平成13年度 第2回 土木史研究委員会 議事録
日時 平成14年4月2日(火)13:00〜15:00
場所 鉄道弘済会館4階 椿
出席者 佐藤委員長、伊東副委員長、小林幹事長
石田、大熊、河村、北浦、竹内、松浦 の各委員
北河、武山、為国(代理:昌子)、迯目、埜本、原口、福井 の各幹事
古木専務理事、丸畑職員
配付資料
2-0 土木学会土木史研究委員会(平成13年度第2回)(議事次第)
2-1 平成13年度第1回土木史研究委員会議事録(案)
2-2 平成13年度第2回土木史研究委員会・幹事会議事録(案)
2-3 第22回土木史研究発表会
2-4 土木史フォーラム・アンケート結果からみた今後の編集・発行方針について
2-5 平成14年度土木学会全国大会・研究討論会申込み、研究発表会(北見)写真展、古市研究
2-6 土木学会認定技術者資格について
2-7 冊子 Rediscovering
the Art of Manufacturing
議事に先立ち、平成14年2月3日に急逝された故市川紀一副委員長に黙祷を捧げた。
議事
1.委員長挨拶(佐藤委員長)
・市川副委員長の逝去を大変残念に思う。土木学会技術者資格の特別上級技術者には、土木史の分野からは合格者が出なかったが、実務者として市川氏がふさわしかった。
・土木学会技術者資格の試験には土木史の問題が出題される。択一式の問題を50問作成せねばならず、大変な量の作業が待っている。各委員、幹事に協力願いたい。
・技術者資格に関連して、大学で土木史を教える側の準備(教官、教材)も必要となってくる。
2.前回議事録の確認(資料2-1、2-2)
3.次期3役について(佐藤委員長)
・次期委員長は中村良夫先生ということで、ご本人に承諾をいただいた。
・幹事長は小林先生が留任される。
・副委員長については、中村先生、小林先生に人選していただく。
・中村先生は景観・デザイン委員会の委員長であったが、併任となるのか。(大熊委員)
→景観・デザイン委員会は東大の篠原先生が委員長となり、中村先生は勇退される。
4.小委員会活動報告
1)土木史研究編集小委員会報告(伊東副委員長)
・査読付き論文は20編申し込み、16編が提出され、3編が審査を通過した。
・申込数は例年に比べて少なくなっている。
・審査を厳しくしたわけではない。
・執筆連名者が編集小委員会のメンバーである場合の取り扱いについて議論があった。
取り扱いについて明文化すべきと考えている。4月4日に打ち合わせを行う。
・審査に通らなかった13編の論文のうち、自由投稿に回ったのは何編あるのか。(大熊委員)
→3編である。
・以前は編集小委員会の委員が連名となる投稿は避けるようにした。(大熊委員)
2)第22回土木史研究発表会関連(伊東副委員長)(資料2-3)
・スペシャルセッション「橋の見方・楽しみ方」(一般公開)を企画している。
・15年間継続した鋼構造委員会での歴史的橋梁のリストアップが終了したので、その成果を発表する。
・当初は山口祐造先生に招待講演をお願いしていたが、体調不良のため辞退された。
・北見市教育委員会より会場費の寄付を受けているが、その条件として一般市民向けの企画を依頼されている。そのため、本セッションは無料とする。
・支出のうち、例年と異なるものは、写真展の費用とスペシャルセッションの資料印刷費である。
2’)土木史研究発表会(北見)写真展(資料2-5)(原口幹事)
・「近代土木の技術と精神」というタイトルで写真展を企画している。
・展示コンテンツは琵琶湖疎水事業、北海道鉄道上川線、帝都復興橋梁事業に関する図面や写真であり、各A0版パネル3枚を計画している。
・予算としては平成13年度で25万円、14年度で5万円の計30万を予定している。
3)土木史フォーラム小委員会報告(為国幹事(代理:昌子))(資料2-4)
・4月発行の土木史フォーラムに故市川副委員長の追悼文を掲載したい。
→小林幹事長が書かれた資料2-6の追悼文を要約して掲載する。
・アンケートを実施した結果、力を入れて編集している記事と、読者に期待されている記事にややずれがあることがわかった。
・編集方針、発行方針、地域情報の充実について意見をいただきたい。
・本日の意見をもとに、次期小委員会から変更を実施できるようにしたい。
<編集方針について>
・平成14年度からは田中幹事がWebページを担当し、充実を図る予定である。学会の動きなどはWebで十分であろう。(小林幹事長)
<発行方針について>
・前回議論した際には、資料として残すために紙での発行が必要であるということで合意した。また、いわゆる「土木史ファン」には紙で発行する必要があろう。(小林幹事長)
・希望する人にはメールによる配信でよいだろう。(小林幹事長)
・インターネットでの商売はメールを多数送ることで効果が上がるそうである。もっとメールを活用した方がよい。(迯目幹事)
・編集された内容だけでなく、単発の話題でメール配信してもよいのではないか。(福井幹事)
<地域情報について>
・地域情報について、すでにインターネットに掲載されている情報について、誤りを指摘するという活動があるのではないか。(伊東副委員長)
4)古市公威研究小委員会報告(原口幹事)(資料2-5)
・平成13年度は2回の打ち合わせ会議を開催した。
・平成13年度は予算をつけられなかった。14年度は若干の会議費(10〜20万円)をつけていただく予定である。
・研究費については文部科学省科学研究費に申請中であるが、採択されなかった場合、委員会から予算的な援助が必要である。
・研究費については原則として科学研究費等で対応してほしい。委員会からは会議費程度の援助が限界である。(小林幹事長)
