Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Prize 2007, JSCE
Toba Seaside Promenade "Kamome-no Sampomichi"
所在地:三重県鳥羽市鳥羽一丁目  地図
事業者:三重県県土整備部住民参画室
   (現・三重県県土整備部景観まちづくり室)
授賞対象者
氏名
所属(当時)
役割
西村浩
有限会社ワークヴィジョンズ取締役 ・コンセプト発案
・意匠検討、ディテール設計
・デザイン監理 ・住民との協働
清水清嗣
鳥羽商工会議所専務理事 ・とばベクトル会議メンバー
・伊勢志摩再生プロジェクト委員
・全体コーディネート
渡辺公徳
三重県県土整備部住民参画室長 ・事業発注
・官民協働の体制づくり
・関係機関との調整
木下憲一
鳥羽市企画課長 ・とばベクトル会議オブザーバー
・維持管理に関する協働
とばベクトル会議
・計画全体の設計方針提示およびデザイン調整
三重県県土整備部住民参画室
(現・三重県県土整備部景観まちづくり室)
・事業発注
・官民協働の体制づくり
・関係機関との調整
伊勢志摩再生プロジェクト
・県内の景観保全・形成事業の推進
講評

素晴らしい好天の日、鳥羽の海岸を訪れた。駅前は、ひなびた田舎でもなく、よくある少しく乱れた建物などで構成される風景。大勢の観光客がたむろする土産物売り場から少し外れた一角に、このプロムナードがある。木製のデッキがきれいに敷き詰められ、整えられたデザインの佳作である。このプロムナード整備に取り組んだ人たちの、真面目で誠実な姿勢がそのまま表現されたような佳作なのである。手入れも行き届いているようだ。実物がそうであるように、選考会で見る写真もまた、美しい。だが、ウーンとうなってしまうところもある。向こうに見える島々、光り輝く海原、子魚、あこや貝や伊勢エビ、そういったなにか日本の細かく変化する海岸の風景にこのデザインが最適だったろうかとの思いも抱かせる。しかし、そのいくぶんモダンすぎるデザインも、非常に慎ましやかになされている故か、好感を持たされてしまう。そんな感じの佳作なのである。(江川)

「ミキモト真珠」で有名な鳥羽市は、戦国の九鬼水軍の城趾があることを訪れるほとんどの人が知らない。かつて水城であった海側が埋め立てられ国道と近鉄が通過する。これと平行するように新たに防潮堤拡張に伴い小さなプロムナードが整備された。
駅からつながる歩道とレベルの異なる海岸遊歩道を穏やかな芝生の盛り土がつなぐ。透過性の高い手摺りを通し、歩行者の海への視線の誘導を図る計画意図が見事に実現されている。丁寧なディテールデザインによる、手摺り、ベンチ、ウッドデッキ等、設計者の力量が存分に発揮され、海辺の透明感のある、すがすがしいプロムナード空間が実現されたことが評価される。
当初は、県による防潮堤事業には遊歩道計画が示されていなかった。このため、住民により構成された「とばベクトル会議」が結成され、「観光客だけでなく市民が日常的に憩えるような環境にしたい」という強い意志のもと当海辺のプロムナードが実現した。
地元住民の熱い思いと、これに応えた設計者の情熱との協働で創りあげた結晶である。
ベクトル会議のメンバーは、今日に至るまで毎週交代で散歩がてらゴミ拾いをしているという。“自分たちがつくりあげたプロムナード”は、清潔あふれる海辺の空間として、鳥羽市のシンボルとして今後とも存在し続けるであろう。(佐々木)

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