土木学会誌
土木学会誌6月号モニター回答


表紙・裏表紙 道路開発と森との共生"ヤマネブリッジ"
小学2年生の息子が初めて興味を示した土木学会誌の表紙でした。記事を読んでやると真剣にヤマネのことを聞いていました。今回の特集が「合意形成」ということで、たとえば”ヤマネブリッジ”のような事を情報発信していくことも、公共事業や土木というものへの理解や信頼を得る一助になるのではないかと思いました。特に、これからの住民参加による公共事業の推進には、これからの世代に興味をもってもらうようなことも遠回りのようで意外と近道なのかも知れません。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

表紙の写真を見た瞬間にヤマネだと判りました.しかし,その存在自体は知っているものの,未だに本物とめぐり合ったことはありません.この愛くるしい,存在が危機にさらされている動物の生息環境は是非守ってもらいたいものです.ヤマネブリッジがかかっている清里高原有料道路は,この他にも「けもの道」や脱出用スロープ付の側溝等が敷設されているようです.道路上で自動車に轢かれる動物が後を絶たないが,動物の生活圏を分断する場合には,何らかの対策が必要であると考えられます.
(東京大学大学院 金田尚志)

時局を論ずる 大学独立法人化に思うこと
大学が社会文化を担う公的なものであり、政府、産業界、市民らの代表が大学の最終的な責任所在になることは当たり前という意見は新鮮でした。大学の独立法人化については授業料の高騰に繋がり教育の機会均等化に反する、成果という概念が教育・研究という分野に相応しくないなどの反対意見が多くあると聞いています。現在の日本の国公立大学がどのように運営されているかについてはよく知りませんが、大学の改革が叫ばれている今、どのような形態が日本にとって最適化を、時間をかけてじっくりと検討してもらいたいです。
(関西電力株式会社 西川 亨)

小生、大阪平野の端にある私立大学におりますが、国公立大学が独立行政法人化により、”国公立大学起源の私立大学”になってしまいやしないかと心配してしまいます。ここには産業界との連携やベンチャー企業もありますが、少子化に伴う厳しい環境下での生き残り策といった意味合いが強いかもしれません。お金が出ると、同時に口も出ます。菊池先生の指摘するような「自分の研究に没頭」してばっかりというのは不味いですが、同時に”代筆屋”や”代弁屋”あるいは”代実験屋”になってしまうのも不味いです。最初が肝心と思われます。今一度、大学の存在意義について考えてみる必要があろうと思われます。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

公的機関の独立行政法人化は国政の予算削減を狙いとして、進められていることは暗黙の了解で、期日だけが決められているので、大学内もこの法案に対応して慌しく動いているようだ。そこでは、各学科レベルでの合理化・説明責任が求められる。新たに生まれた緊張感と自浄作用によって有機的に組織が機能すればよいし、今回の痛みがポシティブに活用できれば、チャンスだと思う。ただし、土木のように社会的・経済的インパクトの強い分野は生き残るとしても経済性で劣る分野に対してどのようにフェアな判断をしていくかが気にかかるところではある。第3者のレヴューがあったとしても、それを適切に判断していく機構を作るのは至難の業であろう。
(東京大学大学院 田中泰司)

土木学会誌編集委員長のページ
学会誌の編集方針を明確にして、意義を感じた。賛否両論があろうが、面白い学会誌というのは大きなキーワードであろう。
(西武建設(株) 三村 卓)

毎回興味深い記事を読ませていただいて感謝しております。その中でも特に印象に強いのは「愛すべき土木屋たち」という特集記事で、各方面で活躍されている超一流の方々の土木観・人生観について知ることができ、刺激を受けました。そういった一冊の本として出版できるような連載記事があると、より面白みが増すように思います。
(東京大学大学院 田中泰司)

特集 合意形成論 総論賛成・各論反対のジレンマ
特集は、タイムリーな話題が選ばれるのでいつも楽しみにしています。あまり辛抱強くない私は、難解または長い記事は途中であきらめることもしばしばですが、今号は大部分が楽々読破できました。著者の方々が分かり易い記述に心を砕いておられることを有り難く思いました。また1件あたり4ページという分量も、長すぎず短かすぎず絶妙だったと思います。
(鹿島建設 吉田 輝)

