土木学会誌
土木学会誌12月号モニター回答


特集 社会基盤整備と財源 地方自治体のやりくり
社会基盤整備は国民にとって必要であるが、財政という視点から考察すると極めて厳しいものがある。故に社会基盤整備の必要性の進化が問われる。
既存するものをより良い物に最低限の税金で最高級のものを造るのではなく、これから生活するうえで必要なものを造って行くべきである。
(東北工業大学 中居良行)

特集全体は、今後意識すべき方向性や問題点が良く示されていて、非常に勉強になりました。
誰の目にも明らかであるこのような内容が、なぜなかなか実践されないのか、それには、政治・行政の問題点や、土木学会と現場の土木作業員の置かれた環境・現状認識の差が影響しているように私は思うのですが、学会において持っている問題意識を、これまで以上に社会に反映させるアプローチについての記事がもっとないものかと感じております。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)

全体的にわかりやすく、また面白い記事であったと思います。
しかし同時に、若干違和感を覚えました。企画の趣旨にはそぐわないと思いますが、「社会基盤整備」という言葉は、大きな構造物を造っていくことだけを指すのでしょうか?
私の家の近所だけを見ても、車の通行は多いのに歩道も信号もない通学路、ごみだらけでほとんど水面が見えない港、長年放置されて通行の妨げになっている車両など、なんとかして欲しいなぁ、と思うところはたくさんあります。「整備」という言葉には、いつでも使える状態にしておくこと、という意味もあると思います。住民が最も望む土木事業は、むしろこういった生活に密着したものではないかと思います。
限られた財源の中で、いかに優れたものを、いかに安く造っていくか、というのは、この先の土木事業に求められるハイレベルな要求だと認識しています。しかし、もっと底面の方に、我々が無視しがちな、ローレベルだけれども切実な要求がたくさんあるのではないでしょうか?
もちろん、その点を全く無視しているとは思いませんが、中川先生の「真に国民にとって便益の大きい事業に対して適切な財源が振り向けられるように改革される絶好の機会」という言葉を見るにつけ、記事の随所に見られる目のくらむような金額の話が、それでもやはり国民の目の届かないところでの話であり、土木「学界」という閉鎖された空間での内輪話に感じられたため、敢えて書かせていただきました。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

論説 社会基盤整備と財政危機【宮脇 淳】
国・地方の財政が厳しい状況をふまえて、筆者の鋭い観点からの意見には同意する点が多い。
特に、「ネットワーク的視野の重要性」といった考え方は、現在の高速道路整備のあり方にも通じるものがある。その事業中区間が開通したことにより、ネットワークが完成し、路線全体の交通量が上がれば、その区間単独の採算性は赤字でも事業は重点的に進めるべきであると考えられる。
更に、宮脇氏の意見に、私個人的には「ライフサイクルコストを考えた投資」を追加したい。財政が厳しいから当初投資が少ない工法を採用すればいいという考え方ではなく、将来の維持管理コストも考慮したライフサイクルコストの最小化を図る必要があると思う。その考え方が強いては、数十年単位で見たときに財政に良い影響を与えると思われる。
(日本道路公団 田之脇良徳)

1-1 地方分権の推進とまちづくり総合支援事業統合補助金の活用【松井直人】
まちづくり総合支援事業が来年度から交付金化するとも聞くが、影響はどんなものなのか?検討事項のさわりでもいいから教えていただきたかった。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

1-2 PFIの考え方と実行上の問題【山内弘隆】
PFI法が制定されてから、PFI事業の件数が非常に増えたと思います。しかし、この記事に書かれているように、事業者の選定方法が各事業によりまちまちで不明確であると感じます。PFIをただのコストダウン手法の一つとみなし、提案の内容が非常に良くても入札金額が最も安いだけで選ばれているようなものもあるし、また、配点の重みづけによってはその反対に入札金額の高い事業者が選ばれている例もあります。ライフサイクルコスト全体の評価をしなければいけないわけですから、評価すること自体困難であるのは仕方がないことですが、発注者にはなぜその入札者が選ばれたのかという説明責任が必ず求められると思います。PFI事業だけに限らず、技術提案型の入札案件も今後増加すると思われます。このような入札には、客観的な評価方法の確立と、入札者に対する説明責任が非常に重要であると感じます。
(所属:清水建設 氏名:藤田 淳)

初めにPFIの意義について説明され,また具体的な事例が用いられることで分かりやすい記事になっていたと思います.ただし,事業者選定の問題で用いられた総合地球環境学研究所の事例では,質的評価を数値化する際の項目と配点は示されていましたが,採点方法についても示されていませんでした.現実的な問題として,この採点方法に主観的要素が最も入りやすいと思いますので,社会の人々に受け入れ可能であると思われるためには,この点についても示して欲しいと思いました.
(京都大学 林 芳樹)

日本の社会資本整備の手法として定着したPFI。
克服点を改善しさらなる社会貢献を目指して欲しい。
(東北工業大学 中居良行)

上記題目の記事のみならずひとつの公共事業の計画を立てることに非常に労力をかけておられることを強く感じました。
建設会社に勤務をしている者として自社の利益を出すために設計や施工方法を工夫するということについては考えますが、事業の財源がそのような努力のもとに確保されることが分かり、公共事業に携わる者として考えさせられました。
(清水建設 太田智久)

今回の記事は総合地球環境学研究所施設整備にあたって、PFI事業が導入され、総合評価型一般競争入札が実施されたという紹介でした。その結果、質的な側面での評価が価格の評価を覆し、応札者を決定したということですが、その過程では、十分な説明責任が必要だと述べられています。その説明の内容をHP上ででも閲覧出来たらと思います。一般に公開が出来ないとしても、会員だけなら閲覧可能というようなことは出来ないのでしょうか。
(大阪府庁 岡田敏男)

2-1 中部国際空港セントレアの建設 空港整備におけるコスト縮減への取組み事例【菅原史典】
中部国際空港は色々な意味で注目されているビッグプロジェクトです。本文ではコスト削減への取り組みについての詳細を紹介しています。指定土源方式による山土の調達、部分竣工方式による埋土量の縮減、航路浚渫土砂の活用、管中混合固化処理工法の活用、用地造成工程での締め固め作業の並行実施、スリップフォーム工法の導入、等など枚挙にいとまのないバラエティに富んだ内容となっています。
ビッグプロジェクトと呼ばれる大工事であれば、単にモノを作るだけではなく、何らかの技術を開発し、後世に残してきました。技術開発の絶好の機会だからです。本件ではその期待に十分に応えているように思われます。関係者のご努力に敬意を表するものです。
ところで、本空港のような海上埋め立て方式の空港では、関西国際空港で問題となった埋め立て盛土の沈下現象があります。本件では当然ながら前例を分析し、調査を行い、その予測と対策はなされていると思いますが、全てが満足な結果となるわけではありません。予測と実績との差異を分析し、その事実を公表して今後の提言としていただきたいものです。
もう一点、中部国際空港プロジェクトが浮上した際、費用対効果の観点で需要予測をし、フィージブルとの結論に至ったはずですが、本当にそうなるのか、これも公表していただきたいと考えます。往々にして、ビッグプロジェクトの需要予測が甘かったとの批判が過去に多数あります。これも今後の同様の事例に対する検討課題として重要と考えるからです。
(国際協力機構 矢部哲雄)

