。この記事にある事実も防波堤を訪れた方々への説明文に加えて頂けるともっと印象に残る名所になるに違いありません。
(清水建設 桜井英行)

先人達が築造し、現在も残る古き良き構造物は、土木技術者だけではなく、一般の人達の心も和ませるものである。私も、景観美に優れた、後世に残る構造物を造りたいと思い、土木を志したものである。文末に書かれた文章は、私も常日頃思っているところである。機能だけを満足するのではなく、多少コストが上がっても、景観美に優れ、地域に貢献する構造物を造っていきたいものである。
(東急建設 加地正宗)

数号前には北防波堤ドームの現在に主眼が置かれていた記事が掲載されていたが、今回は当時の設計者達についての記事、ひいては現在の技術者へのメッセージであった。近年は、景観についても構造物の設計時に考慮すべき事項の一つとなっているが、その優先順位は経済性に比べて圧倒的に低い。もちろん、一部には景観を重視し、地域のシンボル的存在になっている構造物もあるが、その数は少ない。それは、建設投資額の減少に伴い、より安価な構造・工法が強く求められ、費用対効果が必須の状況下にあるからである。筆者が「本来、土木はインフラの提供を通じて地域の環境や文化の形成に深く関与する職能である。」と述べている。私は、このような土木インフラが本来あるべき姿を常に心がけて、今後の業務に就きたいと思う。
(東亜建設工業 菅本清文)

親土木入門 さよなら親土木入門 ―そして,これからも親土木―
読みやすく楽しみにしていた記事だけに終了するのは残念です.土木が専門ではない一般の方と話すときの話題にもしやすく,土木を知ってもらうのに最適の記事でした.個人的には,野球よりもサッカー観戦のほうが好きなので,サッカースタジアムの記事の登場を楽しみにしていたのですが,登場しないまま終了していまい残念です.
(横河ブリッジ 水越秀和)

この記事は土木の世界の初心者としてとても読みやすかった記事だったので、連載の終了については残念に思っています。又新しい視点から、学術的な記事とのワンクッションを置いてくれるような連載を期待してます。
(水産庁 宮園千恵)

私は2004年1月号よりモニターを仰せつかりました。今まで"土木技術"という分野にあまり縁のなかった私にとって、『親土木入門』は大変親しみやすく、正直コメントのしやすい(もちろん、コメントをしたくなるような)記事でした。自分の足元、もしくは身近な土木の紹介、解説を通じ、他の専門的な分野への関心も広まりました。今後新たに始まるであろう"親土木"的な企画に期待したいと思います。さよなら親土木入門。
(土木研究所 中田典秀)

体感できる土木ミュージアム11 鉄道を中心に交通の過去・現在・未来を体感する 交通博物館(東京都千代田区)
サービス精神あふれる素晴らしいレポートであったが、読後に新聞等で交通博物館2006年3月閉鎖、2007年度さいたま市移転のニュースがありその件に触れられていない事に物足りなさを感じました。編集委員会で事前に情報をキャッチ出来なかったのですか、少々残念です。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

交通博物館には永らく足を運んでおりませんが、東海道新幹線開業の頃、映写会で新幹線の記録映画を見て「蛇のように長い列車」と感じたことを今でも記憶しています。大学時代に行ったのが最後ですが、トンネル、橋梁等の展示物がずいぶん古いことを感じました。古い展示物を残すことは大切ですが、新しい展示物への更新もされているのでしょうか。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

連載企画・・・・・・・・・現場 第 5回住民参加型土木の世界『「母親モニター」プロジェクト』
土木云々知識とかは「おそらく素地」(失礼!)のお母さん方が一生懸命にモニター活動して子供たちと共有したおどろき、怒り、感心などの感覚が宝だと思います。学校教育でも公共事業の基本とか理念を子供たちに教えるべきです。
(国際建設 佐々木幸一)