今回の特集は,ボリュームもあり,かつ土木とは異なる分野からの意見も掲載され,なかなか読み応えのあるものであった.合意の可能性を求め続けるのが土木技術者の使命であることには,私も強く同意し,研究者として合意形成に関する知識および合意形成に向けての意識をしっかりと持つべきだと思うが,今後学問の傾向として,専門化・細分化していく中で,この合意を形成する役割を担うべきは,どのような人たち(研究者?実務技術者?土木分野における合意形成の専門家?)であるべきなのだろうか.この疑問をじっくりと考えてみたいと感じた特集であった.
(京都大学 菊池 輝)

合意形成において総論賛成・各論反対は、合意を得ようとする事柄が各個人の利害に関係する限り、必然のことだと思います。そのことを踏まえた上で、この記事にも書かれているように、合意形成にはやはり合意を得ようとする者への信頼が最も大切なのだと思いました。
(農林水産省 村下秀文)

普段気にも止めてなかった言葉だっただけに勉強の観点から読ませて頂いた。「合意形成」の意味、手段については全般的に記事から理解できたのだが、企画の主旨(合意形成論の必要性)についてイメージしづらいため、住民説明会で合意形成に至らなかったケース等の事例紹介があればよかったように思えた。
((株)ダイヤコンサルタント 大口伸生)

信頼の醸造は難しく、不信をえることはいとも簡単であることは厳しいが、人の力で事を成すためには、合意形成が是非とも必要である。この特集で社会の一員である自分、土木技術者の端くれである自分、個人としての自分について改めて考えさせられた。
(JPOWER電源開発 大島寿哉)

内容は充実していたが、全体的に写真や図・表が少ないために、文字だらけの文章と感じて読み疲れがした。合意形成の進展、歴史的な掘り下げなどの取り上げ方もほしかった。
(西武建設(株) 三村 卓)

学会誌6月号の合意形成論を拝読し,改めて合意形成の難しさを実感しました.様々な側面から,合意形成に関する論説が記載されており,小生のとって随分為になったと感じております.また,色々な場面で偉大な土木の先人を含め,多くの方が合意に関する諸問題に悩んできていることも分かりました.私自身,現在,一土木技術者として公共事業の実施に携わっており,合意形成に関するジレンマを実感している1人です.そこで今回の論説を拝読した所見を述べたく思います.
バブル期と言われる日本の高度経済成長期から現在に至る公共事業には,大きく分けて
(1) 景気浮揚対策としての実施
(2) 日本全国公平(画一的)な社会基盤の整備
の2点に主眼が置かれてきたと考えます.これには,国内のみの事情に止まらず,国際的な外交政策にも及んで,円高是正措置の一環で内需拡大策としての公共事業が実施されてきた時期もありました.
しかしながら,そうした公共事業の主眼に対して世論が同調せず,ここ数年来,急速にそうした動きが表面化してきているのが実態ではないかと思います.そこには,
(3) より効果的な少子高齢化対策,環境対策,防災対策の実施
(4) 地域特有の社会基盤整備
が世論として出てきており,現在の政治・行政制度を抜本から見直す要求へと繋がる大きな問題として表出しているように感じます.一個人としては,どうにもならない問題もあり,恐らくこれが解決されない限り,公共事業に対する合意形成には結びつかないものと考えます.
我々土木技術者にとって何より至福なときは,公共事業として整備した社会資本を,国民の皆様が,喜び感謝してくださる時だと思います.世論が経済至上主義・税金の公平執行という観点から乖離している現状を鑑み,我々土木技術者は現行制度の中にあっても,極力それに応える努力をするしかないと考えます.
経済至上主義・画一的社会基盤の整備から,心の豊かさと地域密着性を重視した公共事業への転換を図るべく,合意形成のジレンマは残りつつも,技術者としての志を持つ必要があるのではないでしょうか?
(静岡県下田土木 斎藤秀孝)非モニター

