土木学会土木史研究委員会
2004年度 第3回 土木史研究委員会・幹事会 議事録
日 時:
2005(平成17)年3月1日(火) 13:30〜17:00
場 所:
土木学会 C会議室
出席者:
昌子幹事長、田中幹事、中井幹事、樋口幹事、日野幹事、藤井幹事、土木学会・橋本職員
配付資料:
資料3-1: 2004年度第三回土木史研究委員会・幹事会議事次第
資料3-2: 土木史研究編集小委員会報告
資料3-3: オーラル・ヒストリー研究小委員会 平成16年度活動経過及び予定
資料3-4: 土木学会全国大会・共通セッション一覧
資料3-5: 2005年度全国大会 研究討論会企画案
資料3-6: 余部橋梁について
資料3-7: 阪急ビルディングの保存活用に関する要望書
資料3-8: 平木橋経過報告
資料3-9: 社会的活動としての土木遺産フォーラム(案)
追加資料:平成16年度 功績賞候補推薦について(御依頼)
議事
報告事項:
1. 配付資料及び前回議事要旨の確認(昌子幹事長)
幹事会開会にあたり、配付資料と前回議事要旨の確認がなされた。なお、前回議事要旨はウェブサイト上に掲載されているため、それを確認していただくことが各幹事に依頼された。もし、議事録に修正すべき点がある場合は昌子幹事長か日野幹事に連絡することが確認された。
2. 各小委員会からの報告
1)土木史研究編集小委員会(昌子幹事長)⇒ 資料3-2
深堀幹事が欠席のため、土木史研究・論文集の審査結果や今後のスケジュールに関する報告が昌子幹事長からなされた。研究発表会に関して、企画講演を実施予定であること、CPDへと申請することが報告された。また、土木学会論文賞・奨励賞への推薦論文の選定結果についても報告され、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・推薦論文は土木計画学研究等に掲載されたものは対象外であるのか。(中井幹事)
- →現状では土木史研究に掲載された論文のみのはずである。(田中幹事)
- ・推薦論文は各委員会から一本ずつ等の規定が存在するのか。(中井幹事)
- →そもそも委員会からの推薦枠等は存在していない。会員であるなら、推薦可能である。(橋本職員)
- →奨励賞等は一本のみを推薦するのでは非常にもったいない。一本に限定しない方が良いのではないだろうか。(中井幹事)
2)土木史フォーラム小委員会(橋本職員)
知野幹事が欠席のため、橋本職員から報告がなされた。現在、小委員会の次期体制を検討中であり、次回委員会において承認していただく予定であることが報告された。
3)オーラル・ヒストリー研究小委員会(藤井幹事)⇒ 資料3-3
今年度の活動成果と来年度の活動予定の報告がなされた。現在、ワンデイセミナーにおける速記録の確認・修正作業中であり、来年度に印刷の予定である。来年度には活動成果を印刷物とする予定である。また、科研費による活動は来年度で終了する予定だが、今後も研究活動を続けていきたい。ただし、現状では小委員会は長期間の継続が不可能であるため、その方法について幹事会で検討していただきたい。
来年度以降における小委員会の活動継続方法に関し、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・科研費による研究期間が終了した後も活動を継続した例はこれまでにも存在するのか。(昌子幹事長)
- →これまでも小委員会としての活動を延長していただいてきた。予算の問題は科研費に再応募すること等を考えている。インタビュー調査を依頼する際、土木学会に属する組織であることで相手への信用度が大きく異なることもあり、ぜひ小委員会として活動を継続したい。(藤井幹事)
- ・このことは委員会のリソースを今後、どのように有効活用するかという問題でもある。(昌子幹事長)
- →現在の委員会評価は成果主義となっており、その点においてワンデイセミナー等の開催は委員会にとって有益だと考えられる。小委員会の継続を委員会へと申請していただき、その時点で有益と判断された場合は継続することでよいのではないか。(田中幹事)
- ・委員会による予算の範囲内で活動を継続することはできるのか。(中井幹事)
- →委員会予算に加え、科研費がないと厳しい状況である。(藤井幹事)
- ・委員会は研究組織ではないと考えられる。委員会組織として研究活動を行うべきかどうかについても議論する必要があるのではないか。(中井幹事)
- ・土木学会は活動が活発である組織に予算を重点的に配分する傾向にあるといえる。その点で、委員会としての活動の幅が広いことは望ましいであろう。(田中幹事)
- ・委員会としての活動実績を重視するならば、相応の体制を組むべきである。個人に多くを依存する状況は委員会として無責任ともいえる。また、どのように委員会が責任を持って対処しているのかが見えにくい。(中井幹事)
