土木学会誌
土木学会誌1月号モニター回答


表紙
裏表紙の記事の背景が"薄い青"から"白"になって読み易くなったと思います。
(山口大学大学院 今泉暁音)

落差工改修工事のコメントを興味深く見させていただきました。今後、河川改修や護岸改修が次々と行われて行くと思われます。その際は、工事紹介や特集などで取り上げていただければありがたいです。
本工事では、施工後のモニタリングは行われているのでしょうか、モニタリングが行われていればそれらの紹介もお願いします。
(五洋建設梶@檜山博昭)

特集 土木技術の開発途上国への貢献を考える「変わりつつある日本のODA」
「ODA」という、普段あまり馴染みのない分野に焦点をあて、国の政策に関わる方から検査官、また現地技術者や民間モニターに至るまで、幅広い記事がまとめられており、内容豊かな特集だった。新たな時代を迎え、今後も日本が発展途上国援助にてリーダーシップを発揮していくためには、日本自身が海外に対して「良い見本」となり続けなければならない。そのためには、作る技術だけでなく、作ったものをより長く使用する技術のさらなる向上が必要であると感じた。また、本誌のように、海外での成果・失敗事例をもとに、自国の政策・技術を見つめ直す機会を頻繁に創出していくことも重要であると感じた。
(東海旅客鉄道株式会社 梅田博志)

低開発国も含め開発途上国にとって、基幹インフラの整備が社会・経済開発にとって最も必要であることには変わりはないわけですが、国造りの基本となる国民のための教育、保健等が極めて不十分なことが開発の大きな障害となっている。さらに、多くの国が国家の基本となる治安の安定、人権の確保、行政制度、また経済活動のための法制度が不十分であるという問題を抱えている。1990年代になって冷戦が終結し、市場経済化の中で各国が自立して発展していくためこうした多くの課題が噴出し、開発援助においても基本的な社会システム造りから考えることが必要となってきた、と理解しています。1991年以降日本はトップ・ドナーとして注目されまた批判的な目も向けられてきたわけですが、巻頭論説で吉田教授が述べられているように我が国ODAの優位性である総合性を活かし、人的資源、技術を効果的に活用した協力を実施していく必要があると考えます。本特集ではODAの各種形態の実例、NGOの活動、またインターン、モニターとして参加された方の経験談など幅広く最近の状況がわかる内容となっており、ODA事業に関係の深い土木学会関係者の理解が深められるものと思います。
(国際協力事業団 江塚利幸)

本特集を読み、恥ずかしながら改めて、我が国が戦後アメリカ政府からの技術支援や世界銀行からの融資を受け、東海道新幹線,東名・名神高速道路,黒部ダム等の建設を行い、更に世界銀行への返済が終了したのが1990年であることを知った。そして、外交手段として、更には国益の増進のためにもODAが重要であることも認識できた。しかし座談会では、ODAの効果について「援助の対象は知らせる(知る)必要はなく、要は援助の結果が相手の国民のプラスになっていればいいのではないか」という主旨の話があったが、本当にそれでよいのだろうか?
我が国のODAの経緯やお金の出所(財政投融資資金)、基本的な考え方などを理解する人(ODA関係者?)にとっては不必要と思われることでも、殆どの国民は「不況の時代に、なぜ我々の税金で発展途上国を支援しなければならないのか?」「使途の不明なお金をばらまいているのか?」といった、(誤った)疑問が有りはしないだろうか?
多くの国民が政府や土木に不信感を抱いている今、最低限ODAの概要と、どこに(国別)どの程度の金額が何のために(主要プロジュクト名など)使われているのか、情報公開し国民の理解を得る必要があるように思う。
(大日本コンサルタント株式会社 高楊裕幸)

折しも日本で開かれたアフガニスタン復興支援会議が成功裏に終わり,世界的人道援助のあり方について多くの報道がなされたこの時期に,本特集は図らずともタイムリーな記事となり,考えさせられることが多かった.我が国の繁栄が世界秩序安定のもとに成立する以上,相応の負担は当然ではあるが,長く低迷を続ける国内の経済情勢からODAに対する国民の眼も厳しいものになってきている.人道的支援とはいえ,その背景に各国の思惑が存在することも事実であり完全否定することはできないが,やはり,支援する国,そして実際に貧困や飢餓に苦しむ人々に届く支援でなければ何ら意味をなさない.その意味で,陰で地道な支援を続ける技術者がいることを知り,誇りに思った次第である.一方で,我が国のODAのあり方に幾つかの問題点も垣間見えた気がする.世界でも突出したODA予算を拠出している我が国であるが,相応の評価が得られていない状況を鑑みると,支援に当たっての審査や使途に対するチェックは十分なされているのか?支援という名のもとに一部業界への利権の温床とはなっていないのか?などの声が国民から寄せられてもやむを得ない気がする.今ほど,ODAに対する国民のコンセンサスを得るためのアカンタビリティが必要なときはないように思う.また,借款に偏った援助から技術協力などを中心にした援助へのシフトを期待したい.そこに,我々技術者も活路を見出す努力をするとともに,これまで国際貢献に従事した技術者をどちらかといえば冷遇してきた企業にも長期的な視点(支援国が復興を遂げ,新たな市場となったときのリーダーを育成するといった)をもっていただくことを望みたい.
(前田建設工業株式会社 清水英樹)

まず特集としてODAをとりあげた時期について、国内の公共事業関係費と同様にODA予算も一律カットという現状を踏まえ、今後のODAの意義等を見つめ直していこうという点でタイムリーであると思う。
内容については第2章でソフト面での国際協力の意義を具体例により示しており、国内でも住民参加等が重視されている中で、当たり前ではあろうが、お国柄の違いはあるとは言え、どの国でも地域に即した公共事業のプロセスにある種の共通性があるものだと納得した。
また、本特集では何人かのNGO等の方々の記事が掲載されているが、冒頭の予算制度と併せてこのような方々へのバックアップの充実も再検討されるべきと考える。
なお、「バングラデシュに見るODA事業」としてODA民間モニターの方が述べているように特にODAは海外で行われるものであるため国民に見えにくく、確かに私の周囲でも「国の予算が厳しい中でなぜ国際的にも高水準なODAを続けるのか?」と言う人々も多い。この点においても国内の各種制度と同様、ODAの意義や必要性、その効果等についてのアカウンタビリティ向上が望まれるところである。
(国土交通省 片山壮二)

特集全般を読ませていただきました。ODAという言葉はよく耳にしていましたが実際にはあまり接する機会がなく、特集を組んでいただいたおかげでODAに基づく組織体系、その中の土木分野の位置付け等構成をかねて知ることが出来ました。背景に日本の貢献率が世界で1位であること、ODAの予算が10%削減になることをキーワードに特集を組まれたよですが、ODA活動において安価で良質な土木技術の提供が今後はテーマとなってくるのではと前向きに感じました。「日本の技術は高度で高そうだけど安い」と世界から思われるように。
(ダイヤコンサルタント情報システム部 大口伸生)

「顔が見えない」「商業主義」といった批判が多い日本のODAですが、独自の理念に基づき実施している援助が途上国で実を結んでいることが、各方面でODAに携わる方々の実体験をもとに報告されており、興味深く読みました。
援助にはインフラ整備や技術移転といった経済協力は勿論のこと、政治の民主化やNGOとの連携による社会開発のサポートといった、政治的・社会的条件の整備が不可欠であり、また個々のプロジェクトに対する事前事後の評価を地道に積み上げていくことによってはじめて、援助が有機的に機能するのだということがわかりました。
にもかかわらず日本のODAに対して批判が多い原因の1つには、記事にもありましたが、実績や成果に関する政府の広報活動が少なく、国民の認知度が低いという問題があるのではないでしょうか。援助の効果が芳しくない場合の検証はもちろんですが、援助が有効に機能している場合の評価・公表を積極的に行っていくことも、国民へのアカウンタビリティーとして重要な作業であると思います。
(日本鉄道建設公団 経理部資金課 浅野正仁)

ODAについてとてもかかりやすい良い企画だと思いました。ただ、「第3章 日本国民に開かれたODA」という章のタイトルはいかがなものでしょうか?執筆された方々が世界のさまざまな土地でいかに活躍されてきたか。実際のODAの最先端はどのようなものであるかは、理解できました。しかし、この章を読んで本当に「ODAが日本国民に対して開かれている。」と思った読者の方は、どのくらいでしょうか?たいしていないのではないでしょうか。日本国民に開かれているということは、民間人が参加できるということでいいのでしょうか?本当に開かれているということは、国民がODA活動の意義・内容etc.をある程度理解し、自分に参加の意思さえあれば、そのチャンスが与えられるということだと思います。未だに土木・建築業界やODA等の活動は一部の偏見や誤った非難にさらされています。
「開かれた」という言葉を狭い意味で用いることなく、真に「開かれた」土木・建築業界やODA等の活動のために学会誌を編集していただければと思いました。
(褐F谷組 伊藤政彦)

