土木学会誌
お知らせ

土木学会認定技術者資格制度 上級技術者資格審査が始まります.

■本制度は,土木学会独自の技術者資格認定制度です.すでに土木分野では技術士制度など多くの資格制度がありますが,本制度は,倫理観と 専門的能力を有する土木技術者を評価し,これを社会に対し学会が責任を持って明示することを目的としています.
■また,本制度は「土木技術者」のキャリアアップの道筋を示すことにより,次世代の技術者育成の道しるべとなることを期待しています.
■本制度で認定する技術者資格は,名誉を目的とするものではありません.実務に携わっておられる技術者を対象としており,教育・研究分野 の能力ではなく,実務能力を認定するものです.
■本制度では4つのランクを設けています.それぞれの資格に要求される能力は以下のようになっています.

●特別上級技術者(土木学会)
ExecutiveProfessionalCivilEngineer(JSCE)
土木技術に関する広範な総合的知見を有するか,きわめて高度な専 門知識と経験を有し,課題に対して自己の責任で適切な指導・助言で きる能力を有する.
●特別上級技術者(土木学会)
Executive Professional Civil Engineer(JSCE)
土木技術に関する広範な総合的知見を有するか,きわめて高度な専 門知識と経験を有し,課題に対して自己の責任で適切な指導・助言で きる能力を有する.
●上級技術者(土木学会)
Senior Professional Civil Engineer(JSCE)
土木技術に関する総合的知識を有するか,複数の専門分野における 高度な知識と経験を有し,自己の責任で部下を指導監督し,与えられ た事業の遂行はもちろん事後の教訓などについても提言できる能力を 有する.
●1級技術者(土木学会)
Professional Civil Engineer(JSCE)
少なくとも1つの専門性を有し,自己の判断で業務を遂行する能力を 有する.
●2級技術者(土木学会)
Associate Professional Civil Engineer(JSCE)
土木技術者として必要な基礎知識を有し,与えられた業務を遂行する 能力を有する.

■各資格に応じて,書類審査,筆記試験(択一式問題,記述式問題),面接試験を適宜組合せて審査します.各資格の審査方法は以下のとおりです.

資格名 書類審査 筆記試験 面接試験
択一式問題 記述式問題
特別上級技術者 × ×
上級技術者 ×
1級技術者 ×
2級技術者 × ×

■1級技術者資格以上については,以下の11の資格分野に分かれています.

区 分 資 格 分 野
総合的技術分野 「総合」
専門的技術分野 〔構造物に係わる分野〕
「鋼・コンクリート」「地盤・基礎」
〔社会基盤施設に係わる分野〕
「流域・都市」「交通」
〔プロジェクトマネジメントに係わる分野〕
「調査・計画」「設計」「施工・マネジメント」「メンテナンス」
〔環境に係わる分野〕
「防災」「環境」


上級技術者資格審査の概要について上級技術者資格審査の概要について


■本年度からスタートする上級技術者資格審査の概要は以下のようになっています.
■詳しくは,「受験案内書・受験申込書」を土木学会技術推進機構のホームページからダウンロードしてご確認ください.

(1)受験資格
●実務経験年数12年以上を目安とします. ただし,大学院(修士課程・博士課程)に在籍した期間も実務経験年数に加えることができます.
(2)登録要件
●資格登録時に土木学会会員(個人会員)で あることが必要です.
(3)審査要領
●書類審査,筆記試験および面接試験により行います.
●筆記試験は,経験問題,専門問題および共通問題から構成されています.
●書類審査,筆記試験を合格された方のみ,面接試験を受けることができます.
●旧技術士制度※において取得した「技術士」 資格を有する方は,受験する資格分野にかかわらず,経験問題(筆記試験)と面接試験が免除されます.
※技術士法の改正(平成12年4月26日 法律第48号)以前の技術士法による技術士制度
●本年度は「総合」分野の審査は行いません.
(4)受験申込方法
●「受験申込書」を土木学会技術推進機構の ホームページ(URLは以下のとおりです.)からダウンロードして入手してください.
http://www.jsce.or.jp/opcet/
●「受験申込書」に記入し,電子メールに添 付して以下の「上級技術者資格専用アドレス」までお送りください.
opcet-s@jsce.or.jp
(5)主要日程
●受験申込み受付期間
6月3日[月]から6月28日[金]まで
●筆記試験日および試験会場
9月7日[土],全国8か所にて実施予定
●面接試験日
12月14日[土],全国8か所にて実施予定(15日[日]を予備日とします.)
●合格発表
平成15年1月下旬
●資格認定者名の公表
平成15年4月1日[火]


