Civil Engineering Design Prize 2003, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2007, JSCE
MOERENUMA PARK
所在地:北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1  地図
事業者:札幌市
授賞対象者
氏名
所属(当時)
役割
川村 純一
アーキテクトファイブ 設計統括・設計監理
堀越 英嗣
アーキテクトファイブ 設計統括・設計監理
松岡 拓公雄
アーキテクトファイブ 設計統括・設計監理
斉藤 浩二
キタバ・ランドスケープ・プランニング 造園設計
佐々木 喬
佐々木喬環境建築研究所 水系施設設計
札幌市
事業主体
イサムノグチ財団
監修
アーキテクトファイブ
設計統括/設計・監理
キタバ・ランドスケープ・プランニング
造園設計・監理
講評

文句なくこのスケールが素晴らしい。このスケールにふさわしい、ランドスケールデザインである。ランドスケープの間違いではない。ランドスケールと呼びたい。一見、広い公園の中にいくつかのものを置いたようにも思えるが、北海道の広い大地にふさわしいランドスケールで、連続した風景としてデザインされている。意識の連続性と、風景の連続感が実現できている。ティオティワカンではないが、日本の都市の近郊にこのように雄大なスペースが、しかも現代という時代にできたことは何よりも賞賛に値するし、そのランドスケールのデザインが素晴らしい。手を入れつくるところとそうみせないところのスケールが良い。簡単そうで難しいところである。余計なもので風景を壊さないという視点は、実は重要なのである。外周の水郷との兼ね合いもうまくできている。エコロジカルな試みも、眼に見える風景のなかで実現出来ているのが良い。長く継承すべきランドスケールだ。(江川)

意外性のない授賞だと思う。すでに多くの大賞を受賞し、社会的評価が定着しているといっていいこの公園には、むしろ「特別賞」が相応しいのではないかという議論があった。しかし実のところこの公園は完成してまだ間もないのであり、ここは公明公正に最優秀賞とすることで意見の一致を見た。この公園は、イサム・ノグチの遺作であると同時に、パブリック・パークの一つの到達点である。ランドアートともいえるこの壮大な環境彫刻空間は、豊かな芸術性を保ちながらも、人間の情緒に強く、そして素直に訴えかけるリアリティを持っている。多様な意味性とシンプルな造形性は、絶妙のスケール感に支えられて、北海道の風土とそこに住む人々の気質に素直に響き合っているようだ。また同時に、そんな感銘と、おそらく初めてここを訪れて起伏を駆け抜ける子供が体験するであろう、原初的な喜びとの間に、さほど大きな乖離はないだろうとも思う。それほどに豊かな空間の「クオリア」がここにはある。この公園が北海道に、我が国に持ちえたことを慶賀としたい。(小野寺)

モエレ沼公園は、これまでもグッドデザイン大賞(2002)を受賞するなど、高い評価を受けてきた公園である。そのため土木学会としては、この公園を「今」評価すことの意義が議論となった。しかしながら、作品としての絶対的な質の高さは揺るぎのないものであり、その価値を素直に評価するという観点から、今回の授賞が決まったものである。
モエレ沼公園は、今さら説明するまでもないが、ゴミ埋立地であった場所に進んでいた公園計画を、イサムノグチという一人の作家が全面的に見直し、計画から17年という歳月を経て完成した壮大な計画である。計画着手後、一年を経ずしてイサムノグチが死去するという不運にもかかわらず、一人の芸術家の発意は関係者の熱い情熱によって継承され、世界でも稀な雄大なスケールのランドスケープアートとして完成を見た。その背景には、札幌市による開発プロデュースの高い手腕があったことを忘れてはならない。こうした推進体制も含めて、高く評価されるべきであろう。(田中)

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