「ODAという誰しも良く耳にはするが、その中身というと・・・。」私にとってODAに関しては、まだまだそれくらいの知識しか持ち合わせていなかったので、非常に興味深く読ませて頂きました。日本の歩んできた道がそのままその他の国の道筋と同じになるとは思えないが、日本が経験して勝ち取った事を継承することは大変良い事だとは思います。ただ、継承するにしてもやはり、継承する側よりも継承される側がより真剣にならないと成り立たないのは事実です。その事から、ODAがハード的な所からソフト的な所に移行しつつあるのは自発的発展を促すという意味で非常に良い事だと思います。
(五洋建設梶@ 羽田 晃)

今回の特集は日本のODAを取り上げており、非常に興味深かった。この特集に掲載されている記事を読んだ後、「土木ってなんて素晴らしいんだろう」と感動してしまった。開発援助に土木の原点を見た気がした。そんなODAにも、 やはり経済的効率性、有効性という概念はつきまとうものであり、日本政府の財政難の中でODAによる援助が今後もより多くの国で実施されるためには、明確な評価手法の確立が必要であると思う。開発途上国におけるインフラ整備では、インフラ建設や先進国からの技術者派遣はもちろん重要であるが、それ以上に重要なことは被援助地域の住民意識の改革、技術者の教育、育成であると思った。人材の育成こそが開発途上国の発展を促し、後世に与える影響力が最も大きいのではないだろうか。
(東京大学大学院 嶋津香織)

いろいろな視点から見たODAについての記述があり、興味深かった。事業を進めるにあたっては、国内外を問わず地域の方々との十分な意見交換等により、効果的な整備が進められると思います。
「変わりつつある日本のODA」という表題であるので、これまでの課題、問題点等に関する記述があると、より示唆に富んだ記事になったのではないでしょうか。
(国土交通省東北地方整備局青森港湾工事事務所 白岩成樹)

多額の費用を費やしている割に国民の関心が低いODAについての詳細な記事であり、興味深く読ませていただきました。ODAの主たる目的は途上国支援により国際社会における責任を果たすことですが、国内における公共事業が大幅な削減傾向にある現在、海外ODAに関わる仕事に日本の企業が積極的に参画することも大きな目的になると思います。
(関西電力株式会社 西川 亨)

この特集では、様々な事例を取り上げ、発展途上国の現状や、日本や日本の土木建設業界がどうかかわっているかを説明されていた。いろいろな立場の人の意見が盛り込まれており、非常にわかりやすくて良かったと思う。
記事を読んでいても、発展途上国には今後も社会資本の整備や先進国の援助が必要なことはよくわかる。日本の社会資本整備もそろそろ成熟してきたこともあり、今後は日本の土木技術者も海外に目を向ける必要があると感じた。
(大成建設(株) 加藤 隆)

1月号のODAに関する特集は興味深かったです。ただ、もう少し現場での実際の体験談(成功・失敗事例を含めて)的な記事を掲載して頂けたら良かったなと感じました。実体験に基づく率直な感想は、人に直接訴えかけますし、読み易くもありますので。
(国土交通省 村下秀文)

第1章 ODAの概要と変革期における土木関係の方向性
日本の東海道新幹線や東名,名神の高速道路が世界銀行の援助でできたことを知り,非常に驚きました.恩恵を受けたのですから,近隣のアジアの国々に対して援助をすべきであろうと思います.一方で,我々土木分野の人間は,インフラ整備がどのように国家の発展に貢献しているのかを考えないといけないと思いました.しかし,道路一つ建設してもその道路によって恩恵を受ける人とそうでない人がでるように,個人と国,地球といったものの見方のバランスが難しいと感じました.もっと議論を重ね全員が納得いく結論を提示できればよいと思います.
((独)港湾空港技術研究所 有川太郎)

普段の報道では見ることのない日本のODAに関する数字を見て、改めて日本のODAの貢献度の大きさと重要性が分かりました。一方で顔が見えないと言われる日本のODAですが、これだけ大きな規模の援助をしているにも関わらず顔が見えていないのはとても不思議な現象だと思います。ODAのあり方については各方面で議論されているようですが、問題は資金の使用方法にあるのではないでしょうか?つまり、規模が大きすぎるが故に身動きが取り難くなっていることが問題の根幹だと思います。事業の開始前のみならず、援助される側(相手国)の情勢の変化とうまく連動できる援助体制の確立が必要不可欠だと感じました。小泉首相の言葉を借りると、「柔軟かつ大胆な」援助体制の充実を望みます。
(京都大学 日下部武敏)

わが国の政府開発援助の現状
日本のODA実績はダントツの世界一であり、このことが国際社会における日本の地位向上・外交的な優位性を保つ上で貢献していることはよく理解できた。
これからは、中国の例にあるように経済の発展が、必ずしも日本にとってプラスの面ばかりではないところでの援助の方法がポイントとなるであろう。
急激な産業の成長が、重大な環境汚染・公害を引き起こすことを経験した日本ならではの、環境対策・公害対策といった技術援助・移転がひとつの方向性なのだろうと考える。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

わが国のODAの特徴がアジア重視であり、周辺地域の安定を実施目的に一つとしていること。また、わが国自身が世銀等の借款を活用してインフラの整備を行なってきた経緯がこれまでのわが国のODAのあり方を決めてきたこと等、とても興味深く読ませていただきました。今後のわが国のODAの同行をまた記事にしていただく機会があったら是非読みたいと思います。
(日本道路公団氏名 税田賢二)

海外におけるわが国建設技術の展開
わが国の建設業界とODAの関わりについて考えるうえでの基本的なデータが非常に分かりやすくまとめられていたと思う。直接にはODAと無関係な立場にいるため、これまであまり興味がなかったが、わが国建設業の海外受注のうちODAが占める割合が11%とは意外と低いという印象をもった。
本特集全体を通して、ODA事業がその国にとって真に役立つかどうか、その国から真に感謝されるかどうか、といった視点が目立つ印象を受けたが、わが国の強みを海外に売り込むという積極的な視点があわせて強調されている本記事の主張に大いに同感であった。
(鹿島建設 吉田 輝) 

海外での建設における日本流の優れた部分というのは確かにあると思うが、結果として、日本流の優れた部分をわかってもらうことはできても、やる前にそれを理解してもらうことは現実的に難しい。日本流の優れた部分を、具体的、論理的に説明し、仕事をやったことがない相手にもそれをわかってもらえるよう自己分析をしていくことが必要であろう。
(千代田化工建設  森田 光) 

海外活動、途上国援助における、日本の果たすべき役割、位置づけについて、いろいろと考えさせられました。言葉の問題も含め、日本の技術者が国内の仕事と同様に縦横無尽に活躍することは難しいとは思いますが、行政、民間共に、日本の技術、ノウハウを世界に展開できるような努力を、今後も継続すべきだと思います。
(大成建設(株) 町田 晋) 

わが国の建設産業が縮小傾向にあり、海外市場の展開を期待したいが、海外受注実績も伸び悩んでいる。これらの傾向は、ただ人件費が高いという問題だけでなく施工体制の高コスト化など国内の建設業界を見直さない限り、この先も変わらないと考えている。そのためには、欧米流の良い部分と、日本流の良い部分を組み合わせ、最適な仕事の進め方を創造することが必要であると書かれているが、具体的に欧米流の良い部分、日本流の良い部分が何であるかの説明があると私達も創造しやすかったのではないかと思います。
(NKK都市工学研究部 堀川慎司) 

この報文は、次の点で読みやすく理解しやすいと感じた。@数字が多くわかりやすい。例えば、わが国の国内建設市場は70兆円であるのに対し海外受注は1兆円程度、その11%がODA関係であること、一方、建設コンサルタントの国内市場は約1兆円、海外受注は650億円前後で、その94%をODAが占める、など。Aグラフが多いので見やすい。B参考文献や脚注に任せないのがいい。例えば、「建設工事や建設コンサルタント業務については調達先をすべての国に対して開放しようとするアンタイド化」という文章では、「アンタイド化」の用語解説が自然に行われていて、脚注や参考文献、インターネットをわざわざ参照する必要がない。グータラ読者にはありがたい執筆姿勢であります。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神義宣) 