- →委員会ではなく、各委員が主導となっている小委員会の形式が過去の事例では多い。(藤井幹事)
- ・活動を継続し、オーラル・ヒストリーの意義などを成果とする方向性も考えられる。ただし、継続は委員会の審議を経る必要がある。(昌子幹事長)
- ・来年度に完成予定である印刷物によって、オーラル・ヒストリーの重要性などを示すことはできる。現状ではわかりやすい成果物がなく、活動の成果等をアピールしにくい。(藤井幹事)
意見交換の結果、これまでの活動成果と今後の活動予定を明らかにした上で、小委員会活動の継続を希望することを申請していただくことが確認された。
4)土木学会選奨土木遺産選考小委員会・土木史教材検討小委員会(昌子幹事長)
為国幹事が欠席のため、昌子幹事長から報告がなされた。
- 選奨土木遺産選考小委員会は次年度のスケジュールを検討中である。
- 土木史教材検討小委員会は担当者が原稿を執筆中である。
土木史教材検討小委員会に関しては、議論が充分に進んでいない等の理由から活動が停滞しているとの意見も出された。これに対し、割り切る点は割り切ってもまずは完成させることが重要である、最初の一歩が踏み出せないのは非常に惜しい等の意見が出された。
結果として、小委員会内で今後の方針を改めて議論し直すことが確認された。
5)古市公威研究小委員会(藤井幹事)
2004年11月18日における「古市公威とその時代」の出版をもって、小委員会の活動を終了したことが報告された。また、本小委員会は図書館委員会と合同であったが、今後の活動は図書館委員会に主体を移すことも報告された。今後の予定や活動報告等について、藤井幹事に松浦小委員長へと確認していただくことが依頼された。
3. 2004年度の表彰関係
1)論文賞・論文奨励賞・出版文化賞(土木史研究編集小委員会報告)
論文賞・論文奨励賞・出版文化賞に関しては、土木研究編集小委員会からの報告において取り上げられ、意見交換がなされた。
3)功績賞について(昌子幹事長)⇒ 追加資料
前回幹事会で土木計画学研究委員会と合同で功績賞に新谷先生を推薦することが議題に挙げられていたが、合同に対する認識の違い等から手続きが遅れ、推薦できなかったことが報告された。また、土木史研究委員会としては次年度に推薦する意向が示され、これが了承された。この件に関し、新谷先生以外にも委員会が推薦すべき人はいるのではないかとの意見が出され、過去の受賞者を把握した上で今後も検討することが確認された。
4. 2005年度全国大会について(昌子幹事長)⇒ 資料3-4
時間的な制約のために委員長と幹事長で議論をし、2005年度全国大会における共通セッションのテーマを決定したことが報告され、了承された。なお、テーマである「石積み構造物の歴史・景観及び安定性」は今年度の土木研究発表会で活発に議論された議題であることも説明された。
5. 土木構造物の保存要請に関する件
1)餘部橋梁について(昌子幹事長)⇒ 資料3-6
餘部橋梁の保存要請に関する経過報告がなされた。
- 前回幹事会における議論を踏まえ、昌子幹事長から要望書を兵庫県に送付した。
- 県の方針を説明するために土木学会を訪問するが、3月下旬になるとの連絡を兵庫県からいただいた。
- 景観・デザイン委員会もこの件に関心があり、兵庫県からの説明には篠原 景観デザイン委員会委員長も同席する予定である。
今後の対応として、兵庫県からの説明を聞くことと状況の正確な把握が先決であることが確認された。
2)阪急梅田駅について(田中幹事)⇒ 資料3-7
阪急梅田駅への保存要請に関し、要望書案の提示と経過報告がなされた。
- 要望書案は近畿大学・岡田先生によるものである。また、要望先は阪急電鉄ではない。
- 現在の阪急梅田駅は鉄道建築とは言いがたい面もあり、建築学会からの要請の方が理解を得られるとの意見もある。単に要請するだけという形式となってもよいのか。
- 要望書案からもわかるように、建築物に対する保存要請であることに違和感がある。ただし、沿線地域開発の象徴であること、土木技術者がつくったという点からは要請の意味はあるものといえる。
- 阪急梅田駅への保存要請に関し、どのように対応すべきかを幹事会で検討していただきたい。
この件に関し、委員会単独での要請では弱く、建築学会と共同で要請する方向性が望ましいこと、また、可能であるならば土木学会として要請すべきとの意見が出された。要望書案の文面等に関し、気づいた点があれば田中幹事に連絡していただくこと、また、田中幹事には建築学会の動向についても把握していただくことが確認された。
3)平木橋について(昌子幹事長)⇒ 資料3-8
資料に基づき、昨年12月25日(土)に開催された平木橋フォーラムに関する報告が紹介された。
審議事項:
6. 全国大会研究討論会企画案について(昌子幹事長)⇒ 資料3-5
