平成12年度 第2回 土木史研究委員会幹事会 議事録(案)
 
日 時 平成12年12月1日(金) 15:00〜17:00
場 所 鉄道弘済会館1階 葵東
出席者 小林幹事長
鈴木、高安、迯目、原口、福井、藤山、堀、安田(代理:長野幸司氏)の各幹事
配布資料 2-1 議題2.txt(今回の議事進行次第および報告事項関係書類)
2-2 土木史研究編集小委員会での課題と報告(佐々木幹事作成)
2-3 「土木技術者と歴史感覚?Picon教授シンポジウム?」について(福井幹事作成)
2-4 土木遺産とは?(選奨土木遺産関連報告)
 
【議事】
 
1.報告事項
 
1)全国大会研究討論会講師への謝金について -> 学会の規定に従い支出した
 
2)海幸橋の保存に関する要請書 -> 以前に出す予定であり提出した.また今後2000選のうちAランクの400件については撤去などの動きがあった場合、自動的に「検討要請」を出すようにする.神戸堰(島根県)は最初の事例として、要望書を出す.
 
3)Picon先生特別講演会 小林幹事長より経緯の説明があり福井幹事から詳細について説明がなされた.景観デザイン委員会と土木史研究委員会で謝金と通訳費用を分担する(現在の予算の残りから勘案し、対応可能).-> 決議を取り了承された.
 
4)HPの改訂 小林幹事長により1月中に行うことが報告された.
 
5)「古市公威博士」関連シンポ -> 神吉先生より後援に入って欲しいと依頼があり了承した.今後2004年の生誕150周年のイベントがあるかもしれない.また古市に限らず歴史的人物調査の仕事は増えてくると思われる.
 
6)13年度予算 -> 前年度に従い提出した.
 
7)奨励土木遺産委員会 -> 今年度の奨励土木遺産について報告がなされた(資料2-4)
 
2.審議事項
 
1)次年度土木学会全国大会(熊本)研究討論会のテーマについて
 
・各委員、幹事の自己紹介がなされた。また、小林幹事長から若手、民間の方の起用がなされたとの人選の意図が説明された。
 
2)委員会活動内容の紹介
 
・近年の流れでは開催地域の近代化遺産の活用を考えるという主旨で行われていた(今年の野蒜築港など)
 
・熊本らしいテーマを持ってくれば良い、との意見があった
 
・熊本での石橋の事例について質問があり、地場の業者などがいろいろと取り組んでいることが報告された.また海外でも道路拡幅のため撤去の問題があり、現在の石橋を考えるとき保存と新しく石橋を建設することも考えなければならない(ハイブリット型).
 
・迯目幹事から写真のパネルをもっている人を知っているがその運搬費用などは  -> 小林幹事長 熊本の有志を集めることも可能である.
  
・次回までに迯目幹事に案をつくって頂くことで了解された.
 
3)その他(土木史教育等)について
 
鈴木幹事から為国幹事との話し合いについて経過報告があった.土木に入ってから悩んでいる学生に示唆を与えるようなもの -> 大学に限らずに一般的な生涯教育でも良いのでは?
 
・この委員会である程度のひな形を出していかないといけない.エンジニアになるためにモデルになる人が過去にいないか.各分野の先生にヒアリングをしても良い.
 
・以前「土木史」の講義を大学でやっているかをアンケートしたことがある.その結果はPicon先生の講演時討論会で大熊先生にお願いしてやって頂くことになっている.しかし今回は単に講義があればよいという程度ではない.実際にやった事例等の小冊子にまとめられれば.
 
・小学生向けにも、というのは、建設技術センターの絵本の活用状況がかんばしくなく、その理由は先生が土木の事を知らなくて教えられない.大学の先生に来ていただければぜひお願いしたいとの要望があったため
 
・現状では土木の歴史的人物(構造物)の解説書は皆無であり概論のようなものでも意義はある.
 
・大学生は別にして生涯教育の場では対象者を限定しないと書き方が難しい.内容・文体を変えないといけない.そういった文章を書ける人がどれくらいいるか? -> 博物館の学芸員はそういったことができる.これとの連係も大切.
 
・以前書かれた文章のもの/絵本 の中間ぐらいのものを目指すと良いかもしれない.
 
・すぐに活動をおこさずに連絡を取り合って進めることで了承された.
 
3.土木学会の技術者資格について(資料2-1中 後半部分)
 
・小林幹事長から経過の説明がなされた.「技術士」との関連でそもそもの必要性が議論されてきているが学会上層では話はずっと進行してしまっている.社会に対してどういった人が工事に参加したかと示す説明責任を果たす.学会員の勉強(生涯教育)を促す研鑽効果.発想は医学会の中の脳神経学会など専門学会の活動で、専門性を維持するためのもの.第4部門では計画学は審議中.景観デザインは積極的(エンジニアアーキテクトの思想)非常に明確.土木史は仮に「歴史的土木構造物評価士」という案を考えてみた.研究以外の実践の舞台と捉えるといい機会だと思えてくる.
 
・高安幹事からイギリスの博物館学芸員にも同じような制度があることが報告された.頭でっかちの人間を育てない、現場経験重視の思想がある。
 
・長野代理から目的として何を想定しているのか、また海外に同じようなものがあるのならそれに合わせると対応がスムースになる、と質問がなされた.
 
・一番の目的は学会員の生涯教育(小林幹事長).工事の発注を企業の評価から技術者個人の評価に移していきたい(福井幹事)などの説明がなされた.
 
・景観デザインで積極的なのは、今までは人づてで仕事が配分されていたものをこういった資格で決められればオーソライズできる.また会計検査の時も景観担当の選定で資格のある人を選んだと言える.
 
・レベルの高い人の問題はそうなるであろうが、市場主義になっていないだけの事ではないだろうか.技術者に階級をつけて職業独占をつくるようなものはいかがかと思う.学会員の研鑽が本来の目的である。
 
・試験制度だけでなく、トレーニングセンターのようなものも一体として考えないといけない
 
・土木史部門でどれだけの人数がいるか.年間100人で10地域として試験は10人.筆記試験は無いと考えたほうがいい
 
・土木史では調査する人とデザインする人と分けたほうが良いのではないか
 
・教育でも同じような状況で、実務に出てから勉強する人/しない人の差がハッキリある.かつてのようにみんないっしょとは行かなくなるとこういったものが必要になる.
 
・建築のほうでは文化庁でこういった特殊技能の認定をしておりそれで対応している(調査時の資料の取りかた等こまごましたところも決まっている) ->  歴史も違うのであわせる必要はない.そのままにしておけば土木部門も建築でやり出すことになると思う.
 
・小林幹事長から1月位までにはやるかやらないかを決めないといけない、土木史研究自体を実質的なものにするにはチャンスである.保存補修の知識の共有の場をつくり出すことにもなる. ->  配付した白表をうめる形式で意見を集約したい.メールで対応.
 
・技術者と技能者を分けて考える必要がある. ->  基本的には技術者だが、どちらかを切り捨てるのは難しい
 
2)土木学会委託研究業務「土木博物館(仮称)屋外展示基本計画検討策定」へ佐々木葉先生を土木史研究委員会より推薦
 
4.その他
 
・鈴木幹事から前回に報告された件の経過報告がなされた(いろはどい等).
 
・発表会の開催月変更について、物理的に11月開催は事務局が忙しすぎて対応できない.再考を求む ->  この場でも良い意見が出なかったので、意見を直接佐々木幹事に報告して下さい.
 
以上(文責 原口)

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