建設産業の海外展開や国際化だけでなく、我々建設技術者が今後進むべき方向についても考えさせられる記事であった。わが国が有する高度な建設技術や管理・運営技術を如何にして維持・発展させていくかを考えると、一層のコスト縮減による国際競争力の強化が必要であるし、国際的に技術力を十分に発揮できる人材も必要である。それに対して我々若手技術者ができることは何か? 個人としてできることは何か? 自分に足りないものは何か?目先の業務に追われてついつい視野が狭くなりがちだが、大きな視点で「建設産業」や「建設産業における自分の役割」について考える良い機会になった。
(轄ヲr組 加藤 満) 

政府開発援助に係る会計検査について
ODA による援助にも拘らず、その効果が発現できていない事業もリポートされており、興味深い。効果が発現されていない事業がいくつか紹介されているが、全体としてどのぐらいの事業がこのような結果になっているのだろうか。それぞれの内容を読むと、うまくいかなかった理由はおおよそ理解できるが、国家予算が投入される以上、これをどのように改善していくのか期待したい。
(千代田化工建設 森田 光)

ODAが、うまく機能しなかったケースがどのように起こるのかが、決算検査報告の事例でよくわかった。また、非常に効果の上がっているケースもあり、事業計画時における調査・計画の重要性とともに、実施過程においても状況の把握と適切な判断の必要性を感じた。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

政府開発援助に関わらず、ややもすると身内の理論がまかり通ろうとするのを防御するために、会計検査は非常に重要だと思う。記事では、ODAの検査では、違反または不当と認められた場合には指摘事項を掲記するとのことだが、この指摘が実際どの程度その後の業務是正、見直しに役立っているのだろうか?確かに日本の常識とはいかない相手国の事情がいろいろとあるのだろうが、是非とも検査結果を再発防止に生かして頂き、ODAを有効に活用して頂きたいものである。
(関西電力(株) 大江直樹)

ODAについてまで会計検査の状況を報告することもないのではないかと思いつつ読んでいくと、実は援助事業が有効に機能していない事例を多く紹介されていました。私も短期派遣の経験があり、海外における事業実施については日本と異なる課題が山積しています。今後のODAの方向付けや新たに携わる方々に対しての情報として有益であればと感じました。
((財)国土技術研究センター 小松原仁)

ODA事業の効果について、会計検査の点からの報告であった。日本の会計検査院は、相手国への検査権限を持たないことから、協力が得られる範囲内でしか調査ができないとのことであった。また、記載されていた各種の事例では、相手国の事情を尊重した所見にとどまり、効果が十分に発揮できない理由を相手国に原因があるとしている。この辺りにもODAのグレーな部分が見え隠れしている。プロジェクトの無駄を省く観点からは、必要な会計報告を相手国が提出することを義務づけるべきであると感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)

ODAの役割、戦略について考えるときに個々の事業に対する事後評価・総括は重要な情報源となる。各事業の背景や特性が多岐にわたるため、包括的・マニュアル的なものよりも事例の列記のほうが、わたしにとってはありがたい。多くの援助事例を知ることがODAのイメージを養うための強力な方法であると思う。
(東京大学大学院 田中泰司)

座談会
本特集を通じて、ODAの直接的な目的の一つとして「貧困の軽減」が随所で指摘されていたと思うが、本対談における西野氏の「貧困問題は国内問題であり、税金問題」とのご意見には説得力があった。
座談会形式は企画編集に大変な労力を伴うという難点はあるが、雑誌の記事としては、話し言葉によっているため文章が平易で読みやすいだけでなく、多様な意見が繰り広げられ飽きさせない。対談者のうち一人でも名前を知っていればなおさらである。特集の定番メニューとして座談会が毎号掲載され、紙上で熱いバトルが繰り広げられることを期待する。
(鹿島建設 吉田 輝)

日本の得意とする「インフラ整備がどのような形で貧困削減に貢献できるのか」という研究を始めたことに興味を持った。定量的な評価ができるようになれば、今後の援助において重点的に行うべきことの明確化の助けになるだろう。 研究の成果に期待したい。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

開発途上国においてのインフラ整備の必要性を唱えることに終始していて、取り立てて新しい観点での座談会と言えなかったのではないだろうか。ODAの問題点について、もっと突っ込んだ議論を期待していたが、基本的には反対論者がいなかったことに原因があると感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)

第2章 ハードからソフトへ
ODA供与額世界最大国として,今後の日本の動向は注目されるであろう.本号特集の第2章では,頁数を大きく割り当て,ソフト面での開発援助の事例を紹介している.特に「教育」に関する話題は興味深く,今後の教育の必要性・重要性を強く感じました.
(京都大学 菊池 輝)

インドネシアにおける住民参加による小水力発電
今回の特集の第2章に「ハードからソフトへ」が設けられたことがいいと思う。援助した施設が有効に使われるためには、相手国の地域社会のシステムに馴染むものでなければならない。
この点に関し本編では、プロジェクトの持続的普及を図るための組織づくり、料金徴収を含めた維持管理体制の確立と、さらにそれらを実現するための中央、地方、村落での組織・制度、人材育成の在り方といったソフト面を重点に検討し、マニュアル化すること、また、建設段階で極力多くの住民を工事や資機材の搬入に参加させること、などが記述されている。
こうしたやり方は、これからの海外援助のあり方を示していると思う。海外ゆえに統計データや資料の蓄積がないため的確な設計ができず、思わぬ災害に見舞われて失敗する事例や地元の維持管理が十分でなく有効に機能しない施設もある。海外援助にはソフト面まで含めるべきことは当然であり、究極的には、日本国内と同じように、あるいはそれ以上に事前の調査を十分に行い、事後の維持管理や災害等にも柔軟に対応できる制度が必要なのだと思う。
((財)漁港漁村建設技術研究所  宇賀神義宣)

バングラデシュ「大ファリドプール農村インフラ整備事業」
この報文において度々出てくる、バングラデシュ国内に約1500団体もある「地元NGO」について、役割や機動性、能力等についての記述がされていないため、論点が絞れていないような印象を受けた。効率的な運営方法や教育などの支援が不足しているように思われるし、営利企業でないことのメリットも見えてこなかった。
(西武建設(株) 三村 卓)

開発途上国における海外協力の難しさが伝わってきて、興味深く拝見させて頂きました。開発途上国では、インフラ整備をしてもそのメンテナンスを実施していくのも、金銭的・人的に難しい面が多々あるのではないかと思います。海外協力も、道路などを建設して終わりというのではなく、その後長期に渡り粘り強く研修等の活動を通じて、貧困層の意識・能力の啓発に努めていくことが非常に重要だと思いました。せっかく借金までしてインフラ整備をしても、使われなければ意味が無いのですから。
(国土交通省 村下秀文)

フィリピン第2マクタン橋建設事業における安全教育・技術移転
土木構造物の中でも施工管理の質が特に厳しく要求されるPC橋梁の施工で、現地の職員に技術移転教育、安全教育実施を施し、しかも着工より完成まで571万時間重大災害ゼロという施工は、本当に担当職員のご尽力の賜物であると思います。
さて、フィリピンは、英米に次いで世界で3番目に英語を話す人口が多く、高学歴が多い社会である為、就業機会を求めて多くの労働者が出稼ぎにいくと聞いたことがありますが、日本の援助で就労機会の創造のみではなく、現地就労者への技術移転によって高まった個人の技術力が、出稼ぎによってまた他の海外に伝播して、アジア全体に影響が波及していく時に、担当した技術者の労苦が報われるのではないでしょうか。
(大林組 小石川隆太)

皆で創ったフィリピン交通研究センター
NCTSがどのように成長して教育を行っているかということはわかったが、わたしはNCTSがどのくらいすごいところなのかということをまったく知らない素人なのでセンターの紹介以外の知見を得ることができなかった。センターによる成果がもっと書かれていたらよかったのに、と思う。
(東京大学大学院 田中泰司)

ケニアにおける貧困と道路整備
「世界がちいさくなった」といわれます。飛行機の普及を筆頭に、鉄道網の整備、そして、コンプューターの普及に至るまで、情報という意味でもその言葉は用いられています。しかし、その言葉はこの地域に当てはまりません。不自由なく生活するための移動手段すら十分ではない地域と、より生活を向上させるために交通を広げていく地域。なぜこんなにも地域によって格差が生じたのか、考えされされました。
(京都大学 環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

