土木学会誌2月号モニター回答

維持管理における住民参加

 現在「お金をかけて景観整備を行ったのにいったい何故こんな…」というテーマの調査業務を行っている。そこでの課題の大半は利用者の意識や現況復旧がされていないことなどを含む維持管理の不備に終結する。本記事は私の業務にとって、一つの光明を見出してくれた。確かに行政だけに維持管理を期待するのは不可能である。維持管理を業者に委託すると言った方法もあるが、その費用は私達の税金である。最大の利用者である地域住民が清掃等、可能な維持管理を分担することが望ましい。しかしそれには、先ず地域住民の意識改革が必要である。如何に、例えば道路が地域にとって共有の財産であるか。言い換えれば如何に興味と誇りを持たせるかが鍵である。その答えとして、住民参加による検討は秀逸と言えるだろう。自分達がつくったと言う意識が根本にあれば大切に使い、清掃も率先して行う。そしてそれが優れたものとなれば、維持管理が継続され、次世代へ残そうとする意識が生れる。みんなで掃除すればそこに地域のコミュニティが生れ、道路を核に地域コミュニティが脈々と受け継がれていくこととなる。そこで重要なのは担当者である。計画担当者は必然的に参画者のまとめ役となり、人々の多様な意識をリード・調整し、間違った方向に進ませない等、計画者の技量と共に人格が問われる。
((株)大林組 後藤嘉夫)

 一連の記事の中で異色であったし、このテーマは、リスクコミュニケーションが重要な責務となりつつある環境関係のコンサルタントにとって、興味深い。道路は、1月号の座談にも指摘されたように、歴史的に広場が発達しなかった我が国にとって、コミュニケーションの場としての象徴的な役割を負ってきたといえる。そうした面で、道路の維持管理に住民参加を図ることは、2重に意義深いと思う。まだ、その入り口という感じの記事ではあったが、NPOの拡大や存続支援も考慮に入れて、様々な工夫や取組が試みられるよう、制度の発展を望みたい。現状では、道路計画については省庁間のコミュニケーションの場とすることが、先かも知れないが。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

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