中部国際空港の建設については、当初事業費より数千億円規模で削減出来たという新聞記事を見ていたため、非常に関心を持ってこの記事を拝見させていただいた。
地盤条件に恵まれたという利点もあったみたいだが、コスト削減についての工夫は参考になる意見が多々あった。
中部国際空港の例のように、全く異なる事業との調整や異なる工種の一貫施工など、少し契約方法を変えたり横断的な調整に力を注ぐだけで、大きなコスト削減につながることは分かっていても、法律その他の面で制約を受け出来なかったところもある。最初からダメだろうと考えずに、前向きな案で検討することが大事なのであろう。しかし、単に安ければいいというものでもないと思う。プロポーザル方式やVE方式を採用しつつ、良いものを安く作っていくことが、維持管理も含めた社会基盤整備という点で望まれると考える。そういった点からも、技術者の必要性、位置付けは、今後より重要になると思われる。そのような点から、この中部国際空港(株)の取り組みは今後の技術者のあり方にも一石を投じていると思われるため、これからも取り上げてほしい内容である。
(日本道路公団  田之脇良徳)

2-2 神戸空港の整備【松浦 厚】
神戸空港単独で考えた場合、需要は確かにあるんだろうと思う。しかし関西圏全体での航空需要を考えた場合、神戸空港があるために関西国際空港の利用客は減ることになるのだろう。本文を読んで、神戸圏のみを考えて、関西圏全体、特に既に存在する関西国際空港との関係については議論を避けているように感じた。
(大成建設 今枝拓也)

「財源」を題材とし、それに対する様々な工夫・問題点が論じられている他の記事と比べ、本件記事は、いかにもマニュアル的な事業紹介のように見え、浮いていた印象である。
私は、関空との関連から事業に疑問符のつく事業と思っているが、それは何も変わっていない。需要予測もよくある右肩上がりのものが示され、肝心の「財源」や、「コスト」の部分でも、本特集で取り上げるべきものが書かれているようには思えなかった。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)

2-3 汐留シオサイトの誕生 バブル崩壊を乗り越えた都心部における都市機能更新事業【大友哲朗】
この記事に文句をつけるつもりは毛頭ないし、関係者の努力には敬意を表します。その上で、浜離宮からの眺めは酷すぎる。
薄っぺらな超高層ビルがバラバラの向きで建ち並ぶ光景がこれからずっと続くのかと思うと、グランドデザインの調整ができなかったのか疑問である。それとも、調整しても、あの形態なのだろうか?
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

勤務地がJR新橋駅から近い事もあり,毎日のように目にする高層ビル群の汐留シオサイトの計画段階から現在に至るまでの事例紹介であり興味深かった。これからの都市再開発のよい教材になる事例だと思う。また,バブル期に計画されバブル崩壊と共に事業計画の縮小を余儀なくされた経緯,実際の事業費の削減内容が述べられており計画に携わった人々の苦労がしみじみ伝わってきた。今後,東京の新名所の一つとして集客力がどれほどあるのか楽しみである。計画段階での集客予想と現実の比較をしたり,事業自体の評価が知りたいところである。
(西松建設 矢部昇一)

2-4 PFIによる留辺蘂町外2町一般廃棄物最終処分場整備等事業【中川 功・脇太二男】
人口9000人規模の自治体でPFIを実施、それも、大規模な一般廃棄物最終処分場で実施されたという記事に、人口や財政規模だけで内容を推測してはいけないと思いました。(財)地域総合整備財団によるPFIアドバイザーの支えや庁内での推進チームの協調などが成功の鍵と述べられていました。できれば、庁内外で土木技術屋がどのように活躍したのか、また、技術的な検討や判断はどういうプロセスを辿ったのかなどを知りたいと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)

2-5 身の丈に合わせた地域行政【高橋彦芳】
栄村で行われいる事業が本当の意味での原点の土木事業なのではないか。少子高齢社会で限られた財源の21世紀は原点に立ち戻らないと、国も地方も破産してしまう。ローテクで行う土木作業は、気候の良い時であれば高齢者や女性もでき、雇用の拡大にもなるのではないか。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

本記事は、長野県栄村村長による、地域の特性に根ざした社会資本整備のあり方の例についての報告である。
同村では、事業費の縮減と住民の理解を求める公共事業の実施方法として、「田直し事業」と「道直し事業」を行っている。「田直し事業」では、ほ場整備では最も大切なことは、農民主体で進めることであり、「道直し事業」では、道路のル−トや必要な用地の調達は住民に任せることであるとしている。
これらの経験から、真の公共事業を行うには、地域の実情に合わせた独自の設計や、行政と住民が協働して進めることが重要である事が分かる。
同村の経験は、高齢化と過疎化の進行地域で、財政事情は厳しくても、実施方法を工夫することにより、低廉で良質な社会資本の整備が可能であることを示したことにより、貴重で有意義な経験であり特に評価に値する。
今後はこれらの貴重な経験を、一地方自治体の特異な例とすることなく、困難であっても、大都市や大規模自治体に展開していく事が重要であると考える。
(大林組 佐村維要)

表題を読めば、シンプルな話題かなと思いましたが、既存の枠組みを超える取り組みをされていると思いました。設計図を作らないことは、測量試験費という事務経費が不要となり、コスト縮減に結びつきます。また、農家との会話の中で、必要経費を米俵の数で表現されているのは、アカンタビリティーやコミュニケーション型行政の最先端と思います。この栄村での取り組みをスケールアップして展開する方法はないものかと考えてしまいました。
(大阪府庁 岡田敏男)

本特集にあって、もっとも身近に感じることが出来た素材の記事であった。それぞれのネーミングも私の心を引きつける原因であった。数千億の単位だけが紙面上をゴロゴロ転がっている記事を見ても想像できないからという単なるモニターの言い訳なのかも知れない(しかしながら全部に目は通しております)。
市町村合併が多くのところで大々的に実施され、行き届いたサービスが出来なくなってきている現状をよく耳にする。そんな中、行政がきっかけを与え、あとは町のみんなでがんばっていきましょう。とっても単純でとっても響きがいい言葉だと思った。
(土木研究所 大石哲也)

第3章 今後の社会基盤整備と財源について
社会基盤整備に対する現在の諸問題とその解決に向けての方向性を小気味よく明確に述べられており、読んでいて爽快感があった。「財政が破綻状態にあるのは我々世代の責任であり、それを理由に世代間の責務を放棄することは後世の評価に耐えるものではない」、「良いものに投資することの価値を社会全体として共有する努力」、「社会の進歩に寄与する新しい施設に投資することの重要性」、「目に見えにくい便益や、年月を経て発生する便益を軽視することは将来にとって適切な方向であるとは言えない」、「節約が適切に評価されない予算制度などによって生じている不要な支出の解消は、緊急かつ重要な課題として真摯に取組まなければならない」、「実行方策を提案したところがより大きな利益を得る仕組みを作る」などの言葉の中に今後のキーワードが多く含まれていると感じる。
目先に利益だけにとらわれず、産官学一体となって、このような方向で取組んでいければ将来はそれほど暗くもないと思う。
(鹿島建設 松尾 元)