JICA事業評価の現状と課題
公共事業の情報公開や事業評価が近年国民の適正な事業執行に対するニーズとしてますます大きくなってきていることを感じています。そんななか、この記事を読んでODAにおいてもやはりこのような国民のニーズに答えるべく事業評価を行なっていく取組みに共感を覚えました。
ODAにおいては、その事業における効率性、有効性はもとより途上国のその後の自立発展性が最も重要な評価項目であると考えますが、現在行なわれているPDMと評価5項目はその的を実に良く得たものだと思いました。このような取組が土木学誌等を媒体として紹介されることにとても意義を感じます。
(日本道路公団 税田賢二)

この記事を読んで、海外協力で整備されたインフラの維持管理の問題は、非常に重要且つ大変な問題であると改めて痛感しました。莫大な投資をして道路などを建設しても、維持管理が不適切だったため使用されなくなってしまっては、援助を受ける国にとっては勿論、援助する国にとっても大変な損失です。特にそれが借款によって行われたプロジェクトであれば、後に借金だけが残るという結果になってしまいます。事前評価でそのプロジェクトによってどんなに大きな便益が計測されても、プロジェクト実施後の維持管理体制に不安・問題があるようであれば、そのプロジェクトを実施すべきではないと思います。開発途上国における海外協力においては、維持管理の実行性は最も重要な問題ではないかと思いました。
(国土交通省 村下秀文)

モルディヴ マレ島護岸建設計画
インド洋に浮かぶ真珠に例えられる,美しいサンゴ礁の島モルディブ・マレ島.このマレ島の全周約6kmの護岸を日本のODAで整備したとのことであるが,確かに護岸整備によって防災機能は向上したことは分かる.しかし,防災面だけではなく,もっと海洋環境・生態系に配慮したような整備方策は取れなかったのだろうかという疑問を抱かずにはいられなかった.かつてのODAはそれでも良かったのかもしれない.しかし,科学の力で失われてしまったかつての豊かなサンゴ礁を取り戻すことは不可能なのだろうか.我が国は今後,そういう仕事をしていくべきなのではないだろうか.
(港湾空港技術研究所 内山雄介)

第3章 日本国民に開かれたODA
計画に携わる方、現場の方から、民間モニターの方まで、色々な方の色々な角度からの見方があることがわかり興味のもてる内容であった。また、記事の中の色々な写真、特に背景の自然を見ると、現場に行かれた方の苦労が想像できる。援助を受けた側の国の方々のリポートがいくつかあればさらに興味深い内容になったと思う。
(千代田化工建設 森田 光)

バングラデシュに見るODA事業
この記事で驚いたのは、一主婦の文章が掲載されていたことである。土木学会が2002年に懸ける意気込みと変化への兆しであると感じた。今後も、このような取り組みに期待する。
(西武建設(株) 三村 卓)

民間の方が、政府のODA、特にインフラ整備に関する海外援助にどの様な感想を抱くのか興味を持って拝見させて頂きました。バングラデシュにおける多目的橋建設プロジェクトが紹介されていましたが、紙面の関係もあるかと思いますが、もう少しODAプロジェクトに対する率直な感想を書いて頂けたらと思いました。民間で土木技術者でない方がODAプロジェクトに対して、具体的にどの様に感じるのかを知る機会は多くはありませんので、貴重な意見になると思います。
(国土交通省 村下秀文)

JICAインターンシッププログラムに参加して
"海外に出て仕事をする"ということは、興味深く、また刺激を受ける記事でした。国際的視野を持つことの重要性は私自身もいつも感じていますが、ただ単に技術協力するだけではなく、異なる習慣・歴史を持つ人々がお互いを理解し協力することの重要性を再認識することができました。
(山口大学大学院 今泉暁音)

ミャンマー国バガン・ニャンウー地区での生活用水供給事業
使われない設備ほど無駄で悲しいなものはない。それは作り上げた当人にとっても、そこにいる人々にとっても、である。設備が有効に機能するためには、人と人との敬意が前提にあらねばなく、それがあってこそ技術が生きるのである。どんな小さなことと自分は思っていても、人それぞれが価値観において異なることは当然。他人の全てに敬意を払い、実施することは手間がかかることではあるが、必要不可欠である。本件はその好例として、大変興味深く読むことができた。
(電源開発株式会社 九州支社 南九州電力所 大島寿哉)

どうしても僕の研究テーマが水質関係であるからかもしれませんが、水量のことばかりが重要視されていて、水質のことが軽視されているような印象を受けました。(記述されていないだけかもしれませんが)過去にもバングラディッシュでヒ素によって汚染された地下水が井戸水として汲み上げられ、健康に被害が及んでからわかったという前例もあります。質より量が重要な地域かもしれませんが、最低限「飲み水」に関しては質にまでこだわるべきだと思います。
(京都大学 環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

プロジェクトリポート 関西都市圏の第三空港としての神戸空港
リポートには、1971年の航空審議会では、関西国際空港の候補地が、神戸沖、播磨灘、淡路沖、泉州に絞られたが、神戸市の反対もあり、最終的には1974年に泉州に決まったと当時の経緯が書かれている。これからは、当時は神戸も泉州も同一の空港圏として認識されていたことになる。それがなぜ、関西国際空港や大阪空港から地理的・時間的に近い神戸にも空港が必要なのか?1971年当時は空港誘致に反対していた神戸市が、なぜその後翻ったのか?この辺の疑問がリポートからは読みとれない。例えば、空港の必要性については、費用便益分析などで経済的なメリットが具体的に示されていればまだ理解できるように思うが・・・・。
(前田建設工業(株)大嶋義隆)

公共事業の縮小が叫ばれている中、特に地方空港の建設反対論が展開されている中で、神戸空港整備の必要性を主張するレポートは希少で、非常に興味深く拝読させていただきました。神戸空港反対論に対する会計面からの指摘事項や、現在の需要予測に対する指摘事項など、賛否両論に対する問題点の提示は参考になりました。また、我国が知識創造社会への脱皮が必要との主張で、空港等のインフラ整備が重要な役割を果たすとの意見は全く同感です。ただ、「神戸」に空港が必要かは詳しく言及されてなかった点が残念でした。
(東海旅客鉄道 根岸 裕)

神戸空港建設の背景にはじまり,阪神大震災以降の逆風世論とそれに対する筆者の意見が記述されており,非常に興味深く拝読させて頂きました.特に,今後の土木技術者と日本社会が目指すべき姿の提言には,強く賛同いたしました.
(京都大学 菊池 輝)

神戸空港プロジェクトの是非はマスコミでもよく取り上げられており,関心の高い話題なので興味深く読ませてもらいました.一般論としての空港整備の重要性は筆者の説明でよく理解できました.しかし,関西空港と伊丹空港が非常に近くにあるのに本当に神戸空港は必要なのか?という素朴な疑問には答えが見えてきませんでした.反対論の中身としてもこの疑問が重要な位置を占めているように感じます.どの都市においても空港が必須のインフラならば京都や横浜にも必要ということなるし,神戸の生き方としても関西圏としての発展を考えるなら中心となる一つの空港を集中的に整備・利用する方が有効なのではないか,などの個人的な考えが消えません.できれば,もっと詳しく重点的に「神戸」に空港をつくることの必要性を説いて頂きたかったです.
(呉高専 黒川岳司)

神戸空港の建設については、「震災の苦しみからの脱却が先だ。」「関西に三つも空港は要らない」等の声があり、先の神戸市長選挙においても大きな争点となった。
本文は、紆余曲折があった神戸空港建設の経緯を簡潔にわかりやすくまとめるとともに、空港建設の本質的な問題である神戸の将来のまちづくりにどのように取り組んで行くかという視点からの議論が重要であると指摘しており、神戸に長く住んでいる者として非常に興味深く読んだ。
最近、土木の大規模なプロジェクトについても、長期的な視点に立ったインフラそのものの必要性の議論よりも、インフラ整備のプロセスにおけるいくつかの課題についての議論のみが先行し、その結果プロジェクトそのものを否定的に取り扱う論調が多くなっているように思われる。
今、長期的視野に立ったインフラの必要性の議論を先行し、その必要性についてのコンセンサスを得た上で、それをどのように実施するかという視点に立って財政、環境等の問題を議論するといったプロセスを確立することが非常に重要になってきているのではないだろうか。
((財)駐車場整備推進機構 大広 始)