[論説 21世紀における合意形成の課題 2.合意形成に向けて]
本文から、合意形成が難しいのは、行政と市民のいろいろな理由によって「形式的な市民参加型に陥る」からであると受けとめました。また、腹を割った話し合いから信頼関係が生まれ、そこから本当にそこに住む人たちのためのまちづくりが始まるのだと理解しました。率直に話し、真摯に受けとめることは人間関係や仕事などを生産的な方向へ向けようとしたときに、人がとるべき基本的な姿勢で、私たちが常に心がけるべきことだと思います。大学など、精神的にある程度成形された人の集まる教育機関で、一般教養として「コミュニケーション」について多面的に(精神的・方法論的など)教えることも必要だと考えます。それによって社会の精神的な成熟が図れるのではないでしょうか。
((株)熊谷組 大谷多香)

同意形成は公的活動への参加のなかで
本記事は全体を通じて考えさせられる部分が多く、読み終わった際には少し悲しくなった。確かに歴史主義に対する努力をなしてこず、良識を失っているように思う。また、多数の欲望とするところが公共の福祉となってしまっているという指摘も、この状態をよく表していると思う。そして、そんな状態であれば、公心など持ち合わせているはずもないのに、なぜか公共的施策に住民投票というエゴがまかり通っている指摘にも納得せざるを得ない。どうもこの記事を読んでいると悲観的になりすぎてしまうようだが、きっとこれが真実なのだろうと思うとやりきれない。
(関西電力(株) 大江直樹)

私なりに平素から感じていることを代弁してくれている部分があり共感を覚えました。多様な意見に耳を傾けようとするあまり収拾がつかなくなるのでは、住民との対話を怠ったために頓挫するのと、結果において差がないと思います。合意形成のため、事前にあらゆる手を尽くすことが前提ですが、最終的に議会が識見をもって下した決定は、正当に扱われるべきと思います。
(鹿島建設 吉田 輝) 

アキレスと亀と信頼の醸成
信頼の欠如が対立を生み、ますます悪循環を招くということは、日常生活においても多々あるように思う。そして、記事においてその信頼は、「能力に対する期待」と「意図に対する期待」により形成されるということを原子力発電などを例に解説されているが、近年の対立の多くは、まず獲得すべき「能力に対する期待」すら得ることができていないために発生しているように感じる。疑い出せばきりがないには確かだが、少しでも不信があると全てが疑わしく思えてくるものだ。そして、信頼醸成のパラドックスとして「アキレスと亀」の例を示されているが、確かに「向目的的」な対応は後のちの不信を生むこととなり、現在の各地での不信のもととなっているのだろう。ただ、このような長期な対応を行うためには、事業者はもちろんだが住民もそれなりの覚悟が必要だ。そして、そうした活動の中から本来の地域による地域のための地方自治が再生されていくのではないかと感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)

合意形成の基本となる「信頼」という概念をわかりやすく解説してあり、信頼獲得のために必要な姿勢など非常に参考になる内容でした。
とりわけ「アキレスと亀」の例示は、Civil Engineeringそのものの本来の方向性を示すものとして、記憶に残しておきたいと思いました。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

合意を形成する上で最も大切なのは、相互の信頼形成である。しかし、信頼関係の構築を目的とするのではなく、より充実した住民の暮らしを考えることが重要である、と筆者は述べている。そもそも、合意形成とは“工事ありき”で進められることがほとんどであるが、筆者の言うように住民を第一に考えるのなら“工事をやらない”とゆうオプションもあっていいのではないかと考える。その上で住民との話合いを始めることが、信頼関係構築への第一歩であるように思う。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)

「信頼」の論理を、アキレスの話に例えて説明されていて、とても分かりやすかったです。私達の身の回りでも、信頼を得ようと意識している人は、かえって、その行動に本心が感じられず、とても胡散くさく狡猾に映ります。これと同じ事が、土木事業の推進者と地元の方々との間にも言えることである、と感じました。
(大成建設(株) 町田 晋)

多様な意見と社会の決定
今回の特集の中に本論文を始め、ゲーム理論、リスクコミュニケーション、PI(パブリックインボルブメント)など合意形成に関した理論的な論文がいくつかあった。残念ながら、私には難しくてわかりにくかった。理屈が簡単には飲み込めないのと、行政の事業提案に対する住民の合意形成過程が、日本と欧米とで同じ方式が適用できるのかどうか疑問がある。また、地域密着型の事業とマスコミに騒がれているような全国的な事業とでは合意形成の手法も理論も異なるのであろうが、そうした適用の考え方も明確ではないように思われた。古いのかもしれないが、誠実さとやる気が鍵だとする論文の方が共感が持てた。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)