とてもわかりやすい内容であった。財源の状況を見ていると、私自身は借金をしてものを買うということはしない主義というか、そういう風に育てられてきたので、「借金=悪」という経済観念を持ってしまう。現在における社会経済を見ると、なんだかヨーロッパの方がいいなぁ。と極めて素人的な判断をしてしまう。
さまざま改革(革命も含めて)には、「すべての事業を厳しく評価し・・」とあるように、そういうような気運が盛り上がっていくことが必要となる。悪く言えば、「尻に火が付かないとやらない。」ということなんだろうか。
(土木研究所 大石哲也)

社会基盤整備と財源【中川 大】
昨今の公共セクタ−の財政事情の悪化から、その主要な原因であるとして、公共事業が諸悪の根元であるかのごとく言われる中、社会基盤整備の必要性を説いても、改革に反対する「抵抗勢力」のごとくみられ、今一つ社会に受け入れられないのが現状である。
このような風潮の中、本記事の筆者は、良好な社会基盤を整備し次世代に引き継いでいくことは、現代の我々に課せられた責務であり、財政が破綻状態にあるのは我々の世代の責任であり、それを理由に世代間の責務を放棄することは後世の評価に耐えるものではない、と明快に述べている。
本記事の内容や主張は極めて明快かつ正論でり、久しぶりに痛快な記事である。ぜひ外部にも紹介して頂きたい。
われわれ土木技術者は、本記事の主旨を自らに都合よく解釈することなく、真摯に受け止め、積極的に社会に我々の意見や情報を発信していくとともに、良質な遺産としての社会資本を次世代に残していかなければならないと思う。
(大林組 佐村維要)

技術リポート[投稿]創意工夫した技術の導入による多摩川上流雨水幹線の建設 わが国初の流域下水道雨水幹線事業【伊東三夫・三上 豊】
本記事を読んで初めて,「雨水の排除が市の固有事務」であり,「都が各市から強い要請」を受けないと「広域的な雨水幹線計画を策定」できず,「総合治水の観点から,国と度重なる協議」をしないと「認可を得ることができ」ないことを知り,少なからずショックを受けました.本号の「特集:社会基盤整備と財源 地方自治体のやりくり」の中で,補助金に頼らない(頼れない?)長野県栄村の高橋村長が「身の丈に合わせた地域行政」と題して投稿されていますが,まさに現在の公共事業は住民不在で,役所と業者の都合に合わせた事業になっているのではないかと思いました.
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

工事全体の課題と創意工夫をした技術やシールド工法比較が表でまとめられており分かりやすい。
親子シールドについての創意工夫した点に興味があったのでもう少し図等を用いて解説していただきたいと思う。
(鹿島建設 竹内章博)

2003年9月26日に発生した十勝沖の地震被害調査速報【(社)土木学会・(社)地盤工学会・合同十勝沖地震調査団】
十勝川河口付近の堤防の被災状況を目の当たりにし、地震時の軟弱地盤(液状化地盤)の恐ろしさを改めて思い知らされました。当該箇所は液状化による盛土基盤部の大規模な変位が原因なのでしょうが、今後液状化層の分布など詳細な調査、研究が進み、メカニズムが明らかにされていくことと思います。
危険箇所の抽出、対策等に有用な情報が数多く配信されることを心待ちにするとともに、インフラの維持管理を担う一員として着々と設備の補強に努めていきたいと気持ちを新たにしました。
最後に、被災者の皆様には心よりお悔やみを申し上げるとともに、復旧に携わった皆様に心より敬意を表したいと思います。
(JR東海 山内公介)

[投稿]2003年台風14号による風力発電設備の被害とシミュレーションによる強風の推定【石原 孟・山口 敦・藤野陽三】
専門の技術者でないときちんとわからない用語が結構あり読みにくい内容だった。が,その点を除けばこれから必要とされる良い記事だったと思う。
(岡山大学 古谷隆志)

風力発電については以前から興味はあったのですがなかなか調べる余裕が無く、知識はほとんどありません。風の強い地域でなければ発電は出来ないし、かといって強すぎるとこのような被害が発生するという事でその設備の強度をどこに設定するかは設計者の頭を悩ませているのだと思います。ただ、いったん被害を受けると一般生活に大きな影響があるような設備については工事費と営業利益とのコストパフォーマンスだけではなく、このような災害時の損失、必要経費までをも含めたところで均衡点を設定すべきなのだろう。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

今回でモニターとしての期間が終了となります。振り返ると大変有意義な経験だったと思います。まず何より、普段の業務では得られない広範囲な話題で構成されている学会誌を読むことは知識の蓄積に繋がりました。この話題についても、風力発電設備の制御システム、強風への対策、そして台風の影響力の大きさなどについて大変興味深く読ませていただきました。
モニター業務終了後も、様々な知識を学会誌から吸収していきたいと思います。ありがとうございました。
(三井住友建設 小出孝明)

近年,日本でも風力発電のための風車建設が増加している中での倒壊事故であり,興味を深く記事を読んだ.写真に示された被害状況によれば,風車の破壊パターンは風車設備,タワー,基礎など多岐に渡っていることに驚かされた.風車固有の構造や荷重特性がこのような多くの破壊パターンを引き起こしたのでしょうか?風力発電にはスケールメリットが存在し,今後大型化が進むとされていますので,今回確認された様々な破壊のメカニズムを設計法に反映させる努力が重要だと感じた.
また,初めて目にする風車固有の名称がいくつか出てきたため,記事を読み進むのが多少つらかったです.これらの簡単な解説図などあればよかったと思います.
(東電設計 高橋秀明)

自然の驚異とでも言うべきか,台風の被害と聞いてまず最初に雨の被害を想像してしまった.本記事は,沖縄県宮古島での台風14号による強風被害報告であり,7基ある風力発電用風車のうち3基が倒壊,残る4基も被害を受け運転不能の状態となったというものである.
台風14号では宮古島で,中心気圧912hPa,最大瞬間風速,74.1m/sを記録した.こういった数値を構造物の設計に反映させることは無理である.自然の猛威の前には人間の力は無力なのか?今後より詳細な調査,解析により強風被害の実態を明らかにしてほしいものです.
(西松建設 矢部昇一)

風力発電設備の風耐力については馴染みの薄いものではありますが、システム制御を複数組み合わせ被害防止を図っている点など、大変興味深く拝見させて頂きました。他の土木構造物、例えば橋りょうなどの耐震設計では二段階設計が用いられるようになっていますが、風力発電設備では万が一壊れる時にはある特定の部分を壊し被害を軽減するよう考慮しているのか等、基本的な設計思想についても触れていただければ、より一層興味深かったと思います。
(JR東海 山内公介)

多数の写真等により被害の状況がよく把握できた。
しかし風力発電に詳しくない読者にとっては風車のナセル等の名称の説明があったほうが分かりやすいと思う。
風車の被害について、もともと、これらの風車がどの程度の風速に耐えうる構造となっていたのか?
そして今回発生した風速が想定していた風速を超えたものであったか否か?このあたりをはじめに明確にしていただければと思う。
(鹿島建設 竹内章博)

