土木学会誌2月号モニター回答

座談会 維持管理の新たな視点

 土木工事の流れとして、一般的に言われている工程が「調査計画」→「設計」→「施工」→「維持管理」の順であり、維持管理が一番後ろに来ている。しかしながら、最近に鉄道・道路構造物の安全性が大きく取り上げられているように、構造物の維持管理にかつてない関心が集まっていると思う。調査・計画分野(先の土木工事の流れから見て、一見すると最も遠いセクションとも言える)に従事している私にとっても、非常に興味を持って読ませていただいた。土木構造物の老朽化に伴う「第三者被害」が話題になっていたが、市民に与える影響が大きい社会資本においてこうした被害が特に最近懸念されている。市民が構造物に対して不安を抱く、その要因の一つとして、「維持管理」という仕事における情報提供の少なさがあるのではないか。そうでなくとも維持管理という仕事は他のセクションに比べて地味であり、日が当たりにくいと思われがちであるが、むしろそういう分野にこそ積極的に日を当てて、広く社会に認知させていかねばならないと感じた。そのためには土木分野の内部における意識改革(制度・金銭・評価システムなどの改良)が必要不可欠と思われるが、かつてないほど構造物に対する安全性が注目されている今、逆にこれを契機として改善すべきところは改善していかねばならないのではないか。このことは、計画分野など他の分野のバックアップも当然必要であろうし、そのため自分が何をすべきか、何が出来るかを考える、今回の話題はそのいい機会になった。
(地域未来研究所 塩士圭介)

 維持管理における様々な課題を俯瞰するのに、非常に役に立つ内容の座談であった。惜しむらくは、という点が2つあり、一つは、この座談を巻頭言の次の記事にして欲しかった点、今ひとつは、出席者の全てが、コンクリート剥落事故に対する見解として、構造に係わるものと、こうした実運用上の劣化とを別に考えるべきと発言している点である。土木学的にはおそらくこの見解が正しいのであろうが、土木学会と市民感覚の乖離が、象徴されているように感じてならない。討論会ではないから意見は同一でよいというものであろうか?曲げて反対の立場での発言をしてこそ、先の見解の妥当性が明らかになるはずで、土木技師をシビルエンジニアとする意味に立ち返って欲しい。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

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