住民参加の心理学
合意形成に関して様々な観点からの記述があった今回の特集の中で、最も素人わかりのする論文であった。行政は、住民と多大な労力と長い時間をかけて信頼を構築することが必要であり、そうすれば行政の方こそ住民を頼りにすることができるようになる、という。圧巻は、「結局、本気で住民の声に耳を傾け、事業に取り入れる姿勢があるかどうかという、きわめて初歩的で基本的な要素が住民参加を実り多いものにするか、お互いに不信感を残すだけかを分けることになるだろう。」との結語である。なあんだ、住民参加とは、小難しい理論や手法を用いるのではなく、誠実に聴き、取り入れるべきところは真摯に取り入れるという、人間としての付き合いの基本の問題だったのかと、納得がいった。 これからの土木技術者は、実はすぐれた行政マンはこれまでもそうであったように、住民からあの人なら大丈夫だ、あの組織なら信頼できる、と言われるようにならなければならない。結局そこに行き着くのだと思った。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)

開発途上国における開発プロジェクトも住民参加が不可欠のものとなっている。住民参加プロジェクトでは、計画段階から住民が参加し、意志決定、実施にも参加することで、オーナーシップ(自分たちのプロジェクトという意識)が高まり持続可能性が確保される。住民参加プロジェクトの成功例を見てみると、宮守川改修と同じように、住民だけでなく行政側の意識改革が行われたことも成果として挙げられている。開発途上国では行政が住民と対話を持つことがほとんどない状況も多くあり、その成果による大きな波及効果が期待できる。
しかし、住民参加をリスク心理学、信頼問題として分析した本稿によって、住民参加による合意形成は甘くないと認識を新たにした。「住民参加」「情報開示」を考慮していればうまくいくという安易な考えが問題をこじらすことにもなりかねない。
今回の特集は10編の論文のどれも内容が深くとても消化しきれていないが、「合意形成」について認識を深めることができた。
(国際協力事業団 江塚利幸)

リスクコミュニケーション
恥ずかしながら、本記事にて初めて「リスクコミュニケーション」なる言葉を知った。近年、なにごとをするにもリスク評価を行うことが必要となってきたように感じるが、その評価を専門家が行う場合と素人が行う場合では、違う結果となることもあるだろう。そうしたお互いのズレを認め合うことがリスクコミュニケーションであるようだが、慣れるまでは専門家にとっては想定外の意見が多く出されて、戸惑うばかりのように思われる。そのあたりのことを、記事の最後にて「必要な覚悟」として触れられているが、ただ例にある150年に1度などというリスクを、たまたまその時代にそこに住んでいた人が1回決めたことが必ずしも正でもないだろうから、結局のところリスクコミュニケーションは常に認識しあうべき活動ではないかと感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)

合意形成に特効薬がないのは当然としても、時間をかけて住民との対話をしようというのが結論では少々当たり前すぎるような気がしました。
(関西電力株式会社 西川 亨)

リスクコミュニケーションという手法の可能性がよく理解できました。この手法の実践には、時間をかけることが必要な条件となるでしょうが、現在の単年度予算の事業の中で、「計画を策定していく」「事業採択をする」といった公共事業のシステムそのものがネックとなるような気がします。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

社会資本整備の合意形成に向けて
「当事者が出揃わない社会資本整備」という言い回しに目を開かれた。市町村が事業主体の地域密着型の事業はともかく、都道府県や国の直轄事業となると、なかなか一般の人に関心がないことが多いので、そういう大規模な事業の住民合意というと確かに難しい。PIに解決策を求めているが、それも、それでいいのかなとも思う。著名な巨大事業が、結局は事業主体である行政と地元の利害関係者との間の交渉で決まってしまうという現実をみれば、もっと手法が確立されてもいいように思う。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)

素朴は発送を現実に上向きシールド工法の開発と施工
一次覆工坑内より上向きに発進し、流入用のマンホールとして活用するといった新技術の紹介であった。毎月、この「技術リポート」においては、様々な工法を取上げていただき、興味深く読ませてもらっている。たまには、このようなハード特集を組んでみるのも面白いのでないかと思う。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)

