中村 光 委員長 ご挨拶






構造工学委員会委員長
名古屋大学大学院工学研究科
土木工学専攻 教授
中村 光

今年度より構造工学委員会委員長を拝命しました。専門はコンクリート構造で、コンクリート構造物の耐荷力や耐震性、維持管理における安全性などを主に数値解析の観点から検討しています。構造工学委員会委員の皆様はもとより、建設分野の構造物に携わる皆様のご協力、ご指導を宜しくお願い申し上げます。 2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など大きな地震の多発、地震だけではない様々な自然災害の広域化・激甚化、2012年の笹子トンネル天井板落下事故以降社会問題化したインフラの老朽化などの状況を考えれば、土木関係者が対応し解決すべき問題は多数あります。 このような問題に対し、構造工学分野には、現存する構造物は各種作用に対しどんな振る舞いをし、どこまでの安全性能を持っているのか、将来にわたって構造物の性能がどのように変化するのかを明確にすることが求められていると思います。また、構造に関する技術は、鋼構造やコンクリート構造など各種材料や構造種別毎に深化してきていますが、現在の問題の解決のためには、既設構造物を含むより合理的な設計体系、維持管理、地震だけでない各種過大作用など、縦糸ではなく構造全体を俯瞰する横糸の取組みが求められていると思います。すなわち、構造工学の一層の技術の進歩と、個別の技術を統合化していくような技術の確立の必要性を強く感じています 構造工学委員会は、1953年に橋梁構造委員会として発足し、その後1971年に橋梁構造委員会の機能を二分化して鋼構造委員会とともに生まれたものであり、調査研究部門の委員会として長い歴史をもっています。現在の委員会の組織構成は、運営、教育、研究、連絡、編集の5常設小委員会と、必要に応じて設置する委託研究、特別研究、重点領域研究の3小委員会となっています。 さきに述べた構造工学の一層の技術の進歩と、個別の技術を統合化していくような技術の確立のために、従来の活動を継続しさらに強化するとともに、多くの若い力を取り入れて、これからの構造工学のあり方の議論と問題解決のための新たな研究小委員会の設置と活動を行いたいと考えています。 構造工学委員会は、これからも社会のニーズに対応した構造工学に関わる諸問題についての調査研究活動を通じて、社会貢献、国際貢献に寄与して参ります。 会員の皆様方には、今後ともより一層のご支援、ご協力のほど、お願い申し上げます。