平成14年度 第1回 土木史研究委員会 議事録

日 時:平成14年8月30日(金) 15:00〜17:00

場 所:土木会館 2階 A会議室

出席者:
   中村委員長・野村副委員長・馬場副委員長・小林幹事長
   河村、松浦、藤井(代理:伊東)の各委員
   北河、柴田、鈴木、武山、田中(邦)、田中(尚)、為国、知野、中井、埜本、日野の各幹事
   丸畑職員

配付資料:
1-0 土木学会土木史研究委員会議事次第(平成14年度第1回)
1-1 土木史研究委員会委員構成・委員連絡票
1-2 土木史研究委員会運営内規および運営内規細則
1-3 平成13年度の土木史研究委員会・幹事会の活動内容報告
1-4 平成13年度第2回土木史研究委員会議事録(案)
1-5 『土木史研究』の論文審査制度の変更について
1-6 「第22回土木史研究発表会」収支決算書(案)
1-7 平成14年度土木学会選奨土木遺産候補一覧
1-8 土木史研究委員会オーラル・ヒストリー研究小委員会報告
1-9 土木史フォーラム小委員会報告
1-10 土木学会「第1回継続教育実施連絡会」報告
1-11 本年度デザインワークショップの景観・デザイン委員会との共同開催について
1-12 Louis van Gasteren氏からの協力依頼について
1-13 ワンデイセミナー「大規模社会基盤施設の計画史的評価」:共催の依頼について
1-14 中山間地域等における歴史的砂防施設の保存活用による地域活性化調査

議事

1. 委員長挨拶(中村委員長)

  • 土木史研究委員会は土木学会において重要な役割を果たすものと認識している。すなわち、土木史は土木学会における羅針盤として位置づけられる。
  • これから土木史研究委員会の多岐にわたる活動を審議するが、その中で各委員・幹事は土木史研究委員会がどのような役割を果たしていくべきなのかについても考えてほしい。

2. 委員・幹事の紹介 →資料1-1

3. 土木史研究委員会運営内規について(小林幹事長) →資料1-2

1)委員・幹事等の任期について

  • 土木史研究委員会運営内規において、委員等の任期は2年であり、任期を連続することはできないとされている。しかし、実際は任期を連続していることが多い。
  • そのため、委員幹事の任期に運営内規を厳密に適用すべきか運営内規を修正すべきかを審議したい。
  • 内規中の「原則として」は「任期を連続することができない」にもかかっていると解釈でき、運営内規を修正する必要はないのではないか。(中村委員長)
  • できるだけ多くの方々に委員・幹事となっていただき、土木史研究委員会の裾野を広げる方針は堅持していきたい。

2)委員の選出時期について(小林幹事長)

  • 現在の委員選出時期は6月となっているが、これを4月とすることで会計年度と一致させたい。ただし、論文編集委員会については6月まで活動を継続させなければならない。
  • 現在の体制では、4月から6月までの予算執行に矛盾が生じ、事後承諾となってしまっている。
  • 土木学会の事業年度は5月までであり、総会は5月末に開催される。土木史研究委員会だけ4月からということで、問題が発生しないのか。(為国幹事)
    →委員選出時期は委員会毎に異なっており、4月としている委員会もある。(丸畑職員)
  • これまで委員長にはいつから就任していただいていたのか。(松浦委員)
    →内規に従うと6月からとなるが、これまでは7月に委員長を選定し、8月に委員会を立ち上げることが多かった。
  • 研究委員会委員長は土木学会会長の指名によって就任する。考慮すべきことはその他様々にあるのではないか。(河村委員)
  • 幹事会において、さらに詳細について議論を進めていきたい。

4. 研究小委員会への予算措置について(小林幹事長)

