土木学会誌1月号モニター回答
特集T 仙台宣言

 討論会冒頭のNHKの斎藤主幹のコメントについて、討論会の中で明快な回答がなされていないように思います。例えば昨今の公共事業に対する批判へどう応えているかとか今の時代のキーワードが欠如していて、一体いつの時代の宣言かというのがわかりませんというコメントに対する回答あるいは議論がされていないように思います。後半のQ&Aを読み進むうちに宣言の行間の意味とか作成経過とかが少しわかり、宣言の趣旨も多少理解できるように感じました。
(千代田化工建設 田中史明)

 宣言の単なる解説ではなく、討論会を対話形式で、意見と見解をQ&A型式で編集されており臨場感を感じ取れると共に、より深い理解を得ることができました。
 21世紀を迎えても先行き不透明ではありますが、土木技術者としてのやり甲斐とその責任を再認識し、先ずは個人として、業務に取り組む姿勢を見直してみようと思います。
(電源開発  國崎剛俊)

 冒頭の社会資本と土木技術に関する2000年仙台宣言−土木技術者の決意−にあります1〜9のそれぞれ理念等について、数行の背景等の説明があると理念等がより分かり易かったように思います。「特集仙台宣言」を読めば、だいたいは分かるのですが。
(国際協力事業団 神崎博之)

 大学で土木を学びながらちょっと毛色の違うエンジニアリング会社で働いているものにとっては、普段「社会資本」と「土木技術者」のありかたについてそれほど真剣に考えたことはありませんでした。今回の特集では、その真摯な議論に問題意識を啓発させていただけた点において大変有意義でありました。
 しかしその一方で「おや」と違和感を感じることもありませんでした。それは そもそも社会資本整備というものは、土木技術者という作る者だけに課せられた課題ではなく本来 広く公議に問うべきものであるはずで、今回の宣言ではハードの担い手としての意識が強すぎて少し力みすぎているような気がしならないからです。
 今回の宣言は理念というより むしろ技術者としての倫理に近いものではないでしょうか。
(千代田化工建設 清水啓之)

 現在、土木技術だけではなく科学技術全般に対する信頼が失われている。臨界事故や医療ミスなどを上げるまでもなく、無責任、利益至上主義、自衛型組織、談合体質などの批判は容易であろう。しかし、その批判が組織の中から出なければ本当に信頼回復はできない。今回、土木学会から仙台宣言がその趣旨に添って表明されたが、実際に各組織から、自分の組織に対する批判が出できて始めて、意義のあるものとなる。相互依存にどっぷりと浸かった今までの日本社会では、非常に難しいと感じています。技術者が自由に発言できる立場のを組織の中で確立できるか、組織自体も自由に発言できる立場を確立できるか、これからはそのような「自立」が問われるでしょう。
(芙蓉調査設計事務所 須賀幸一)

 タイムリーな企画だと期待して読んだが、アリバイ作りのための「土木技術者の決意」にしか思えず、少々がっかりした。様々な立場の人間の集まりである「土木学会」だから「玉虫色」にならざるを得ないとは思うが、昨今の「公共事業」に対する国民の不信感に答えたものにしてほしかった。Q&Aにもあるように「談合の「だ」の字も入っていないのでは世間に受け入れられない」。もっとも、この宣言が「絵に描いた餅」でないことを、今後「土木学会」がどう実証してゆくかが今後の鍵ではあるが・・・。 
(愛媛大学 高橋治郎)

 土木技術者が手がける範疇は非常に広範である.そのため,技術実務者レベルの立場として「仙台宣言」を見た場合,今ひとつ実感がわいてこない面がある.土木技術者が総論として目標を掲げることは非常に有効であるが,「では具体的に何をすれば?」と考えたとき大きな壁に当たる.また,こうした宣言に具体性が欠けると形骸化することも考えられると共に,後世におけるレビューも非常に難しくなると思われる.「実務者レベルが仙台宣言をどう受け止めていくべきか?」,「宣言に対する達成度を今後どう評価していくべきか?」等について,さらに突っ込んだ議論がなされるような企画ができれば,さらに有益なものになったのではと考えている.
(電源開発 中山義紀)

←戻る