土木学会誌6月号モニター回答
 
プロジェクトリポート 負荷軽減の手法

 このプロジェクトに参加している企業体の職員として読ませて頂いた。 プロジェクト概要は職員一同当然理解しているが、若手職員に対して私自身が表題の視点を説明できる資料を探していたところであり、大変助かった。 21世紀を目前にし、若手職員は今後地球環境に配慮した土木事業を推進する役割を感じつつ日々の業務に邁進している。多忙な毎日であるが、事業目的を理解しながらISOやGPSやCALSも勉強している彼等の机にそっとコピーを置いてみた。 
 (鹿島建設梶@中込國喜)

 関空第2期工事の紹介と「負荷軽減の手法」とがどちらも中途半端になっているとの印象を受けた。  限られた紙面の中で"負荷軽減"というキーワードで、取組内容をコンパクトに整理し、まとめられたご苦労はわかるが、ひとつひとつが興味深い内容であるので、別の機会にでも紹介していただければ非常にありがたい。  今、財政や環境問題など大規模なプロジェクトの実施には様々な制約があり、負荷の軽減は重要な課題だと思う。最新技術の活用はもちろん既存技術や小さな工夫、手法の積み重ねが国民生活を支える優れた社会基盤の建設につながっていると感じた。 
 (国土庁 中本 隆)

 この記事の主題とは直接関係ないが、日本の空港整備について日頃考えていることがある。日本は、本当にアジアのハブ空港を整備するつもりだろうか?ということである。成田や関空では、はっきり言って将来のハブとしては不十分で、中国、韓国、香港の壮大な空港計画が実現すれば確実にその座を奪われるであろう。もし、日本が将来にわたっても、アジアのハブでいたいのなら、空港整備について画期的なアイディアをもって対処すべきで、積極的に新技術を取り入れていくべきである。今後、800人乗り程度の次世代航空機やマッハ2、マッハ3を超える超高速旅客機に対応する空港は、滑走路長も、施設規模も莫大となる可能性があり、騒音問題上も陸上への建設は困難となる。さらに、施設の段階的拡張が比較的容易に出来なければならない。この問題を解決するには、フローティング空港などがある。そういった状況の中で、目の前にある需要に対応するためとは言っても莫大な費用をもって、将来に対応できない空港を整備してよいのであろうか?もし、新技術が実用不可能であれば、日本は、空港政策を根本的に変える必要があろう。アメリカでなされている、「ハブ&スポーク」である。その範囲をアジア全体と考えて、日本の地方空港を国際空港化してスポークとし、たとえば、中国の空港経由で世界のどこにでも行ける状況を作るのである。アクセスが悪い空港を拡張するより、身近な地方空港を国際空港化するのに金をかけるほうが、どれほど利用者のためになるであろうか。ひいては、旅客の集約が図れるため、運賃も安くなるので、一石二鳥である。考えてみれば、東京−ソウル間は、ニューヨーク−シカゴ間よりも近いのである。英断が待たれる。 
 (日本鉄道建設公団 松田康治)

 関空二期工事について負荷軽減の視点で報告されたものですが、報告の趣旨がうまくまとめられていないように感じました。  負荷軽減その1は、一期のこととして陸域での環境負荷軽減。  負荷軽減その2は、直接的には金利負担の軽減としか読めない。  負荷軽減その3は、外国産海砂の利用(による国内砂利用の抑制?)  負荷軽減その4は、懸濁物の工事区域外への流出低減  負荷軽減その5は、緩傾斜石積み護岸の延長という趣旨ですが、今日的課題としての「負荷低減」の語義に添うものばかりではないように思います。金利負担は論外ですが、まさに負荷軽減その1が「陸域」での環境負荷の低減であり、その3以降は、「陸域」計画では生じ得なかった「海域」への「負荷増加」でありましょう。  論じ、あるいは報告していただきたかったのは、この「陸域」を保全するために生じた「海域」への負荷増加が、果たして当初目論見どおりに、総括的には「負荷軽減」になるのだ、あるいは、目論見違いであったかも知れないという論点で、その意味では残念でした。 
 (伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

 これからの公共事業は様々な制約を受けるため、軽減対策に多大な知恵を絞る必要が出てくると思う。このような視点で本稿を興味を持って拝見した。 環境負荷の軽減、利子負担の軽減について触れられていたが、環境負荷の軽減について供用開始後の環境負荷軽減策については、わかりやすい効果が見えるが、建設中の環境負荷軽減策、利子負担の軽減策については、以下の疑問が生じる。 環境負荷の軽減として海砂調達先を韓国や中国することにより、環境負荷を軽減したとしているが、そのために、韓国・中国の将来発展のための資源を横取りし、これらの国の環境を破壊しているのではないか? 利子負担の軽減策として事業主体分離を掲げているが、単に財政負担の増加分だけ利子が軽減されているのではないか。 これら2点に共通していえるのは、トータルで見ると、何も軽減されていないのではないかという疑問である。 このような疑問を抱いたことから以下のような課題が産まれました。それは、「様々な主体の利害得失を勘案した最適解を得るための理論・技術の開発」です。世間では帰着便益分析という手法があるようですが、これらの手法を適切に用いて、全体の中での最適解を得る手法が得られれば、さまざまな意思決定に非常に有用であると思います。 
 (日本鉄道建設公団 堀口知巳)

 海域の環境への負荷や、財政への負担が陸上建設より多くかかるのではないかと思ったが、この記事を読んでさまざまな負荷軽減手法が行われていることを知った。先日関西国際空港を利用する機会があったが、2期工事を見ることができる見学ホールのことは知らなかったので、見ることができず非常に残念である。今度利用する機会があるときは是非行って実際の工事の様子を見たいと思う。 
 (鳥取大学 飯田奈穂)

 

←戻る