  • 現在、土木史フォーラム小委員会の年間予算は10万円となっている。そのため、二つの小委員会に10万円ずつの予算としたい。
  • 小委員会運営内規と研究委員会における活動報告、2年間で成果をまとめることの3つを予算措置時のルールとしたい。
  • オーラルヒストリー小委員会としては2年間で成果をまとめられるか疑問である。2年は妥当な期間であるのか、柔軟な対応をしてもらいたい。(藤井委員(代理:伊東))
  • 小委員会の活動実態に合わせる必要はあるのではないか。また、小委員会には必ず予算をつけることになるのか。(中村委員長)
    →必ず予算をつけるわけではないが、必要とされるものには予算をつける。これは前回委員会での決定事項である。今までは自由に活動してもらっていたが、予算をつけるとなると「制限なし」というわけにはいかない。
  • 前回委員会では活動期間については明言していなかったのではないか。(藤井委員(代理:伊東))
    →予算の期限が2年間ということである。それまでの活動報告を行った後に名称等を変更し、小委員会を再結成することでは問題があるだろうか。将来的に特定の小委員会が予算を独占するような事態が発生することを懸念している。
  • 小委員会設立の申し込み後、運営内規の制定と委員会での活動報告、2年間の活動期間をルールとしたい。ただし、名称等を変更し、活動を継続させることは可能とする。

5. 論文集審査体制の見直し(馬場副委員長) →資料1-5
※資料1-5, p2 8行目「@は、一・二次資料をもとに、」→「@は、一次資料をもとに、」へと訂正。

  • 事後審査制、部門化、価値判断、編集権の拡大が新しい審査体制の骨子である。
  • 審査付き論文の部門化は若手研究者の投稿を促し、投稿者と査読者の意識を一致させることを目的としている。4部門に対し、4種類の査読要領と査読報告書を準備する。
  • 価値判断については、今までの(B)があいまいであったため、論文内容と修正の程度にわけて評価する。すなわち、一発勝負ではない査読形式としたい。
  • 査読付き論文だけではなく、自由投稿論文に対しても配慮をしていく。
  • 研究発表会における発表では質疑を充実させ、「一次査読」的な役割をもたせる。
  • 今回の原案は編集小委員会と委員会の双方に諮っている。編集小委員会において、見直し作業を行い、最終的に論文審査制度を決定したい。
  • 全体としての方向性について委員・幹事の方々の賛同を得られるかを審議したい。研究発表会の収支の観点からも、論文数を減少させないことが望ましい。(小林幹事長) →資料1-6
  • 卒業論文や修士論文の投稿を促すという方針には賛成である。今回、3編しか通らなかったのはなぜであるのか。(松浦委員)
    →再査読制度がないため、修正要件の多い論文が落ちてしまう結果となった。今回、落ちてしまった論文についても発表会における議論を経ることで査読を通るのではないだろうか。
  • 今回は修正意見による修正要求が大きいケースが多かった。そのため、修正によって全く別の論文となってしまうと考えられ、改めて査読が必要となる。しかし、現在の査読プロセスには再査読の制度がなく、多くの論文を落とすことになった。修正原稿が戻ってこなかったわけではない。(藤井委員(代理:伊東))
  • 今回の改正案は優れた案である。中でも、部門化が最も優れた部分と思う。部門化によって、査読プロセスに関わる問題は解決しうるのではないだろうか。事後審査制には利点もあるが、欠点もあると思われる。(中村委員長)
  • 土木史学はしっかりと論文の内容を確かめ、論文集に掲載することが望ましい。そのため、事後審査制とすることで1年遅くなることは大きな問題ではないと考える。(為国幹事)
  • 論文審査の基準を下げることにはならないのだろうか。また、以前のやり方に戻すことも検討して良いのではないだろうか。(松浦委員)
  • 以前のやり方では論文編集委員一人あたりの負担が増加することが懸念される。(為国幹事)
    →審査基準を下げるための変更ではない。ただし、土木学会論文集と同程度の難易度である必要はないと考えている。以前の方法も問題があるために変更されてきたものと考えられる。そのため、単に以前の査読方法に戻すことはしたくはない。
  • 重点部門におけるC-2技術史の定義が曖昧ではないか。意図していることを明らかとすべきである。(中村委員長)
    →各専門分野の方々にそれぞれの歴史をまとめてもらい、土木史研究に発表していただきたい。論文募集の際にはその点が明らかとなるようにしたい。
  • 部門に事例報告等を含めてもらいたい。C-1は土木遺産に限定されてしまうのか。(為国幹事)
    →事例報告はC-1に含めることが望ましいと考えられる。
  • A解釈部門の評価は非常に困難ではないだろうか。また、客観的事実(既知の歴史的事実)は一次資料を基とすべきものではないか。(松浦委員)
  • 一次資料にこだわると投稿の敷居を高くしてしまう。A解釈部門は発想に関する部分を審査するためのものである。(為国幹事)
    →A解釈部門において、一次資料ということを強調したくはない。また、解釈に関する評価は発表時にも確認可能であり、講演者には自らのセールスポイントを強調してもらいたい。
  • 今回、提案された原案を土木史研究委員会幹事会と論文編集小委員会にて議論し、細部を決定していきたい。(小林幹事長)