土木工事の現場において、周辺地域の配慮のため生じる制約条件は一つの検討課題となっている。本報告はその課題を技術的に解決していく点で興味深く読ませて頂いた。従来工法からの逆様式となる「深部から地上への掘削」といった観点から始まり実現された本工法はいわば土木の「プロジェクトX」のように感じられ、土木技術の進化を目の当たりにした。今後の土木技術の発展に拍車をかけるように感じ取れる報文であった。
((株)ダイヤコンサルタント 大口伸生)

「高剛性」、「完全内面平滑」、「高速施工」を実現するシールドトンネル用合成セグメントの誕生
ダクタイル鋳鉄と鉄筋コンクリートとの組み合わせが、非常におもしろいと思いました。今後も、よりよいセグメント、継手の開発がなされることを期待します。
(大成建設(株) 町田 晋)

土木紀行 琵琶湖疎水の発電所群
このあたりは以前僕が住んでいた地域であるということもあって視覚的なイメージができやすく、すんなり頭に入ってきました。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

海外リポート An Input-Output Analysis for Co2 Emission Reduction Plan in Metropolises of Developing Countries  
開発途上の都市の二酸化炭素排出削減にむけての取り組みを分かり易く読ませていただきました。ただ、学会誌は、いろいろな立場の方が興味をもって購読していると思いますので、後のほうに日本語で概略程度でもあったほうが、より多くの方に興味を持っていただけるのではないでしょうか。
((株)大林組 小石川隆太)

連載「緑」第4回 緑が湖と海を守る
非常に興味深く読ませて頂いた。本文に述べてあるとおり、人工浮島が当面の代替的な手段として用いるのであれば社会批判にならざるを得ないと思う。人工的に形成した緑がやがて自然と一体化し恒久的な自然へと移行する技術が必要になってくると思う。
(五洋建設 羽田晃)

人工浮島によって水質浄化をはかるという方法は、確かにハイテク技術でもなく、画期的でもないが、導入しやすい創意工夫に満ちた方法だと思います。私もどこかで人工浮島を見かけたような気がしますが、恥ずかしながら「何かを栽培してるのかな?」と思っていました。そのような勘違いをする人は多いかもしれませんが、それでもいいじゃないですか。工学的(生物学的?)に十分に有用な方法だと思います。本当に何かを栽培してしまえば、浮島で成長した有機物を生産物として社会的に利用可能になるのかな。(おまけ:水質浄化目的の噴水を、純粋に噴水だと思っている人は多いと思います)
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

人工浮島
湿性植物などの生息場所として水位変動があまりにも大きいダム湖には、適さないため、水域から陸域への生物の遷移帯が形成されないことが多い。人工浮島の場合、抽水植物→湿性植物の遷移帯の形成が可能となる技術と考えられます。生物の生息に関しては机上の理論より、実証することにより、長所・短所が表れやすく、実証実験をされておりそこから得られた課題を抽出されその課題解決へ向けた取り組みがなされていることに大変興味がもてる内容であった。生物のデータ取得には生長(成長)期間を有することからかなりの時間が必要であることから、著者が述べられている様に多数の研究者による取り組みが行われれば、課題解決が早く進むのではと考えた。
(五洋建設梶@檜山博昭)

自然環境について感心が高い昨今であるが、人間は全てが自然に回帰できるわけではない。人工物の中に住む社会から今後も抜け出さないはずである。この人工浮島のような自然物と人工物の接点こそ特に注目すべきである。そこに先の社会環境の向上を見出せると思う。興味深く読ませていただきました。
(JPOWER電源開発 大島寿哉)

人間活動の犠牲となった自然への代償として「ビオトープ」が最近よく挙げられます。人工浮島も自然への代償という観点では同じですが、ビオトープは「人工自然」と呼べるのに対して人工浮島は材料に発砲スチロールなどを使っており、「人工自然」には決して含まれることはありません。つまり、あくまで「人工構造物」だと思います。「人工構造物」にも関わらずそれを自然への代償とするのは人間のエゴだと 感じざるを得ませんでした。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

沿岸・海洋の藻場造成
これまでの、連載「緑」の内容は事例紹介とその事例から得られた課題への取り組みという形がほとんどであったが、藻場造成では、文献や机上論で占められていた。このため、興味が薄いものになっていると思えます。
(匿名)

