3月の行事と募集


土木計画学ワンデーセミナー シリーズ19
「土木計画における公平論を巡って」
開催日:4月20日[木]・21日[金]
行事コード:E007
略称:ワンデーセミナー19


 土木計画学研究委員会(委員長:森地 茂 東京大学教授)では、土木計画学ワンデーセミナーのシリーズ第19回を下記日程にて開催いたします。
地域政策・交通政策でのプロジェクト評価手法は各省庁や自治体での指針整備が進み、実務的でもようやく積極的な活用が行われています。しかし、現行の指針のほとんどが効率性規範に基づいて限定的な範囲の効果項目だけを取り上げる古典的な費用便益分析にとどまっていると言えます。そのため、もう一つの重要な社会的規範である公平性の観点から事業をどのように評価するかという問題が実務的な場面で疑問点として挙げられることが多数あります。効率性以外の規範からの評価は政治的な判断や根拠の乏しい非科学的な総合評価に委ねるべきという主張がなされたり、あるいは公平論自体についての十分な議論が欠けたままに終わっている場合がしばしば見られます。
 公平論についてはこれまでに社会科学系あるいは人文系の学術分野で多くの議論がなされてきましたが決定的な合意は得られておらず、そのため、事業評価の実務の場面で活用できる具体的な評価手法の開発には至っていませんでした。しかし、現在の公共事業を巡る国民的な関心の高いこの時期において、この公平論の問題についての明示的な議論は避けられないと言えます。価値判断の問題であるので、広範な決定的な合意が得られることは期待できませんが、これまでの公平論を巡る多数の議論とその限界を理解し、かつ、事業評価の実務から寄せられる疑問と突き合わせ、現時点での議論を総括しておく意義が非常に大きいことは確かであろうと思われます。
本セミナーでは、これらの研究に従事している各専門家、特に土木工学以外の分野からの専門家も交えて、土木計画における公平論についての集中的な議論を行うことを目的としています。
なお、ワンデーセミナー自体は1日ですが、前日には希望者に対して経済学分野での公平論やそれに関連する代表的な数理モデル等についての半日の基礎コースを開催します。こちらにもご興味ある方はご参加下さい。

1.主催――――土木学会(担当:土木計画学研究委員会)

2.開催日時――4月20日[木]半日基礎コース 13::00−17:20
       4月21日[金]ワンデーセミナー本編9:30−17:20

3.場所――――土木学会図書館講堂
       新宿区四谷1丁目無番地

4.定員――――80名

5.参加費―――5,000円(一般),3,000円(学生)

6.申込方法――学会誌綴込みの「行事参加申込書」に所定の事項を明記の上、土木学会事務局経理課宛FAXにてお申し込み下さい。ただし、「現金書留」にてお申込みの場合は、直接「行事参加申込書」を現金封筒に同封の上お送り下さい。(事前のFAX送信は二重登録の原因となりますので必要ありません)。なお、前日の半日基礎コースも受講希望の方は申し込み用紙の通信欄に基礎コース希望と御書き添え下さい。

7.申込締切日―4月7日[金]【必着】
       *上記、締切日以降のお申込みは原則として行事当日会場にて受付いたしますが、定員に達している場合がございますので、事前に経理課までお問い合わせ下さい。

8.問合先―――申込問合 土木学会事務局経理課
       TEL 03-3355-3436
       内容問合 土木学会事務局研究事業課(事務局担当:工藤)
       TEL 03-3355-3559

9.セミナープログラム
        4月20日[木]One day seminarのための基礎コース
           13:00−13:05 0-1基礎コースの趣旨説明上田孝行(東京工業大学)
           13:05−13:50 0-2経済学における代表的な社会的厚生の考え方
           13:50−14:30 0-3社会的選択論の基礎福本潤也(東京大学)
           14:30−15:00 0-4質疑

休憩
           15:20−15:50 0-5社会的厚生の計量分析福本潤也(東京大学)
           15:50−16:30 0-6公平論を巡る最近の理論的展開小林潔司(京都大学)
           16:30−17:20 0-7質疑

4月21日[金]セミナー本編 「土木計画における公平論を巡って」

第1部 公平論を巡る理論と実際的問題
           9:30−9:40 1-1セミナーの趣旨説明森地 茂(東京大学)
           9:40−10:10 1-2事業評価の実務からの問題提起吉田哲生(三菱総合研究所)
           10:10−10:40 1-3主流派経済学での公平論八田達夫(東京大学)
小休憩
          11:00−11:30 1-4道路整備の実務からの問題提起菊川 滋(建設省)
           11:30−12:00 1-5費用便益分析における効率性と公平性金本良嗣(東京大学)
           12:00−12:30質疑
昼休み

第2部 公平論の計量的分析
           14:00−14:30 2-1顕示された社会的厚生関数の推定福本潤也(東京大学)
           14:30−15:00 2-2修正費用便益分析の考え方長谷川専(三菱総合研究所)
           15:00−15:30質疑

休憩
第3部 総合討議
           15:50−16:00 3-1問題提起―討論のキックオフ―中村英夫(運輸政策研究所)
           16:00−17:20 3-2討論
予定討論者:上田孝行,金本良嗣,小林潔司,吉田哲生,八田達夫
司会進行:森杉壽芳(東北大学)

10.実行委員会―オーガナイザー:上田孝行(東京工業大学)
メンバー:森地 茂(東京大学),森杉壽芳(東北大学),小林潔司(京都大学),福本潤也(東京大学)

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