親土木入門
取り組む課題はその時々で変わっても「攻め方だけは一つの財産になる」という言葉は、鉄道会社に所属し様々な課題に取り組む機会を与えられた私にとって貴重な教訓であるとともに、大変励みになるものでした。今後とも様々な分野の諸先輩方の経験談や教訓などを、出来ればもう少し詳しく聞かせて頂ける記事をお願い致します。
(JR東海 山内公介)

見せる空間づくり 対談:屋外および屋内スポーツをとおして【谷平 考・亀岡 健・市坪 誠】
実際設計を長年経験してきた人の話は,私たちにとってとても参考になるので良い記事だった。設計というものを分かっていたつもりだったが,改めて理解し直せた気がする。
(岡山大学 古谷隆志)

著者のいうとおり,新技術の発見というものは,天才によってなされるのではなく,様々なことを経験することによってそれらが刺激となり,新しい技術の発見に至るんだと思いました。また,人の飽くなき欲求があるかぎり技術の進歩は止まらないのだと思います。私も一技術者として,様々なことを学び,後の世になにか残せるよう精進していきたいと思います。
(岡山大学 井保大志)

この記事の中で、ゴルフ場は有名なコースをそっくりそのままコピーすればいいものができるというものではなく、その地域固有の地形や景色などの周囲の環境にマッチしたものを作らなければならないという話をされていて、まさにその通りだと思いました。
橋梁などの土木構造物を作る際にも、同じことがいえると思いました。
(東京大学 浜谷健太)

この文章の中の"環境を知ることは環境の骨格を知る"とあった。
環境を考える面でとても重要な意味を含む良い言葉だと思った。
(東北工業大学 中居良行)

「ドームとはある姿を借りただけ」というのは大変興味深い話でした。ドームに限らず、造られたものは、知的財産としてそこに姿を現しており、今後、思いもよらないところで、その財産を活用・応用できると、面白いです。そういった技術を分りやすく誌面で紹介してもらえると素人でも楽しめます。
(東亜建設工業 目黒葉子)

「東京ドームの設計」では、新しいものを創る時の設計者の意気込みがジンジンと伝わってきました。
座席の形状や材料など、細かい所までこだわって、一つ一つの使われ方・維持更新までイメージしながら決めていく。。。設計の醍醐味・楽しさを再確認したような気がします(設計はルーチンワークが多いので、逆に言えば、物を決める段階でこだわらないと、全く楽しみが見い出せないと思います)。
私もコストや時間的な制限に負けず、その場所にとって最も良いものを創るべく、細かい所まで詰め、こだわって設計をしたい!と思いました。
(土木研究所 野間優子)

土木分野の設計では各基準に基づいて行われることが多いので、この対談で紹介頂いた「ゴルフ場」、「ドーム」の設計に関するエピソードなどは新鮮に感じ、興味深く読ませて頂きました。新しいものを見つけることに対して、私自身もいろいろと見て、聞いて、経験することが最も良い方法だと思っていますが、同じようなことを対談中に述べられているのをみて、その思いを強くした次第です。次号に今回の続きが掲載されるようですので、引き続き、楽しく拝見させて頂けるものと期待しています。
(JFEスチール 大久保浩弥)

鉄道沿線土木めぐり 銚子電鉄 市民と係わりを大切に【沢野嘉延】
銚子電鉄の車両や沿線の写真を見て,線路のわきにフェンスがないことに驚きました.
フェンスがないことで自然と調和しているように感じ,どこかなつかしいような車両のデザインからも,地元の子供たちに好かれている理由がわかる気がしました.文末にある社員の方の言葉を,掲載されている写真からも感じました.
(京都大学 玉谷宗一朗)

この記事を読んで最初に頭に浮かんだことは、「はたして、もし銚子電鉄が無くなったら困る人がどの位いるのか?」ということだった。別に今さら採算性がどうのというつもりは全く無い。ただこの様な「地域の足」となっている公共交通機関が日本全国のほとんどの地域で存続のピンチに瀕している。(ごく一部の大都市圏を除いては、だが。)銚子電鉄は元々民間会社で、サイドビジネスがある程度うまくいっているようだが、それでも補助金や経営努力等でどうにかやっているのが実情のようだ。ただ地元からの支持はあるようなのでそれが大きな救いといえる。これからも市民との係わりを大切にして頑張っていって欲しい。
(ドーコン 野田敬一)

親土木入門 鉄道沿線土木めぐりをいつも興味深く読ませていただいている。今回もサブタイトルどおり、経営難の中でも市民との係わりを大切にしている銚子電鉄さんの取り組み姿勢がひしひしと伝わってきた。銚子電鉄の向後氏の「市民が必要としなければ銚子電鉄の存在意義はない。」というお言葉、その中で「銚子電鉄」を言い換えれば全てに当てはまるような気がする。土木に携わるものにとって、非常に感銘を受けた記事であった。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

ローカル鉄道は,市民の足であるばかりか,貴重な観光資源でもある。
実際,乗車してみると,車窓の風景もさることながら,聞こえてくる乗客の会話や車内の雰囲気にもその魅力の一端が伺える。
法改正により,廃線が届出だけですむようになったと聞く。事業者として採算性は重要であるが,廃線を現状のみで安易に決定されないことを望みたい。そのためには,我が町をどうしたいかという行政的な地域ヴィジョンに基づく住民のバックアップが必要だ。
高度成長期以降の急激なモータリゼーションにより,移動手段としてのローカル鉄道の役割が薄れてきているが,今後の高齢化社会を考えると,まだまだ活躍の場がありそうである。
(電源開発 坂田智己)

銚子電鉄が銚子市内の小規模な路線で、観光など有利な要素もあるので、このような取り組みが見出せる。他の社が銚子電鉄をモデルにしようと考えたとして、ほとんど無理ではないか。多くの地方鉄道で、自動車に押され運賃増が更なる客離れを招くといった悪循環が見られる。すべての者が自動車を運転することはできないという事実を無視し地域の足という意識が薄れる傾向にある。さらに、多くの場所では、観光資源としての需要など認められない。会社経営で赤字は許されない、という要素ばかり異常に強調され、社会基盤・地域資源という意識が国家・地方レベルとも薄れている。それを反映してか、政策・予算措置も明らかに脆弱である。銚子の場合、地方レベル(市)における意識の高さが大きな支えとなっており、その部分を高めなければ、必要な路線も潰れるであろう。一方、都心の鉄道を考えると、「利用者自身の」「地域の足」という意識は更に脆弱であり、このままでは鉄道会社の営業意識に委ねられ、過度の営利意識がサービス低下を招かないか、と心配になるのである。
(匿名)

銚子電鉄の地道な取り組みに深い共感を覚えました。お客増員となると、短絡的に観光客を集めようとしてしまいそうですが、銚子電鉄が地域の人を大切にしたことは、絶対に正しいと思います。やはり、地元のニーズがなければ長続きしませんし、活力も生まれません。
今後もNPO活動を通じて、地域の人が乗る機会を増やす形で「地域のシンボル」として盛り上げて欲しいと思います。きっとそれによって、観光で訪れた人も「活力」を感じ取ることが出来ると思います。
(土木研究所 野間優子)