記事にて、神戸空港に関する経緯や空港反対論への説明などが行われているが、読むほどに「骨太の方針」の乏しい計画であり、「聖域ない改革」への踏み込みの弱い事業であるように感じた。まず、経緯として二転三転した経過が述べられているが、どうも隣が良く見えるからこちらにもという欲望の経過であるようにも思えるし、反対論への反論にも肝心な点には答えていないように感じた。そして最後に、「神戸が」、「日本が」の将来の生き方としての視点からの空港の位置付けの記載があり、内容はもっともなことだとは思うが、それを取り巻く環境を整備しないことには、いくらインフラを整備しても宝の持ち腐れに成りかねないのではないだろうか。
(関西電力(株) 大江直樹)

筆者は、神戸空港の需要予測手法の問題点を指摘する一方で、わが国が知識創造社会へと脱皮するために必要なインフラとして、神戸空港を捉えています。
公共事業を巡る議論では、事業を実施した場合のコストや弊害ばかりが強調されがちですが、インフラのないところに発展は期待できません。今のような変化の激しい時代にあっては、実施しなかった場合の弊害もまた大きいことを認識しなくてはならないと思います。
神戸空港のように地域の将来像と密接に関わる事業で行政と市民に求められるのは、従来型の対立の図式ではなく、神戸の今後をどうするか、そのために神戸空港というインフラがなぜ必要か、あるいはなぜ必要でないか、という対話であり、双方が自分のまちづくりの問題として知恵を出し合い取り組んでいく姿勢だと思います。
(日本鉄道建設公団 経理部資金課 浅野正仁)

筆者の神戸空港建設に賭ける情熱は理解できますが、空港反対論を中途半端に批判するのは、返ってマイナスだと思いました。空港反対論をきちんと論破するにはいたっていないし、環境問題を限られた紙面のせいにして省いたのも良くないと思いました。現在、公共事業はさまざまな逆風にさらされています。逆風を撥ね退けるためには、反対論対を一つ一つ誠実に論破することではないでしょうか・・・
(褐F谷組 伊藤政彦)

関西の第三空港として、神戸空港の建設までの経緯を簡潔に解説している記事であった。
各空港の所在置関係より判断すると、必要ではないという感もある。しかし建設に当たっては、交通の利便性を図るためだけではなく、地域経済の発展や国際都市への飛躍といった様々な要素、可能性があるのだと筆者は述べている。震災後、住民の反対運動もあるようだが、このプロジェクトの成功と、国際都市としての神戸の発展を期待したい。
(西武建設(株) 辻田陽一郎)

この記事を読んでも、神戸空港の必要性が全く見出せなかった。グローバルなコミュニケーションがこの先必要不可欠であるのは誰しも承知のことである。しかし、そのグローバル化の拠点を神戸に求める必然性があるのだろうか?国際都市'神戸を飛躍させたいから空港が必要だという、イメージ論に依拠する神戸市の考え方もよくわからない。神戸の場合、港湾物流にも将来性はあると思うので、空港一辺倒にならない方が良いと思う。
(東京大学大学院 嶋津香織)

リポートの中では、神戸空港の整備は「将来の神戸の生き方」を見定めた政策であるとされていました。しかし、本文中には伊丹空港が存続するなど計画当初とは大きく状況が異なる現在において、"神戸の生き方"をどのように見定めているのか具体的な例示が示されておらず、空港反対論とは噛み合っていないように思いました。神戸空港が整備されることにより、我が国における有能な人材が活躍できる社会システムが整うとは到底思えないのは私だけでしょうか?本文の最後にも触れられていましたが、社会システムを整えるためには、教育等の人づくりの方が先決だと思います。確かに将来において空港整備は社会インフラとして必要不可欠なモノかも知れません。しかし、阪神大震災後のこの時期だからこそ、大型公共事業とは決別した"別の生き方"を模索すべきだと思います。
(京都大学 日下部武敏)

公共事業に対する様々な批判がある中で、神戸空港に対する批判もあった。それに対し本編のようにきちんと反論することが必要であり、意義ある報文だと思う。ただ、関空、伊丹があるのになぜ神戸にも必要なのかという一般の疑問がすべて解消されるまでには至っていないように思う。全国の大都市で空港がないのは神戸だけ(?)とか、専門家でない人間にも端的にわかる説明を加えていただければありがたいと思います。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神義宣)

神戸空港の建設に反対する人々の意見に理解を示しながらも、「会計制度の無理解に基づくものやムード的反対が多い」という筆者の意見が非常に印象的でした。僕自身が「環境」という狭い観点からのみ神戸空港建設を>反対であり、つまり筆者の言う「ムード的反対」者であったからです。個人的な意見ではありますが、世間は「ムード的反対」者がほとんどだと感じます。しかしその一方で、彼らによって多数決により是非が決定されてしまい>かねない現状があります。僕を含め、より多くの人が、物事のプラスの面とマイナスの面の両方を平等に考慮して判断できるようになるべきだと強く感じました。
(大成建設(株) 加藤 隆)

神戸空港のプロジェクトを取り巻く推進・反対運動の経緯について述べられており、それぞれの立場に立って説明がなされている。反対運動が激しかったこと、需給予測の難しさ、神戸の将来をどう考えるか、などの論を展開されており、興味深かった。ただ、反対論が非常に強かったことに対する配慮からか、神戸空港が本当に必要か?との面にかなり重みをおかれており、国家プロジェクトとして現在進行中のプロジェクトを皆が納得するような形で進めていくような建設的な提言がもっと多ければよかったと思う。例えば、工事費を減らせるような工夫とか、環境影響のことなどをもう少し盛り込んで欲しかった。
(京都大学 環境質制御研究センター 鈴木祐麻)

技術リポート 大規模高盛土の合理化施工に挑戦
「技術リポート」はいつも業務の参考にさせていただいています。さて、今回のレポートですが、3ページという限られたページ数の中で「DREAM」の概要がコンパクトに理解できる構成になっており、とても勉強になりました。特に、品質の向上に関しては一例として動態観測による盛土本体の沈下等の具体例を上げて解説しているのでGPSを利用した本システムの効果がよく理解できました。ITという言葉を使っているのでシステム環境はどのようになっているのか、発注者と受注者の間で運用はどうしているのか等をもう少し紹介していただければと思いました。また、コスト縮減という観点からこのシステム構築の投資に対してどの程度のコストパフォーマンスが得られたのかも紹介していただければと思います。本システムは他現場でも効果を発揮しそうなものなので汎用性、拡張性等を検討していただき更にすばらしいシステムに仕上げていただきたいと思います。
(水資源開発公団 吉田好浩)

大規模な高速盛土施工のための品質管理手法として、転圧機械にGPSなどを搭載することにより、施工ヤード全体にわたり所定の方法による施工が行われていることを、リアルタイムかつビジュアルに確認できるシステムが紹介されていた。高速盛土施工の合理化のために、このような手法が有効であることは、異論がないだろう。
従来のRI等による盛土の密度測定から、転圧回数による間接的な品質管理へと根本的に転換した点については、施工中にリアルタイムで(盛土の沈下量による事後的な検証ではなく)品質保証できることの技術的説明が省略されており、一読しただけでは論理の飛躍が感じられわかりにくいと感じた。密度測定の廃止により低下のおそれがある品質をどう担保するのか、懸念する向きもあるだろうから、この点を明確にしておくことが望ましいと思う。また、「振動ローラの走行軌跡を100%取得」したそうであるが、どのような形で合格判定あるいは帳票出力しているのか、ぜひ紹介していただきたかった。
(鹿島建設 吉田 輝)

現在、土木分野のIT導入は盛んであるが、ITシステムの中で土木施工管理システムについては未知であったため、本報告を興味深く読ませていただきました。今回の施工システムは施工方針を重視しての導入ということですが将来的には盛土以外にも適用できる方面で開発するのでしょうか?このシステムの第2、第3段階の活用例を次回ご紹介いただければと思います。楽しみです。
(ダイヤコンサルタント情報システム部 大口伸生)

「IT土工システムDREAM」にとても興味を持ちました。IT化が進み、施工管理業務がより効率的になれば、その分、現場技術者に余裕が生まれ、現場がよりよい方向に向かっていくと思います。
(大成建設(株) 町田 晋)

最新の情報技術を駆使した、施工管理システムの紹介であった。近年、GPSを使用した技術はITSや測量をはじめとし、多くの分野において発展を遂げている。そのシステムを大規模高盛土の品質管理に用い、転圧状況や回数をリアルタイムで把握できるといった記事は、とても興味深いものであった。ITの進歩には、いつも驚かされる私であるが、乗り遅れないように、今後もこのようなレポートを学会誌で取上げていただきたい。
(西武建設(株) 辻田陽一郎)