本文にも書いてありましたが藻場造成の適地を客観的に明らかにすることは難しいと思います。できるだけ広い生態系を考慮に入れた上での「客観的な」判断を期待します。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

写真で綴るその時の一枚(三)
1)[記事名:写真で綴るその時の一枚]
土木遺産や土木史といった研究分野があるが、写真は重要な史料の一部であろう。大事なメッセージを伴う写真や資料は、忘れ去られないように、このような形で、時々「虫干し」が必要かもしれない。
最近はデジタルカメラが普及し、かなりの量の映像が記録されていると思われる。これは数十年〜百数十年後の土木遺産あるいは土木史研究の重要な史料になりうる。貴重な写真と重要なメッセージがバラバラになって散逸する前に、何らかの形でアーカイブにしておく必要があるかもしれない。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

外からみる土木 第2回 医学編 悩める都会人と土木
非常に興味深く読ませて頂いた。特に「土木工学というのは、今まで自分たちの扱う領域を自ら狭くしてしまっていて、他の分野との連携をあまりしてこなかったのではないか」という所には少し悲しくなる一方、これからも土木工学の可能性が広がる気がして嬉しく思った。Civil Engineerと土木が言う以上、土木とは人間がより快適に生活していくための技術である。科学技術が発展していく中で土木技術をより良く生かすためには他分野の技術と連携しながら技術力を高めていく必要がある。
(五洋建設 羽田晃)

前回以上に土木との関わりがなさそうな分野でしたが、意外な関わりがあることに驚きました。土木構造物を構築するにあたって環境面に注意を払うのは当然ですが、健康都市の実現といった大きな視野が必要だと感じました。
(関西電力株式会社 西川 亨)

土木が対象とするフィールドはとても広く,様々な専門分野が存在しするため,現実に他の(土木以外の)分野との接点も数多い.今回は,医学という,一見すると土木との深い関係を想像しずらい分野を取り上げている.都市医学というフィールドをはじめて知ったが,この記事を読み,今後,医学分野の様々な知見を土木分野へ積極的に取り込みべきであり,この分野へ土木工学が貢献すべき事項は幅広く存在するものだと感じた.
(京都大学 菊池 輝)

このコーナーは土木以外の方々から土木について論じてもらう主旨と理解し、土木に携わる者として興味深く読ませて頂いていた。
先月号において、今月号のテーマについては記載されていたので例えばトンネル掘削中における一酸化中毒など土木工事中の労働災害防止策、土木工事による騒音などの公害による地域住民の健康についてなどについて紹介されるのだろうと予想していた。
しかし今月号は予想を覆し、土木分野における「都市計画学」「環境工学」との関わりを論ぜられており、医学でこのような分野(公衆衛生学)の存在を知り、驚かされた。
以前から、土木の分野で共通点がある他分野は機械工学(材料力学、流体力学)ぐらいだと思っていたが、他分野との共通点は突き詰めれば出てくるものだと感じ、これからの土木の将来像を模索していく上でも次回号も期待したい。
((株)ダイヤコンサルタント 大口伸生)

他分野からの視点は新鮮であり、ともすれば独善的に陥りやすい自分を修正してくれる。今後もこの企画が続くことを希望します。
(JPOWER電源開発 大島寿哉)

医学とは、あっと驚くような分野を取り上げたものである。しかしながら、土木との接点もあり、高齢者福祉や衛生、公害障害などに対して、設備等のハード面で対応の充実が求められてくると感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)

都市が健康であることは、よく考えると重要なことかもしれない。かつての古代都市が廃れていった原因には、不衛生と連関しているものが多い。都市には清潔・安全・効率・発展などが求められるが現在の都市がそれらのすべてを満足しているわけではない。生命と同様にさまざまな症状を持つ現代都市は外科的手術を必要としている。手術に耐えうる体力があるのは今のうちだけだが、術式を判断する人が不在であるのが現状なので、まずは都市の医者を育て、枠組みを作らなくては手遅れになるだろう。
(東京大学大学院 田中泰司)

土木と医学という、一見、関係の無さそうな両分野のかかわりあいについて考えさせられました。人的交流の促進や両分野に跨がる研究組織の設立等がなされることを願います。
(大成建設(株) 町田 晋)