ファン・ドールンと安積疎水【ルイ・ヴァン・ハシテレン/ベルト・トゥッセン】
考えてみれば我が国は明治になってから、土木に限らず様々な分野で大変多くの外国人に色々学んできた。この記事のファン・ドールンもその内の一人である。オランダ人である彼が、安積疏水は単なる灌漑事業ではなく、当時の不満分子である旧士族の雇用対策でもあった事を理解していたかどうかは不明だが、結果的には事業は成功し、殖産興業を掲げる明治政府の象徴にまでなったという事に、人・歴史・土木の係わりの面白さを感じた。この事業により、郡山市の発展と琵琶湖疏水事業に係わる技術者や職人の育成がなされた事が何よりの成果ではないか。この記事に書かれているように、一般の歴史では習わない人の歴史を支えてきた土木についてもっと世間にアピールしていきたいものだ。
(ドーコン 野田敬一)

土木技術によって郡山市の村から都市へ変貌するお話は非常に興味深く読むことができました。イラストや地図、写真などで事業の概要が示されていればより分かりやすい記事になると思いました。
(清水建設 太田智久)

4000mの海峡を渡る世界一の橋のからくりがわかる 橋の科学館(兵庫県神戸市)【田中輝彦】
世界に誇る日本の橋の技術を伝えていくのはとても重要であり,私も勉強しようと思わされた。世界一の構造物を造るたいへんさ,すごさがわかることだろう。
(岡山大学 古谷隆志)

明石海峡大橋といえば,完成当初かなり話題になった橋で,その橋についての資料館があるのは正直ありがたい。この資料館で橋に興味を持って,後に続く者が現れるかもしれないからである。今後もこのように誰もが親しみやすく有意義なものを作っていくことを期待します。
(岡山大学 井保大志)

土木工学科の「新しい酒」と「新しい皮袋」【秋山成興】
土木工学の分野にエントロピーの概念を取り入れることが,どうして「新しい酒」は「新しい皮袋」の中にいれるという比喩になるのかが,いまいち理解できなかった。
(岡山大学 井保大志)

土木工学の理論的な科目として、構造力学と水理学が主なものであるが、これらは、材料力学と流体力学をもとに単純化したり経験即にあてはめることによって構成されていることが多い。確かに、この方が実際の現場では使用しやすく使い勝手がよいのかもしれない。
しかし、その一方で単純化や経験則によらず純粋に理論を突き詰めていって理論自体の精度を高めていくことも重要なのではないかということは自分が前から思っていたことであり、とても共感できました。
(東京大学 浜谷健太)

タイトルからは想像できない大変為になる投稿でした.「安全率は無知係数と呼ぶべきである」「土木に理論があるの?」「土木工学科は工学部の鬼子」など,文頭の言葉は研究者の端くれである私にとって頭に血がのぼるような文章だったのですが,読み進むうちに頷く自分がいました.特に,「線形代数・常微分方程式・偏微分方程式が応用数学の三本の幹であって,・・・・これらの内容を,弾性学・流体力学・レオロジー等の分野で土木工学と密接に関連するトピックでカバーすれば(平面保持と平均流速公式が出発点となっている)一次元の世界から脱却でき,現象を立体視できる」や「力学原理の中で,もっとも重要なものはエネルギー保存原則」いう指摘には思わず手を叩いてしまいました.確かに,これらの力学は応用数学の知識がなくては真に理解したとは言えず,逆に,応用力学の知識があった方がシンプルで理解しやすいと思います.実際,私はこれら応用数学の勉強(授業?)が不十分で苦労し,結局,自分にとって分かりやすい参考図書を買い,一から勉強し(直し)た記憶があります.また,エネルギー保存則の指摘に関しても,現在土木分野でどこまでこの原則に則って理論構築がなされているのか不安でありますし,考え方の基礎としてのこの知識の有無が現象把握や許容量の決定を大きく左右するのではないかと思います.そして,著者の言う「土木技術者のためのエントロピー」といった著作を私も切実に願うのであります.
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

学生時代に勉強した『エントロピー』という言葉は会社入社後は周辺知識として耳にするだけで、自分の仕事の領域には入ってくるものではありませんでした。
しかし、工学基礎という意味では理系の学生ならエントロピーが何なのか位は分かっておかないとまずいでしょう。今の学生さんに余裕があるのかどうか知りませんが土木に直接的に関係するもの以外の知識も身につけておくことはとても大切ですので多少しんどくても自分の引出しの数を増やす努力をしていってもらいたいと思います。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

土木工学を学ぶ学生として少し耳が痛いような話でありました.エントロピーについては学部の一般教養の科目で習いはするものの,その後の専門科目で触れられることは全く無く,それほど重要なものだとは思わず,すっかり忘れてしまっていました.現段階で,土木の分野においてエントロピーの概念がほとんど問題にされていないので,専門分野の授業で取り上げられないのはやむを得ないのかもしれませんが,今後は土木工学が他分野から有無を言わせないように学術的となり,かつこれまでの経験を活かしたすばらしい工学分野へと発展することを望みます.
(京都大学 林 芳樹)

土木工学科の教育を受け、現在土木設計という分野で実務を行っている者として、少し耳の痛い話であった。確かに構造計算の過程で、いくつもの、それも小さくない安全係数を掛け続けることで、実際には全体としてどのくらい安全なのか(又は合理的なのか)把握できていないと感じることが多々ある。暴言をすれば、最初から違うアプローチで設計した方が効率的なのではないかと思うこともある。筆者がいうように学術理論の体系化を推し進めることが土木工学、土木技術の価値を高めるのに必ずしも直結するかどうかは一概には言えないが、少なくとも、帰納的に導き出された法則、公式は、使用者がその適用範囲をしっかりと理解した上で使用することを肝に銘じていくべきだと思う。
(鹿島建設 松尾 元)

冒頭から大変僭越ではあるが、本記事の内容には賛同いたしかねる部分や一部疑問点があるので、あえて述べさせて頂く。
本記事の筆者が指摘しているように、土木工学における過度の帰納的方法や経験重視主義、また建設業界における一部の閉鎖的な慣習など、改革していくべき点は多々あることは事実である。
これらの解決方法として本記事の筆者は(あえて挑発的に述べられているとは思うが)、土木教育に応用数学を取り入れるなど理論面を強化することや演繹的方法を取りいれることを提案している。
もちろんこれらのことも重要ではあろうが、むしろ現代の土木工学の危機は、経験にに基づく職人的な「物造り」、自然に対する謙虚な態度(自然は本質的にすべて数式により記述できるものではない)や環境や自然との共生の再確認などのより乗り越えられるのではないか。
又後半筆者が主張している、今後の土木工学にエネルギ−保存則とエントロピ−の概念の導入が必要だとの主張は、根拠がやや明確ではないのと、具体的にどのように導入するのかが明確でないため、理解しがたかった。エントロピ−には「初期状態のなぞ」もあると聞くがその辺も含め、今後別項で詳細な続編を期待したい。
(大林組 佐村維要)