大規模かつ急速な施工では管理が困難になる。GPSを利用した出来方検査・転圧状況のモニタリングは省力化、迅速性に優れる上に、従来まで見えなかったものを可視化させてくれる。情報の一元化により、施工に限らず設計・計画にいたるまで効率化が図られることを願う。
(東京大学大学院 田中泰司)

ニッポン土木のオリジナリティ考 環境問題の抜本的解決と建設技術課題を克服した海上空港プロジェクト
「海上空港」は、騒音問題に限っていえば抜本的な解決手段となりうるが、と同時に土木技術的には大きなハードルをクリアしなくてはならなかった。関西空港を代表するように日本の海上空港建設技術が、世界の航空輸送のブレークスルーを達成した大きな原動力となったことは、土木技術者として非常に意義のあったこととと感じます。環境問題は航空機独自の問題に限らず、あらゆる輸送機関が抱えている宿命であり、今後も、さらなる利便性の向上を図っていく上で、常に発生し、常に解決を求められ続ける課題ではないでしょうか。また、そこに期待されている土木技術者の役割も大きいのではないでしょうか。
(東海旅客鉄道 根岸 裕)

やはり関西空港プロジェクトの技術は世界に誇れるものだど改めて感じることが出来ました.ただ,不同沈下対策としてのジャッキアップシステムが,こんな原始的なやり方で最先端の空港を「水平」にしているのには驚かされました.また,できれば沈下の予測値と実際生じた沈下量のデータをグラフなどで明示してもらえば,より地盤沈下の予測の難しさなどが理解できたと思います.
少し余談ですが,表題では「環境問題の抜本的解決」となっていますが,ここでは騒音問題だけに言及されているので,「環境問題」と記するのはやや不適切ではないかと思います.
(呉高専 黒川岳司)

空港の立地位置、分類、歴史、特に海上空港について、今まで、よく知らなかったので、とても勉強になりました。
(大成建設(株) 町田 晋)

現在、数ヵ所の海上空港が建設中であり、そして構想中である。付近住民への環境的な問題や対策事業費を考えた場合に、空港のみならず海上への進出は、今後増加するように思う。しかしながら、計画・建設にあたって解決する技術的課題は、少なくないであろう。特に本記事にも掲載されていた沈下については、切実なる問題である。関西国際空港での経験が生かされ、課題の克服、及び技術の発展に期待したい。
(西武建設(株) 辻田陽一郎)

わが国のように国土が狭い国々での空港建設の困難さを勉強させて頂きました。海上空港を必要とする日本と同じような国土事情を持った国々は世界中に多く存在していると思うが、ヨーロッパのように海上空港計画が検討されたが環境問題などを理由に実現に至っていないケースも多い。確かに、海上空港は様々な環境問題を解決するために考えられたもであるが、その海上空港建設自体が及ぼす環境問題はまだ不透明ではないかと思う。これからは、建設後に与える様々な問題をも考慮した新しい海上空港の誕生を期待しています。
(NKK都市工学研究部 堀川慎司)

国際的な競争力激化に対応するためには、国際空港整備は避けて通れない道です。航空機騒音問題や地理的制約により海にその活路を求めたのは当然の結果だと思います。しかし、埋め立てによる"海上"空港建設によって生じる環境問題は抜本的に解決されたのでしょうか。海上空港建設による環境への影響評価をモニタリングし続けることこそが重要であり、抜本的解決がなされたかどうかを早々に断言する必要はないと思いました。
(京都大学 日下部武敏)

海上空港の有効性について環境面等から述べられていましたが、海上に建設することによる膨大な建設費がの使用料アップに繋がり、空港の国際的競争力を低下さしたなど、負の側面についても記述して貰いたかったです。
(関西電力株式会社 西川 亨)

土木紀行 屹立するコンクリートラーメン 山陰本線・惣郷川橋梁
最初に写真を見て、径間数の多さに目を引かれました。実は3径間のラーメン構造を背割式で継いだものとのことであるが、遠目に見ると海岸線に沿った連続的な多径間が景観的にとても優れていると感じた。このような興味深い土木構造物について古今東西を問わず今後もより多く、詳細にこのコーナーで紹介していただきたく思います。
(日本鉄道建設公団 藤原良憲)

ラーメン高架橋は、現在でも都市部の鉄道構造物として多用されている構造形式です。鉄道土木に携わる者として、ラーメン高架橋創生期に建設された本橋梁のレポートを、非常に興味深く拝読させていただきました。ラーメン高架橋という構造形式は、道路橋に比べ貧弱でダイナミックさに欠けるデザインであるのは否定できず、決して人々の目を引くような華やかさはありません。しかしながら、鉄道高架橋の主役で有りつづけた理由は、本文中にもありますが、コストパフォーマンスを徹底的に追及した結果の高架橋の傑作であったからであろうと思います。ラーメン高架橋は、東海道新幹線においても採用され、3S(@Standard,ASimple,BSmart)の原則のもと経済的な設計がなされ、標準化された高架橋が建設された。現在でも、東海道新幹線の安全輸送を支えている重要構造物であり、ラーメン高架橋は維持管理する側から見ても、非常に高性能な設計であったと感じております。
(東海旅客鉄道  根岸 裕)

この記事を読むまでは、紹介されているようなコンクリート構造物については、古い橋梁を掛け替えた比較的最近のものだと思っていました。このような近代的なデザインがなされた構造物が昭和初期には出来上がっていたということは全くの驚きである。それと同時に、今なお満足な機能を果たしているということは、行き届いた保守を行ってきた証であると思います。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

山陰本線のこの区間は2、3度利用したことはありましたが、恥ずかしいことですがこのようなコンクリートラーメン橋梁を通過していたとは全く知りませんでした。しかも、昭和初期に建設された等、建設当時のことが紹介されており興味深く読むことができました。
((財)国土技術研究センター  小松原仁)

本文中に掲載されていた写真を見て、つい数年前竣工した橋梁ではないかと感じた。この構造物が大正時代に設計され、施工されたことを知り、非常に驚いた。最近同様に近代土木遺産を紹介する記事や本を見ることが多いが、いずれの構造物も苦労して現在の技術にも通用する構造物を設計・施工されており、当時の土木技術水準の高さに感銘を受けている。現在同様の構造物を設計、施工するとなると、マニュアル化された設計指針に基づいてコンピューターソフトによって設計し、施工も様々な機械を用いてできるが、当時はそんな環境も整備されてなかったため、手作業の面が多いはずであり、当時の土木技術者は今の技術者よりはるかに優れた技術力を持っていたのではないかと痛感される。
記事に関してであるが、基本情報(所在地、完成年、構造形式、橋長など)を端にでも毎回簡単な表形式で記してあればわかりやすいでと思う。
(大成建設(株)加藤 隆)

海外リポート ヴェエトナムで全国総合交通計画をつくる
数年前、ヴィエトナムに行き、大渋滞にあったことを懐かしく思い出しながら、興味深く読ませていただいた。ものを作る支援ではなく、計画策定を支援した試みは、確かに今後のODAの取り組みにおいて有用な事例となると感じた。この計画が国家計画として浸透していくことを願うと共に、今後のヴィエトナムがどう変わっていくか、ぜひ注目していきたい。
(東海旅客鉄道株式会社  梅田博志)

ODAによる政策策定支援(知的支援)の好例と思います。開発途上国では、計画が実施されるための外部要因が課題として山積しているのが実態であり、課題をいかに克服するのかがこうした調査の鍵となっていると思います。この協力の成果は、提言がヴィエトナム国の政策に具体的に取り入れられたことです。ヴィエトナム国関係者の意識を高め、国際機関等関係者を巻き込んで認識の共有化ができたことは、プロジェクトを実施した専門家の高い専門性と志、粘り強い交渉努力の賜物と考えられます。こうした人材を育成することが我が国ODAの質の向上のため最も求められていることだと思います。
(国際協力事業団 江塚利幸)