5)その他
<オーラルヒストリー準備会の活動について>(伊東副委員長)
・オーラルヒストリーの準備会を立ち上げ、武部健一先生をサンプルに活動を行った。
・通常は2時間×10回程度行うが、現在5回まで開催した。
・取材内容は10年後または逝去時公開ということが条件となっている。
・オーラルヒストリーの手法は「なぜ」を聞けることが意義深い。
・オーラルヒストリーについても立ち上げ準備の会議費をつけていただきたい。
・技術者運動、高速道路に関するキーパーソンである尾之内由紀夫氏への取材を急いでほしい。(河村委員)
5.選奨土木遺産選考委員会関連(馬場委員(代理:小林幹事長))
・選奨土木遺産は今回で3回目となる。
・これまで、ルール未設定のまま作業を進めてきたが、今回、方針について議論した。
・2005年までを目途になるべく多くの賞を出す予定である(1年につき各支部2件、計16件程度)
・2002年度の選考は現在調整中であり、次回6月の会議で決定する予定である。
・選奨土木遺産の紹介を若手が学会誌に連載しているが、将来冊子になればよいと考えている。
・登録文化財と選奨土木遺産との重複は調整しているのか。(大熊委員)
→登録文化財に指定されているものを選奨土木遺産として指定するのは避けている。なるべく多くの土木遺産が救われるようにとの配慮からである。
6.土木学会認定技術者資格制度(小林幹事長)(資料2-6)
・土木学会認定技術者資格制度は昨年度から開始されている。詳細は学会Webサイトを参照されたい。
・今年度に上級技術者、来年度に1,2級技術者の認定が行われる。
・交通工学・国土計画細目に「土木史」というキーワードが明示されている。
佐藤委員長より
・丹保学会長が今後の人口減少を見据えて土木技術者の絞り込みに関する議論をされている。
・大学は国際化に向けJABEE認定取得が必須となっているが、それには倫理、歴史教育が必要条件とされている。今後歴史にかかわる体系な教育を用意する必要がある。歴史の重要性が認知されつつあるという追い風をしっかりと受け止めなければならない。
・教育現場にいる若い先生方は、是非とも土木学会認定技術者に学生を合格させてほしい。
・委員会としては問題作成で評価を受けることになる。しっかり対応していただきたい。
7.全国大会・研究討論会(原口幹事)(資料2-5)
・9月25日〜27日に北海道大学で開催される全国大会に、研究討論会として「土木資料の保存を考える−古くて新しい土木の情報インフラ整備−」を企画している。
・日本大学の藤田龍之先生に座長をお願いしている。
・話題提供者とそのテーマは以下の通りである。
為国孝敏:有形無形の土木資料について
高安礼士:博物館学的視点からみた土木資料
藤井三樹夫:オーラルヒストリー
原口征人:田辺家の資料について
・北海道支部では士幌線を題材に「近代化遺産の保存・活用」という討論会を企画している。競争となるが、是非がんばっていただきたい。(佐藤委員長)
・全国大会の研究討論会は一般開放(無料)する予定である。(佐藤委員長)
・討論会参加者(高安氏)の旅費は通常通り委員会予算より支出できる。
8.その他
1)海幸橋(中央区)について(伊東副委員長)
・日本初のランガー橋として委員会より中央区に保存の要望を出していたが、撤去が完了した。
・親柱(大2本、小1本)を当初の色に復元し、保存されることになった。
・端部を日大で引き取る方向で調整中である。
2)「帝都復興」映写会の報告(北河幹事)
・昭和5年に復興局が制作した「帝都復興」の映写会を3月14日16時より京橋フィルムセンターにて行い、20余名の参加者があった。
・このフィルムは学会の藤井氏が発掘したものである。
・大変好評だったので、ビデオ化について交渉を行いたい。
3)「日本の近代土木を築いた人びと」の受賞について(河村委員)
・大成建設が制作した「日本の近代土木を築いた人びと」が、2001年キネマ旬報文化映画部門第一位を受賞した。大変名誉なことである。
・組織の代表者であれば、VHS版のビデオを無料で提供してくれるそうである。
4)土木バーチャルミュージアムについて(古木専務理事)
・現在、バーチャルミュージアムとしてWeb上の土木博物館を企画している。
・プロトタイプは作成したが、博物館をどう使うか、どうあるべきか、といったことについて論文、資料、ご意見をいただきたい。
・北九州の土木博物館を計画した際のレポートがあるはずである。海外視察も行っており、参考になると思う。(小林幹事長)
5)学芸員資格の取得について(伊東副委員長)
・学芸員資格を日大理工学部で取得できるよう調整を行っている。
・学芸員資格の取得には実習が必要で、これは各博物館に直接申し込む必要がある。
6)金崎先生の蔵書保全について(松浦委員)
・東北大理学部卒で原子力の大家であった金崎先生が昨年5月に逝去された。
・1万数千冊にのぼる蔵書の中には、東京都や震災復興関連の貴重な資料が含まれている。
・蔵書は東洋大学が受け入れることになっている。
7)「美を求めて−近代化遺産の記憶」放映とビデオ貸し出しについて(北河幹事)
・2月23日にTBS系で「美を求めて−近代化遺産の記憶」という番組を放映した。
・内容が比較的易しいので、中学生程度でもわかるはずである。ビデオの貸し出しをするので北河幹事まで問い合わせてほしい。
8)「ものづくり再発見」の英語版発行について(石田委員)
・中部支部で発行した「ものづくり再発見」の英語版「Rediscovering
the Art of Manufacturing」を作成した。
9.勉強会(15:15〜18:00)
新谷洋二先生「明治以前の城郭と石垣について」