平成18年度 第4回 重荷重舗装小委員会 議事録(案)
日 時:平成18年1月16日(火) 15:00〜17:00
場 所:中央大学後楽園キャンパス3号館9階3906会議室
出席者:14名
配布資料:資料4-1 平成18年度第4回重荷重舗装小委員会議題書
資料4-2 平成18年度第3回重荷重舗装小委員会議事録
別添資料4-1 第40回地盤工学研究発表会投稿論文
「主応力軸方向が制御可能な要素試験装置の開発」
「繰返し載荷による砂の変形特性に与える主応力軸回転の影響」
別添資料4-2 「コンクリートの補修・補強材に関する技術セミナー」パンフレット
議事
1.委員長挨拶
第4回委員会の開催に先立ち,八谷委員長より挨拶があった。
2.平成18年度第3回重荷重舗装小委員会議事録の確認
平成18年11月14日に行われた第3回重荷重舗装小委員会の議事録の確認を行った。
3.重荷重舗装に関する勉強会
3.1 コンクリート舗装の補修・維持管理について(吉本委員)
コンクリート舗装の破壊形態と補修方法について解説がなされた。コンクリート舗装のクラックの形態と(Dクラック,スケーリング,目地の剥離,亀甲状ひび割れ)その要因について説明がなされた。また,成田空港における完全付着型のコンクリートオーバーレイについて紹介がなされた。
海外の例としてカリフォルニアにおいて,都市部の重交通に対してコンクリート舗装が70%であるとの現地の技術者からの情報が紹介された。また,4時間で3N/mm2の強度を期待できる超早強コンクリートによる補修方法が紹介された。また,ダイヤモンドグライディングを行うことで,騒音の低減およびハイドロプレーニングの抑制効果があることが紹介された。
Q:カリフォルニアにおいて,一晩の作業で補修する方法に関して,資料はあるか。
→ 資料はない。ACPA (American Concrete Pavement Association)のホームページを参考にすると良いかもしれない。現地では交通開放が遅れるとペナルティーを課すような方法で管理を行っている。
Q:4時間で3N/mm2の強度を期待できるようなコンクリートによる補修は国内では行われているか。
→ 国内ではアメリカでのコスト(通常の1.5〜2.5倍程度)では材料が入手できないこともあり,このような補修は行われていない。ただし,補修箇所の乗り心地は必ずしも良くはない。
3.2 アスファルト材料の現状と低頻度で大きい荷重への対応について(村山氏(東亜道路))
はじめに,アスファルト材料の基本的な化学的性質および現在日本国内においてアスファルトの生産に使用されている原油の現状について解説がなされた。アスファルトの性質は使用される原油の性質に依存するため,時代の変遷とともに原油の輸入先が変わるのに伴い,アスファルトの性質も変化しているとのことであった。続いて,国内における改質アスファルト(T型,U型,V型およびH型)の性質および性能について説明がなされた。改質アスファルトは,T型→H型の順にポリマー(SBS(スチレンブタジエンスチレン))の比率が高くなっており,ゴムに近い弾性的な性質になるということであった。また,アスファルトとSBSの相溶性について,コロイダルインデックスの観点から説明がなされた。
現在,国内の試験では細骨材の角ばりや凹凸が耐流動性に与える影響を評価する方法が基準化されていないので,そのような試験方法が必要であるとのことであった。重荷重に適したアスファルト材料としては,耐流動性の高い骨材の使用,ポリマー改質アスファルトを使用することにより,アスファルト混合物の耐流動性を向上させることが良いのではないかという提案がなされた。
Q:H型の改質アスファルトは重荷重に適するか。
→ H型はT型,U型,V型の性質とは大きく異なり,よりゴムのような性質となる。重荷重に適している可能性はあるかもしれない。
Q:改質アスファルトを使用することにより,疲労寿命を延伸させるような考え方はあるか。
→ 疲労については,まだ解明されていない部分も多い。現状では研究は進んでいない。
Q:表面剥離をけずることによってトップダウンクラッキングを回避するメカニズムは。
→ クラックのきっかけを取り除くことによって,クラックの進展を回避する。
鉄道のレールも表面を削ることにより,きしみ割れなどクラックの進展を回避している。
Q:大粒径のアスファルト混合物についてはどのように考えられるか。
→ 耐流動性が向上するため,重荷重に適すると考えられる。
3.3 地盤材料の新しい試験方法について(桃谷委員)
鉄道を例にとり,移動荷重の影響を考慮した模型実験および要素試験について解説がなされた。鉄道では実物大規模で移動荷重載荷試験を行うことが困難であったことから,繰返し載荷による変形を評価する際,定点で繰返し載荷試験を行うことが多かった。しかしながら,模型実験により移動荷重載荷の影響を評価したところ,定点載荷よりも沈下量が5倍程度大きくなると報告された。この原因として,軌道の支持条件の変化の影響と,地盤内における主応力軸の回転の影響があると報告された。
地盤内における主応力軸の回転の影響を評価するための新しい試験装置が紹介された。従来は路床材料のMr試験等でも三軸試験を用いることが一般的であるが,繰返し載荷による残留変形量を評価するためには,主応力の回転の影響を要素試験においても考慮しなければならないということであった。主応力軸を回転させることで,主応力軸が一定の繰返し載荷を行うよりも,繰返し載荷による残留変形量が大きくなることが紹介された。
Q:解析的において主応力の回転による残留変形量を評価できるのか。
→ 現状では要素試験により評価を行っている段階である。現在,弾性変形については解析により検討を行っている。
Q:主応力の回転は設計ではどのように考慮されるのか。
→ 路床の永久変形に影響する。現在の道路舗装の設計における路床の破壊規準は大規模試験における実験値であるため,主応力回転の影響は含まれた形となっている。要素試験で力学的な評価を行うためには,主応力の回転を考慮する必要がある。
4.関西地区重荷重舗装施設見学会の報告(桃谷委員)
関西地区の重荷重舗装施設見学会の概要について,写真により概要を報告した。
12/7(木)午後 関西国際空港
12/8(金)午前 神戸港
午後 神戸貨物ターミナル駅
5.次回の委員会の内容について。
次回の委員会においても引き続き勉強会を行うこととした。担当委員は以下の予定とした。
・舗装の地盤材料について:竹内委員
他2名程度。
その後の委員会から,ワーキンググループを設定することにより,調査・研究を行っていく予定である。
6.次回の委員会の開催
日時:担当委員の都合を調整して決定する。(平成19年4月の予定)
場所:未定
以 上
議事録作成担当:桃谷