新しい治水計画について
防災上、利便上の観点から、土木構造物には設計基準が設けられている。しかしながら、計画をおこなうのは技術者の手腕が問われてくる。各種マニュアルのリテラシー向上のみならず、判断、決定という事項が重視されている。治水計画についても、新しい治水計画を提案することは意義があろう。ただ、本編の中では、従来の考え方とどのような違いがあり、利点があるのか明確ではなかったように感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)

支部のページ 関西支部 産官学共同の授業づくり プロジェクト授業の試行
関西支部の話題として、産官学共同の授業づくりプロジェクト授業の試行が紹介されていたが、非常に興味深かった。今回は、土木教育の改善が主に紹介されていたが、まさに今回の話題の「合意形成論」を進めていく上でも、似たような取り組みが必要となってくるのではないかと感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)

企業等へのインターンシップ制度を導入し,単位の付与を行っている大学は少数ではないでしょうか? 今回紹介されている「インターンシップの学内バージョン」は,実際のインターンシップのレベルまでは達しないものの,実務内容を体験でき,学生にとって非常に良い機会だと感じます.講座の中には,外部から実務を担当している講師を招くこともありますが,講義中心の授業であることが多く,議論を行ったりすることは少ないです.プロジェクト形式の授業は事前準備が多く,また,質問はメールでの個別対応ということで,講師の方の負担が大きかったと存じます.本プロジェクトに携わった方々に敬意を表します.このような形式の授業が増え,土木業務に対して学生が興味を持ってくれることを願います.
(東京大学大学院 金田尚志)

この本
「この本」はいつも気になるページです。というのも、職業人として、あるいは、それ以前に人として、最善を尽くされた先人の生き様が、わずか1ページの中で光を放っていることがしばしばで、身が引き締まる思いがするのです。今号も、まさにそうした一抹の清涼剤でした。
(鹿島建設 吉田 輝)

学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
最近の学会誌は特集記事がなかなか面白いですね。これからも土木関係の重要な案件について、特集を組んでください。機動編集班は今のところ研究分野ごとに編成されているように見受けられますが(全員の方を知っているわけではないので、違っていたらごめんなさい)、分野混在の班をつくって、あるプロジェクトや話題について、多面的に検討するというのも、学会発表会場とは違った趣があって面白いかもしれません。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

今回の特集は、社会科学的な要素の多いテーマで、すっきりとした解決方法のない土木工学の範疇では難しい分野だったと思います。 しかしながら、土木工学がCivilのためのEngineeringであることを忘れないためにも非常に重要なテーマだとおもいました。これからもこのようなテーマをどんどん取り上げて土木技術者の意識改革を進めるような刺激を与えて欲しいと思います。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

本誌では句読点がピリオド(.)とカンマ(,)で統一されていますが、ぜひマル(。)とてん(、)に変更していただきたいと感じています。理由は、(1)カンマの「ヒゲ」が細いので、ピリオドと見分けがつきにくいこと、(2)マルがあると、文末であることが見た目にも鮮明で安定感があるが、ピリオドはそれが弱いこと、の2点のため読みづらく感じることです。変更が難しい事情があるのであれば、せめてピリオド、カンマとも現行よりひと回り太く大きい活字にしていただけないでしょうか。好みの問題という面もあると思いますが、他の会員の皆様はどう感じていらっしゃるのでしょうか。
(鹿島建設 吉田 輝)

今回の6月号で半年間のモニターを終了させて頂きました。一般的に学会誌は研究投稿、各種案内、事例紹介の3点で構成されているものと思っていましたが、土木学会誌を読んでジャーナル誌的志向を感じ学会誌のイメージが変わりました。中でも、外からみる土木、土木紀行、写真で綴るその時の一枚などの連載ものや、見て・聞いて・土木の動きなどの掲示板的記事は読みやすく、毎回目を通してました。半年間モニターをさせて頂きありがとうございました。今後の学会誌の発展を願っております。
((株)ダイヤコンサルタント 大口伸生)

平成14年1月号から6月号まで、モニターとして土木学会誌を隅々まで読まさせて、頂きました。モニターになるまでは、興味を引かれる部分しか見ていませんでした(目次しか見ない場合も)。しっかり読むことによって、掲載内容の幅広さと編集の方々のご苦労が多少なりとも感じることが出来ました。モニターの任は今回で終わりとなりますが、今後も、学会誌を隅々まで読むように努力したいと思います。
(五洋建設梶@檜山博昭)