6. 土木学会選奨土木遺産選考委員会(馬場副委員長) →資料1-7

  • 指定を辞退した管理者がいたため、選定数が15箇所となっている。
  • 選奨土木遺産の選定においては、管理者の同意を得ているのか。また、同意には管理者が保存を進めることも含んでいるのか。(中村委員長)
    →指定には管理者の同意を得ている。今回は1箇所については同意が得られなかったため、選奨土木遺産に指定することができなかった。また、保存に関しては明言していない。

7. 小委員会活動報告等

1)オーラルヒストリー研究小委員会(藤井委員(代理:伊東委員)) →資料1-8

  • 小野内氏にインタビューを行う予定であったが、実施できなくなった。
  • そのため、高橋国一郎氏にインタビューを行う予定である。

2)土木史フォーラム編集小委員会(為国幹事) →資料1-9

  • メーリングリストによる土木史フォーラムの配信を検討している。日野幹事には土木史フォーラム小委員会にも加わってもらい、メーリングリストの管理を担当してもらう。

3)土木学会「第1回継続教育実施連絡会」報告(為国幹事) →資料1-10

  • 土木学会「第1回継続教育実施連絡会」に土木史研究委員会を代表し、出席した。
  • 委員会への検討依頼事項である「1. 継続教育プログラムの認定手続」については為国幹事が対応する。
  • 土木史研究委員会独自の継続教育プログラムが必要とされる。9月18日までに委員会としての方向性を集約する必要があるため、メール等でご意見を寄せていただきたい。
  • 土木史研究委員会としては上手く利用していくべきことと考える。
  • セミナーを開催することで委員会としての収入を増やせる可能性がある。(小林幹事長)
    →会議において、採算性についても質問してきた。テキスト作成費等は技術推進機構に負担してもらうことも可能である。
  • ぜひ各委員・幹事からのアイデアを為国幹事に連絡してもらいたい。テキストについては、幹事会において議論を進めたい。(小林幹事長)
  • 今すぐに実行せよと言われても困難な事項と考えられる。できないと回答すべきではないが、確約すべき。慎重に、かつ前向きな姿勢が望ましい。(中村委員長)
  • 以前に話題とした中級技術者資格認定試験の主題者は最終的に1名となった。どのような問題とすべきかは非常に難しいであろう。(小林幹事長)
  • 民間にとっては技術士資格が重要視される。現在、技術士試験に土木史と倫理を加えるべきとの要請がある。倫理に関してはどうなっているのか。(河村委員)
    →まだ、そこまでの段階ではない。ただし、技術士試験とも連動して進めている。
  • 倫理教育に関する重要な部分は土木史が充当できるものと考えている。(中村委員長)

4)デザインワークショップの共同開催について(中井幹事) →資料1-11

  • 本年度もデザインワークショップを土木学会テザイン・景観委員会と共同開催する方向で進めている。デザインや景観における土木史の意義・重要性をアピールすることを目指している。
  • 土木史研究委員会からは小林幹事長と為国幹事に参加していただく。その交通費を委員会が負担することを検討していただきたい。
  • 土木史研究委員会を代表して参加するものであり、交通費については委員会から支出することが妥当と考える。(中村委員長)

