Civil Engineering Design Prize 2002, JSCE
Civil Engineering Design Grand Prize 2002, JSCE
小浜地区低水水制群
所在地:熊本県玉名市小浜地先 地図
事業者:国土交通省九州地方整備局菊池川工事事務所
氏名
所属
役割
坂田光一
国土交通省九州地方整備局菊池川工事事務所玉名出張所技術係長 簡易水理模型製作指導、実験計画企画指導、施工管理
中尾昌樹
国土交通省九州地方整備局筑後川ダム統括管理事務所 模型製作、現地調査、実験成果とりまとめ
後田浩二
国土交通省九州地方整備局鹿児島国道工事事務所 模型製作、現地調査、実験成果とりまとめ
山崎安彦
国土交通省九州地方整備局佐伯工事事務所 模型製作、現地調査、実験成果とりまとめ
中山穣
熊本大学学生(当時) 模型製作、現地調査、実験成果とりまとめ
講評
・この水制群は、菊池川干潮部の湾曲部の深掘れ対策として、コンクリートブロックの上に自然石を被覆する構造で、先端が平均満潮位になるよう20分の1勾配で堤防に取り付く形態で、約800mの区間に8基設けられたものであるが、加藤清正が造ったと伝えられる古い水制群や堤防裏法肩のハゼ並木などによって形成されていた従来の景観を壊すことなく、流水と調和した新たな景観を創り出している。また、設置後5回の出水期を経験しているが、水制としての機能も十分果たしている。この水制群の設計は、出張所車庫内に作った400分の1の簡易な河道模型による水理実験に依っているが、その相似則は、実物と模型の流心線が合うように模型基盤下のジャッキで勾配を調整したという独創的な方法が採られている。従来のコンクリート護岸に頼らず、いわば職人的な発想と手法で機能を全うしながら美しい景観を創り出したことは、最優秀賞に十分値するものと判断した。(大熊)

・まず、模型により水理実験を行い、結果に基づき設計、施工を進めた点が高く評価され、強い関心を引きつける。また模型は職員自らが作成したことも、たった30万円であったことと合わせて、感銘する。
 水理実験に際しては、水制の長さ、角度、方向、費用対効果等の観点から適正な間隔等を決定しているだけではなく、古くからの周辺景観、河道景観への馴染み等についても充分な検討がなされ、完成した水制は治水上の効果を充分に発揮しているとともに、景観上も周辺の環境に違和感なくおさまっている。
 仕事等を通じて、土木の技術者、デザイナーに接する機会は多いが、仕事に情熱的で、人がよく爽やかで、印象に残る人に出会うことがよくある。この作品に取り組まれた方達も、地方にあってキラッと光る仕事を残し、きっとそのような方達であろう。一度お会いしたいものである。(加藤)

・河川では治水の論理と景観の論理とがつねに対立してきた。もともとは前者が支配的だったが、昨今では後者がよほど受け入れられるようになってきた。しかし、いずれにせよ両者は対立したままであり、分かちがたく融合されてはいない。たとえば橋梁のような、構造的に合理的なことが美的にも結実する可能性を、どこかで諦めているふしが河川空間設計にはあった。ところが、諦めるのはまだ早いとこの作品は訴えるのである。菊池川の同じ場所に近世水制のお手本が現存していたとはいえ、簡易水理模型実験によって治水の論理を突き詰めながら、お手本以上におおらかな水制を創造してしまった。問題となっていた河道洗掘もこの水制によって停止し、右岸には確かに泥の堆積が起こっていた。近世治水手法の河川工学的検証を実践で成し遂げたのだから、土木史研究上の意義も大きい。そうして、遠く雲仙岳を見晴るかすゆるりとした菊池川の景観が、この水制によって面目を新たにしたといい得るほどに、仕上がりも見事だった。インハウスの設計だということも、なんだか嬉しいのである。(齋藤)
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