本号は興味深く読ませていただきました。合意形成論などはある意味社会文化的なものですが、土木技術者こそ必要であると思います。今後も是非色々な切り口から土木を論ずるような記事の掲載をお願いします。
(JPOWER電源開発 大島寿哉)

編集機動班のメンバーはほとんどが、大学の教官をされている方々だと思いますが、素人肌の方がメンバーにいてもいいと思います。各号特集は、いかにも「コンクリート」だったり「交通計画」だったりと、枠がきっちり囲まれているような印象を受けるので、せめて土木の中だけでもクロスオーバーしてほしいと思います。
(東京大学大学院 田中泰司)

女性が働いている現場の紹介や,女性が実際に事業に携わったプロジェクトのレポートを掲載してもらいたいです.土木系女子学生の就職状況は厳しいですが,頑張っている女性の姿を紹介してもらいたいです.
(東京大学大学院 金田尚志)

編集委員会より読者の皆様へ
5月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です。以下に掲載した他に多くの企画提案および表記の改善提案をいただきありがとうございました。これらのご意見については個々に回答はいたしませんが、編集委員会で検討させていただき、今後の土木学会誌に生かして行きたいと考えております。


【ご意見・ご要望】
@「写真で綴るその時の一枚」はもう完結してしまったのでしょうか?もし今号での休載であれば、そのコメントがあった方がいいと思います。
(ダイヤコンサルタント 大口伸生)

【編集委員会からのお答え】
この連載は、一応、3月号から6月号までとし、その後は読者の皆様の反応と記事のソースの集まり具合で、さらに続けるかどうかを決めることにしておりました。5月号は都合により休載となってしまいましたので、連載を当面7月号まで伸ばすことにしております。
なお、ご指摘のように、連載記事が休載となった場合や完結した場合にも、これまでは、特にその旨のお知らせをしておりませんでした。今後、休載する場合や完結した時には、そのことを紙面に明記するように致します。

【ご意見・ご要望】
A土木学会誌への投稿者,記事担当者の写真が出ている場合と出ていない場合がありますが,この基準はどのようなものでしょうか?
タイトルと筆者名の間にはスペースに余裕がある場合が多いので,ことわりのない限り,顔写真入りとしたらいいのではないでしょうか? 多分野の先生方の中では,よく名前は拝見するが,どんな方かわからない場合も多いので.
(東京大学大学院 金田尚志)

【編集委員会からのお答え】
タイトル欄への執筆者の写真は、原則として、巻頭論説や時局を論じるなどの巻頭記事について掲載することとしております。その他の記事については、担当委員の判断で、必要に応じ、記事の本文中に、著者紹介の囲み記事などの形で入れております。
例えば特集の中のすべての記事について、タイトル欄に執筆者の写真を入れることは、紙面の都合上困難です。今後も、それぞれの記事の担当者がその都度判断することになりますが、その際にはご意見を参考にさせていただきます。

【ご意見・ご要望】
@今回の「外から見る土木」は非常に興味深く読ませて頂いた。これからの社会はある1つの専門性に固執して解決していく方法と他の学問からヒントを得て解決していく方法の2通りが主流になってくるであろう。土木技術者が土木技術者の殻を破って総合技術者になるためにも、土木学会誌に他専門を紹介する紙面があっても良いのではないか?
(五洋建設 羽田 晃)

「見て・聞いて・土木の動き なぜ晴れた日の夜間に橋が凍結するのか?」を拝読し,思ったのだが,専門家にとっては当然のことであっても,他のフィールドの人間からすれば,疑問となる点が多々存在するであろう.各フィールドの専門家が日頃よく問われるような質問のうち,最新の土木技術に関連した話題を取り上げて解説して頂く企画などあれば,興味深い.
(京都大学 菊池 輝)

英文に、土木技術用語のワンポイント解説など欄を設けては如何であろうか?より、読みやすくなると思う
(電源開発梶@大島寿哉)

【編集委員会からのお答え】
いずれも、記事の企画についてのご提案と思います。今後、各担当者の企画案を作成する際に参考にささせていただきます。



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