土木工学の分野が他分野の技術レベルと比較して劣っているかどうかということは別として、この記事中の土木工学に対する評価は、日頃、私が土木工学についてなんとなく感じていたことを言葉で表現された気がしました。
(清水建設 太田智久)

私はもともと化学屋なので、エントロピーや自由エネルギーという言葉そのものには抵抗は感じませんが、それを土木に適用する、となるとなんだか抵抗を感じます。それは、無駄なものを排除した優しい空間で成立する繊細なものが、いろんなものがごちゃ混ぜの土木の現場で、無視できないような影響を及ぼすことが果たしてできるのか、という疑問でもあります。私が化学屋から土木屋になったときに、「エイヤーで決める」とか「安全率を考慮して」とかいう、当時「いいかげん」と感じた言葉を聞いたときに受けた戸惑いと逆のパターンかもしれません。
土木は自然物を相手にしているので、わからない要因がたくさんあります。力学的なものだけであれば、もっと厳密な話もできるのでしょうが、いつどんな地震が起こるかわからず、利用者がきちんと積載重量を守る保証もなく、他にも予期しないことが起こりうるのであれば、理論の積み上げよりも実現象から法則を見出す方が理にかなっているのかも知れません。これは同じ自然物を相手にする医学とも共通のものだと思います。そのような良くわからない部分を考慮して、「安全率」を設けていると思うので、「安全率は無知係数と呼ぶべきである」という言葉はまさにその通りといえます。しかし、その良くわからない部分の解明が、努力の割にあまり意味を持たないとしたら、安全率はその無駄を省く合理的な考えだとも思えます。
ただ、エントロピーなどの理論は世の中の大原則とも言えるもので、いかに百戦錬磨の土木屋と言えども容易に覆すことはできません。ですので、その基礎と土木への適用法を勉強するためにも「土木技術者のためのエントロピー」は私も期待します。ひょっとすると、私の中の化学屋と土木屋が完全に融合する機会であるかもしれません。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

[投稿]教員のための社会体験研修「はるなプラン」JR東日本高崎支社における体験例【西尾敏和】
実は私も、所属する企業から他の組織に出向して、今年で3年目になります。その経験から、職種、業種が違うところである程度の期間を過ごすと、双方の立場や考え方の違いだけでなく、共通の問題点、出向元の問題点なども見えてきて、大変勉強になっています。
私の所属会社の場合もそうですが、一つの組織に入れ込みすぎると、全く周りが見えなくなり、世間での非常識が組織内での常識としてまかり通るようになることもあるのではないかと思います。このような異職種交流は、自身と組織を客観的に見つめるいい機会かも知れません。そういう意味で、しかもそれを教員が行っていることで、この記事は大変面白い試みだと思いました。このような研修プランは他にもいろんな所で実施されているのでしょうか?
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

[投稿]積雪期地震を想定した医療環境整備【青山清道・木村智博・後藤惠之輔】
地震時に想定される被害やハザードマップの作成など,地震防災に関する研究が多く行われていますが,この論文のように具体的なケースについて考えられているものは初めて読みました.
様々な整備項目が列挙されていますが,こういった研究成果をふまえ,対策を行うことが必要です.土木だけ,あるいは医療だけでは列挙されたすべての項目を実現することはできませんし,様々な分野を融合させ対策を講じていく必要性を感じます.
(京都大学 玉谷宗一朗)

この記事のように、積雪期などの特定の状況下での自然災害対策整備を考えることは非常に重要なことだと思います。地域の特性や、時間帯の特性によって、災害時に起こりうる被害状況はかなり異なってくることは容易に想像がつき、普遍的な対策方法で間に合うとは考えられない。
(東京大学 浜谷健太)

積雪期,豪雪地域での地震被害を想定した病院,医療環境での防災対策についての記事である.防災対策と言う点ではあらゆる場面を想定した研究が必要な事がこの記事からもわかる.
こういった地道な研究が,もしもの時に役に立つ訳である.
(西松建設 矢部昇一)

私は積雪量の多い場所に住んだ経験がないことなどから、積雪期地震特有の被害があることをこれまで考えたことがありませんでした。この投稿文を拝見して初めて、確かにそのようなことまで考える必要があると思った次第です。本文中に「積雪寒冷期の具体的な地震防災対策にまで踏み込んだ研究は少なく、今後の課題となっている」と記載されていますが、今後、積雪期地震特有の被害形態の推測やその対策などについて、検討・対策が進むことを願う次第です。
(JFEスチール 大久保浩弥)

和田一範・著 信玄堤 千二百年の系譜と大陸からの潮流【岡村美好】
個人的に「この本」のコーナーが結構気に入っている。普段自分では気が付かない本が紹介されているし、この内容を読めばその本にどんな事が書かれているかが分かるからである。今回の「信玄堤」という本は、中国の世界最古の河川施設「都江堰」と「信玄堤」の共通点から中国と日本の交流にまで触れるというスケールの大きいものだが、その根底には「後世に引き継ぐ社会資本や歴史に残る社会基盤をしっかりと残していかなければいけない」という現代の技術者へのメッセージがあるらしい。大変興味がわいて、是非読んでみたいと思った。
(ドーコン 野田敬一)

学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等
半年という長いようで短い間,お世話になりました。今後はモニターとしてではなく,一読者として,なにか意見とかがあれば,投稿させていただきます。
(岡山大学 井保大志)

[表紙]土木学会誌とは縁の無さそうな表紙で驚きました。土木と何の関係が??裏を見ると、景観工学で商店街の人情味を分析して修士論文を書いたと記述されており、さらに驚きました。これも土木の一分野なのかー。見る人が違えば、何でも土木の研究テーマになるものだと感心しました。
(所属:清水建設  氏名:藤田 淳)

今回の特集「社会基盤整備と財源〜地方自治体のやりくり」は、話題がタイムリーで幅広く良かったと思う。地方自治体の自主自立が叫ばれる中、例え地方への権限の移譲とセットの税金の分配が行われたとしても、今後の財源が厳しくなっていくのは火を見るより明らかだから。特に今回は、中部国際空港のような国家的プロジェクトから北海道オホーツク地方の3町共同の一般廃棄物最終処分場まで実例が幅広く、あらゆる読者層がアプローチし易かったと思う。今回の切り口が「財源」という事だが、土木という裾野の広い業界にはもってこいの題材であったと思う。
(ドーコン 野田敬一)

(編集委員会への要望)
「性能設計」が使われるようになって久しい。ところが、各機関(道路・鉄道・港湾等)によって考え方がまちまちである。素人目には限界性能は1つのような気がするが、なぜ考え方が異なるのであろうか?
特集で「性能設計」を取り上げて頂けないでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

半年間、土木学会誌のモニターを努めさせていただきました。
お恥ずかしながら、かつて、これほど土木学会誌をまじめに読んだことはありませんでした。モニターの機会がなければ、ずっと流し読みのままであったかとおもいます。じっくり読んでみれば、非常にためになる記事が多く、今まで流し読みしていた自分が恥ずかしくなりました。また、編集委員の皆様のご尽力を考えると、本当に頭の下がる思いです。本当に良い機会を与えていただき、有り難うございました。
モニターとして、好き勝手申し上げた面も多々ございましたが、これからもモニターの気持ちで、じっくりと土木学会誌を読ませていただきたいと思います。
これからも読者に親しまれる記事の提供を何卒宜しくお願い申し上げます。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