土木学会認定技術者資格制度に関するQ&A


Q1: 土木学会認定技術者資格の特色は何ですか? 何に役立ちますか?
A1: 本制度は,学会独自の技術者資格制度です.すでに土木分野では技 術士制度など多くの資格制度がありますが,本制度は,倫理観と専 門的能力を有する土木技術者を評価し,これを社会に対し学会が責 任を持って明示することを目的としています.
「土木技術者」が社会から正当に評価され,それが土木技術者のス テータスの向上に結びつくためには,もちろん「土木技術者」ひと りひとりの間断のない自己実現に向けた努力が必要なことは言うま でもありません.しかし,個人の努力には限界があります.
「土木技術者」の専門家集団である土木学会が技術者の生涯にわた って評価し,土木学会の責任において社会に明示していくことは, そうした個人の努力を後押しするものです.国際化の時代にあって, 能力の第三者証明の必要性がよく言われますが,国際的にも理解さ れやすい本会の「土木技術者資格制度」はまさに時代の求める制度 であると言えます.
また,本制度では,資格の更新に継続的な専門能力開発,すなわち 継続教育(CPD:Continuing Professional Development) を行っていることを条件としています.
〔参考〕複数のグレードを有する技術者資格について
土木学会認定技術者資格制度では4つの資格がありますが,同様に 複数のグレードを有する技術者資格として外国では以下のものが知 られています.
・米国土木学会(ASCE)では,技術者のグレードを9つに分けて おり,各レベルの技術者について標準的な職務や責任,代表的な 役職名等を細かに規定しています.
Q2: 学会の4つの資格では各資格についてどのような方が相応しいと想定していますか?
A2: それぞれの資格に要求される能力はすでに述べたとおりですが,具 体的にイメージされる土木技術者としては次のようになります.(4つの資格が揃った時点を仮定しています.)
まず最上位の「特別上級技術者」は,専門分野における国内でトッ プレベルの能力に加え,豊富な実務経験と見識を有する,いわば各 資格分野で日本を代表する土木技術者です.
「上級技術者」は,複数の専門分野での高度な知識と経験を基に, 重要なプロジェクトの責任者として事業を遂行することのできる土 木技術者です.
「1級技術者」は,2級技術者資格取得後に一定の実務経験を経 て,責任を持って業務を遂行する能力を有する土木技術者です.
「2級技術者」は,土木技術に関して一定の基礎的知見を有する土 木技術者です.大学学部卒業後2年程度または大学院修士課程修 了時に資格取得されることを想定しています.
Q3: 資格分野が11に分けられていますが,どのような考えで資格分野 が決められているのですか?
A2: 資格分野としては,大きくは,(1)構造物に係わる分野,(2)社 会基盤施設に係わる分野,(3)プロジェクトマネジメントに係わる 分野,それと(4)環境に係わる分野の4つの専門的技術分野と, これらを複数組合せた「総合」分野があります.
土木工学の領域分類の考え方はいくつかあると思いますが,構造物 や社会基盤施設,建設マネジメント,社会基盤システムといった, 土木工学をいわば三次元的に分ける方法が一般的と思われます.(例 えば,「土木工学ハンドブック」の領域分類の考え方を参照くださ い.)
資格分野の設定にあたっては,こうした領域分類の考え方も考慮し, さらに現在の技術者の業務範囲と将来の技術者像を考慮しました. つまり,土木の主要な分野を形成しており,かつ,将来的に発展し ていける(または発展させていくべき)分野であることが明確に説 明できるものを一つの分野として設定しております.したがって, 国際的に活躍できる人材を意識し,従来,一般に考えられてきた領 域よりも,比較的大きな範囲をひとつの専門分野として設定してい ます.さらに,上級技術者および特別上級技術者については,複数 分野の能力を要求しています.
Q4: 誰でも受験できますか?
A4: 土木学会の技術者資格制度は,土木学会が「倫理観と専門的能力 を有する土木技術者を評価し,これを社会に対し責任を持って明示 すること」を目的としていますから,資格の登録要件として「土木 学会会員(個人)」であることを要求しています.特に,「特別上級 技術者」として登録されるためには,フェロー会員であることが必 要です.(フェロー会員となるためのフェロー申請資格が別途定めら れています.)
受験要件としては,本資格制度が実務に携わっておられる技術者を 対象としており,実務能力を認定するものですから,各資格に応じ て所定の実務能力を持つ方であれば,受験することはできます.た だし,制度発足後5年間は実務経験年数を目安に受験することがで きますが,それ以降につきましては,上位の資格を受験するために は,下位の資格を得てから原則として5年以上の実務経験を有する ことが必要となります.
Q5: 発注機関(国土交通省など)はこの技術者資格を入札や技術者登録 に利用する可能性はあるのでしょうか?
A5: 土木学会の技術者資格制度はまだ始まったばかりですから,現時点 では,発注機関が従来の技術者資格と同様に入札や技術者登録要件 に加えるかどうかということは明確には決まっておりません.学会 としても本資格制度が広く活用されるよう努力してまいります.
Q6: 登録料が高いように思いますが?
A6: 受験料と登録料は,種々の既存の資格制度の料金も参考にして定め ております.(登録料については,昨年実施した「特別上級技術者 資格」では20,000円,今年度実施の「上級技術者」では 15,000円としています.)
登録料は,資格の有効期限5年間にわたって学会が登録管理等に必 要とする費用です.この中から,継続教育のご案内やデータベース の整備,本制度を運営していくために必要な事務局経費の一部をま かなっていく予定です.

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