幹事長による研究討論会企画案の主旨と内容が説明された。今後の土木アーカイブスの方向性を見いだせるような議論ができるような討論会にしたいとの意向と同時に、参加者数に関する懸念も示された。この件に関し、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・研究討論会を聴講できるのは全国大会参加者に限定される。そのため、土木学会会員向けの内容とすべきである。(田中幹事)
- →土木を専門とする人は歴史資料に限らず、資料そのものに対する意識が低いという意見もある。その意識を改めてもらうことが会員に対する情報発信と考える。(昌子幹事長)
- →今回の企画案に情報発信の方法や資料の活用方法等の内容を加えると、行政の人にも関心を持ってもらえるのではないか。(田中幹事)
- ・行政によるアーカイブス作成に伴い、図面・資料の貸出依頼を受けたことがある。そちらにどのようなことを実施しているかを問い合わせてもよい。話題提供者をみると、資料を管理・整理する立場の人が多く、資料を見る側や現場の人がいない点が気になる。(中井幹事)
- ・膨大な資料を収集している事例も各分野でみられる。しかし、充分な活用ができているかは疑問であり、現状は収集活動が中心といえる。(藤井幹事)
- ・アーカイブスの考え方など、アーカイブスの信念と言えるべきものを伝えなければならない。アーカイブスからどのような成果が得られるのかを明らかにすると同時にアーカイブスの活用が観光を意味するわけではないこともアピールすべきである。(田中幹事)
- ・景観法に伴うセミナーの事例をみると、行政が話題提供者として参加していた方が望ましい。実際に様々な問題に直面し、悩んでいる人の意見が必要である。(田中幹事)
- ・この研究討論会は行政の人を主な対象と考えるべきなのか。(樋口幹事)
- →行政と土木史以外の他分野の研究者を対象とすべきではないだろうか。その点で、テーマ名も非常に重要となる。(田中幹事)
- ・昔の資料と同時に現在の資料を残していく方法も重要な課題であろう。(中井幹事)
- →研究討論会をその内容で実施することは厳しく、難しいものと考える(昌子幹事長)
- →研究討論会ではなく、ワンデイセミナーでその内容を扱ってはどうか。(田中幹事)
意見交換の結果、研究討論会は「使える土木アーカイブス」というコンセプトで実施し、未来への残し方等はワンデイセミナー等で対応することが確認された。また、討論会では多様な意見を出してもらうことが重要であり、方向性等をまとめる必要はないとの意見も出された。
7. 今後の活動について
1)土木遺産を広くPRする活動について(昌子幹事長)⇒ 資料3-9
土木史研究委員会が行う社会的活動としての土木遺産フォーラム企画案が幹事長から説明され、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・フォーラムの開催にあたっては参加者を集めることを考えなければならない。民間の土木技術者を集められるような魅力的な企画とすることが重要である。(藤井幹事)
- →この企画案は以前に幹事会で出された土木遺産のPRが不足しているという意見を反映させたものである。一般市民に対するPRの前に、つくる側や管理する側へのPRが必要と考えた。すなわち、古いものを簡単に壊してしまうのが現状である。それに対して、委員会は保存要請を繰り返すだけになってしまっている。(昌子幹事長)
- ・企画案をもう少し練ることが必要ではないだろうか。あるもの全てを1回で実施すると、内容が散漫になる可能性がある。例えば、1回ずつにテーマを決めて開催することなどが考えられる。(田中幹事)
- ・フォーラム開催には賛成だが、費用をどのように工面するのかが非常に懸念される。その対応を検討せずに開催することはできない。(中井幹事)
- ・土木学会誌に掲載されている土木紀行の執筆者に協力を依頼し、土木紀行の内容で土木遺産フォーラムを開催してはどうか。また、観光と関連させることも有効であろう。(田中幹事)
- →旅行業界等をスポンサーとして考えてもよいかもしれない。費用等の問題はあるが、土木遺産に関連したフォーラムは開催したい。土木遺産と観光という切り口は大きな可能性を持つものと考えられる。検討を重ね、次年度の秋頃にはフォーラムを開催したい。(昌子幹事長)
- ・一般の人は土木遺産という概念を持っていない。フォーラムは内向きに限定された情報発信であり、例えば、選奨土木遺産を対象とした写真コンテストの実施等が考えられる。そのことにより、一般の人々に新たな風景の楽しみ方を発見してもらうことができる。(中井幹事)
- →コンクリート工学委員会でも「美しいコンクリート写真コンテスト」を実施していた。その事例から考えると、賞金がさほど高額ではなくとも参加者をつのることができるのではないか。(田中幹事)