(編集委員会への要望)
「モニターの声」について、せっかくの機会ですので、「モニターを終えて」ということで、モニターの皆様に最後に感想を書いていただくというのは、如何でしょうか?
きっと次につながるご意見やご感想が聞けることと存じます。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

技術レポートや事故災害は今までも軽く読んでいましたが,モニターにならなければこれほどまでに学会誌を読むことはなかったと思います.特に,特集記事は堅い内容が多ページに渡るので,自分の興味と一致しないとなかなか読まなかったのですが,今回少なからず読んでみて為になる記事が多いことに気づきました.しかし,編集委員の多大な労力のもとに作られたこれらの特集記事はどれだけの学会員に熱心に読んでもらっているのでしょうか?場合によっては,事故・災害など学会誌ならではの記事を巻頭においたり,新書で扱っていそうな特集記事は別冊で携帯しやすいものにしても良いのではないでしょうか?
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

土木ミュージアムの記事を冊子にしたら、子供と一緒に行こうと思って買う人もいるのではないか。最近は公共事業=悪という風潮があるため、私の仕事は家庭で理解されていない。
子供が小さい時にこういう博物館に連れて行けば良かったと思う。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

今後、他部門の方(ジャ−ナリスト養老先生など)の批判的な記事を掲載して欲しい。
(大林組 佐村維要)

特集で今回のような政策・制度面が取り上げられると読みやいのだが、技術に偏ると読みづらい。両社を常に組み込み、分散させると毎回読めるが、確かに特集のインパクトが薄れる。それでも個人的には、分散されたほうが毎回読む意識が高まり、有難いのですが。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)

編集委員の紹介のページでは顔写真やコメントが掲載されていました。とても学会誌が身近に感じられ良かったです。
(大阪府庁 岡田敏男)

11月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

特集 現場施工技術の進歩 土木学会技術賞・田中賞にみる技術開発の系譜と展望
遠隔操作システムについてどのようにモニターされどのように重機を操作しているのか写真などで説明して欲しかった。
(岡山大学 古谷隆志)
(編集委員会からの回答)
学会誌をより分かり易いものとするために、写真・図表等を用いてビジュアル性を確保するように心掛けているつもりです。個別の記事内容については、読者との双方向コミュニケーションを活発にする意味で支障なき場合には著者のメールアドレス等を公開する等の議論を編集委員会で取り上げて行きたいと思います。
(A班 工藤)

プロジェクトリポート 仮設工事が生命線 広島中央フライトロード・空港大橋
広島空港、といえば、私の地元である。今回のこの橋が日本一のアーチ橋、というのは初めて聞いた。地元では、この大橋の名は某国会議員の名前を頭にかぶせて呼ばれることも多く、いわゆる無駄な公共事業として見られる向きが強い。一般市民としては、どんなにすばらしいアーチ橋ができるか、という前にむしろ、実際にこんなにお金をかけて大規模な工事をする必要があるのか、土木の専門家として、もっと他にいい橋の作り方はないのか、を論ずるべきではないだろうか、と疑問を感じる。認識の隔たりを感じてしまう。
トップ記事の論説の中に、「マスコミを通じて得た誤解と偏見に基づく'土木'のイメージの悪さが、世間一般の大人たちの社会にあるようである」(P、5)とあるが、先日までマスコミの一員として働いていた経験から言えば、特に公共事業に関しては、談合情報が新聞社にしょっちゅう寄せられるなど、税金を使っている、との土木関係者の認識を疑ってしまうことが多かった。この空港に関していえば、確かにアクセスの悪さは開港当初からの課題だが、まず技術を称える前に、機能、コスト、利用見込みの点で他の選択肢と比べてどのように優れているのかを述べ、県民の納得できる回答を示してから論じてほしい。
(大川富美)

(編集委員会からの回答)
プロジュクトリポートおよび技術リポートは、土木技術者に役立つ最先端の技術情報を、プロジェクトとは関係のない第三者がわかりやすく解説することを目的としているため、本リポートでは橋梁建設の最新建設技術にテーマを絞って掲載させていただきました。しかしながら、ご指摘の点は極めて重要なことでもありますので、今後はこのような点からの記事の掲載も検討していきたいと思います。

技術リポート[投稿]甲州流プレキャスト石張り護岸の開発
地域独自の護岸の開発に関する記事であり、実際やってこられた方々の多大な苦労や努力が伺える記事である。私自身河川に携わっており、かつて地域独自の工法を発注者の方と考えたことがあるからだ。ただこの記事の少し残念なのは、前段の説明が少なすぎて「なぜ自然石を埋め込んだブロックの護岸が必要だったのか」がさらりとしか書かれていない点である。4タイプのブロックを平等に扱わなければならない事や、紙面の関係等もあるのだろうがそこをもう少し詳しく書いて欲しかった。
(ドーコン 野田敬一)

既存の練り石工法に比べてコスト高であるようですが、従来工法に対するメリット、デメリットがまとまっているとわかりやすいかと思います。また、開発のイメージでは製品を反転し脱型する方法となっていますが、実際に開発されたものはどれも支持材に石を載せてコンクリートを打設し、反転しない形式になっています。そのような形式に落ち着いた開発の経緯などもあれば面白いかと思います。
(鹿島建設 竹内章博)

(編集委員会からの回答)
技術リポートの編集にあたっては、限られた紙面の中で、読者の皆様が興味をお持ちの部分についてできるだけ詳しく記述できるよう心掛けております。ご指摘頂いた項目については、今後の編集にあたっての留意点とさせていただきます。なお、4タイプのブロックのうち1点(将棋頭ブロック)は開発イメージと同様の反転脱型のタイプです。
(RP班 和田)

現場 第4回 歴史の世界 『土木遺産の現在』
本記事は、土木遺産の現代と題し、北海道稚内港北防波堤ド−ムの現場体験レポ−トである。このような構造物を取り上げ紹介することは大変有意義なことだと考える。
本記事によると、「1965年頃老朽化などによりド−ムを解体する提案が出されたが、世界にも類を見ない画期的な構造で価値観が高いことなどから、保存を願う地元要請が強く、原形通りに改修することになりました」とのことである。つまり一つ間違えば、この歴史遺産も解体され消滅していたことになる。
この記事だけではよく分からないが、「解体する提案をした」のは「(行政も含めた広義の)土木技術者」ではなかったか。もしそうだとしたら大いに反省すべきことである。
本記事のように、「土木遺産を」紹介することは大変重要なことだが、1965〜1990年代、日本経済の最盛期に果たして我々は土木遺産を残してきたか、又先代の遺産を破壊することはなかったか、現在・将来に向けて「土木遺産」はどうあるべきかなど、問題点の把握と若干の掘り下げがほしかった。
(大林組 佐村維要)

