Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Prize 2008, JSCE
Restoration of Ishiibi Historical Water System in Kase River
所在地:佐賀県佐賀市大和町大字尼寺  地図
事業者:国土交通省九州地方整備局武雄河川事務所
授賞対象者
氏名
所属(当時)
役割
島谷幸宏
国土交通省九州地方整備局武雄河川事務所所長 計画・設計・景観デザイン統括
吉村伸一
株式会社吉村伸一流域計画室
代表取締役
水システムの考察
景観デザイン
土木遺構・流路の復元設計
橋本忠美
(株)農村・都市計画研究所
代表取締役
エントランスの空間設計
中の島の空間設計
植栽設計
逢澤正行
日本工営株式会社技術企画室課長 大井手堰の土木造形
高瀬哲郎
佐賀県立名護屋城博物館学芸課長 伝統的石積技術の指導:天狗の鼻修理復元/大井手堰新設復元/象の鼻防護石垣
前田 格
(株)地域開発研究所 副主任研究員 記念館・屋外トイレの計画設計
谷澤 仁
大和町教育委員会文化財課 石井樋の遺構発掘調査と基礎資料の提示
石井樋地区施設計画検討委員会
石井樋の復元整備関する基本方針の検討
国土交通省九州地方整備局武雄河川事務所
復元整備方針決定、設計、工事発注、施工監理
大和町教育委員会文化財課
(現佐賀市教育委員会)
石井樋の遺構発掘調査と基礎資料の提示
株式会社建設技術研究所
水理模型実験による水システムの検証
講評

とびきりの好天気ではない、ややうす曇の秋の終わりに訪れた。それでも、太井出堰の再生を含む嘉瀬川の整備部分は、雄大で気持ちよく、場所の空気感が感じられる素晴らしいものであった。天気の良い日には、どれだけの気持ち良さがあるのだろうと想像できる場所感があった。象の鼻や天狗の鼻から石井樋にいたる水辺部分も悪くない。しかし、いわゆる陸上の部分、公園部分がいかにも残念である。嘉瀬川の素晴らしい空間性との連続感がない。むしろ、それをスポイルしているとさえ感じさせる。歴史的水システムの復元という注目すべき事業で、河畔林の保護・保存などをはじめとして技術的な部分もおそらく素晴らしい業績だと想像できるだけに、川との空間的連続性を意識していないかのように思えてしまう、公園部分に点在する施設やモノのデザイン、ディテールだけが、ここでは非常に残念であった。土木デザイン、そして景観の本質もまた、連続する時空間にある。
(江川)


この作品は、最優秀賞でもおかしくない面を持っている。嘉瀬川だけではなく利水、治水の面で大変な功績を残した成富兵庫茂安の仕事をしっかり伝える事例として、素晴らしいものを感じる。「石井樋」とは、石で作った「井樋」という意味で、この「井樋」は取水口の小さな石造の構造物であるが、これとともに水流をコントロールする構造物が設けられ、全体として佐賀城や城下町を支える重要な施設であった。史実を踏まえた計画設計は、しっかりとした姿を再現しているように感じられた。また、付属施設(佐賀水物語館)のデザインも評価できる。
残念なことは、この再現のための土木デザインとは別に、以前に行なわれた事業や別発注の(と思える)建築物、橋、樋門等のデザインがトータルなものとなっていない点であり、それらの存在が小さくないので、全体の印象を低下させている点である。
(小出)

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