「母親モニター」プロジェクトの取組みを読ませて頂き,土木技術者としての「やりがい」を再認識できたような気がします.例えば,あるお母さんモニターさんが,家の近くの狭い歩道に立っている電柱について投稿したそうです.すると,国交省,役場,電力会社の方がすばらしい連携プレーで電柱を移動して,家族そろって喜んでくれたそうです.住民が本当に欲することを公共事業の計画に盛り込んでいこうとする「母親モニター」プロジェクトは,今後の公共事業を考える中で,非常に意味深い試みであると感じました.
(西松建設 大谷達彦)

技術者観点からではなく,使用者的観点からの意見は大変貴重である.最も厳しい評価の目を持つ「母親モニター」作戦は面白く,意義の大きいものだと思う.しかし,「ハハモ二」と略するのはいかがだろうか.プロジェクトの内容を知らずこの言葉のみを目にした時,新しいアイドルグループかと思ってしまった.プロジェクト名も募集し,一目で内容が理解できるようなものを募集してはいかがだろうか.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

住民の意見や要望を取り入れた公共事業が実現されると同時に,住民の方々にも公共事業について知ってもらえる,一石二鳥な試みだと思いました.「ハハモニ」の方の話にもありましたが,管轄が違っても受け付けてくれるというのは,担当者の方が大変な反面,一般の住民には非常にありがたいことだと思います.このような制度が全国に広がれば,一般の方たちの公共事業に対する考え方は大きく変わるのではと感じました.
(横河ブリッジ 水越秀和)

やっと一般市民の声がとどくようになったかと思う。日頃、何でこんなことをするのだろう?という現場をみても、そうした思いがどこに反映されるのかよくわからなかった。公共投資の予算が削られていくなか、大変な注文だとは思うが、これからはきめ細やかなもっと手間をかけた社会基盤整備が求められるのでないかと思う。
(崇城大学 上野賢仁)

このような制度を取り入れている行政機関があったとはまったく知りませんでした。本来の地域行政の一面として住民からの意見を収集するというのは当然あって然るべきもので、昨今の『住民不在の行政』と言われている人たちはどうすれば地域に貢献できるかをもっと勉強すべきです。上(国)や廻り(他の行政機関)ばかり見るのではなく、もっと足元に目を向けるべきでしょう。中には既に検討を始めていてそれがまだ形になっていないだけ、と言うところもあるのかも知れません。今後、より良い方向に進めていただけるように期待します。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

話の広場 工業高校一年生による市道インターロッキング舗装工事について
本稿で取扱われた学生たちは、実に有意義な体験をしたことと思う。実際の公共事業を授業の一環として施行することにより、教室での授業や実習と現場は違うということを肌で感じたことであろう。現場を知ることで、生徒たちは自分の未熟さや勉強の大切さを知ったのではなかろうか。私自身、社会に出て改めて勉強の大切さを痛感している。学校生活の中では、学ぶことの大切さという意識が希薄になりがちである。学ぶことの大切さを知る意味でも、このような実習を積極的に取り入れて欲しいと思った。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)

高校1年生が公道の舗装工事を経験とのこと、大変すばらしい教育方法と思います。実践が先にあれば、それに必要な技術を学ぶ意欲が沸いてくるものと思います。現代は、教育段階、実務段階と分けられてしまっていますが、実務の改善のために教育、学習があるという本来の順序を踏んだほうが教える側も教わる側も共通のイメージを持って接することができるのではないでしょうか。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

実際の現場を経験できるとは,うらやましい限りである.苦労も多かったと思うが,設計や測量,役所手続きまで自分達で行うことで,土木に対する関心を深めることができたと思う.土木の基礎は講義室だけでは分からないことが多い.現場の写真や試験機材など,写真で見せられてもイメージがわかない.しかし,現場に触れることで教科書以上のことが学べる.こうした機会を増やし,肌で土木の概念を学ぶ事は貴重である.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