(編集委員会からの回答)
「土木遺産はどうあるべきか」は,日本に限らず世界各国において考えなければならない問題であると考えております.今回の記事においては,あまり深く掘り下げることはできませんでしたが,読者の方々が「どうあるべきか」を考えるきっかけにはなったのではないかと考えております.今後は,もう少し深い内容を加えた記事にしていこうと思います.
(学生班 鈴木)

(編集委員会への要望)
私は、来年は就職活動をすることになります。そこで、土木を学ばれた人の就職先での魅力やその他情報を掲載していただけると、大変参考になります。是非、そういった就職情報ページを追加してください。勝手なお願いですいません。
(岡山大学 井保大志)

(編集委員会からの回答)
土木学会誌では、土木技術者の関わるプロジェクトや取り組みについて多くの記事などを掲載しております。特に学生編集委員による企画は、学生の目線で捉えた土木社会を会員に伝えるべく学生自ら取材をして肌身で感じた記事を提供しています。就職を考えている学生の方々には、特定の企業という対象ではなく土木技術者としてどのような道に進むべきかという視点で学会誌を見ていただければと思います。
以前には就職に関するアンケート記事を掲載したこともあります。学生会員の皆様で就職も含めて企画をお持ちであれば、具体的な提案もしくは学生編集委員としての参加をお待ちしております。

(編集委員会への要望)
平成15年11月号のモニターによる編集委員会に対する要望等の意見欄において,小牟禮建一様より,特集記事の専門性が高く,専門外の人には理解しにくいとの御指摘があり,章立てを活用した構成に関する提案がなされました.この意見に関して私も全く賛成です.我々学生にとっても,この問題は学会誌を読むのに大きな障害となります.目の前の宝に触れることができないどころか,目の前の宝が宝とさえ気付かずに読み飛ばしてしまうことが多々あるように思えます.
(広島大学 海田辰将)

(編集委員会からの回答)
小牟禮建一様のご意見に対しては、12月号で編集委員会の考えをお示ししたところです。特集記事の専門性は避けて通ることはできませんが、可能な限り分かりやすい記事をめざして企画・編集に努めていきたいと考えています。

(編集委員会への要望)
ひとつの記事のページ数を増やし、その分写真や図などを多めにしてわかりやすくして欲しい。
(岡山大学 古谷隆志)

(編集委員会からの回答)
限られた予算の中で土木学会誌のページを増やすことはなかなか難しいのが実態ですが、執筆者には、今後とも図表や写真を用いた分かりやすい記事掲載をお願いして参ります。

(編集委員会への要望)
もっと学生からの記事を多くして欲しい。将来土木を背負っていくのは今の学生なのだから、毎号10ページ位、2,3本の記事を学生に書いてもらってはどうか?特に学生会員等に縛られる事無く、大学の先生等に協力(紹介など)してもらってちょっとした原稿料を払う形式で出来ないだろうか。大学の講座紹介みたいなモノでも構わないと私は思う。そのように学生の時に土木学会に接する事で、非会員への宣伝にもなるのではないか。
(ドーコン 野田敬一)

(編集委員会からの回答)
大学講座紹介等のご提案ありがとうございます。学生編集委員による企画が好評を得ている一因として、学生自ら現場取材に臨み、学生の目線で率直な意見を述べていることが挙げられます。現在、学生班は5人で活動していますが、今後も限られた条件の中で学生が主体的に企画し取材した記事を掲載していく予定でおります。より内容の濃い企画を計画していくうえで、具体的な企画提案は大歓迎です。お待ちしております。

(編集委員会への要望)
昨今、日本のある鉄筋コンクリート橋梁で、アルカリ骨材反応に起因すると考えられている劣化により、橋脚フーチングの鉄筋破断現象が認められた。それがマスコミ報道(NHK)に取り上げられたのは記憶に新しい。構造物の維持管理の重要性が叫ばれている中で、コンクリートの耐久性向上のための施策がまた見直されつつある。土木とコンクリートは切っても切れない関係にある。特集でコンクリート構造物の劣化現象と維持管理について、取り上げて頂けないでしょうか?上記の劣化現象をスクープしたNHK京都のジャーナリストに執筆いただくのも興味深いかもしれない。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

(編集委員会からの回答)
土木学会誌では、これまで「社会基盤」という観点から、2000年2月号、2001年12月号で維持管理の特集を、コンクリート構造物の劣化現象と維持管理のみに焦点を当てた特集ではありませんが、2000年4月号に「新世紀のコンクリートを考える」と題して特集を組んでいます。参考にしていただければと思います。また、お寄せいただいたご意見を参考に、コンクリートに係るその後の技術の進歩、社会の認識・情勢の変化に応じた特集を今後検討したいと考えています。

(編集委員会への要望)
特集に関して,タイトルが不揃いであったことが気になりました.
(京都大学 玉谷 宗一朗)

(編集委員会からの回答)
ご指摘ありがとう御座います。編集者と執筆者との調整が完全につかないまま時間切れとなってしまった側面があり反省しております。以後の編集へご指摘の点を生かして行きたいと思います。
(A班 工藤)

(編集委員会への要望)
もう少し早く事故・災害の速報ができないか。もっと粗い情報で良いので、学会の派遣する調査団の概要やどのような視点から調査するのかなど、速報の速報をだしてみたらどうか。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

(編集委員会からの回答)
本誌は学会誌であることから、ある程度の情報の精度を確保する必要があります。また、月刊誌であるため編集から配本までの手配を含めて、発災後、数ヶ月を要しています。そのため、ご指摘の「速報の速報」に関しては、発行までに必要な期間を考慮すると現状では難しいと思われます。なるべく早く、役に立つ情報をご提供できるよう努力致しておりますが、上記の事情をご理解いただければ幸いです。なお、土木学会のホームページ上では、学会誌より早く災害速報が掲載されますので、そちらもご参照下さい。

(編集委員会への要望)
内容は至って基本的な内容なのですが質問があります.だいぶ前のことですが,大規模な掘削工事の土留壁の設計に携わっていたとき,適切な結果が得られずに四苦八苦した経験があります.その時は夢の中で土留壁が崩壊する夢を見たりして,かなり苦労した記憶があります.そんなおりに「土木の語源ってなに?」という素朴な疑問が脳裏を横切りました.夢の中まで土留め壁が出てくる状態だったので,土木の土は力(荷重)の象徴で,土木の木は構造物(土留壁)と勝手にイメージしていましたが,先日ふとそのことを思いだしてインターネットで検索してみました.すると由来は中国にあるようで,その中でも様々な説があるようです.そこで土木学会としてのご意見をぜひお伺いしたいと思いご質問させていただきました.同様な内容がすでに記載されていたら何年の何月号を見ればよいか教えいただければ幸いです.
(ジェイアール総研エンジニアリング 木村礼夫)

(編集委員会からの回答)
中国で紀元前200年から西暦8年まで栄えた前漢の第五代皇帝、武帝の時代に著された「淮南子(えなんじ)」という書物に「古の聖人・君子が土を築き木を構えて民心を安んじた」とあり、これが「土木」の語源といわれています。淮南子は、それまでの様々な書物のさわりの部分を集めたもので、中国の辺境の国「淮南」の王が編集したのでこの名があります(日野幹雄著:「土を築き木を構えて −私の土木史−」、森北出版、1994)。

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