Vietnamは、東南アジアの中でも人気が高く、多くの日本人観光客が訪れる国である。また、Vietnamから日本に学びに来る留学生も多く、近年、身近な存在の国となってきた。日本からのODA援助(2001年度)は、無償資金協力:60億円、政府貸付880億円、技術協力65億円。これらの3〜4割が交通運輸分野に向けられているということは、インフラ整備が第一優先で行われているということだろう。貧弱である鉄道、道路網が整備されれば、人の移動、物流が活発になり、国家全体の近代化、活性化につながる。
ここで、忘れてはならないのは、金銭援助、技術援助だけではなく、現地技術者、作業員と一緒にプロジェクトを行うことで、技術・ノウハウのtransferを行うことではないだろうか?プロジェクトが完成したら終わりではなく、維持管理、運用等の長期的スパンで計画を行っていくことも大切である。本記事を読む限り、戦略的な計画に基づいて整備が行われており、今後、日本の援助を肥やしとして、Vietnamは自らの手でインフラの整備をしていくことができるようになるでしょう。
(東京大学大学院 金田尚志)

「自然共生型流域圏・都市の再生」について
自然と共存・共生しようとする流域圏,水系社会の構想には,土木・環境分野に携わる者として大変興味があるし,使命を感じます.今後,何らかの形で関わっていければと思います.構想の目標はどの程度達成できるのか,10年後,20年後の結果が非常に楽しみです.
(呉高専 黒川岳司)

市町村合併、全総で提示されている「連携」、環境負荷の少ないコンパクトな都市づくり、そして少子高齢化社会への対応等の課題を考えると改めて3全総で示された「流域圏」というまとまりの意義が検証されるべきと思われ、その点でもイニシアティブの今後の動きにも期待がもたれる。
(国土交通省 片山壮二)

自然共生型流域圏・都市の再生イニシアティブを進めるに当たり、従来型の産官学のみならず、市民、市民団体と共に行動・実践していくことが重要であると結語されています。全くその通りだと思います。近隣の自然を最も身近に感じているのは市民であり、市民と共に自然共生を行うのが必要であると考えます。
(五洋建設梶@檜山博昭)

5全総の「国土のグランドデザイン」の中で、流域圏構想が提示されていることをはじめて本誌で知った。元来、東京も大阪も水系を中心に発展してきた。そのような事実からも、都市再生が急務となっている現在において、都市と自然の共生という観点からその命題に取り組むことは、未来の日本にとって絶対プラスになるだろう。
(東京大学大学院 嶋津香織)

我々が普段意識しているのは都道府県、市町村等の行政単位であり、流域という切り口では自分たちの生活圏を見ていません。そういう意味で、環境に関わる地域活動が流域(水系)アプローチに繋がることが多いのは驚きでした。
(関西電力株式会社 西川 亨)

建設コンサルタントのテクノロジー・アセスメントへのすすめ
「対話の時代に入った」という言葉は,非常に興味深いものであります.現代では技術による恩恵より,技術のもたらす負の側面を強く言われるようになりました.そのような意味でももう一度技術のもたらすモノを評価しなおすべきだと思います.その際には,評価するための手法ならびに思想,哲学が必要になるのはわかります.できれば,土木分野ではどのような思想,哲学が必要になるのかを議論していただければと思います.
((独)港湾空港技術研究所 有川太郎)

近年、"土木"への社会からの風当たりはやさしいとは決して言えなく、"新たな土木の姿"を考える上で、興味深く読ましていただきました。"対話のできる技術者"というのはとても分かりやすいと思いました。これからは、技術・対話、そして発想等、あらゆる面で単に新しいだけではなく柔軟性の持てる技術者が求められるのではないかと思います。
(山口大学大学院 今泉暁音)

副題である"「対話の時代」に求められる土木技術者の果たす役割とは"に惹かれ,読ませて頂いたが,「果たすべき役割」の具体像が示されておらず,若干消化不良気味であった.また,土木分野に携わるすべての人々へ,「対話」の必要性を提言しているように感じられたが,この点に関しては,疑問を感じた.
(京都大学 菊池 輝)

筆者の指摘されるとおり、公共事業の進め方が変化してきているとは感じるが、「市民の立場」と「土木技術者の立場」の他に、「組織の一員」という立場も存在しないだろうか?確かに土木技術者の視点に立ち市民の立場において考える、もしくはその逆は、非常に大切で有効なことだとは思うが、これに「組織の一員」という立場がからみ合うことにより、問題を複雑にし自己矛盾を孕んでしまっているように感じる。そこでこの問題を解く鍵として、筆者も指摘しているとおり、「<運命共同体>という意識を連帯すること」という考え方は、確かに必要だと感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)

本と私
仕事についてから,読書というと,政策的,実務的なものが増えたような気がします.そのなかで,この話は自分の怠けを指摘されているようで,真摯に受けとめたいと思いました.さらに,実務に関わっていると,とかく形而上学的なことはおろそかにされがちだと思います.両方のバランスがうまくとれるように,今後はしっかりと読書をしようとお思いました.
((独)港湾空港技術研究所 有川太郎)

この本
コストダウンや施工性の向上などへの取り組みに追われ、土木構造物に芸術性があることを忘れていました。構造の無駄をそぎ落とした先に美の領域がある。この記事と写真はそれを教えてくれました。是非入手したい本です。
(前田建設工業(株)大嶋義隆)

書評も又作品である。紹介者の熱い思いが読者の心を揺らし購買という行為に走らせる。優れた書籍が1人でも多くの人に読まれることが、技術者の資質向上に繋がり、引いては優れた社会資本の形成に結びつく。紹介者の責任も又重い。
(大日本コンサルタント株式会社 高楊裕幸)

細かいことですが、「この本」で紹介されている書籍の情報(出版社、定価、著者の略歴等)も載せておいていただけると探す手間が省けます。
(国土交通省 片山壮二)

芸術というあまり土木では聞き慣れない言葉が本の題名に興味を持ちました。考えてみれば、建築における意匠設計はあっても土木における意匠設計が存在しないこと自体変な話だと思います。この世の中の形を成す物の中で「美しさ」を追求しない物なんて存在しません。町を歩けば最もよく目にする土木構造物に「美しさ」を追求しない事が本来おかしな話だと思います。土木技術者である以上、常に頭の中に入れておかねばならない事だと思います。
(五洋建設梶@羽田 晃)

支部のページ 徳島飛行場拡張整備事業および徳島空港周辺整備事業について
明石海峡大橋が完成し、徳島は東側からの四国の玄関口になった。だが、徳島空港は徳島の玄関口である。あえて四国の玄関口と書かないのは、徳島空港へのアクセス交通が現状では必ずしも十分ではないからだ。徳島空港のポテンシャルは四国の玄関だけでなく、これから発展する淡路島の玄関口となる可能性もあるし、海路で関西空港と結び、国際航空ネットワークの一部として機能する可能性もある。空港を整備したならば、それと同じくらいアクセス交通の整備も重要である。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

見て・聞いて・土木の動き
今回モニターとして初めて学会紙を読ませていたのですが、このコーナーは土木分野の認知活動の動向等を掲載されており興味深く読ませていただきました。報告の他に土木分野以外の人の声(一般参加者等)を掲載されたらどうでしょうか?たまに土木分野で過ごしていて、外からはこの世界はどのように思われているのか気になります。
(ダイヤコンサルタント情報システム部 大口伸生)

各種記事がダイジェスト版となっているのは良いが、1月号にあったタイムリーな記事を記載するほうが良い。
(電源開発株式会社 九州支社 南九州電力所 大島寿哉)

委員会報告 第19回「土木学会映画・ビデオコンクール」の報告
ホームページで公開するとのことですが、せっかくなので、誌面上でも作品の1場面などの紹介を写真で見てみたかったです。土木技術、土木の役割を広く一般の人々に理解してもらうために、映像作品を用いるというのはとても有効な方法だと思います。
(山口大学大学院 今泉暁音)

会告
pp.85-86に会告の目次(というか一覧)が示されていますが、巻頭のp.2あたりにあった方がよいのではないでしょうか。現状ではあんまり役に立たないような気がします。逆にp.2にあるような募集記事は、意気込みとしてはわからないでもないですが、会告のあたり、もしくは巻末の編集後記の直前くらいの方がよいのではないでしょうか。
(大阪産業大学工学部土木工学科  波床正敏)

年次学術講演会印刷版講演概要集廃止について
印刷版講演概要集の販売部数が各部門100部程度と想像していた以上に少ない数字に驚きました。確かに、この販売数ですと採算が合わない、ニーズがないという結論に達するかもしれません。今日のペーパーレス化、パソコンの普及にともない分厚く、重量のある概要集はお荷物的存在になりつつあるのでしょう。しかし、概要集は、研究室や図書室等では貴重な存在であり、何らかの形での存続を検討していただきたいと思います。
(東京大学大学院 金田尚志)