ただ工事を体験するだけではなく,それに先立つ手続きなどまで体験するという実習内容はとても興味深いものでした.実習の流れ,内容は良くわかりましたが,できれば簡単にでもインターロッキング舗装そのものの説明があればなお良かったと思います.
(横河ブリッジ 水越秀和)

実際の現場の中で、土木工事という仕事を学ぶ機会を与えられた生徒達がうらやましいかぎりだ。私自身も仕事を始めてから、行政、警察や地元と調整を進めながら土木工事を実施していく中で、技術だけでなく地元協議や申請手続きなどの仕事の大切さを実感した。また、多くの関係者による仕事の集大成として完工を迎えることからも、「土木は人間力学だ」とも思っている。それゆえ現場外でのことに苦労も多く、完工した際の喜びも一入だ。きっと彼らも同じように感じていることと思う。土木に親しんでもらおうというイベントは数多くあるが、現場で珍しいものを見せることが精一杯であり、参加者もあくまでお客様であり、感動も一過性に過ぎない。今回のような機会が多くの土木を学ぶ後輩達に与えられることを願うとともに、この実習を指導された先生方のご努力を高く評価したい。
(日本道路公団 谷口 寧)

最近自分が痛切に感じるのは、何事も経験する事で興味・関心が引きたてられていると言う事です。また、実際自分が学んできた教科書の殆どは現在の土木工事技術に至るまでの歴史をたどる様な事が多く、現在の土木事業に追いついていないのが実情だと思います。そういった点を勘案すれば、全く実感の湧かないまま土質の試験等を行なうよりも、こういった身近な道路から一連の作業を通して体験する方が何十倍も興味や関心を持つ事が出来るのではないかと感じます。その点で今回のこの記事は本当に素晴らしい取組だと思いました。
(水産庁 宮園千恵)

学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
連載企画…現場、記事中のp.77に"ホームページも開設しており」との記述がありますが、このような時は編集委員会の方で確認してURLを併記するようにしてはいかがでしょうか。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

非常に便利なので、学会誌の記事をダウロードできるようにすること(=アーカイブとしてウェブサイトで公開すること)には賛成。手元に紙媒体の学会誌を保管する必要がなくなる他、情報を探し出すのも容易になる。ただしその際には、「PDFファイル(●●kb)」など、リンク先がファイルのダウンロードであることやファイルの大きさ、種類に関する情報を表示してほしい。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

毎月学会誌を読むことで、少しずつですが、土木に対する知識がついてきています。これからも、「為になる学会誌」を期待しています。
(東北工業大学 引地博之)

「忙中ペンあり」のモニター回答にも絡みますが、国内国外を問わず、著名な、あるいは著名でなくとも優れた土木技術者の人生を紹介する連載を設けてみてはどうでしょうか。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

親土木入門が今月で終了してしまうのは残念である.今後もこれに続くような記事を連載していただきたい.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

今回の特集に関しては、自分の個人的な環境もありますが、とても興味を持って読むことが出来ました。 その中でJABBE認定システムについては、今回は大学の認定についてがメインでしたが、今度は是非そのシステムがある事によって学生自身の教育や資格、就職に関しての変化等を書いていただければと思いました。
(水産庁 宮園千恵)

1月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

特集 リモートセンシング最前線
リモ−トセンシングが種々の分野に使われていることは知られているが,一般市民レベルにおいては,研究レベル,身近なものとしては認識されていないと思う。学会誌という極めて読者の限られた雑誌ではあるが,土木業界を見る市民,官公庁土木関係以外の部署の理解を得にくいことから市民レベルで利用されている具体的な事例記事を特集末尾にでも追加し,その有効性を説明してあれば良かったと思う。土木初心者でも読めるような編集を心掛けられているのならもっと身近な例も必要と思う。
(本州四国連絡橋公団 池末泰輔)
(編集委員会からの回答)
ご意見ありがとうございます.編集委員会の席でも同様の意見が出ましたが,土木分野で十分実用に資しているリモートセンシングの活用例はまだまだ少ないのが実状です.これまで主流であった人工衛星による可視〜熱赤外域のリモートセンサーでは,観測頻度や空間分解能の面で,土木分野が直接的に必要とする情報を提供できなかったためです.しかしながら,本特集で紹介していますように,大気の影響をほとんど受けずに全天候型の観測が可能なマイクロ波センサーや,海洋レーダーや降雨レーダーなどの陸上設置型センサーなど,新たな可能性を有するセンサー開発も進んでおり,実用化を目指した研究も行われています.本特集は,これからの土木分野を担う若手の技術者,研究者,および学生の方々の刺激になるよう,より最新の研究事例を紹介することに主眼を置きました.以上の点をご理解いただければ幸いです.
(特集主査 坂井)