8. Louis van Gasteren氏からの依頼(中井幹事) →資料1-12

  • オランダのドキュメンタリー映画作家であるLouis van Gasteren氏が来日し、映画上映と講演会を開催する予定である。資金面ではなく、会場手配や告知等での協力を依頼されている。
  • 協力することに同意していただけるなら、中井幹事から開催地の大学にいる各委員・幹事の方々へと直接に依頼したいと考えている。
  • 中井幹事に窓口となっていただき、協力することでよいのではないか。(小林幹事長)

9. ワンデーセミナー共催の依頼(日野幹事) 資料1-13

  • 土木計画学研究委員会大規模社会基盤施設の計画史的評価に関する小委員会が開催するワンデーセミナーを土木史研究委員会との共催にしていただきたい。多くの土木史研究者の方々にセミナーに参加していただくため、主に広報面でのご協力をお願いしたい。
  • 土木史研究委員会としても大きく関係しているものであり、多くの委員・幹事も小委員会のメンバーとなっている。(小林幹事長)
  • 資金面での支援は困難であるが、共催とすることは望ましい。(中村委員長)

10. 『歴史的砂防施設の利用と地域活性化に関する小委員会(仮)』の設置(北河幹事) →資料1-14

  • 現在、資料の通りに文化庁に申請しており、小委員会設置はその後のこととなる。
  • 土木史研究委員会としては、正式な委託がないと活動できない。このような方向性があることを各委員・幹事の方々に了解していただきたい。(小林幹事長)

11. その他

1)ゲーレブ氏来日時の対応について(北河幹事)

  • フランスから20名程度の土木遺産に関する調査団が来日する予定であり、現地案内や宿泊先手配などでサポートする予定である。
  • 講演等の依頼には応じてくれる。土木史研究委員会として講演を依頼することも可能である。
  • 東京大学では講演を依頼する予定であり、共催の形をとることは可能である。(中井幹事)
  • 共催には賛成であるが、費用負担が心配である。(中村委員長)
    →東京大学だけで開催する場合(学生のみを対象)とは異なる。(中井幹事)
  • 費用など委員会としての対応は困難である。小林幹事長が直接にお会いすると聞いている。後日、幹事会で議論してもらいたい。(中村委員長)
  • 講演会等で参加費を徴収することを検討してはどうか。(為国幹事)
    →参加費を徴収した場合、通訳などを用意する必要がある。(小林幹事長)

2)土木学会図書館・画像データベースへの協力について(松浦委員)

  • 現在、土木学会図書館では一般市民を対象とした画像データベースの充実を図っており、江戸城の濠を最初の対象としている。
  • そこで、画像データベースを土木史研究委員会において作成してほしいとの依頼を受けている。
  • 関連するデータは既に集められているのか。また、依頼の主体が不明である。(小林幹事長)
    →土木史研究委員会で集めてもらいたいとのことである。図書館委員会からデータベースの作成と画像データの収集を依頼されている。
  • 図書館委員会が幹事であるなら、直接にデータ所有者に依頼してもらいたい。土木史研究委員会として対応するには負担が大きすぎる。(中村委員長)

3)その他の報告事項

    (小林幹事長から)
  • 平成13年度の土木史研究委員会活動内容については資料1-3を参照してもらいたい。
  • 平成13年度第2回委員会議事録(案)については、問題があるようなら連絡をいただきたい。
  • 委員会や幹事会を頻繁に開催することは困難なため、各委員・幹事には適宜電子メールにて連絡を流すので、メールを読むようにしてもらいたい。
    (馬場副委員長から)
  • 土木学会論文賞への推薦論文は伊東委員が対応する。
  • 第23回土木史研究発表会は6月18,19日に神戸市の県民会館にて開催することが決定している。

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