- →世間一般への普及を考えると、参加型の企画が望ましいと考えられる。基金の活用等、スポンサーを探す必要はある。(昌子幹事長)
- →安直かもしれないが、写真コンテスト開催はイベントとしての実現可能性が十分にある。(中井幹事)
- ・土木紀行の抜刷をパンフレットのようなものにすることも考えられる。土木紀行は一般の人にも読みやすく、わかりやすい内容である。(田中幹事)
- →土木紀行を出版する可能性があるため、その点を学会に確認する必要がある。(樋口幹事)
この件に関し、企画案を再度検討することが確認された。
2)新しい小委員会について(昌子幹事長)
前回幹事会においても議論された新たな小委員会の設置に関し、その主旨や委員構成を議論しなければならない旨が説明され、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・これらの組織を小委員会とする必要があるのかが疑問である。幹事会でも対応できる活動内容ではないだろうか。(田中幹事)
- →企画・展示についてはその内容によるだろう。1年位の期間で充分なリソースをかけて企画立案するならば、小委員会形式が望ましいと考えられる。(昌子幹事長)
- ・小委員会形式では限界があり、リーダーシップのとれる人を中心とすべきである。(田中幹事)
- ・世界遺産は自治体が申請するものであり、学会が関与すべきものであるのか。(中井幹事)
- →委員会として、候補になりうるような土木遺産に関するデータを持っているべきとの意見が小委員会設立の背景である。(昌子幹事長)
- →委員会の社会的な価値を高めるため、委員会から自治体に提案するくらいの勉強をすべきとの主旨であったと考えている。(藤井幹事)
- ・委員会として、自治体に世界遺産への申請を持ちかけることは結果に責任がとれない。(中井幹事)
- →実際に委員会から提案するわけではなく、データのストックを有することで少なくとも問い合わせ等には対応できるようにしたいとの主旨であろう。(昌子幹事長)
- ・小委員会設立の意図は理解できるが、選奨土木遺産も同様の役割を担っていたものと認識している。幹事会としての対応は厳しいであろう。(田中幹事)
意見交換の結果、小委員会設立の提案者である伊東委員長と北河幹事には小委員会の意図や体制を明らかにしてもらい、具体案を示していただくことが確認された。
3)土木史研究委員会における幹事会・小委員会のあり方について
委員会における幹事会・小委員会の今後のあり方に関し、下記に示すような意見交換がなされた。
- ・今後、実行部隊となる組織は委員会の外部に配置しないと厳しいと考えられる。(田中幹事)
- ・小委員会の立ち上げ方を独特なものと感じたことがある。土木史研究の裾野が広がらない状況で、小委員会等を拡大していくことは危険ではないか。しかし、いつまでも同じようなことをやっていても意味はないという問題もある。(中井幹事)
- →土木史フォーラム小委員会も非常に特異な存在といえる。どうあるべきかとの議論は数年前からなされていた。(昌子幹事長)
- ・前幹事長は土木史を第0分野とする努力が必要であるとの意見を持っていた。また、ウェブ上での会議など、大幅な改革が必要であるとの見解を示していた。(田中幹事)
- ・研究委員会に限定せずに会社やNPO法人を通じた運営も考えられる。すなわち、PRなどの企画・運営を民間で行うという考え方もある。(田中幹事)
- ・今後、委員会組織を4つの小委員会程度に絞らないと組織が動かなくなる可能性がある。(中井幹事)
- →土木遺産のPRに関する役割は幹事会とは別にすべきなのか。(田中幹事)
- →その役割を幹事会で担った場合、幹事会の負担が大きすぎるものと考えられる。(中井幹事)
- ・各幹事が担当を持つというやり方も考えられる。元々、幹事は各小委員会の幹事長であるという位置づけであった。それぞれの小委員会から挙げられた議案を幹事会で議論し、それを委員会で承認してもらうというプロセスを経ることになる。(昌子幹事長)
- ・委員会委員・幹事の世代構成についても考える必要がある。(田中幹事)
土木史研究委員会における組織のあり方については、今後も幹事会で議論することが確認された。
7. その他
1)次回委員会日程について
第2回土木史研究委員会の日程案として、3月31日(木)か4月6日(木)のいずれかの午後が挙げられた。この日程案を委員長と調整し、早急に委員会開催日時を決定することが了承された。
※なお、第2回土木史研究委員会は4月6日(木)15時、第4回土木史研究委員会幹事会は同日13時に開催されることが決定した。
(文責:日野 智)
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