論説 リモートセンシング技術の新たな展開
私にとってこの記事の内容は分かりづらかった。勿論,原因は私の勉強不足,能力不足である。しかし,特集の導入部ということなので,具体的な事例を多く引用するなどして,分かり易く,ワクワクするものにして頂きたかった。
(東北工業大学 引地博之)
(編集委員会からの回答)
ご意見ありがとうございます.ご指摘の通り,特集の導入部は,専門外の多くの読者を惹きつけるためには,非常に重要な部分であります.そのような観点から,広範囲において深い知見を有し,適任と思われる先生に,原稿を依頼しました.個人的には,非常にわかりやすい記事であったと思っておりますが,土木とは異分野の先生と十分に議論をして準備する期間を取れなかったことで,専門外の方にはまだまだ難しい内容になってしまったかも知れません.今後とも,よりよい記事を提供できるよう,編集委員会一同努力して参ります.
(特集主査 坂井)

用語の解説
記事の理解を助ける目的としてまとめられたものだが,この欄に目を通すだけでも有益である。特に,まったくの門外漢が,当該分野の情報を整理する必要に迫られた時には,非常に役に立つ。関連するサイトのリンク集があればなお有用である。また,この欄で取り上げた用語についてはウェブ上にデータベースとして公開してはどうだろうか?検索機能などを備える必要はなく,アルファベット順に並べてあるだけで十分である。土木学会のウェブサイトを利用しやすいものとする,土木学会員以外の利用を促すのに好適な題材である。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)
(編集委員会からの回答)
建設的なご意見,誠にありがとうございます.編集委員会でも,土木学会から会員の皆様への有用な情報発信手段として,WEB活用のあり方について議論をしています.今後は,いただいた意見を考慮して,学会を通じてより有用な情報提供が行えるよう検討していきたいと思います.
(特集主査 坂井)

(編集委員会への要望)
他の雑誌に比べ,やや文字の大きさが小さいので,長時間読むとかなり目が疲れるような気がします。できればもう少し大きい字にして欲しいと思いました。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)
(編集委員会からの回答)
土木学会誌の体裁につきましては定期的に見直しを行ってきており、皆様から寄せられたご意見などを基により読みやすくなるような改善に務めております。いただいたご意見については、次回デザインの変更の際に検討させていただきたいと思います。

(編集委員会への要望)
学会誌の内容が公開されているウェブサイトには必要ではない画像が多く非常に重い。出張先のホテルなどではダイアルアップで接続するケースが非常に多く(今日,この原稿を書いている新東京国際空港そばの大手航空会社系列のホテルですら…),その環境では,トップページを表示させるだけでかなりの時間を要してしまう。そして,そういう環境にあるときに限って,アクセスするニーズが生じるものだ。ウェブサイトは「軽く」,「ユーザビリティ」を考慮したシンプルな,どのような環境からもアクセスしやすいものにして,「土木のことならまずここへ」と思えるものにすることは,ウェブサイトの閲覧者の増加を呼ぶだろう。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)
(編集委員会からの回答)
土木学会のウェブサイトに関しては、他にも多様なご意見をいただいております。今後のデザイン変更検討、あるいはモバイル用の別サイトの立ち上げの検討などがあれば、参考にさせて頂きたいと思います。

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