土木学会誌12月号モニター回答
話の広場 人にやさしい浮体構造物

 浮体構造物の究極の課題である「動揺の制御」技術を紹介してもらい,興味深く読みました。今後,これらの技術が実構造物に適用されるものと思いますが,その際には,実構造物における動揺の振幅や加速度についても紹介していただきたいと思います。
(鹿島建設(梶@新保裕美)

 産業界からの学会誌への投稿記事としては、極めてうまくまとめられたものの一つだと思います。浮体構造物というと関西空港建設時の議論が想起されますので、1波長に近似したスケールの浮体での議論が巨大な浮体にも応用できるものかどうかといった点、出来る部分と出来ない部分についても示唆が欲しかったとは思います。しかしながら、応用技術の報告としては、費用対効果にまで吟味されており、実用段階においても充分に参考になるものと思います。本論に無関係ですが面白いと思ったのは、「人にやさしい」と冠したタイトルで、今号の岡並木氏のインタビュー記事では、「事業する方が優しいなんていうのはおこがましい」とのご発言がありました。しかし、事前に同氏がこの記事を読む機会があっても同じ発言があったでしょうか?この記事のタイトルは適切だと思いますし、元来「優しい」かどうかは、既存技術との比較上の表現として用いられているのがほとんどだと思います。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

 浮き桟橋などのたいへん身近な構造物を対象とした研究について,たいへん分りやすく,明確な内容の記事であった。動揺制御方法に対するいろいろなアイデアを模型で再現し,効果を定量的に比較するという,明確な研究の流れが見えていた。
 浮体構造物としては,海上空港としての利用の可能性を探ったメガフロートプロジェトが,多くの読者の頭に思い浮かんだに違いない。この超大型浮体構造物においては,のような技術が採用されていたのか,少しでもふれていたら良かったと思う。
 動揺制御という言葉からは,高層ビルにおける地震・風荷重に対する取り組みが連想される。こうした建築分野と今回の記事にある土木分野での取り組みで,共通する点,相反する点がどのようなものであるか興味が持たれる。
(大成建設技術研究所 石井裕泰)

 最近、メガフロートを題材とした漫画を見たせいもあり、この記事を非常に興味深く読ませてもらった。少し前だと潮位差があるところで船へのアクセスを容易にする浮き桟橋しか知識として持たなかった私にとって、もはや浮体構造物は人間が生活できそうなレベルまで来ていることに驚いた。漫画は政治的なアプローチであったが、将来はオフィース街、歓楽街等の使われ方をする時代が来るのであろう。
(五洋建設(株) 佐々木広輝)

←戻る