付録 平成13年度全国大会報告
非常に興味深い特別講演2編を載せていただきありがとうございます。特に丹保先生の講演で日本における、土木技術者への期待と責務は大変勉強になりました。
惜しむらくは、P120の図-3,4,5のグラフが左右とも全体の表示となっており残念です。
(五洋建設梶@檜山博昭)

そしてユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインはある一部の人のためのデザインと考えられがちですが、実はこのデザイン(思想)を求める人は相当数いるということを本講演では強調しています。私も同感です。例えばおしゃれをした時のOLもその一人です。ヒールの高い靴やタイトスカート・着物を着た時、行動範囲は予想以上に制限されます。ホームと電車の間が広く開いていたら電車に乗れませんし、階段の段差があり過ぎると転げ落ちます。早く正しい意味でのユニバーサルデザインが普及して欲しいです。今後の土木リニューアルにも欠くことのできないテーマだと考えます。
本講演は、私自身全国大会に参加しながら、聴講することができなかった講演でしたので、本誌によってその内容を知ることができ嬉しく思います。
(熊谷組  大谷多香)

地球環境制約の時代を迎えて
現在の社会状況、国際情勢を考えることが多いが、この解説はなるほどと思うことが多い。土木技術者として、また一人の人間として大変興味が持てた。それほど講演等を聴講できる機会が多くないため、こういった形で紹介してもらえると私にとって大変ありがたい。
(電源開発株式会社 九州支社 南九州電力所 大島寿哉)

学会誌に対する意見等
毎回「特集」を組み、1回完結型の読みやすい記事があるのは、土木学会誌の大きな特徴だと思う。しかし、その反面、月刊誌の楽しみのひとつ「連載もの」のボリュームが少ない気もする。めまぐるしく変化しているIT建設技術に関する連載等、「土木の月刊誌」ならではの特徴を活かした記事がもっと増えたらいいな、と感じた。
(東海旅客鉄道株式会社  梅田博志)

現在のように技術が成熟しつつある時代では,次の目標や新しい視点を見つけるのが困難になってきています.土木の分野においては特にそれが顕著に現れてきているような気がします.そのようななかで,政策科学的な観点から新たな技術を模索していっているような気がします.一方で,日本の土木技術は非常に進んでいるという事実もあります.そこで,どうしてそのような技術を開発しようとしたのか,どのようにして思いついたのかなど,その当時の様子を振り返るような特集があると,次のステップを考える参考になると思います.
((独)港湾空港技術研究所 有川太郎)

毎号、学会誌が取り上げる特集は、我々技術者でさえ改めて認識し納得することが多い。土木は閉鎖的、情報を公開しないと言われて久しいが、学会が一般国民に対して情報を開示するアクションを積極的に行ったら如何であろうか。
例えば、一般新聞に「土木のコーナー」などを設けて頂き、定期的に
1.「学会誌特集の概要」を掲載する。
2.「巻頭論説」を筆者の許可を得て掲載する。
など、土木を国民の身近なものとすべく、大変でしょうが出来ることから始めていただきたい。
(大日本コンサルタント株式会社 高楊裕幸)

今号より表紙のコンセプトが変わったようですね.表紙に主な記事内容が書かれていない場合,学会誌の内容(特集の内容)に関連した表紙写真の方が良いと思います.
(京都大学 菊池 輝)

モニターの立場としては、「つまらない記事」というのは極めて指摘しにくいですので、無記名公表もしくは「もう少しがんばった方がいい記事」くらいにならないでしょうか。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)

土木関係の仕事を離れて約3年、久しぶりに土木の話題に触れ、結構新鮮でした。今回はあまりありませんでしたが、最新の土木技術の分かり易い記事を楽しみにしています。
(千代田化工建設 森田 光)

記事として分野別(ゼネコン、コンサルタント)の記事も組んでほしいと感じました。土木分野全般を知るという点ではいいのですが、調査に関する情報もほしいものです。
(ダイヤコンサルタント情報システム部 大口伸生)

1月号からのモニターですが、あまりにも内容が濃く全てを読むのに大変でした。特に興味を引かれる話題であればなんてことは無いのですが、専門外の部分では食傷気味でした。多数の専門分野の方々が読まれる学会誌であるためしょうがないのでしょうがいささか疲れました。編集の方のご苦労が伺えます。
(五洋建設梶@檜山博昭)

今回の特集は、いろいろな角度からの紹介や情報提供があり、ODA現状把握する上では、大変役に立つ内容であったと思う。
希望としては、もう少し提言・問題定義的なものがあってもよかったかなと思う。土木学会誌としての「社説」的な記事も含めて。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)

日常の業務に忙殺されて、土木を取り巻く動きに疎い身としては、見て・聞いて・土木の動きの項は、非常に興味深い。もちろん、もっと広く情報収集しなさいというご指摘もあろうが、手軽にツボを押さえた土木の動きのわかる情報源として、このような記事が充実されていることを期待している。
(関西電力(株) 大江直樹)

全般的に見て、辛口の記事は少ない。悲観的になれというわけではないが、ある程度警鐘を鳴らす記事があっても良いのではないかと思う。
また、今後の土木技術者は国内ばかりではなく、国外へも積極的に活動の場を広げるべきであると思う。その点からすると、今回のODA特集は大変勉強になった。
次回は、これからの世代の為にも、日本以外の国の技術者と国内の技術者との実際を比較して、具体的には何が不足しており、何がアドバンテージであるか等の、今後必要とされる技術者像についての提言を希望します。
(電源開発株式会社 九州支社 南九州電力所 大島寿哉)

色々な特集、記事があり、非常に為になるものばかりだと思います。ただ、特集、記事を書かれている方が非常に年配の方ばかりなのが少し気になる所です。確かに若手技術者は経験、発想等の点で熟練技術者の足元にも及ばない所があるとは思います。若手技術者ならではの物の切り口があるのではないでしょうか?
(五洋建設梶@羽田 晃)

今月から表紙が変わったみたいですが、個人的には以前の方が好きでした。
(東京大学大学院 嶋津香織)

工事の進捗状況等に関する記事については、できるだけ技術的に特筆できる点のあるものについて、掲載した方が興味深いものになると思います。
(国土交通省東北地方整備局青森港湾工事事務所 白岩成樹)

今月号はとても興味深い記事が多かったと思います。
(日本道路公団 税田賢二)

他の学会誌のように技術的な内容も記載したらどうでしょうか?
(関西電力株式会社 西川 亨)

一部の記事に、注釈があったのが非常にありがたいと思いました。「土木」という世界は広範にわたっていて,なかなか言語が共有しきれないので、簡単な単語の説明があると読む気になる記事が増えます。
(東京大学大学院 田中泰司)

日本国内の記事はもちろんですが、海外のレポートを積極的に紹介してもらいたいと思います。
(東京大学大学院 金田尚志)

編集委員会より読者の皆様へ
12月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です。
以下に掲載した他に多くの企画提案および表記の改善提案をいただきありがとうございました。これらのご意見については個々に回答はいたしませんが、編集委員会で検討させていただき、今後の土木学会誌に生かして行きたいと考えております。


【ご意見・ご要望など】
特集の内容によるのかもしれないが、号によって読みやすさにかなり差があるように感じる。読者に編集者の努力を理解してもらう意味も込めて、各号で具体的にどのような工夫、修正を行ったかも掲載してもらいたい。(編集後記からもある程度伺い知ることができるのかも知れないが)
(大成建設 沢藤尚文)

【編集委員会からのお答え】
編集委員会では、読者の皆様がより読み易くなるような学会誌の編集を心掛けておりますが、特集の内容によってはどうしても多少なりとも差が生じてまいりますことはご了承願います。今後とも少しでも学会誌が読みやすくなるよう努力してまいります。


【ご意見・ご要望など】
学会では,多くの委員会で様々な検討が行われているが,その内容は報告会あるいは報告集を通じてしかなされないことが多い.このような委員会で議論されている最新の技術の動向について,素人でも分かるような内容での解説を,土木学会誌の記事として取り組んでいただきたい.これまで,技術最前線とか技術レポートとして取り組んでこられてはいるが,その分野の専門家にしか分からない内容になっているような気がする.
(高松高専 長友克寛)

【編集委員会からのお答え】
ご意見ありがとうございます。土木学会には各種の委員会があり、幅広く活動を行っております。その活動内容については別途、土木学会のホームページの中で紹介しておりますが、ご意見をいただきましたように皆さまに土木学会の活動内容を周知していただくためにも学会誌の中で紹介することについても検討したいと考えております。



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